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2012年07月30日

【エバンジェリスト流?】『「革命家」の仕事術』ガイ・カワサキ


「革命家」の仕事術
「革命家」の仕事術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、アップルの元チーフ・エバンジェリストであるガイ・カワサキの起業本

13年前に出てアマゾンでも大好評だった『神のごとく創造し、奴隷のごとく働け!』の新訳とのことです。

神のごとく創造し、奴隷のごとく働け!―ガイ・カワサキのビジネス革命ルール
神のごとく創造し、奴隷のごとく働け!―ガイ・カワサキのビジネス革命ルール

この旧版、マーケットプレイスでも値崩れしてないのがスゴイな、と。

ここ6〜7年でビジネス書を読み始めた私は、当然未読だったので、今回の新版の方をゲット。

なるほど未だ色褪せない濃厚な1冊でした!


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【ポイント】

■1.ユニバーサル・スタジオの「合気道マーケティング」
スタインは、乗り物を「快適」にせず、むしろ人々を怖がらせるようにした。ユニバーサル・スタジオ・フロリダでは、そこらじゅうに血や内臓が飛び散り、炎があがり、爆発がある。(中略)それでも、乗りたがる人が、毎日何千人もここを訪れているのだ。
 このユニバーサルからの正面攻撃に対して、「みんなが楽しくて安全」という、みずからが作り出した基準やイメージに縛られているディズニーは、手も足も出ない。スタインは「合気道マーケティング」(力に力で対抗するのではなく、相手の力や強みを逆に利用するマーケティング)を用いて、ディズニーの強みを、融通の利かない弱みに変えてしまった。もしディズニーが乗り物をもっとスリリングにしたりすれば、いちぱんのお得意客を失い、イメージも損なってしまうだろう。


■2.素早く保険金を支払う「クラッシュ・バスター」
自動車事故が起きると、保険金の請求者は、修理工場の見積もりや査定員の評価、事務処理がすむまで待たされることが多い。そこでボストンの保険会社プリマス・ロックは、新たに「クラッシュ・バスター」という要員を設けて、このプロセスを改めた。査定員であるクラッシュ・バスターたちは、コンピュータ、モデム、携帯電話、プリンタ、回転椅子などオフィスさながらの機能を備えたワゴン車で事故現場にかけつける。そしてその場で必要な修理費の見積もりをすべておこない、顧客に保険金の支払小切手を切ってくれる。


■3.意図せぬ使い方を推し進めた例
 1930年代、食品ブローカーのサム・ホーンスタインは、バルトという名のドッグフード(中略)を作った。年に5万ケースほど売れていたが、そのうち、魚臭いという苦情が入るようになった。バルトに含まれる魚由来の成分が、ふつうの犬には濃すぎるというのだ。
 そのときホーンスタインは、犬の飼い主の要望どおりに調合法を変える代わりに、このフードに別の市場があると気がついた。猫の飼い主だ。猫たちは、まさにバルトの魚のにおいに惹かれて、一年じゅう食べつづけていたのである。そこでバルトを猫向けに改良し、商品名も「長靴をはいた猫」に変えた。ホーンスタインはその後、成功したキャットフード会社をクエーカー・オーツ社に600万ドルで売却した。


■4.インフラというバリア
トマス・エジソンがこれほどまでに有名な理由のひとつは、全体像を理解していたからだ。ほかの発明家がもっぱらフィラメントを加工して電灯を作り出そうとしていたのに対し、エジソンは、ガス灯を電灯に置き換えるには「効率的な発電、配線、計測つきの配電、ソケット、ヒューズ、固定器具」といったインフラが必要であることを理解していた。こうした全体像を描いて運用したからこそ、競争に打ち勝つ強力なバリアを築くことができたのだ。


■5.強力なブランドを拡大しようとすると残念な結果になる
 GMは、キャバリエというシボレーの小型車を、キャディラック・シマロンと改名して売って、キャディラックのブランドを傷つけた。また、1970年代に、べビーフードの壜に入った大人向けのグルメ食品のブランド、シングルズを発売したガーバーは、愚か者だと思われた。使い捨てのボールぺン、ライター、カミソリなどで有名なビックも、1980年代にパルファン・ビックという香水を売り出して失敗した。


