2012年03月14日
【ライフハック】『解決する脳の力 無理難題の解決原理と80の方法』林 成之

解決する脳の力 無理難題の解決原理と80の方法 (oneテーマ21)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、38万部突破した『脳に悪い7つの習慣』でお馴染みの林成之先生の新作。サブタイトルが「無理難題の解決原理と80の方法」というだけあって、先生の従来の本と比べると、具体的なTIPSが大量にありました。
アマゾンの内容紹介から。
仕事や勉強にとりかかるのが遅い、集中力がない、ここ一番に弱いなどなど。自分の悪い習慣のことは分かっているのに払拭できない多くの人へおくる、脳のクセを知って効果的に問題を解決し結果を出すための福音の書!
タイトルが地味なので、正直それほど期待していなかったのですが、想定外に役立ちそうな1冊でした!

【ポイント】
■1.明確な目標で脳は頑張れる自己報酬神経群は、「ごほうび」を与えられることによって機能する神経細胞群です。「自分がやると決めたことを成し遂げること」が脳にとっての「ごほうび」であり、自己報酬神経群は、「やると決めたことが成し遂げられそうだ」という期待を感じる時によく働くという特徴があります。(中略)
脳が頑張れるようにするには、仕事でも勉強でも、必ず目標を設定しましょう。その際、「試験に合格する」「とにかく契約を取る」といった漠然とした目標だけを決めて満足してはいけません。「合格するために必要なことは何か」「契約を取るためのステップは?」と考え、「いつまでに何をやるべきか」まで落とし込んでください。
■2.相手に同意を示し、同じ言葉を使う
先に見たように、「感情を表に出して話すこと」や「目的を共有すること」などが基本的なポイントと言えますが、会話のコツとしてもっと簡単に取り入れられる方法もあります。それは、「相手に同意を示し、相手と同じ言葉を使って、相手の脳に入る話し方をすること」です。具体的には、「なるほど」「そうだよね」などと「相手の意見を受け止める言葉を出す習慣」と、「相手が発したのと同じ言葉を繰り返す習慣」を身につけることで、コミュニケーション力を飛躍的に高めることができます。
■3.優れたアイデアは、繰り返し思考することで生まれる
「アイデア」というと空からフッと降ってくるもののようにイメージしている方もいるようですが、それは単なる「思いつき」です。本当に優れた、完成度が高く仕事上の意義がある発想は、繰り返し深く思考することでしか生まれません。「仕事で良いアイデアを出し、結果を残せる人」というのは、「思いつきやさん」ではなく「粘り強く考え抜く力を持った人」だと言うこともできるでしょう。すばらしいアイデアを思いついた人が「ひょんなことから考えついた」などと言うのも、実は、「ずっと考え続けてきたことがある瞬間にものになった」というケースが多いのです。
■4.最後まで気を抜かない
自己報酬神経群は、「ごほうびが得られそうだ」「ごほうびを得るために頑張ろう」と考えることによって働く神経細胞群です。これは逆に言えば、「ごほうびが得られた」と思うと自己報酬神経群がしっかり機能しなくなる、ということです。(中略)
「終わった」「まあこれくらいでいいかな」「だいたいできたな」などと考えると、自己報酬神経群は「もうこのことは考えなくてもよい」と判断します。実際はまだ仕事が終わっていなくても、「そろそろ終わる」と考えることは脳にとって「完了」を意味し、脳の血流が落ちて、思考力や記憶力がガクンと下がってしまうのです。
■5.職場環境は変わらない方がいい
実際、私が知っているある企業では、営業成績が非常に良い支社でフリーデスクシステムを導入したところ、1年で業績がガタ落ちしたケースがあります。環境の「統一・一貫性」が保たれなければゾーンが作れず、仕事に集中することができませんから、業績が落ちるのは何ら不思議なことではありません。私のアドバイスで、その支社はフリーデスクシステムを止め、営業成績を回復しました。
いくら経済的なもの、効率的なものを追い求めても、それが人間の脳の仕組みに反していては、結果はついてこないのです。
■6.集中力は、損得抜きで全力投球することで発揮される
自己報酬神経群は、自分が主体的に取り組み、達成することを「ごほうび」とみなします。ここに損得勘定を持ち込み、「今頑張ってもメリットはないから、ちょっと手を抜こう」などと考えることは、「主体的に取り組む」ことと正反対のスタンスであり、自己報酬神経群の働きを弱めることにつながります。脳がフル回転し、高い集中力を維持し続けるには、損得抜きで、しかも全力で取り組む姿勢が必要なのです。
■7.組織風土は時間をかけて変える
組織風土を変えようという場合、留意しなくてはならない大事なポイントがあります。それは、「脳は急激な変化を望まない」ということです。
脳には「統一・一貫性」という強い本能がありますから、「変わること」に対して抵抗を感じるようにできています。脳に変化をうまく受け入れさせるには、「統一・一貫性」の本能が崩れないように、時間をかけて少しずつ風土を変えていかなくてはならないのです。
【感想】
◆冒頭で「役立ちそう」と書いたように、本書にはかなり付箋を貼りました。その内容も、上記ポイントでもお分かりのように、「仕事術」「コミュニケーション」「アイデア」「マネジメント」と多岐に渡っています。
また、それぞれのTIPSに関しても、比較的似たコンテンツである『ビジネス<勝負脳>』よりも具体的に掘り下げられており、完成度が高め。
参考記事:【脳】「ビジネス<勝負脳>」林 成之(2009年02月11日)
新書とは言え、私が読んだ林先生の作品の中では「ベスト」だと思います。
◆ただし、TIPS自体は類書にも見られるものであり、目からウロコというものはあまりありません。
そもそも林先生の作品のキモは、「なぜそうなるのか」や「なぜそうすべきなのか」を脳の仕組みから解説してくれるところにあります。
たとえば企業が不祥事を起こしたとき、誰も内部でとがめないのも、上記にも何度も出てくる「統一・一貫性」ゆえ。
人間の脳が「周囲にあわせよう」「数が多いほうの意見に従おう」とするからなのだそうです。
◆一方、意外だったのが、フリーデスクシステムの問題点。
最近、ノマドに逆風が吹いているところに、さらにこんな指摘を受けるなんて……。
とはいえ、この「統一・一貫性」を保った方がいいのは、調子が良いときのお話。
うまくいってないときは、逆に「統一・一貫性」を外すのも手です。
実際本書では、「自分の席から上司の顔が見えていて集中できない」という方が、林先生のアドバイスを得て、大きめのディスプレーを買ってきて上司の顔が見えなくなるようにした結果、仕事に集中できるようになった例が挙げられていました。
ですから、一概にフリーデスクが悪いということではない、ということで。
◆なお今回のポイントは、当ブログの嗜好性を考え、下記目次の第2章から抜き出したものがほとんどでした。
第3章ではマネジメント関係が、そして第4章はスポーツ関係を含めた勝負ネタが展開されています。
そして第2章を含め、これらの前提となる脳の仕組みについての総括が第1章という構成。
とにかくタイトルからは内容が分かりにくいのがアレですが、結構な良書だと思います。
脳の仕組みを理解すれば仕事も捗ることウケアイ!

