2012年06月16日
【反論?】『弁護士だけが知っている 反論する技術』木山泰嗣

弁護士だけが知っている 反論する技術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、弁護士の木山泰嗣さんによる、「上手に反論する」ための1冊。「反論」と言っても、必ずしも弁が立つ必要はなく、ちょっとした工夫で効果があることが分かります。
アマゾンの内容紹介から。
気鋭の弁護士が裁判で磨いた反論の極意を公開。実践スキル満載。
この手の本は、1つでも2つでも実際に使えるネタがあれば、元が取れるというものですw

【ポイント】
■1.「そもそも」で問いただす「コンプライアンスってどういう意味なんですか?」
こうした聞き方は、完全に初心者の質問です。あなたの年齢や立場によって、さすがにこうした質問はしにくいという場合もあるかもしれません。そのときには、少し聞き方を変えてみます。
「でも、そもそもコンプライアンスってなんでしたっけ?」
このように質問すると、そもそも論に立ち返って議論を深めようというふうにも聞こえます。発展的な質問にも聞こえます。
■2.問題点を整理する
「いろいろなご指摘もありましたので、ここで問題点を整理してみましょう」
このように「問題点を整理する」といいう提案は、整理するだけの素材がでそろっている状態であることを暗に示すことにもなります。
逆にいうと、本当はまだ問題がでつくしていない場合(しかもまたでつくしていないものがあなたに不利な問題である場合)などに、あえて「問題点を整理しましょう」ということで、それ以上に議論が進むことをストップさせる効果もあります。
■3.話題を転換する
すぐに使えるかんたんなテクニックとしては、話題を転換する、という方法があります。あなた自身がべらべらしやべり続けなくてもよいですし、相手の質問を無理やりふりきって強引に自分の話を進める必要もありません。
ただ、あなたにとって弱い部分、つっこまれたくない部分に話題が入っていきそうだなと思ったときに、こういうだけでよいのです。
「ところで、××はどうなんですかね?」(中略)
大事なことは、話題をするりと変えてしまうことです。
この方法は、相手に話してもらうように向けるので、相手も自然と次の話題にうつってしまいます。話題を意図的に外されたとは気づきにくい、というメリットがあります。
■4.時系列で事実を話す
これまで不利になることや、相手からつっこみを入れられるようなことであれば、できるかぎり話さないで黙っているくらいのほうがいい、とお話ししてきました。
余計な話をしたがために、首をしめる結果にならないようにするためです。
しかし実際に起きた事実であれば、相手もつっこみを入れることができません。結果、あなたがしゃべっている時間が増えることになります。(中略)
正しいことをしゃべり続ける人の話に、人は耳を傾け、信用をするものです。
時系列で事実を話すと、それだけであなたがまっとうなことをいっている印象を与えることができます。
■5.キーワードをつくり、繰り返す
いま議論されている「マイナンバー法案」というのも、マイナンバー(自分の番号)がもらえるのかという印象を与えるキーワードがつくられています。これは国民ひとりひとりを番号で管理すべきではない、という論者からすれば、従来よくいわれていた「国民総背番号法案」といえるでしょう。
同じ事実をあらわしているとしても、言葉の選択ひとつで、それを耳にした人が受け取る印象は180度変わってきます。(中略)
短い言葉で、あなたにとってよい印象を与えるフレーズ。これをキーワードとして選定したら、さらにそれを繰り返し使うことです。
人は一度だけ耳にした言葉よりも、何度も何度も耳にした言葉のほうが、印象に残り、問題としてとらえられるようになるからです。
■6.統計データを示す
統計データは、日本国内における年度ごとのデータとしては、総務省など各省庁が公表している白書など、さまざまなデータがあります。
こうした一般に信頼されている官公庁公表の統計データを使うと、客観性が付与されます。(中略)
第三者であり、あなたの意見とは無関係の官公庁が毎年集計をし、公表している統計データを、あなたの意見を支える根拠として使うことで、客観性と信頼性がでてくるのです。
【感想】
◆本書では「反論」するテクニックが多数紹介されていましたが、汎用性が高そうなものを選んでみました。中でも第1章の「意見ではなく質問で返せ」は中々に秀逸。
上記ポイントの初っ端の「そもそも」以外にも、「言葉の定義をしてもらう」「細かいことを質問し続ける」なんてTIPSがありました。
もっとも後者は時間稼ぎというか、心理戦的なものなので、あまりスマートとは言えないカモ。
まぁ、プロはこういうことまでやっていると言うことで。
◆同じように第2章の「不利になったら話を変えろ」というお話も、「論点ずらし」と言えそうな。
なお、ポイントの2番目の「問題点を整理する」は、上級者であれば「議論が進むことをストップ」すると同時に、自分に有利なようにまとめることもできます。
続く「話題を転換する」も、ただ単に話を変えるのではなく、「質問している」のがミソ。
この場合、「相手がある程度話しきって、次の話題にうつろうとしているような間」を狙うのがコツなのだそう。
確かに話が得意な相手ですと、調子に乗って道を外れてくれそうです。
◆一方、第4章の「おかしな点を指摘してプレッシャーを与えろ」というのは、相手に弱点がないと使えない手法。
それゆえに、今回の記事では丸ごと割愛しました。
そもそも「間違い」や「矛盾点」があれば、普通にそこを突けばよいかと。
この辺は、相手次第な部分だと思います。
◆本書は弁護士さんが書かれた交渉術本ということで身構えて読みましたが、意外とシンプルなTIPSばかりでした。
とはいえ、自分が使えなかったり、使えても効果がなければどうしょうもないわけで、そういう意味では「実践しやすい」内容だったと思います。
事実、本書の内容は著者の木山さんがふだんから法廷等で使っているものだそう。
「いまのあなたにとって、これは使えそうだと思ったものがあれば、それを明日から使ってみてください」というお言葉に従ってみたいところです。
日常生活やビジネスで活用したい1冊!

弁護士だけが知っている 反論する技術
1 意見ではなく質問で返せ
2 不利になったら話を変えろ
3 まともに答えずに様子をみろ
4 おかしな点を指摘してプレッシャーを与えろ
5 自分の考えの良さを伝えろ
6 証拠を示して納得させろ
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【編集後記】
◆最近気になる本。
現代科学の大発明・大発見50 なぜその発明・発見はノーベル賞につながったのか? (サイエンス・アイ新書)
内容的に、当ブログではご紹介しにくいですが。

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