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2012年07月08日

【14の指針?】『「判断力」を強くする - 正しく判断するための14の指針』藤沢晃治


「判断力」を強くする - 正しく判断するための14の指針 (ブルーバックス)
「判断力」を強くする - 正しく判断するための14の指針 (ブルーバックス)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、『「分かりやすい説明」の技術』等、一連の「分かりやすい〜技術」シリーズでお馴染みの藤沢晃治さんの新刊。

以前出された『「交渉力」を強くする』とタイトルも装丁も似ていたので、そちらと勘違いして、今まで見過ごしておりました。

アマゾンの内容紹介から。
「あの時、こうしておけば……」と悔やむことになるのはナゼか。狭い範囲でしか考えていない/目先のことに囚われる/優先順位を間違える/確率の小さな危険を過剰に怖れる/「疑う力」が不足している……から、あなたはいつも悔やむことになる。二度と判断を誤らないための鉄則集。

今後の意思決定の際に、役に立つであろう1冊でした!


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【ポイント】

■1.ムダな選択肢を刈り込む
 プロ棋士と素人とのいちばん大きな違いは、記憶力でも処理速度でもありません。「ここから先は読む必要なし」と即断し、読み筋から切り落としていく「単純化」の能力なのです。読み筋を大幅に刈り込み、単純化することで、逆に広範囲のことを短時間で分析できるのです。結果的に、素人目には、プロ棋士の脳自体がまるで神の領域にあるかのように見えてしまうのです。(中略)
 つまり、意外だとお感じになると思いますが、プロ棋士の並外れた力の秘訣は、一般人が考えるような「大量に読む」ことではなく、「大量には読まない」ことだったのです。


■2.選択権が自分にあるかないかで切り分けて考える
 分岐点でどちらを選ぶかというときには、次のようなきわめて重要な大原則があります。それは、
「自分に選択権がない分岐点では最悪のケースを想定し、自分に選択権がある分岐点では最善のケースを選べ」
という大原則です。

(詳細は本書を)


■3.何がもっとも緊急かを考える
 さて、マフラーを置き忘れたお客様を追いかけていった店員さんの親切心は、本来なら誉められるべきことかもしれません。ただし、それはマフラーを置き忘れた男性客の姿が見えていて追いかけた場合です。それなら行列客をほんの数秒待たせただけですんだでしょう。
 しかし実際には、行列客を3分間も待たせたのですから、男性客を追いかけたのは残念ながら「判断ミス」です。(中略)

 このとき店員さんは、行列している6,7人のお客様とマフラーを忘れた男性客とで、優先順位を比較すべきでした。まだ男性客の姿が見えていて、すぐにマフラーを渡せたなら、行列していたお客様も、店員さんの親切心に拍手していたでしょう。しかし姿の見えない男性客と行列しているお客様とでは、優先順位は入れ替わります。


■4.思い込みに囚われない
このような冤罪から私たちは教訓を得ることができます。それは、「思い込みが強い」とは、仮説を真実と取り違えている状態だということです。真実だと確信してしまったら、別の仮説を持つこともありません。自分の判断を過信している状態です。もともと脳は、物事を精査せず斜め見しかしないとお話ししました。仮説に過ぎないことを真実だと確信してしまったら、脳の情報分析は、さらに粗くなってしまうのです。


■5.万一に備える
「万一に備える」」とは、具体的には2つの対策にまとめられます。
 1つ目は、小さな確率の危険を確認等によって、さらに小さな確率に下げる努力をすることです。横断歩道を渡る際、左右をよく確認して交通事故の確率を下げるような行為です。「小さな危険の芽」を、こまめに摘み取るのです。
 そして2つ目の対策は、事故が起きてしまった場合の対策を準備しておくことです。自動車保険に入っておく、なども1つの例でしょう。


■6.ルールは臨機対応に破る
 そもそも閑散時にテーブルに一人客を座らせることには、何のマイナス面もありません。それどころか、一人客にとって、テーブル席はカウンター席より満足度が高くなります。(中略)
 つまり、場合によっては、マニュアルで定められているルールを臨機応変に破ったほうが、かえってマニュアルが目指す最終目的地への近道だったりするわけです。そうした例外的な事態に気づける柔軟な思考が判断には必要です。



Judging at National Awards 2008 / HowardLake



【感想】

◆本書はまず第1章の「あなたはなぜ判断を誤るのか」において、判断ミスを起こすと思われる原因を16個列挙しています。

「狭い範囲で考えている」「先読みができない」「思い込みをしている」等々。

確かに思いあたるフシはあれこれあるものの、「ならばどうするべきなのか」の方が肝心なワケでして。

そこで、それを受けての対応策が、第3章の「正しい判断のための14の指針」。

今回上記ポイントで取りあげたのも、すべてこの章からになっています。


◆なかでも興味深かったのが、ポイントの2番目の分岐点における考え方。

たとえば、ある分岐点で「家業を継ぐ」「転勤命令に従う」「転職する」と3つの選択肢があったとします。

そしてそれぞれについて「成功」と「失敗」のパターンとその場合における評価点を検討。

成功するか、失敗するかは「選択権がない」ので「最悪のケース」を想定し、3つの選択肢のどれを選ぶかは「選択権がある」ので、その中で最高の評価点のものを選ぶ、と。

文章にすると分かりにくいですが、本書ではチャートを書いて説明しているので、大丈夫だと思われ。

さらに、第4章では、この「判断チャート」の書き方が、上記分岐点の例で解説されていますので、ぜひご覧ください。


◆本書は新書で、かつページ数も多くなかったので、読みやすかったです。

「ロジカルシンキング」というほど堅苦しくはないものの、理路整然と判断するためのヒントが多々。

さすが「分かりやすい〜技術」シリーズを出されただけのことはあるな、と。←偉そうw

簡単なことでも思考停止せずに、日々判断を適切に繰り返していれば、さらにスキルも上がりそうな予感!


「判断チャート」早速使ってみます!

「判断力」を強くする - 正しく判断するための14の指針 (ブルーバックス)
「判断力」を強くする - 正しく判断するための14の指針 (ブルーバックス)
第1章 あなたはなぜ判断を誤るのか
第2章 「判断」とは何か
第3章 正しい判断のための14の指針
第4章 「判断チャート」で考えよう!
付録  正しい判断のためのチェックリスト


【関連記事】

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【決断】本田直之さんの「意思決定力」から学んだ6つのポイント:マインドマップ的読書感想文(2009年10月17日)


【編集後記】

◆今日の本に関連して。

良い戦略、悪い戦略
良い戦略、悪い戦略

土井英司さんがメルマガで紹介されて爆売れ状態なのですが、基本的に当ブログでは「戦略本」はウケが良くないという……。


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