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2012年02月26日

【記憶術】『世界一の記憶術』に学ぶ達人のワザ7選


世界一の記憶術
世界一の記憶術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「世界記憶力選手権」に出場する「記憶の達人」たちのスキルにフォーカスした1冊。

ベーシックな記憶術から、その人独自のオリジナル技まで、「記憶のヒント」が満載でした。

アマゾンの内容紹介から。
記憶力は鍛えられる!
NHK『ワンダー×ワンダー』にて放送され反響を呼んだ「世界記憶力選手権」の書籍化。この番組で取り上げた「世界一の記憶力」をもつ出場者とその記憶トレーニング方法を軸に、一般の人たちにも可能な記憶術と脳の鍛え方を紹介する。

「記憶術」に興味のある方なら必見です!


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【ポイント】

■1.物語法
 記憶術というと、このやり方をイメージする人が多いのではないだろうか。つまり一見何のつながりもないようにみえる事柄を、自分でおもしろく物語として結び合わせていく方法だ。(中略)

 そのときのコツは、「つながりが弱かったりつまらなかったりすると脳はすぐに忘れるので、できるだけおもしろい強烈なものにする」、「できるだけ細部まで生き生きと空想する」ということである(ただし自分の脳が「おもしろい」と感じればいいのであって、ほかの人にまでおもしろがられるような話でなければいけないということではない)。


■2.ぺグ法
「ぺグ」とは「かけ釘」のこと。「関連づけ」のために、自分が使いやすくわかりやすい目印を、頭の中に持つ方法だ。帽子を「かけ釘」に引っ掛けるように、覚えておきたい事柄をその目印に結びつけて記憶する。
 記憶術の初心者によく紹介されるのが、体の各部分を目印にすること。(中略)

このときにちゃんと体の上のほうから順番に認識しておくことが大切。買い物リストはともかく内容を覚えさえすればいいが、対象によっては記憶する順番が大切になることもあるからだ。


■3.ジャーニー法
世界記憶力選手権に出場する選手たちのほぼ全員が使っているのが、「ジャーニー法」というやり方である。「ロキ・システム」、「ルート法」などと呼ぶ人もいる。
 この方法では、短時間で大量の情報を正確に覚えることができる(それが本当だということは、実際選手たちが出す記録が証明している)。
「ぺグ法」でも何らかの目印を使ったが、この方法で使う目印は「場所」である。(中略)

「ジャーニー(旅)法」と名づけられたのは、頭の中でルートをたどる旅をして、記憶を想起するからである。


■4.メジャー・システム
 ヨーロッパなどアルファべット圏の選手たちの多くが使っているのが、「メジャー・システム」と呼ばれるやり方である。
 これは以下のごとく、数字をアルファべットの子音に置き換えるものだ。
0→ z,s,c
1→ t,d,th (中略)

 この方法だと何がいいのか? それは「組み合わせができる」ということである。
 例えば「15」という数字は置き換えれば「d・l」である。dlから「doll(ドール・人形)」をイメージする、というわけだ。


■5.ドミ二ク・システム
 ドミニクさんは、自分に合った記憶方法を模索するうちに、頭に一番よくイメージが焼きつくのは「人物」が「何かをしている」ところを想像したときだ、ということに気がついた。(中略)
 そのことを踏まえてでき上がったのが次のようなやり方である。
 (1)まず自分なりのシンプルなアルファべットの対応表を考えた。(中略)
 (2)そしてそれをイニシャルにして、
  18=A・H→アドレフ・ヒトラー
  53=E・C→エリック・クラプトン
 というように、00から99まで、100個の数字すべてに人物のイメージをあてはめた。(中略)
 (3)数字は4つずつ記憶する。そのときに「前半の数字の人物」+「後半の数字の人物の"動作"」を組み合わせる。
(詳細は本書を)


■6.べン・システム〜トランプの記憶法〜
「僕は『2枚1組』で1つのイメージを考えるようにしました。ハートのA・スべードのKというのと、スぺードのK・ハートのAというのは、同じカードでも組み合わせの順番が違うので、それぞれ異なるイメージを割り振っています」(中略)

 つまり、
 基本の方法=52個のイメージを52か所の目印を使って記憶
 ベン・システム=26個のイメージを、9か所の目印を使って記憶(2枚1組なのでイメージは26個、目印1か所につき3個のイメージを置くので、必要なのは9か所)
ということだ。思い出さなければならないイメージの数も、使う目印も少ない。それがべンさんの早さや、大量に覚えられることの秘密だった。


■7.トップクラスの選手の数字の記憶法
 数字を覚えるとき、多くの選手が0から99まで100個のイメージを使って記憶する、と先に書いた。しかし、ヨーロッパのトップクラスの選手たちは「0から999」まで、1000個のイメージを駆使して数字を記憶していたのである。まさに数字記憶の上級編。
 30個の数字を覚えるとき、2ケタずつでは15個のイメージが必要だが、3ケタずつなら10個のイメージを思い浮かべるだけですむ。3ケタの数字からどのようにイメージを作るかは、やはり基本をメジャー・システム(90頁)によっている。


【感想】

◆後半部分はちょっと分かりにくいと思いますが、ご勘弁を。

1〜4までは、一般的に用いられている記憶法で、5〜7は従来のやり方をアレンジした上級編。

とはいえ、記憶力選手権でのべ8回優勝という記録を持つ、ドミニク・オブライエンさんの「ドミニク・システム」は、すでに(好事家の間では)有名ですね。

この本、私も買ってあるのですが、未だご紹介してないという……。

試験にパスする画期的テクニック―記憶力の世界チャンピオンが明かす18の秘訣
試験にパスする画期的テクニック―記憶力の世界チャンピオンが明かす18の秘訣

これらの「システム」の詳細については、ぜひ本書にてご確認を。


◆このドミニクさんはもちろん、その他多くの選手たちに「実際どう記憶しているのか」を詳細に聞いている点が、本書の特長。

特に、第4章に登場する「達人」は、取材当時における各種目の「記録保持者」たちです。

例えば上記ポイントの6番目に登場する「ベン・システム」のベン・プリットモアさんは、「短時間で52枚のトランプの並びを覚える」種目である「スピード・カード」で世界記録(当時)を達成。



