2012年03月17日
【驚嘆!?】『35年間に38回のミリオンセラー<100万個販売>を達成した男』小山 良
35年間に38回のミリオンセラー<100万個販売>を達成した男
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、帯にもあるように「世間的には知られていない」貿易会社である「永光」の社長・小山 良さんのビジネスのヒミツを探った1冊。ひとつの商品を100万個販売する「ミリオンセラー」は、この業界(輸入雑貨)では一生に一度あれば上出来のところ、小山さんは38回も達成しているという凄まじさです。
アマゾンの内容紹介に面白い逸話がありましたので、その部分を一部引用。
無名の小さな会社が次々にヒット商品を生み出すことを知って、日本の二大総合商社のうちの一社が、永光の買収に動いたことがあります。株式を取得して子会社にして、将来性のある優良会社として上場させ、その後の株価高騰を狙うという錬金術を目論んでいました。商社側は、買収後の永光の社長に社員を送り込むつもりで、小山さん自身も身を引くことを了承していたといいます。ところが、商社の担当役員が内情を調べてみると、社長ひとりのアイデアで伸びてきた会社であることがわかりました。彼がいない永光は抜け殻同然です。結局、社員として小山を取り込めない限り意味がないという判断で、この買収話は沙汰やみになりました。
その「ヒット連発」のカラクリが気になる方なら、要チェックです!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.インフルエンザ対応マスクを大量輸入できたワケその7年前にSARSの感染被害が全国ネットのテレビニュースで連日報道され、6年前には鳥インフルエンザが流行したのに、「マスクが売れるようになる」と考えた人がいなかったのは、私にしてみればとても不可解なことです。
SARSやインフルエンザは、主に飛沫感染で広がります。感染者が咳やくしゃみで飛ばした唾液を、知らずに吸い込んでし主まうことによる感染です。
つまり、感染予防にはマスクが極めて有効なのですから、いずれ需要が高まることは誰でも想像できたはずです。「先見の明」と言われるほどのことではありません。
■2.ボウリング用薬剤で起業!
それぞれの缶の中身を、研究室のガスクロマトグラフィ検査器などで調べると、薬剤の正体はすぐにわかりました。(中略)
いずれも「日本にはない特殊なもの」などではなかったのです。原料は手軽に調達できるものばかりで、単純に混合すれば、まったく同じものを容易に作ることが可能です。
試しに、自分で原料を買った場合のコストを計算してみました。当時の為替レートは1ドル360円の固定相場制で、いまよりはるかに円安でしたから、なんとアメリカ製品の30分の1の値段で調達できることがわかりました。
■3.職域販売を重要視した理由
永光があつかう雑貨の販路としては、デパートやホームセンター、ディスカウントショップ、通販といろいろあったのですが、私はあえて、この職域販売に積極的に商品を流しました。
有力な販売ルートだと評価した理由は、職域販売のマーケット・リサーチ力を重視したからです。(中略)
消費者が買う気になるかどうかは、その商品の「利用シーン」を想像できるかどうかにかかっています。いくらアイデアが素晴らしくても、利用の仕方がよくわからないままでは買う気になれないでしょう。
「その商品が生活にどのような価値をもたらすか」という提案をするには、たとえば昼休みに大勢の社員の前で、懇切丁寧に説明する機会もある職域販売の影響力は侮れません。
■4.光ファイバーのクリスマスツリーが3年目に売れなくなったワケ
欧米では、ツリーは日本の「門松」と同じような縁起物ですから、クリスマスが過ぎると廃棄し、翌年はまた新しいツリーを選びます。毎年、誰かが買ってくれますから、同じ数だけ需要があります。
ところが日本では、ツリーそのものの需要が限られており、室内に飾るものですから、「門松」というより「お雛様」のあつかいをされていたのです。つまり、クリスマスが終わったら、ていねいに押し入れに仕舞いこんで、翌年また同じものを使うのです。
もちろん、1年や2年で簡単に壊れるようなものではありません。興味を持つ人は1年目、2年目にあらかた買ってしまい、3年目ともなると、もう買う人がいなくなってしまったというわけです。
■5.売れない商品を売れるように工夫する
商売上の劇的な出会いや、商品化のひらめきというものは、そうそうあるものではないと思いますが、必ずどこかに転がっていると信じて、常に心の準備をしておくべきでしょう。
「かるがも時計」の原型になった「白鳥時計」の輸入には、日本の複数の業者が関わっていました。1度に300個程度、試験輸入してみたようですが、売れませんでした。
もしも彼らが、あの貧相な商品をどうにかしようという意欲を持っていたら、私の出る幕はなかったかもしれません。
■6.ほどほどのレベルで長く続ける
「社員や取引先がいつまでも、無理なく食えればいい」
「リストラは絶対にしない」
私の経営方針はこの2点に集約されます。それ以上でもそれ以下でもありません。
売上高のグラフとにらめっこして、いたずらに野心を燃やしたところで、ヒット商品は出てきません。無心の境地でひたすら工夫を積み重ねれば、結果は自ずから出てくると信じています。
