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2012年07月15日

【オススメ!】『走る哲学』為末 大


走る哲学 (扶桑社新書)
走る哲学 (扶桑社新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日引退を表明した、400メートルハードルの為末大選手のツイートをまとめた自己啓発本

スポーツ選手でTwitterを使われている方は多いですが、為末選手ほどそのツイートがtogetterでまとめられている方もいないのではないか、と。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
為末大のツイッターは、「孤独なランナーが自分を励ますメッセージ」ではない。
孤独な位置で自分を磨きながら、常に社会との着地点を探る客観的な姿だ。
この眼差しは、何かを成し遂げたい人、がむしゃらに努力している人、そしてそうあらねばと思っている人が普遍的に共感できるはずだ。

フォロワーの方はもちろん、為末さんのツイートを見たことがない方でも必読です!


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【ポイント】

■1.自己観察
僕はずっとモチべーションが高いと思われているけど、そうじやなくて壊れないように大事にしているだけ。自分の本当の感情を無視してしやる気を自分に押し付け続ければ心が壊れる。どこまでなら我慢できて、何を楽しんでいるか。このコツを掴むのがやる気で居続けられるコツで、それは自己観察しかない。


■2.選択の正否
成功よし、失敗なお良しという感覚が僕にはあって、短期では小さな失敗や成功はあっても、長期で見ると大体成功だろうと思っている。選択の失敗は間違えたほうを選んだ事ではなくて、選んだのは自分のせいじゃないと思う事。自分で悩んで腹をくくって選んだなら、成長は約束されている。


■3.やめる事のすすめ
日本社会の苦しさは、やめる事がそもそも前提に置かれていない社会の仕組みにあると思う。みんな同じだから、一人やめるのは怖い。逃げるな耐えろと教育されて、いざ社会に出てからさあ自己責任でどうぞと言われても無理だと思う。耐え方は習ってもやめ方を習わない。


■4.選択と集中
どちらが大事ですかと聞いたときに、どちらも大事と答える選手は、あるレべル以上の競技者にはならない。選ぶ能力がない者には、集中する能力もない。諦めないから選べない。選べないから集中できない。集中できないから何かになれない。何かになれないから自信が持てない。集中とは第一目的以外を諦めること。


■5.理由のない結果
再現性がないものは、大体実力じゃない。一度成功したけど二度目がないものは、失敗でも成功でもただのエラーで、エラーを組み込んで戦略を立てると戦略自体もまたエラーに引きずられる。何を切り捨てるか切り捨てないかという時に僕は再現性をすごく意識している。


■6.使命感とは?
使命感とは、周囲の期待に応える事ではなく、自分の役割に気づく事。故に自分から離れられないと使命感は持てない。私ではなく私という存在を全体から眺める。夢と使命はずれると思う。


■7.小さな評価と大きな勝負
やるべきだからやると思っている人は休めない。基準が自分ででないから休む事は罪だと思っている。だから休めない。やりたいからやっている人は休める。自分がやりたいという気持ちを何より大事にしている。だから休める。前者はすり切れる、後者は生き生きしていく。


【感想】

◆今回の記事では、ボリュームの関係上、小見出しごとに1つのツイートを拾っておりますが、togetterでまとめられているのを見てもお分かりのように、為末選手のツイートは、ある1つのテーマに沿って、複数発言されることが良くあります。

本書でも基本的にはその形式であり、かつ、「編集者あとがき」によると、「編集がほとんど必要がなかった」とのこと。

確かに上記ポイントの初っ端のツイートも、原文のままですね。


そしてそのツイートも、このように1つテーマの一部分を構成しているワケで。

為末、肯定力、モチベーションなどを語る - Togetter

本書はこうしたtogetterでのまとめを、さらにブラッシュアップしたものと考えれば良いと思います。


◆ところで、為末選手がなぜにここまで「思考を深める」のか、素朴な疑問としてあったのですが、本書によるとそれは「早熟型な選手」だったからとのこと。

中学の時点で身長体重がほぼ止まってしまい、このまま普通にやっていたら追いつかれるという焦りから、「どうやったら勝てるのか」をずっと考えていたのだそうです。

元々はハードル競技のための「思考」だったのが、今では様々なテーマについても掘り下げられているのですから、やはり「道を究める」というのはスゴイことなのだと思った次第。

この辺は、以前当ブログで取り上げた将棋の羽生名人の本や、野球の王貞治さん&サッカーの岡田武史さんの本にも通じる気がします。

結果を出し続けるために (ツキ、プレッシャー、ミスを味方にする法則)
結果を出し続けるために (ツキ、プレッシャー、ミスを味方にする法則)

参考記事:【勝負師対談】『人生で本当に大切なこと』王 貞治,岡田武史(2011年12月07日)

人生で本当に大切なこと 壁にぶつかっている君たちへ (幻冬舎新書)
人生で本当に大切なこと 壁にぶつかっている君たちへ (幻冬舎新書)

参考記事:【羽生流】『結果を出し続けるために (ツキ、プレッシャー、ミスを味方にする法則)』羽生善治(2010年12月13日)


◆その「早熟型」ゆえの思考について、為末選手は「内省を避けては通れない」と言われており、実際本書も、第1章と第5章の2つの章で「自分」をテーマにしています。

上記ポイントで抜き出した部分も、ほぼ全てこの2つの章から。

もっとも、つい最近togetterでまとめられたもののテーマは「いじめ」ですし、本書も内容的には多岐に渡っています。

為末大さん@daijapanの【いじめというもの】について 「いじめ、いじめられる事の本質を、社会の中に見いだせないと、解決はないと思う。」 - Togetter

個人的には、下記togetterでもまとめられているなでしこジャパンについて述べられているお話(本書では編集の関係上、乙武さんのツイートはないですが)は、色々と考えさせられましたが……。

なでしこ優勝の裏側で… - Togetter


◆それにしても、為末選手のツイート1つ1つのクオリティの高さには驚かされます。

思考の深さはもちろんのこと、それを適切に言語化して、140字の文字制限内で発言する、というのは、並大抵の事ではないでしょう。

私自身、ブロガーとして日々文章を書いているのですが、とてもここまで洗練された情報発信はできないですし、本書を何度でも読んで参考にしたいところ。

もちろんテーマごとに、為末さんご自身がまとめられたtogetterはあるものの、有志によってまとめられたものも多いようですし、それらをまとめて読める、というだけでも本書の価値はあると思います。

まさに「ただのTwitter本ってレベルじゃねぇぞ」的な1冊。


これはオススメせざるを得ません!

走る哲学 (扶桑社新書)
走る哲学 (扶桑社新書)
第1章 自分を軸に
第2章 社会を軸に
第3章 コミュニケーション
第4章 スポーツ
第5章 ふたたび、自分を軸に


【関連記事】

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【勝負師対談】『人生で本当に大切なこと』王 貞治,岡田武史(2011年12月07日)

【羽生流】『結果を出し続けるために (ツキ、プレッシャー、ミスを味方にする法則)』羽生善治(2010年12月13日)

【自分軸の大切さ】『「思考軸」をつくれ』出口治明(2010年06月27日)


【編集後記】

◆スポーツ関連で昨日買った本をご紹介。

遠藤保仁がいればチームの勝ち点は117%になる データが見せるサッカーの新しい魅力 (ソフトバンク新書)
遠藤保仁がいればチームの勝ち点は117%になる データが見せるサッカーの新しい魅力 (ソフトバンク新書)

面白そうなんですが、それにしてはガンバの成績がアレなのはいかがなものかと……。


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