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2012年06月22日

【身の丈プレゼン?】『そこそこいいプレゼンをするために―普通の人に役立つアイデア集』T.J. ウォーカー


そこそこいいプレゼンをするために―普通の人に役立つアイデア集
そこそこいいプレゼンをするために―普通の人に役立つアイデア集


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、久しぶりのプレゼン本

「できるだけ良いプレゼン」をするための本は多々あれど「そこそこいいプレゼン」を目指す、という本書の「割り切り」は、結構目からウロコでした。

アマゾンの内容紹介から。
スピーチをする機会は、予期しないときによくおこります。そんなときに慌てないようにするのが本書のねらいです。本書では、スピーチのカリスマになるための練習はしません。時間も労力も必要とするこうした練習は時間の無駄です。著者はその代わりに、最速、最短、最も簡便な方法でそこそこいいプレゼンをする方法を提示しています。

思ったよりも使えそうなTIPSが多く、付箋を貼りまくりましたw


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【ポイント】

■1.自己紹介をベン図で書こう
どうしたら理想的な紹介文が書けるでしょうか。一番良い方法はべン図を作ることです。まず1つの円に自分についてありとあらゆることを書き出してみましょう。自分の経歴、高校でもらった賞など、なんでも書きましょう。もう1つの円には、聞き手があなたのことを何も知らなくても、その話題についてあなたの話を聞きたいという気にさせるようなことを書き出します。そして3つ目の円には、このテーマについて話すにはあなたが他の誰よりもうってつけだという点を書き出します。
 さあ、べン図を眺めてみてください。それぞれに書き出した箇条書きのうち、どれだけ重なっているでしょうか。


■2.自分のプレゼンをビデオで見よう
 プレゼンをビデオに撮ったら、まず見てください。(中略)
すばらしいとか完璧だとか思えなくてかまいません。かなりいい線いっているだけでいいのです。こうなるまでに1回で済むかもしれませんし、4回必要かもしれません。いずれにしてもこれが一番速くて楽な方法です。ひどくてつまらないプレゼンをする人はたいていビデオによる予行演習をしません。彼らもしようと考えるかもしれませんし、何時間も熟考さえするかもしれませんが、結局は実行しません。臆病なのです。怖いのはわかりますが、でもつまらないプレゼンをすることこそ恐れるべきではないでしょうか。


■3.壇上では枠の四隅を歩こう
腕全体を使って大きなジェスチャーをしょうと考えなくていいのです。あるいは片ひざついて人生の劇的場面を演じる必要もありません。ただだ床に90センチ四方の枠が書いてあって、その中に自分が入っていると想像してみてください。話している最中にその四隅全部を踏むつもりで歩いてください。これは単に一歩か二歩全方向に歩くということです。これはたいしたことではないと感じると思いますが、緊張しきっている話し手のほとんどは植木鉢の木のようですから、あなたがこの動きをするだけで、落ち着いて自信に満ち溢れ、リラックスしているという印象を与えることができます。(実際にはそうでなくてもです!)


■4.原稿ではなくメモを作ろう
 私のおすすめはノートの1ぺージにまとめることです。概略を箇条書きにして簡素化し、完全な文章にはしません。箇条書きのそれぞれは、3つから4つの言葉だけにして、そのポイントで何を言いたかったか、記憶を呼び起こすのに十分な程度にします。文字のフォントはとても大きくしましょう。そうすれば読もうとしてかがんだり、紙を取り上げたり、めがねをかけたりしなくても済みます。鍵となるポイント、数字、事実、エピソードの小見出しなど、非常に重要なものを書き出しますが、本当に必要なものだけに絞ります。大判ノートの1ぺージに収まらないなら、問題があるということです。


■5.質問は随時受け付けよう
 あなたがプレゼンの最中にずっと質問を受け付けたら、聴衆からの受けがよく、たいていの話し手より上手に見られるでしょう。そうやって自然とよい反応が蓄積されてきます。つまり、たとえ部分的には失敗をしたり、面白いというほどではなかったりしても、聴衆の信頼が得られるということなのです。この結果、プレゼンの中で間があいたり、言葉がつかえてしまったとしても、聴衆を参加させたメリットはそれを上回り、全体としてあなたのプレゼンはそこそこいいという判断になるのです。