■7.アイデア商品は売り方が重要
また、商社の販売ルートは永光とは違っていました。主に傘の専門店とデパートに卸していたらしいのですが、こうした店では、この傘だけを特に推薦して売ってくれるわけではありません。
アイデア製品は「売り方」が重要なのです。デパートも、傘屋さんも、当時はまだ、現在のように慢性的な販売不振に苦しんではいませんでしたから、客から声をかけられなければ店員は自分から売り込んだりはしません。
永光の販売ルートは通販や職域販売でしたから、他の傘と一緒に並べるのではなく、この傘だけを取り上げて、実際にに使い勝手を見せながら「これは便利です」と特徴をアピールする売り方をしていました。
【感想】
◆起業本の中には、著者が「アイデア1つ」でのしあがって、後は自叙伝で茶を濁すケースがあるのですが、本書は違いました。とにかくアイデアが豊富。
何せ「ミリオン」を達成した商品が38個もあるのですから、ネタは尽きません。
個数で言うと、上記ポイントでもちらっと登場する「かるがも時計」は600万個も売れたのだそう。
……って、どんなのか知らかなったので、本書に収録されている画像を手掛かりに、似たようなものを探したら、こんなのが。
この商品自体はディズニーなんですが、商品ページにその前身である「かるがも時計」の画像があります。
◆また、ヒット商品を生み出す秘訣も、ケースバイケース。
起業のきっかけとなった、上記ポイントの2番目の「ボウリング用薬剤」は、小山さんが中学時代から化学が好きだったが故に、同じものを安く作れないかと考えたのが発端です。
また「インフルエンザ対応マスク」は、需要が爆発的に増える何年も前から、中国の工場で指導して、品質の高いものを安く作り上げられたのが勝因。
ただ、パターンとしては、何かしらの「欠点」(必ずしも不良品とは限らず)を改善して、日本市場で受け入れられるようにしたものが多かったです。
前述の「かるがも時計」も、元はといえば台湾のギフトショーで見かけた「白鳥時計」がきっかけですし。
その時計を作っていた台湾の会社の社長は、小山さんの指示通りに「かるがも時計」を作り大儲け。
その後ベンツの最高級車に運転手つきで乗れるようになったのだそう。
◆なお本書の巻頭には、ミリオンを達成した永光の「ベストセラー商品」が写真付きで掲載されています。
その中のいくつかは、アマゾンでも販売されているのでご紹介。
●光触媒胡蝶蘭
光でキレイな空気を作る!光触媒胡蝶蘭(ピンク)
◆デパートで9800円で売られていた模造花と同じものを、約2100円で販売し、競合からクレームがきたそう。
しかも、小山さんのアイデアで、従来品より性能がアップしているとのこと。
●「スポット指圧ニイハオ」
スポット指圧器「ニイハオ」パート3
◆今でも見かける、一人で指圧できる器具。
当初他社が別名で作り、ポキポキ棒が折れてしまったものを小山さんが改良して折れなくしたところ大ヒット。
●インフルエンザ対応マスク
【緊急値下げ!】安い!3層 救救フィルターマスク(お徳用50枚入)
◆中国の3工場で4年をかけて生産体制を整備して作ったもの。
2009年5月には、日本国内で争奪戦が展開された。
アマゾンにはないものの、他にも「電撃殺虫ラケット」や「強力風呂釜クリン」なんてアイデア商品も、小山さんの会社のヒット作なのだそう。
◆とはいえ出す商品が、必ずしも百発百中というわけでもなく、なかには失敗作もちらほら。
ただ、そういう失敗事例も含めて、「アイデア商品で起業したい」方にとっては、本書は良いケーススタディ集だと思います。
「画期的な発明」や「目からウロコアイデア」がなくとも、ヒットは出せるのだな、と。
会社で働きながらでも、こういう「アイデア商品」を考え出すのは可能だと思います。
もっとも小山さんの場合、中国の工場まで出向いて、商品を安く作り上げたりとか、他社の商品をパッと見て、原価が分かるくらいの知識があったのも勝因の1つではあるのですが。
「アイデア」で成功したい方へ!
35年間に38回のミリオンセラー<100万個販売>を達成した男
第一章 インフルエンザ対応マスク
第二章 生い立ち
第三章 ボウリング用薬剤
第四章 台湾ヒスイ数珠
第五章 スポット指圧ニイハオ
第六章 かるがも時計
第七章 あえて手を出さなかった商品
第八章 ディズニー・キャラクター
第九章 VS.総合商社
第十章 フィリピン援助
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【発想】「アイデアパーソン入門」加藤昌治(2009年02月04日)
「アイデアひらめく『ビジネス発想源』」弘中 勝(2007年01月15日)
【編集後記】
◆小山さんに匹敵するくらいのアイデア豊富な人というと、この方くらいしか思い浮かびませぬ。外食の天才が教える発想の魔術
立ち上げた店が30超、全国展開されたレストランコンセプトが6つ、というのはスゴイことだな、と。
参考記事:【オススメ!】「外食の天才が教える発想の魔術」フィル・ロマーノ(2008年03月20日)
ご声援ありがとうございました!
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