2012年06月24日
【裏仕事】『トラブルなう』久田将義
トラブルなう (ナックルズ選書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、1ヵ月ほど前、Twitter上で話題になっていた本。既に中古しかないにもかかわらず、元値を上回る値段がついているという人気作です。
アマゾンの内容紹介から。
コンビニの片隅にひっそりと置いてある『実話ナックスルズ』という雑誌、ひっそりと9年も置いてある。内容はゴシップ、スキャンダル、アウトロー、芸能、事件、ギャングカルチャー、都市伝説…。アウトロー雑誌として知る人ぞ知る存在になった。しかしその裏では当然のごとく数数え切れない抗議がある。編集者の仕事はページを作って雑誌を刊行するだけではなく、出版後の抗議への対応が実は編集の腕の見せ所。そのトラブル記とどういう風に対応してきたのか。編集の「裏仕事」が本書に記してある。
この本、純粋に読むだけでも面白いのですが、当ブログらしく(?)、ノウハウとして使えそうなもの(使いたくないですがw)を集めてみましたw
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.ヤクザからの恫喝には知ったかぶりをしないそうですね。強いてあげれば決して「知ったかぶり」をしない事。これをやると火に油を注ぐ。「僕も稼業との付き合いもわからないもので」「今、あそこの組は代貸しが●●さんでしたっけ」といった類である。向こうからすれば、「何だ、こいつは●●がケツ持ちなのか、組の名前出すってことはやるってことか、おい」になってしまいかねない。わからないなら、わからないなりの対応で誠実に聞く。ひたすら聞く。これが僕から言える事である。
■2.「誠意を見せる」とは「お金を払う」こと
「それはおかしいんじゃないですか? 詫びを入れにきたあなたが、その仕方を私らに聞くっていうのは。あなたからどのような誠意を見せてくれるかでしょ」
来たか……。額からどっと汗が流れる。誠意とはつまり金のことだ。向こうから金を要求したりしたら、恐喝になる。あくまでこちらから、「今回はこういった金額で勘弁してもらえないか」ということを言わせたいのだ。暴対法ができてから、この手の輩が多くなってきている。勿論、「これは恐喝だから」という強行突破タイプもいるが……。
■3.金銭目当ての交渉は長引かせない
また、こういう件は時間をかけてはいけない。2週間以内、できれぱ1週間以内、というか2日で収めるべき問題である。
長くになればなるほど、向こうは「期待」するからである。引っ張ってはいけない。
■4.脅迫電話は録音する
まず、皆さんは僕のように脅迫者に電話をかけないで下さい。ただ録音はして下さい。被害届を出す時、あるいは弁護士に相談する時にかなり有利になります。
■5.法廷ではできるだけゆっくりしゃべる
皆さんは証人や、まして被告席などには立つ事はないと思うが、その際、大切なのは不必要なほどハッキリとゆっくり言葉を発する事。(中略)
まず宣誓書を読み上げる。最初、緊張しているからか、従来の早口で声に出してしまったが、すぐ気がついて人生これほどゆっくりはっきり喋った事がない程、スローリーに答えた。
■6.ネット強者にはリアルで会ってみる
話を戻すと、ネットで強気な人は現実では弱いのではないかということ。勿論、両方強い人もいる。それは大体にしてマスコミ業界や右翼、ヤクザ業界である。なので一般の方で,ネットのもめ事で悩んでいる方がいれば、「会いましょう」と持ちかけてみるのも手である。ただし、会う時は衆人がいる環境である事。喫茶店のような。そしてできれば、誰かもう一人、立ち会ってもらう事。喫茶店のちょっと離れた場所でも良い。
【感想】
◆元々この本、とある編集者の方のツイートで知ったのですが、読む前はここまでハードなお話だとは思いませんでした。しかし、いざ読んでみると、というかアマゾンの詳しい内容紹介を見ればわかるように、おどろおどろしい(?)脅し文句の連続。
「お前の事、絶対に殺したるからなあ」
「お前んとこの首斬って晒す事にしたから」
「いい加減な記事を書く奴は抹消するぞ!」
「ウチの社長の人脈をなめないで下さいね」
普通の人だったら、ノイローゼになってもおかしくないフレーズの数々がてんこ盛りです。
◆それを捌いていくのが、本書の著者の久田将義さん。
自分自身はもちろん、部下の編集者やライター、そして会社のために、トラブルに立ち向かっていきます。
時には謝り続け、時には体を張り、そして時には相手のハッタリを見抜いて追い込んでいく姿には感動を覚えることウケアイ。
特に「この手のトラブルは自分で収める」と、絶対に部下を矢面に立たせないのですから、上司として頼り甲斐がある方でしょう。
……だからといって、ヤクザの車で居眠りしそうになったり、問題が解決しないうちに旅行に行ってしまう部下の皆さんは、いかがなものかと思いますがw
◆本書では下記目次のように、章ごとに「アウトロー」「政治家」「文化人・ライター」とのいざこざを収録。
相手によって、「傾向と対策」が違うのが面白いところです。
例えば「アウトロー」相手だと、弁護士が出てくることもなく、相手のメンツや記事の内容によって交渉が行われ、「政治家」相手だと、すぐに弁護士マターに。
一方「文化人・ライター」だとケースバイケースというか、「面倒な人」っているんだな、とw
ヤクザ相手でも大丈夫だった久田さんを、クレームで十二指腸潰瘍にしてしまったライターとは?(ネタバレ自重w)
◆巨人軍の原監督が元(?)反社会的勢力にお金を払ったことが問題になっている昨今、本書は今読んでもなかなかタイムリーだと思います。
私が買った時は、定価(1000円+税)より安く買えましたが、今見たら結構なお値段が。
クレームが来るような職場にお勤めの方なら、それでも十分に元は取れるかもしれませんけど、一般の方は、電子書籍、という手もありそうです。
もちろん、役立たせるツモリはなくとも、読み始めたら止まらない面白さであることは間違いなし!
「まさか」に備えて(?)読んでおきたい1冊です!
トラブルなう (ナックルズ選書)
第一章●アウトロー編
第二章●政治家編
第三章●文化人・ライター編
【関連記事】
【接客業の方必読?】『必ず黙らせる「クレーム」切り返し術』神岡真司(2012年05月18日)【心が折れる前に】『職場の弱者につけ込む意地悪な命令・要求を賢く断る生き残り話術55の鉄則』神岡真司(2011年12月27日)
この『最強交渉人が使っている 一瞬で心を動かす技術』がすごい!!(2012年05月15日)
【『影響力の武器』悪用編?】『だましの手口』に学ぶブラック手法6選(2012年03月07日)
あの芥川賞作家もびっくり 驚愕の『論理で人をだます法』(2012年02月14日)
【編集後記】
◆ちょっと気になっている本。脳も体も冴えわたる 1分仮眠法
私も仮眠をとることがありますが、一瞬でも意識を失うとそれだけでスッキリしている気がw
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「コミュニケーション」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
当ブログの一番人気!
11月21日まで
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです