2012年04月08日
【知的生産術】『"司法試験流"勉強のセオリー』伊藤 真

“司法試験流” 勉強のセオリー (NHK出版新書 375)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、法律系資格試験の専門学校・伊藤塾の伊藤先生が、自らの「知的生産術」を明かした1冊。番組のテキストながら、アマゾンランキングでも上位に食い込んだ『仕事学のすすめ "司法試験流"知的生産術』を、大幅に加筆・修正の上、再構成したものだそう。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
司法試験の指導で高い合格率を誇るカリスマ塾長が教える究極の勉強法とは? ゴールからの発想法や、盤石な基礎を習得することの重要性など、効率よく学べ、確実に成果が上がる鉄則のセオリーを伝授。基本となる「思考法」から、「文章表現」「プレゼン」「時間術」まで、ビジネスパーソンが明日から使えるノウハウが詰まった一冊。
新書ながら、幅広い分野に関して言及しております!

【ポイント】
■1.80の精度を100にする一問一問に対する精度が表れる棒グラフでもあれば、1年間で相当な面積が塗りつぶされているはずですから、力はしっかりついてきているということです。しかし残念ながら1問も100まで到達していないものだから、点数にはつながっていない。実はただそれだけのことなのです。ですから、絶望してあきらめる必要は全くないと、彼らに説明していきます。
ただ、そこからやらなくてはいけないことは何かというと、やはり80の正確性まできている知識を、100にすることです。そこに20のエネルギーを費やさなければ1点も取れません。にもかかわらず、勉強方法を知らない人は、0の知識、つまり知らなかったことを新たに学ぶことに20のエネルギーを向けてしまうのです。そもそものエネルギーの振り分けが違うものですから、どんなに勉強しようが一向に受かりません。
■2.3種類のマーキング法を使い分ける
●項目立てを目立たせるマーキング
私の場合は、章タイトルのような本の一番大きな項目をピンク色で、節見出しのような次に大きい項目をブルーで塗りつぶし、さらに、小見出しなどの項目はブルーのアンダーライン、というように項目の大きさで塗り分けしています。●内容に応じたマーキング
何が問題なのかという、問題提提起をする部分を例えばグリーンで塗る。結論の部分は紫にする。法律の本であれば、さらに理由づけの部分はグリーンのアンダーライン、判例の説明があるところは紫のアンダーラインと、その内容に応じて引いていきます。●重要性に応じたマーキング
私は、使う色を黄色と決めているのですが、内容を問わず、重要な箇所は塗りつぶします。そして、まあまあ重要かなというところはアンダーラインと、二段階で使い分けています。
■3.文章は「IRAC」の枠組みで書く
文書の世界で必要な4つのパーツを、私たちは「IRAC(アイラック)」という言い方をしています。IはIssue、RがRule、AがApplication、そしてCがConclusionで、それぞれの頭文字を取っているのです。このIRACは、アメリカのロースクールなどでは、法律家を目指す人は必ず勉強しなければいけないとされる、基本的な判断枠組み、文書作成の枠組みとなっています。判例や、どんな法律文書でも、基本的にはこの枠組みに乗せて書いていくのです。(詳細は本書を)
■4.「確かに」「しかし」で合意ポイントを提示する
たいがい説得する相手というのは、何かしらの疑問や不安を感じているはずなのです。(中略)
そこで有効となるのが、「確かに」「しかし」の手法です。相手の疑問を先取りすることができたならば、それを「確かに」で示し、「しかし」で、まさにそれをひっくり返し、メリットを具体的にうまく提示してあげられればいいわけです。
言い換えれば、意見の対立がある場合でも、その対立の原因をどんどん掘り下げていけば、両者が合意できるポイントというのは見つかるはずなのです。「さかのぼって考え直してみると、こういうことも言えますよね」と、何らかの形で合意できる部分を見つけ出し、そこからスタートしていくわけです。
■5.限界から5分頑張る
私は塾生たちによく、「もう駄目だと思ってから、5分頑張れ」と言っています。もう駄目だと思ってから1時間とか、今日のノルマをやり終えるまでとなると、どうしても嫌になってしまいますから、あと5分だけ頑張るという粘り癖をつける。そうすることが、結果的には続ける力につながっていくわけです。あと少しだけ頑張ってみようという意識を常に持ち続けることが大切なのだと思います。
■6.「元気ノート」で気持ちを高める
また、元気が出る言葉を書きとめた「元気ノート」を用意しておくのもおすすめです。有名人が言っていた言葉や、漫画の中に出てきた言葉など、それを見ると不思議と元気が出る言葉というものがあると思います。そういう言葉をすべて書きとめて、いつでも見られる状態にしておくのです。私も、司法試験の受験時代には、自分自身を鼓舞するような言葉をたくさん紙に書き出して、机の前に貼って勉強していました。
【感想】
◆当初、本を手に取った時は、資格試験の専門学校の代表の本ですから、それは「ガチ」な勉強本だと思いました(タイトルにも"司法試験流"なんて入ってましたし)。しかし実際は、冒頭で触れたように、むしろ「知的生産術」の本、と言った方が良さげ。
「時間術」や「自己管理」も、間接的な意味では「勉強法」ですが、さすがに「プレゼン術」は試験には関係ないですし。
もっとも、司法試験予備試験では、試験官からの質問に対して口頭で答えていく「口述試験」というものがあるそうなので、「プレゼン術」も広い意味では勉強法になるのかも。
◆今回は、できるだけバラけて抜粋したため、メインテーマである勉強法については、上記ポイントでは最初の2つのみが該当。
最初の「80の精度を100にする」というお話は、試験にもよると思うので、その点はご留意を。
逆に、直接点数に関係ない「細かい論点」に固執して、合格できない例も多いと思いますので、「勉強量と点数が比例しない」というような方は、専門学校に通われていたら、先生に相談してみるべきです。
一方マーキングについては、各専門学校や先生ごとに異なるでしょうから、やはり確認するか、自分なりのスタイルを確立すべきでしょう。
私は、多くの著者さんから否定されている(?)、「できるだけ色を多く使う」やり方でないと覚えられなかったため、全ページコピーして、そちらを自分流にマーキングしてましたが。
◆第2章の記憶術については、最近伊藤先生が出されたこちらの本をご参照のこと。

記憶する技術
私は一応、リアル書店でチェックしておりますが、ネタ的に類書とかぶっていたので、とりあえずスルーしております。
また、第6章の「スランプ」に関して言うなら、伊藤先生のこちらの本を。

合格のお守り 資格試験のカリスマが教える「夢をかなえる」心の習慣〈CD付〉
参考記事:【CD付き!】「合格のお守り」伊藤 真(2008年03月13日)
本もさることながら、付録のCDでの先生の声に痺れる事必至(?)。
◆冒頭で触れたように、本書はNHKの番組テキストを元にしています。
そのせいか、"釣り"的な見出しもないですし、内容的にも極めて真っ当。
さすがに、資格試験の勉強本を何冊もお持ちの方に「激プッシュ」するにはいかないものの、少なくとも"伊藤真先生"という方や、その考えを知るにはうってつけではないか、と。
それでも私のような「勉強本オタク」からすると、「プレゼン術なんてどうでもいいから勉強法を!」と思ってしまうのが、カナシイ所ですがw
これから勉強したい方に!

“司法試験流” 勉強のセオリー (NHK出版新書 375)
第1章 最短最速勉強法
第2章 思考力を高める記憶術
第3章 "部品"で作る文章術
第4章 相手に伝わるプレゼン術
第5章 確実に成果をあげる時間術
第6章 スランプを味方にする自己管理
終章 自分を高める生き方
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【編集後記】
◆まだ先になりますが、こんな本も。
自分でも驚くほど成績が上がる勉強法
東大パワーには敵いませぬ……。

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