2012年07月29日
【ドイツ式?】『元ドイツ情報局員が明かす心に入り込む技術』レオ・マルティン
元ドイツ情報局員が明かす心に入り込む技術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ヒット作『心を上手に透視する方法』と似た雰囲気の1冊。「ドイツ産」であることや、著者がイケメソである点も同じです(後者は関係ないですがw)。
アマゾンの内容紹介から。
親しみや信頼は意識的に作り出せる。誰もがあなたを信じてしまう「17のミッション」&「情報員マニュアル」。
同僚も一目置く「交渉のプロ」のテクニックとは!?
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.人には先入観を強化する傾向がある「(前略)アラブ人は攻撃的だと思っていると、彼らが少し荒々しい口調で話すのを聞いただけで、攻撃性の表れと受け止めて先入観を確定してしまう。それとは逆に中国人は礼儀正しいと考えていれば、中国人が喧嘩のような口調で話してもさほど気に留めず、通りがかりにちらりと見せた笑顔を強く意識して、これまで考えていたとおりだったと思うものだ」
『情報局心理学第一巻』より
■2.相手へのアプローチの際の心得(抜粋)
●視線が合うのを待たない。
●正面からではなく、横から話しかける。
●笑顔で話しかける。
●その時の状況と関係あるテーマで話を切り出す。
(詳細は本書を)
■3.その場で展開していることで話しかける
会話を始める場合、その時その状況で展開していることがらをテーマにする。僕らの周囲ではいつも何かしら展開している。人々が出会う場所で、話しかける糸口となることがらを見つければいい。スーパーのレジに並んでいて、すぐ前の男性がレジのべルトコンべアーに野菜をどっさり並べたら、「へルシーですね」と声をかければいい。
やはリレジで、財布を開いていつまでも小銭を探している人がいたら、「小銭って一番奥に引っ込んじゃうんですよね」と言えばいい。
■4.次回の会話の糸口を探っておく
前回会ったときに相手があるミーティングについて話したら、「火曜日のミーティングはどうだった?」とまず訊けばいい。娘の結婚式があると聞いていたなら、当然「舅になった気分はどう?」と訊くことができる。「ワンちやんの病気、治った?」、「財布、車の中にあった?」など、会話の糸口はいくらでもある。人と会話すれば必ず糸の端っこがいくつか残るので、次の会話でそれを取り上げる。そうすれば相手に対するあなたの興味や価値を示すことができ、好印象を与え、信頼関係に近づく。
■5.言ったことを必ず守る
「この次会うときにその本を持ってくるよ」と言って、次のときには忘れる人が結構多い。それは、何でもない小さな口約束でも責任はとても大きいということを知らないからだ。周囲の人がそうした小さな約束をきちんと守ったので感激した、という体験があるかもしれない。逆に、何気ない口約束を相手が実際にきれいさっぱり忘れた体験もあるだろう。
情報員は記憶力がよく、そのような小さな口約束を決して忘れない。次に会うときには約束した本を必ず持参する。なぜなら、責任を果たせば信頼の構築につながるからだ。
■6.自分のプラス面を話の中に織り込む
たとえば、親友が夜中に電話をかけてきたときのことを話すとする。困ったことがあるというので、すぐにパジャマのままで車に乗ったけれど、途中で交通課のおまわりさんに見とがめられて困ったよ、と冗談めかして話す。それでもあなたが友だち思いで、友人が困っているときには後先考えずに行動する人間だという隠れたメッセージは伝わる。こうしてさりげなくあなたのポジティブな人物像を相手の頭に描くことができる。
【感想】
◆タイトルにある「元ドイツ情報局員」というのがどういうもので、何をするのかも知らずに、タイトルと装丁だけで、リアル書店で即買いしてしまったワタクシ。アマゾンの内容紹介には、キチンと「スパイ・スカウター」と書いてありましたねw
そう、本書の著者であるレオ・マルティンの仕事は、犯罪組織の一員で情報を提供してくれる人物――スパイ――を獲得すること。
本書では、とあるスパイとレオの出会い(実際にはその前段階)から、実際に情報の提供を受けるようになるまでを通して、レオのコミュニケーションテクニックが明かされていきます。
◆合間合間に、上記ポイントの1番目にあるような『情報局心理学第●巻』(少なくとも3巻まではある模様)といったテキストや、割愛しましたが心得をまとめた『情報員マニュアル』なるものも登場。
いや、許されるなら、そっちのテキストが全部見たいんですがww
とはいえ、本書内で明かされている部分は、さすがに出版可能なだけあって、やや一般的なものが多かったです。
例えば、その1番目の先入観の強化のお話は、俗に言う「確証バイアス」でしょうしね。
確証バイアス - Wikipedia
◆一方、仕事柄まったく面識のないスパイにアプローチする必要があるので、上記ポイントの2&3番目あたりは、ナンパの声かけテクニックとして使えるかも。
3番目を補足すると、「別に意味のないことを何気なく言っている」という感じが大切なのだそう。
また、ポイントの4&5番目は、ビジネススキルとしても身につけておきたいところです。
私の行きつけの美容院では、前回話したこと(「来週旅行に行く」等)を持ち出されることが多いのですが、多分カルテにちゃんとメモってるんでしょうね。
◆ちなみに本書は物語形式ではないものの、レオとスパイとのやりとりのお話が各章ごとに登場しているため、気になるところから読んだり、飛ばし飛ばしで読むのには向いていません。
もちろん、読んでもいいのですが、話として繋がっているので、やはり最初から通して読む方が吉。
この辺は、ちょっと好き嫌いが別れるところかも。
もっとも、逆に「今後2人はどうなるのだろう」とか「ティホフ(スパイ)は組織にバレないんだろか」といった「ストーリー的な面白さ」は楽しめました。
ただし、いつも「はじめに」を読んだら、自動的に「おわりに」を読んでしまう私は、自分でネタバレしちゃったのですが……。
信頼を得るために読んでおきたい1冊!
元ドイツ情報局員が明かす心に入り込む技術
1 入口を通過するための暗号を知ろう
2 特徴を明確にする段階
3 育成段階
ここからは安全地帯―ただし、極秘
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【編集後記】
◆名著『新ネットワーク思考』のアルバート・ラズロ・バラバシの新刊。バースト! 人間行動を支配するパターン
『中世十字軍騎士、アインシュタイン、FBIに追われる現代アーティストまですべての行動は「バースト」に操られていた』なんて言われると、読んでみたくなっちゃいますよねw
ご声援ありがとうございました!
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