2012年05月31日
【7つのコツ】『未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II』ティナ・シーリグ
未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、累計30万部突破した『20歳のときに知っておきたかったこと』の続編。今回も、シーリグ女史の授業をベースに、「創造性とイノベーション」について掘り下げています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
人は誰でもクリエイティブな能力が備わっている。必要なのはそれを解放させてあげること。
あなたの創造性を開花させるためのヒントが満載です!
前作は自己啓発色が濃かったですが、本書はより実践的な内容となっています!
いつも応援ありがとうございます!
Tina Seelig at TEDx Stanford / Tamer Shabani Photography
【ポイント】
■1.自分の行動を規制しない人は、思ったことを全部口に出したり、行動に移したりしないように、自分の行動を規制することが必要になる場面が多々あります。ところが、新しいアイデアを生み出す時には、こうした機能は邪魔になります。クリエイティブな人たちは、この機能を停止させるコツを身につけていて、アイデアが次々と溢れ出て、想像力をいきいきとはたらかせることができているのでしょう。
■2.最初の答えで満足しない
人はたいてい解決策を思いつくと、最善だと思えなくても、それにこだわるという落とし穴にはまってしまうのです。どんな問題であれ、最初に思いついた答えは、必ずしも最善の答えではなく、はるかにいい答えが見つけられるのを待っているのですが。残念ながら、たいていの人は最初の答えで満足してしまい、努力しなければ見つけられない画期的な答えに気づくチャンスを逃してしまっています。
ティム・ハーソンは、これを踏まえて、『より良く考える』で、「サード・サード(後半3分の1)」という考え方を提唱しました。何か問題にぶつかった時、最初に思いつくのはありきたりな答えで、2番目がより面白く、3番目がよリクリエイティブな答えになる、とハーソンは言います。
■3.制約で創造性を生み出す
モンティ・パイソンのコメデイ映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』は、制約が創造性を生み出した好例だと思います。低予算で作られたこの映画に、濃霧のなかを馬が駆け寄ってくる音が聞こえる場面があります。近づいてくるにつれ、それが馬ではなく、兵士が2つのココナッツを叩いて、馬のひづめらしき音を出していることに気づきます。(中略)
さらに、このシーンは、第1章で論じた、問いの立て方――フレーミングの教訓にも通じます。「どうやって馬を手に入れるか?」ではなく、「どうやって馬のひづめの音を出すか?」という問いを立てたことで、解決策の幅が大きく広がったのです。
■4.遊び感覚を取り入れる
スウェーデンのある地下鉄の駅では、ほとんどの人が、階段ではなくエスカレーターを使っていました。「Fun Theory」チームは、エスカレーターを使うより階段を上ることが格段に楽しくなるようにしようと考えました。どうしたか? 階段をピアノの鍵盤に仕立てたのです。階段を上るたびに音が出ます。すると、階段を駆けあがったり、とび跳ねたり、踊ったりしながら音を出すのを面白がって、階段を使う人が66パーセント増加したそうです。
■5.予想外の結果から学ぶ
成功した発明家や起業家は、予想外の結果やあきらめた道がじつは成功につながっていた、という話をしてくれます。ケヴィン・シストロムとマイク・クリーガーは、自分の居場所を友達に知らせるアイフォン・アプリの開発会社バーブンを立ち上げました。最初のソフトは思ったほど売れなかったので、つぎつぎと付加機離をつけて、どれが支持されるか試していきました。数多くの実験のひとつとして、撮影した写真をすぐに加工し、シェアできる機能をつけたところ大ヒットしました。そこでケヴィンとマイクは、最初のソフトの機能を外し、写真の共有に特化したアプリの会社、インスタグラムを新たに立ち上げました。
■6.練れていない段階で人に見せる
リスク・テークや実験を促す環境を、どうつくればいいのでしようか? 最善の方法は、実験を奨励し、結果を評価する仕組みを取り入れることです。アイデアを思いついたら、できるだけ早く人前で披露し、すぐにフィードバックがもらえるようにすることがカギになります。考えることに時間をかければかけるほど、それに固執するようになります。だから、まだ練れていない段階で人に見せて意見をもらう方がいいのです。そうすれば、うまく行かない時にも、あきらめやすくなります。残念ながら、ほとんどの職場では、磨きをかけてからでないと発表してはいけないという空気が支配しています。
■7.解決策があると信じる
