2012年02月27日
【ジョブズ論】『成毛眞のスティーブ・ジョブズ超解釈』
成毛眞のスティーブ・ジョブズ超解釈
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、当ブログでは最早お馴染みの成毛 眞さんの最新刊。某カリスマ書店員さんが「激しくオススメ!」と私のような(?)発言をされているという注目作です。
アマゾンの内容紹介から。
スティーブ・ジョブズに憧れてはいけない。
なぜなら、それはあなたを成功から遠ざけることになるからだ!
マイクロソフト元社長・成毛眞がスティーブ・ジョブズの知られざる実像を語る。そしてジョブズになれない99.9%の日本人が、今すべきこととは。
クリエイティブな習慣で導く、この国での成功のヒント。
Apple&ジョブズファンには、なかなか「過激な発言」が多いので、成毛さんの意図とは異なるかもしれませんが、今回はジョブズ関係なく「仕事術的な側面」を取り上げてみます。
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.勝とうが負けようがサイコロを振るサイコロを振らなければ、勝ちも負けも起こらない。ところが、最近サイコロも振れないほどに負けを恐れる大人が多すぎる。(中略)
そういう人は、何も問題が起こらない代わりに、何も起こせない人なのである。つまり無難な大人なのだ。これは非常につまらない。
一方で人生を楽しく生きている子どものような大人というのは、サイコロを振ることだけを楽しんでいる人たちだ。勝とうが負けようが、とにかく振りたいのである。そういう人たちは、勝負したい願望があるために、負けても這い上がって振りに来るし、勝っても勝ち逃げせずに、ずっと周りとゲームを楽しむ。これが人生を楽しむということだし、私が誰よりも仕事をいっしょにしたいと思う人材だ。
■2.変化に積極的になる
今はグルーポンができた次の日に、世界中でグルーポンと同じ会社が乱立する時代だ。つまり、1つのビジネスの賞味期限が限りなく短くなって、高速回転していく時代なのだ。
その時代にあって必要な人材とは、リスクをとれる人、換言すれば、変化に積極的であれる人である。(中略)
そうした人たちこそ、今まさに求められている存在だ。景気からすれば逆境的とも言えるこの時代を生き抜けるのは、リスクをとってハメを外して生きていく知的野蛮人たちなのである。
■3.会社だけの人にならない
かく言う私も、大して稼ぎがない時代から、部屋が狭くなるほどの量の本を読みあさり、話しだすと止まらなくなるほど歌舞伎にハマリ、重みで床が抜けそうになるほどのジャズレコードを集めた。そしてそのうち、本が私にとってかけがえのない仕事になった。
会社だけの人になるなんて、仮にどれだけお金を持って勝ち組呼ばわりされていてもつまらない人生だ。どんなものでもいい、とにかく興味の向くものには積極的に手を伸ばしてみることだ。そしてそれを楽しみ、そこで自分の人生を創ってゆくといい。
■4.20代で大量の仕事をこなしておく
たとえば、水に一定量の熱をずっと加えつづけていれば、させる気がなくても勝手に沸騰する。仕事というのもこれに似ていて、20代のうちというのはたとえ結果が出なくてもとにかくずっと仕事をしつづけてさえいれば、30代になると、自動的に沸点を迎えるのだ。複雑で体系化不可能なものも、量をこなしていくことで要領を得ていく。そのために必要な時間が、25歳からの10年間なのだ。
きちんと25〜35歳で量をこなしておくと35〜45歳で仕事を「さばく」ことを覚えるようになる。私は現役時代に「小指で動かす」と表現していたが、とにかく若い頃は両手に渾身の力を込めて、脚をふんばり、それこそ火事場の馬鹿力でようやく乗り切っていたことが、小指でできるような感覚になるのである。
■5.知的能力の成長曲線を見極める
子どもっぽい発言をしている人は、まだ成長曲線で言えばピークの手前におり、大人っぽい人はピークを終えて下降している、あるいはよくて平行線どまりなのだ。
そういった意味では、18歳時点でピークを迎えた東大生よりも、18歳で筋トレ中の三流大学生のほうがよい結果を出す場合も十分あり得る。よって経営者としては、履歴書の学歴なんて信じず、その人の成長曲線がどんなものか、どんな放物線を描いているのかが見えないといけない。それに、経営者でなくとも、自分が大人の段階なのか、子どもの段階なのかを客観的に知っておくことは、キャリアの助けになるだろう。
■6.良い文章を自分で写す
さて、上手い文章というのはどうやって書くものなのか。ここで間違ってはいけないのは、文章教室などに通ってしまうことだ。あんなものに高い金を払う必要はない。もっと手っ取り早い方法がある。それは、よい文章を自分で写してみることだ。(中略)