また、ポイントの最後では「トップクラスの選手は3ケタずつ記憶する」とありましたが、中国のワン・フェンさんは、中国人であるがゆえに「数字→イメージ」を語呂合わせで処理。

何でも中国では、0から99までのほとんどすべての数字に、無理のない語呂合わせの言葉が存在するそうで、結果、2ケタずつの記憶で、直近の2大会を制しています。


◆本書では、この「世界記憶力選手権」の各種目の内容や、具他的な問題等を第1章で細かく解説。

続く第2章から第4章には、上記で挙げたような「記憶法」が選手たちのインタビューと一緒に掲載されています。

第5章でマインドマップが登場するものの、これは「世界記憶力選手権」の創設者の一人が、あのトニー・ブザン氏だからであり、実際に世界大会でマインドマップを描いているケースはないハズw

興味深かったのが第6章で、上記のベン・プリッドモアさんと「名前と顔」の記憶を得意とするボリス・コンラッドさんの脳の活動をfMRIで分析。

果たして、どんな結果が出たのか(ネタバレ自重w)


◆本書に登場する達人の共通点として意外だったのが、「元々記憶力が良かった」と自認している人が、一人もいなかったこと。

皆、最初は「苦手」「無理だと思った」というところから、何かしらのきっかけで「記憶法」に目覚め、世界レベルにまで達しているワケです。

これはつまり、私たちも「その気になれば」ある程度までは記憶力を増強できるということかと。

ただし、「ラクして覚えられる」のとは真逆の、「地道な努力」が要求されるのはお忘れなく。

もともと、当ブログで扱っている勉強本のほとんどすべてが「地道な努力」を推奨しているので、読者の皆さまにおかれましては大丈夫だとは思いますが。


キモは「イメージ化」と「関連づけ」です!(詳細は本書を))

世界一の記憶術
世界一の記憶術
第1章 世界記憶力選手権とは
第2章 どうやって覚える? 記憶術あれこれ
第3章 「数字」と「人の名前と顔」の記憶法
第4章 記憶の達人たち
第5章 もう1つの記憶ツール 〜マインドマップ〜
第6章 達人たちの頭の中は 〜人間の脳と記憶の仕組み〜
第7章 変わりゆく世界記憶力選手権


【関連記事】

【記憶術】『記憶力世界チャンピオンカールステン博士の頭がよくなる勉強法』グンター・カールステン(2010年10月05日)

【記憶術】『ぶっちぎり世界記録保持者の記憶術』に学ぶ「語呂合わせ」の5つのコツ(2010年08月16日)

【語呂合わせ】『マンガでかんたん!暗記丼』が、結構キテる件(2011年12月02日)

知らないと損する「記憶力」活用法(2010年06月25日)

【暗記の真実】『東大の先生が実践する「ロジカル」暗記術』に学ぶ5つのポイント(2009年08月28日)


【編集後記】

◆上記にも登場した、ドミニク・オブライエンさんの2年目の本。

記憶力世界一チャンピオンのマル秘記憶術 (GAIA BOOKS)
記憶力世界一チャンピオンのマル秘記憶術 (GAIA BOOKS)

お値段はちょっと張りますが、なかなか面白そうです。


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この記事へのコメント
               
smoothさん
いつも拝読させて頂いております。
記憶力に自信がないので、参考にさせていただきます!
話は変わりますが、「ビジネスモデルジェネレーション」の書評の予定はございますでしょうか?
Posted by fumfum at 2012年02月26日 15:20
               
>fumfumさん

コメントありがとうございます。
今回のエントリーだけだと、分かりにくいと思いますので、機会があれば本の方もご覧ください。

なお、「ビジネスモデルジェネレーション」は、個人的にはかなり好きなんですが、想像以上に文字で表現するのが難しいと言うか、あの本のキモはビジュアルだと思いました。
以前はそういう本は、とにかく画像を撮って記事に入れてたのですが、最近はそれを封印している(著作権等の問題もあって)ので、どのように書いたらベストか分からない状態です。
タイミング的にはこれ以上遅くなると、「今さら感」が強くなってしまうので、正直難しいと思ってます。
ご期待に添えず すいません。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2012年02月27日 03:14
               
私は先にこちらを読みました。
『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由』
出版社: エクスナレッジ (2011/7/29)


この中に出てくるテクニックについての詳細をもっと知りたいと思っていたので、ちょうどいいタイミングでした。カバーにも帯にも「世界記憶力選手権」というキーワードが無いのはもったいないですね。危うく読み逃すところでした。
Posted by リンクリーディング at 2012年03月08日 02:14
               
>リンクリーディングさん

コメントありがとうございます。
ご紹介頂いた本もチェックしたのですが、物語形式だったので、自重してしまいました。

こちらはもうちょっとテクニカルというか、多分番組がそういう切り方だったのだと思います。
そして、手元に本がないので帯が確認できないのですが、帯には選手権の記載があったツモリでおりました。
それでもこの本が棚に普通にささっていたら、背表紙やタイトルからはまったくわからないのと、タイトル自体が凡庸なので、ドカーンと売れるタイプではないと思いますね。
ちょっともったいないです……。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2012年03月08日 02:26