解決する脳の力 無理難題の解決原理と80の方法 (oneテーマ21)
第1章 脳の仕組みから解き明かす、問題の解決法とは?
第2章 日々の仕事で結果が出せない人の習慣
第3章 結果が出ない会社や組織を作る習慣
第4章 勝負時に結果が出せなくなってしまう習慣
【関連記事】
【脳】「ビジネス<勝負脳>」林 成之(2009年02月11日)【スポーツ脳】「<勝負脳>の鍛え方 」林 成之(2007年10月19日)
【頭脳的仕事術】「脳と気持ちの整理術」築山 節(2008年04月15日)
【脳】「Mind パフォーマンス Hacks」Ron Hale-Evans(2007年09月08日)
【脳科学】「最新脳科学で読み解く 脳のしくみ」サンドラ・アーモット,サム・ワン(2009年05月02日)
【編集後記】
◆著者のDaiGoさんが、一昨日の「SMAP×SMAP」に出演されたおかげで、この本が大人気!
人の心を自由に操る技術 ザ・メンタリズム(DVD付き)
一時はアマゾン1位にまで登りつめて、在庫が切れてしまいました(現在は復活)。
やはりテレビの威力はスゴイな、と改めて思った次第です……。
参考記事:【モテ】『人の心を自由に操る技術 ザ・メンタリズム』メンタリスト DaiGo(2012年03月04日)

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■感想
脳に振り回...
『解決する脳の力』「脳の本能」をコントロールする。【hobo-多読多評-】at 2012年04月06日 06:22
この記事へのコメント
すごく勉強になります。
ただ闇雲に作業してても非効率
なんですね。
ただ闇雲に作業してても非効率
なんですね。
Posted by あけび at 2012年03月14日 11:52
>あけびさん
そうなんですよ〜。
脳の働き方や仕組みに沿ったやり方が、効率的なんですよね。
……って、自分自身、実践できてないのですが(汗)。
そうなんですよ〜。
脳の働き方や仕組みに沿ったやり方が、効率的なんですよね。
……って、自分自身、実践できてないのですが(汗)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2012年03月15日 14:15
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