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2012年05月08日

【面白!】『サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法』大槻ケンヂ


サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法
サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ロックバンド「筋肉少女帯」の大槻ケンヂ氏による、パーソナルブランディング風味のエッセイ。

最近、勝間さんの新刊『「有名人になる」ということ』と比較したり一緒に読まれている方のツイートを見て、思わず買ってしまいました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
ミュージシャン、小説家、エッセイスト、テレビタレント、ラジオパーソナリティ、俳優……数十年に渡りサブカル界の第一線で活躍してきた大槻ケンヂが、自身の活動を振り返りながら、定職につかずに「サブカルで食っていく」ために必要なことを、若者や元若者へ伝授!
ライムスター宇多丸とオーケンによる『サブカル対談』も収録。

なるほど本書はオーケン版『「有名人になる」ということ』と言えるかもしれません!


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【ポイント】

■1.何かを表現するために色々やる
 僕の場合はたまたまロックミュージシャンというところに落ち着いていますが、何かを表現するための手段は、別にお笑いでも、漫画家でも、AV監督でも、何でもよかったんだと思います。そもそも音楽的な素養をまったく持ち合わせていないので「ロックミューシャンになるぞ!」なんて気持ちもありませんでしたから。(中略)

 ここ、ポイントなんですが、「何かができない」って、逆に人生においてチャンスとなり得るものなんですよね。「何かができない」というコンプレックスがあったからこそ「色々やってみる」という選択ができたわけですから。
 何かを明確に「できる人」はサブカルにならないですよ。技巧派ボーカリストや天才絵師はあんまり『タモリ倶楽部』に出ないもの。


■2.サブカルで食うために必要な条件
 んで、そのサブカルで食っていくためにはどうすればいいのかですよね。いきなり結論を書いてしまいますが、サブカルな人になって何らかの表現活動を仕事にして生きていくために必要な条件は、才能・運・継続です。アハハ、根性論かよって感じですが、本当にこの3つが中心になります。
 3つのうち、才能と運に関しては自分ではどうしようもないことですけれど、「継続する」ことだけは誰にでもできるじゃないですか。たとえ、才能や運がなかったとしても、ずーっと継続してさえいれば、誰でも、どんなジャンルでも、まあ中の下くらいにはなれるんじゃないかと思います。


■3.プロのお客さんにならない
 映画を何本観た、本を何冊読んだ、サブカルになりたいならばその結果、受容したものを換骨奪胎し、自分なりの表現としてアウトプットすることが重要です。それが稚拙であろうとクオリティが低かろうと、まずは自分で何かを表現してみるということが第一歩ですから。もう一度言いますね。プロのお客さんになってはダメです。


■4.バラエティ番組対応のロッカーに
 それまでのロックミュージシャンというのは、たとえばザ・ストリート・スライダーズのハリーさん・蘭丸さんに代表されるような「メジャーな世界とは一切折り合いつけないぜ、俺はロックだ!」という方たちが多かったんですね。ところがバンドブームが到来したことで、バラエティ番組に対応してくれるロッカーというのを世間が求めはじめたんです。
 そんな時に、長髪で顔にヒビを入れて怖ろしげなメイクをしているのに、妙に腰が低くて実家暮らしで「ケンちゃん」って呼ばれている、いわば、お茶の間感のある怖くないロッカーという僕のキャラが、バラエティのひな壇に新設された「ロッカー枠」にスポッとハマッたわけですね。僕も無意識のうちに「この枠にもぐりこめるな」というのを感じ取って、そのキャラクターに自ら順応させようとしていたと思います。


■5.エッセイは視点に注目する
 エッセイやコラムを書く場合には、最初のうちは誰かひとり目標とする人を決めて文体などを徹底的にマネをするというのがいいかと思います。(中略)

 そういう目標とする人を決めたら徹底的にその人になり切って書いてみる。文体をマネてみるのもいいですが、できれば、彼の視点に着目し「彼の目を自分は持っている」と思い込む。この妄想力がエッセイ修行には重要だと思います。それをクセにして、とにかく書きまくることです。また、これは誰かの言葉なんですが、「自分しか知らないことを、誰にでも分かるように書く」というのも重要です。


■6.人気が下がるということ
 テレビタレントとしても「自分にはもうあまリニーズはないな」と思いはじめていた時期でした。サブカル的な知識があるちょっと賢いキャラとしてテレビに出ていたものの、本当に賢い人たちがいる場には対応できないということが自分で分かってきたわけです。『ここがへンだよ日本人』という番組が大きかったんですけど、テリー伊藤さんや大竹まことさんといった論客にくわえ、世界中からしゃべりのたつ素人さんたちが集まっていたから、その中に入れられちゃうともう何にもしゃべれないんです。それでも盛り上がってる風に編集されたりしているのを観て、「も、申し訳ない」と自分の役立たずぶりにへコんでいました。論客キャラにシフトできなかったんですよ。論客じゃないですし。そんな何もかもすべっちやう時期って誰にでもあると思いますね。