■6.直接会うことは武器になる
Eメール、ファクス、電話(とくにボイスメール)は、直接会うことほど効果的ではない。逆に言えば、わざわざそうする人が少ないぶん、直接会うことは革命家にとって強力な武器になる。直接会えば顧客との関係も深まる。それによって、顧客は商品やサービスを改善するヒントをくれ、あなたのまちがいを大目に見て、多少の値段の差ではほかの業者に移らなくなる。
 人前に顔を出すのは、強力な販売と宣伝のテクニックだ。さっそく椅子から立ち上がって、車や飛行機に乗ろう。そして最高の成果につなげよう。Eメールや電話は、あくまで関係構築の補助的な手段だ。


【感想】

◆冒頭で触れたように13年も前の本ゆえ、時代的なギャップがあるかと思いきや、読んでいてほとんどそういったものは感じませんでした。

もちろん、インターネットは登場しているものの、Twitterやフェイスブックはおろか、ブログすら当時はなかった訳ですから、当然それらについては言及されておりません。

ただ、本書はそういったツールの話ではなく、「考え方」や「発想」の点で学ぶべきところがあるわけですから、まったく問題ナシ。

ハズレ本なし、と以前申しあげた「海と月社」さんの作品だけあって、当然付箋も貼りまくりました。


◆また、上記ポイント同様、本書は事例が豊富に収録されています。

ホントは他にもご紹介したいネタが多々あったのですが、事例はどうしても長くなりがちなので、難しいところ。

ひとつだけ追加したいのがフェニックス空港内にある、車の修理工場「チャーリー・ケース・タイヤ社」の件。

ここは「車のオーナーが旅行している間に、タイヤやオイルの交換をする」というシステムであり、これはなかなか「目からウロコ」だな、と。


◆さらに有り難いのが、各単元の最後にオススメ本が紹介されていること(ガイ曰く「お薦め」ではなく「必須」だそうですが)。

旧版が10年以上前のため、当然ここで挙げられている本も皆それなりに古いのですが、名著クサイ作品ががザクザクです。

本当の自分を見つける文章術
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ハイテク企業のマーケティング戦略
ハイテク企業のマーケティング戦略

トルネード キャズムを越え、「超成長」を手に入れるマーケティング戦略
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プライシング戦略-利益最大化のための指針
プライシング戦略-利益最大化のための指針

全て、マーケットプレイスで結構なお値段しているというww


◆本書はベンチャーの経営者さんや、起業をお考えの方なら、一読の価値アリ。

もちろん、現時点では特に何も考えてない方でも、「革命家のように」考える習慣を身につけることは、これからの時代、決して無駄ではないと思います。

特に、第10章は「名言集」となっているので、こちらも要チェックで。


「神のごとく創造せよ。王のように命令せよ。奴隷のように働け!」

「革命家」の仕事術
「革命家」の仕事術
パートI 神のように創造せよ

1 コギタ・ディフェレンテル―考え方を変えてみよう
2 ドント・ウォーリー・ビー・クラッピー―くよくよするな、ぽんこつでいいのだ
3 チャーン、ベイビー、チャーン―かき混ぜろ、ベイビー、かき混ぜるんだ

パートII 王のように命令せよ

4 いかにしてバリアを壊すか?
5 エバンジェリストの生み出し方
6 「デスマグネット」を回避するために

パートIII 奴隷のように働け

7 鳥のように食べ、ゾウのように排泄せよ
8 デジタルで考え、アナログで行動する
9 自分がやらないことは人にも頼まない

パートIV 革命家に贈る言葉

10 まぬけなことに頭を悩ますな(ネ・テ・テラント・モリライ)


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【スゴ本】「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」(2010年04月06日)

【スゴ本!】「はじめの一歩を踏み出そう」マイケル・E・ガーバー(2008年09月10日)


【編集後記】

◆土井英司さんのメルマガで気になった本。

なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編
なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編

ビジネスモデルネタは、何故か当ブログでは今一つ人気が出ないという……。


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