たとえば、私のブログに載せている本はどれも非常に優れた、上手い文章のものばかりだ。その中から気に入った本を自由に選んで、毎日写してみるといい。好きな一節を毎日2〜3節探しながら写すのがおススメだ。
■7.「好きになれる」が一番の才能
では、真の才能とはどのようなことを指すのだろうか。答えは意外なほど簡単だ。それは、「好きになれる」ということ、ようは物事を「寝食を忘れて夢中になれる」ということが才能なのである。
こうした人間は、時に他人から見て異常だと思われるほど集中する。そんな彼らを見てあきれる人もいるだろう。しかし、彼らは自らの義務感や責任感以上に、ただ単に「好き」でやっている。はたから見ると並々ならぬ努力をしているように見えるが、本人にとっては苦労でも何でもない。夢中だからだ。
【感想】
◆今回は、書籍のレビューというには、あまりに「偏った拾い方」をしております。だいたい、本のタイトルに「スティーブ・ジョブズ超解釈」とあるのに、上記ポイントでは、ジョブズのジョの字も出てこないと言うのはいかがなものかと(自分で言うなw)。
実は本書は、冒頭の2つの章で、ちゃんとジョブズについての「超解釈」を展開しており、特に第2章は「マイクロソフト側から見たジョブズ」という、類書とはかなり違った切り口で構成されています。
この辺は、さすが「元マイクロソフト社長」の成毛さんならではだな、と。
個人的には、ジョブズをDISる時によく用いられる「人間性うんぬん」について、ほぼ触れずに書かれているのに少々驚きましたが(詳細は本書にてご確認を)。
◆逆に、後半の4〜6章は、前半の「ジョブズ解釈」を踏まえた上での「自己啓発的内容」。
特に最後の2つの章は、根底に「ジョブズ解釈」はあるにしても、従来のビジネス書のフォーマットに近いものとなっています。
当ブログ的には、著者の「主張」よりも、「具体的に何をするか」の方が望まれる傾向にあるので、このエントリーも「ノウハウチック」なスタイルにしてしまいましたが、それはこの2つの章を中心に抜き出したから。
コンテンツ的には、成毛さんのこの本に近い印象を受けました。
大人げない大人になれ!
参考記事:【痛快!】「大人げない大人になれ!」成毛眞(2009年11月25日)
◆ところで本書で成毛さんは、「ジョブズのやり方を自分の仕事やキャリアに採り入れて、創造的な人になろうと考える」ことに警鐘を鳴らしてらっしゃいます。
その考えは分かるのですが、果たして皆が皆、ジョブズの「創造性」に憧れているのか疑問に思ったり。
私なんぞは「創造性は真似られるものではない」と、ハナからあきらめて、あくまでビジネス上(特にプレゼン等)のTIPSを書籍から吸収しようとしていたつもりです。
また、2巻で100万部を超えた評伝本も、皆、波乱万丈な「ジョブズの人生」という「物語」を楽しみたかったのであって、必ずしも創造性は直接は関係ないのではないでしょうか?
そもそも、ある部数を超えた書籍の購入者というのは、その多くが「ライトな層」であって、たとえ本の中にビジネスエッセンスがあったとしても、「エンタメ」として楽しんでいると思います。
……と、現時点で何1つApple製品を持っていないsmoothが、説得力なくつぶやいてみるテスト。
◆ところで昨年、用事があって、小飼 弾さんのお宅にお邪魔した際、滞在した1時間で10回ほどiPadを購入するよう、弾さんに薦められました。
他にも、Macに改宗した本田直之さんや、上京の際は、iPadとiPhoneでネット仕事を済ませている聖幸さん等々、私の周りには、Appleファンは多いです。
そういう方々が、本書を読んでどのように思われるか、非常に興味があるワタクシ。
『日本人の9割に英語はいらない』も賛否両論ありましたが、本書も色々な意味で話題を呼びそうです。
他のジョブズ本と併せて読みたい1冊!
成毛眞のスティーブ・ジョブズ超解釈
まえがき なぜ日本にジョブズが生まれなかったのか
第1章 ジョブズの真似をしてはいけない
第2章 マイクロソフトから見えた、本当のジョブズ
第3章 なぜ日本はこんなにも差をつけられてしまったのか
第4章 思い出したい日本の創造性
第5章 成毛流! イノベーションを起こす仕事術
第6章 あなたをクリエイティブな人生に導く7つの習慣
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【全11冊】私の読んだジョブズ&アップル本あれこれ(2011年10月09日)
【編集後記】
◆本書の中で「オススメ本」として紹介されていたのがこちら。ノアの洪水
以前、成毛さんのセミナーでもオススメされたのですが、いかんせん、中古の価格が……。
ご声援ありがとうございました!
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