■7.すべてのことには意味がある
 さいたまスーパーアリーナで行われたアニメロサマーライブというイべントにも「大槻ケンヂと絶望少女達」として出演させてもらったんですが、まさにアニメ界のフジロックでした。3万人がサイリウムを振っている中でライブをやったんですが、その熱狂たるやすさまじいものがありましたね。(中略)



 しかし、考えてみると「何のためにやってたんだろう……」と思ってしまうような特撮時代があったからこそ、さいたまスーパーアリーナという巨大なステージに立たせてもらえたわけです。だから、どんなことでもムダだなんてことはないんですよね。当たり前のこと言っちゃいます、すべてのことには意味があります。


【感想】

◆冒頭で、勝間さんの新刊を引き合いに出しましたが、この大槻さんも、インディーズ&バンドブームに乗ってブレイクし、一挙に人気が出ています。

例えば当時の逸話として「東京駅のホームで修学旅行中の何百人もの女子高生たちに追いかけられる」「路上でいきなり女の子がスカートをめくって『このパンツにサインをしてください!』と言われる」なんてものが挙げられていました。

その一方で、「いわれのない憎しみ(?)」や「嫉妬」も受けることに(エピソードは割愛しますが)。

そしてバンドブームが去り、事務所がつぶれて(しかも3回も)、一時に比べると「あの人は今」状態になるのも勝間さんと同じです。


◆ただし、勝間さんが「計算ずくで」有名人への道を目指したのに対して、大槻さんは、やや「運任せ」の部分はあるかと。

そもそも、中学校の同窓生で後に筋肉少女帯のメンバーとなる内田雄一郎さんの高校の先輩が、あのケラリーノ・サンドロヴィッチさんだったこともあり、3人でバンド(「空手バカボン」)を結成したという。

とはいえ、大槻さんご本人は「才能はない」と言われているものの、「修行のようだった」と振り返るほど映画を観まくり、マンガを含めて本を読みまくってらっしゃいます。

この辺は、上記ポイントの2番目で言うところの「継続」であり、いわゆる「1万時間の法則」に通じるところがあるのではないでしょうか?


◆それより何より私にとって嬉しかったのは、大槻さんが、あの雑誌『ビックリハウス』の投稿の常連であったこと。

Wikipediaによると、当時13歳だったそうなので、丁度私がハマっていた高校時代と時期的に重なります。

また、白泉社の少女マンガ(『花とゆめ』『LaLa』)にハマっていたのも同じで、そうか、私もサブカル路線だったのか、と、この年になって気がついたというww

もっとも私は、大学入ってから、いきなりテニスとかやりだして、リア充路線を目指しちゃったんですけどね。

大槻さんのような屈折した人生(いい意味で!)を送っていたら、もうちょっと質の高いブログになっていたのかも?


◆私たちビジネスパーソンにとっては、大槻さんのような音楽活動や俳優活動等は、ほとんど縁がないお話です。

ただし、「本を書く」「人前で話をする(ウケを狙う)」といった予定のある方ならば、本書はきっと役に立つハズ。

さらに本書は、大槻さんの軽妙な文章で綴られており、この本を読む事自体が、エッセイの書き方の参考になりそうw

しいて難点を挙げるとしたら、サブカルネタを中心に注釈が細かすぎることで、非常に有り難かった反面、読むのに意外と時間がかかりました。


好きなことだけをやって生きたい方に!

サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法
サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法
第1章 「サブカル」になりたいくんへ
第2章 自分学校でサブカルを学ぶ
第3章 インディーズブーム~メジャーデビュー
第4章 「人気」というもの
第5章 サブカル仕事四方山話
第6章 サブカル経済事情
第7章 人気が停滞した時は
第8章 筋少復活! それから……
第9章 それでもサブカルで食っていきたい
[巻末特別対談] オーケン×ライムスター宇多丸


【関連記事】

【敗戦の弁?】『「有名人になる」ということ』勝間和代(2012年04月25日)

「プチクリ!」岡田斗司夫(著)(2006年07月10日)

「パーソナル・マーケティング」をうまく使う、たったひとつの冴えたやりかた(2009年11月18日)

「ブームはどう始まりどう終わるのか」中川右介(2007年01月12日)

【ティッピング・ポイント】「急に売れ始めるにはワケがある」マルコム・グラッドウェル(2007年07月18日)


【編集後記】

◆本書を読んだときに、勝間さんの本と一緒に、もう1冊思い浮かべた本がありました。

プチクリ!―好き=才能!
プチクリ!―好き=才能!

岡田斗司夫さんの隠れた名作であり「好きなことをして生きていきたい」方にオススメ。

レビューは、上記参考記事にございます。


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