■6.強調すべき点は、自分で考えずに人に尋ねよう
 第一のステップは、プレゼンで話したい重要なポイントを全部列挙します。次に、参加者の中から一人、あるいは参加者の代わりになりそうな人を選んで、プレゼンのテーマについてどんな事に関心があるかを聞きます。そして、自分が作ったリストとその人のリストとを比べます。最後に重なっているポイントを確認します。たとえば、あなたが20のポイントを列挙し、参加者の一人が10のポイントを挙げたとします。それらを比べて、5つのポイントが重なっていることがわかれば、あなたはその5つのポイントのみに集中すればいいことがわかります。


presentation skills / o5com



【感想】

◆本書の著者であるT・J・ウォーカーは、かつて『TJウォーカーの誰でもできる確実なプレゼンの秘訣』という本を出し、それがUSAトゥデイ紙ベストセラー1位になっているのだそう。

TJ Walker's Secret to Foolproof Presentations
TJ Walker's Secret to Foolproof Presentations

これが初心者向けだとしたら、一方では、冒頭でも触れたように、最高レベルのプレゼンを目指すための本も数多くあります。

ざっくり言えば、本書はこれらの間を目指すもの。

「最速、最短、最も簡便な方法でそこそこいいプレゼン」という、まさにコストパフォーマンスの高いTIPSが詰まっていました。


◆中でも特徴的なのが、「自分のプレゼンをビデオで見る」ということで、本書内でもその重要性が何度か強調されています。

実際「自分のプレゼンをビデオで見た」ことのある方は、どのくらいいらっしゃるものなのか?

類書でも「やっておくと良いでしょう」程度には言われてましたが、本書のように「マスト」と言われると、心しておきたいところです。

もう1つは「メモ」。

ちなみに上記ポイントでは割愛していますが、このメモは手書き厳禁で、かつ、フォントも20ポイント以上の大きな文字にせよ、とのこと。

原稿を読み上げるのではありませんから、プレゼン中はメモを確認しつつ、できるだけ参加者の方を見るようにするワケですね。


◆ちょっと意外だったのが、「質問の随時受け付け」で、当たり前ですが、100人以上の観衆を相手にコレをやったら収拾がつきませんw

ただ「そこそこいいプレゼン」は、聴衆がそれほど多くないことを前提にしておりますので、その点はご了解頂きたく。

もちろん質問を随時受け付けることによって、プレゼンの進行が不安定になるリスクを抱えますが、上記メモにより、言うべきことはしっかり言えるハズである、と。

そして、そのリスク以上に、「聞き手が参加」するメリットの方が大きいと、本書は主張しています。

ちなみに、答えられない(「答えにくい」or「分からない」)ような質問が来た場合の対処法については、本書の第22章「Q&A」にてご確認ください。


◆さらに本書の24章以降には、「1日しか準備期間がなかったら何をすべきか」「準備する時間が2時間しかなかったら何をすべきか」といった、緊急時のアドバイスや、「よく言われるけど役に立たないアドバイス」「すべきこと、してはいけないこと10ヶ条」といったTIPS集もアリ。

この辺からは、もう「まとめ」だらけなので、付箋をいちいち貼ってたらキリがありませんでした。

同様に第17章「機器の技術的な問題」における、トラブル対処法や、プレゼンを機器に使う場合のルールは、単独でブログ記事にしたいくらいw

本書は今まで読んだ翻訳本の中では、薄い部類に属するものの、それに反して(?)中身は濃かったと言えるでしょう。

皆が皆、ジョブズやオバマ大統領のようにスピーチできるのではない以上、本書が役に立つ人は結構多いと思います。


「そこそこいい」どころか「かなりいい」1冊でした!

そこそこいいプレゼンをするために―普通の人に役立つアイデア集
そこそこいいプレゼンをするために―普通の人に役立つアイデア集
第1部 最初にすべきこと
 第1章 話し手の紹介
 第2章 話し方
 第3章 内容の調整
 第4章 さあ始まりだ
 第5章 プレゼン遂行作戦
 第6章 緊張感
 第7章 参考資料
 第8章 習うより慣れよ
 第9章 身だしなみ

第2部 プレゼンテーション
 第10章 視覚器材
 第11章 壇上で
 第12章 どちらにしてもうまくいかないこと
 第13章 「ただいまマイクのテスト中
 第14章 聞き手の参加
 第15章 時間を計る
 第16章 パニクらないで
 第17章 機器の技術的な問題
 第18章 皆様、お聞きください!
 第19章 えー、あのー
 第20章 発音の問題
 第21章 要点を話すには
 第22章 Q&A
 第23章 聞き手からの質問

第3部 3つのヒント、ちょっとした技、賢い助言
 第24章 時間がない!
 第25章 技術を磨く
 第26章 時間のわな
 第27章 すべきこと、してはいけないこと10ヶ条
 第28章 私を信じて
 第29章 「私の」最後のアドバイス
 第30章 最後の言葉


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【編集後記】

◆昨日買った1冊。

一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある (PHP新書)
一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある (PHP新書)

読み始めたところですが、なかなか面白そうです!


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