じつは、何か問題にぶつかった時、解決する方法はあると信じることが、解決法を見つける重要なステップになります。ところが問題の大小を問わず、解決できるとは思っていないために、すぐ目の前に解決策があっても気づかずに、早々にあきらめてしまう人が多いのです。できないと思ったら、できるわけがありません。
2010年の暮れにはじめて日本を訪れた時、こうした状況を何度も目にしました。会う人会う人、「日本経済は20年もの長期低迷にあえいでいる」といった類のことを口にするのです。何十回となく聞かされるうちに、このメッセージは日本人に刷り込まれているのだと気づきました。20代前半の若者は、生まれた時からずっと、この言葉を聞かされ続けていることになります。
【感想】
◆冒頭で触れたように、本書は前作とちょっと色合いが違うな、と読みながら思っていたら、巻末の解説で「1作目はビジネス書というより自己啓発書にちかいもの」だったのに対し、本書は「ビジネス書の中に自己啓発の要素もあるもの」と指摘があって、深く納得。私自身の感想としては、本書は「続編」というより「実践編」といった趣きではないか、と。
例えば、前作では「人生とは」「成功とは」といった内容があったのに対して、本書は「クリエイティブ」に関する具体的な方法論が多々。
そういう意味では「ノウハウ好き」にとっては、むしろ本書の方が「使える」かもしれません。
◆方法論の例を挙げると、本書の第3章では「ブレインストーミングの手引き」が紹介されています。
一瞬「今さら?」と思ったものの、シーリグ女史は「じつは、本当のブレストは簡単なものではない」とバッサリ。
以降、15ページほどに渡って、「ブレスト指南」が展開されております。
いや、ブレストがこんなに奥深いものだったなんて知りませんでしたよ。
今までブレストをやって、あまり成果がでなかった方には、この部分は一読して頂きたいところです。
◆また、上記ポイントの3番目とは逆に、「制約を取り除くことで成果を出す」例として紹介されていたのがアマゾン。
あそこでは、何らかの決定をする際には「財務上の制約がないものとして考える」のだそうで、「財務的に影響がない」とすれば、顧客のためにやるかどうかを自問し決定します。
例えば2002年以前は、クリスマスシーズンだけ送料無料で、それ以外の期間は有料だったところ、無料期間の購入量が増加したのだそう。
そこでアマゾン経営陣は、「財務上の制約がない」ものとして自問し、全期間の送料無料を決定。
その後運送業者と交渉し、出荷量を増やすことで送料を引き下げてもらったのだとか。
◆本書は、なまじ実践的である分、前作ほどのセールスは望めないと思います。
ただ、むしろ「ビジネスパーソン」にとってより有益なのは、本書の方ではないか、と個人的には思う次第。
今まで漠然と「クリエイティブ」とか「クリイエイティビティ」という言葉を捉えていた私でも、本書を読んで、どう考えればよいかが見えてきました。
これからの時代は、ロジカルシンキングに加えて、こうしたラテラルな考え方も必要になる以上、本書の価値はより高まるのではないでしょうか?
思った以上に「使える」1冊!
未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II
はじめに アイデアは安いのではない……タダなのだ
第1章 革命を起こす
第2章 蜂を招き入れる
第3章 積み上げ、積み上げ、積み上げ、ジャンプ!
第4章 忘れられた顧客カード
第5章 机の王国
第6章 ココナッツを思い出す
第7章 猫のエサを動かす
第8章 てっぺんのマシュマロ
第9章 早く動く、突き破る
第10章 魔法の靴を履く人、履かない人
第11章 内から外、外から内へ
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【編集後記】
◆そのシーリグ女史の講義が垣間見れるDVDがこちら。NHK DVD スタンフォード白熱教室DVD BOX [DVD]
全8回の講義の模様にロングインタビュー収録の特典ディスクのついた5枚組です。
ご声援ありがとうございました!
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未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II作者: ティナ・シーリグ出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ発売日: 2012/05/31メディア: 単行本 「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」の続編。 スタンフォード
想像力が無いのは、教えて来なかった教師が悪い。:未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II【本読みの記録】at 2013年01月27日 22:51
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