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2012年02月22日

【オススメ】『20代で大切にしておきたいこと』川上真史


20代で大切にしておきたいこと
20代で大切にしておきたいこと


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、大前研一さんのビジネス・ブレイクスルー大学院大学専任教授である川上真史さんの「働き方」に関するご本。

アマゾンの書影にはないのですが、帯にはしっかり大前先生の顔写真と推薦文が掲載されており、リアル書店で目立っていました。

アマゾンの内容紹介から。
君は何のために働くのか? どう働くかで人生は決まる。今日から差がつく「生き方の技術」。

タイトルは「ありがちな自己啓発本」のようですが、これがなかなかテクニカルで「濃い」1冊でした!


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【ポイント】

■1.行動は「役割」ではなく「成果」から考える
 多くの人は、自分に求められる「役割」は何か、その役割を果たすためにどう行動すべきかと考えます。たとえば、「自分は営業部門の若手社員だ。そうであれば、顧客を訪問したときに、どう振る舞うべきか」と考えます。でも、このような考え方から出てくるのは、一般的な行動の仕方だけで、大きな成果につながる行動ではありません。
 一方で、「自分は顧客を訪問して、相手の課長に当社製品の採用を決定してもらうという成果が求められている。でも、自分は若手社員なので持っている製品知識も少なく、先方からも高く信頼されていない」「では、その知識や関係を、どう応用し活用すれば,一番効果的に成果につなげられるのだろうか?」と考える人がいます。
 どちらのほうが、成果を生み出せる確率の高い人であるかは明らかです。


■2.達成動機は若いうちに開発する
 ある企業で、高い成果を生み出している人たちを分析したところ、多くの人に共通していたのが、若い頃に、お客様から強い感謝の言葉をもらった経験があることでした。自分としては当たり前のことをやっただけなのに、顧客から感謝されたというのです。そのときの嬉しさから、「もっと喜んでもらいたい」「そうすれば、自分も何度でも、あの心地よさを感じることができる」と思い、仕事に工夫を加え、取り組んでいるうちに、みんな、高い成果を生む社員となったわけです。
 違成動機は、できるだけ若いうちに開発することが望ましいのです。


■3.瑣末な問題に囚われない
何か他の人が見出せない問題や課題を、たとえそれが瑣末なものであったとしても見つけ出し、それを語ることで、「自分は他の人にはわからない問題でも見つけられる優秀な人材だ」と思い込んでいる人が多くいます。
 詳細に課題を見出すこともできず、1つの論理軸だけでいきなり判断するのも問題です。けれども、瑣末な問題を振りかざし、最重要な軸を無視したり否定したりすることは、絶対に避けないといけない行為です。


■4.仕事には楽しさよりも興味深さが不可欠
「楽しく仕事をするのが大切だ」と主張ずる人は多いのですが、「楽しさ」という気持ちや感情は長続きしません。ずっと楽しい気持ちでいることは、まず不可能です。
 ところが、「興味深い」という気持ちは、1ヵ月でも1年でも継続して持ち続けられます。
 みなさんも、「新しいパソコンを買おうと思い立ち、何ヵ月もずっと興味を持って、いろいろな。パソコンについて調べ続けた」といった経験はないでしょうか?
 一方で、「楽しい」という気持ちは、それを感じているときの高揚感が高いがゆえに、その気持ちが消えたときに、あっという間に燃え尽きるケースが多いのです。


■5.拡散思考と収束思考で創造性を発揮する
 拡散思考とは、1つの考えや常識にとらわれず、どんどんと発想を広げていくものです。(中略)
 収束思考とは、いろいろな事象の背景にある共通原因を見出すことや、アイデアを具体的にどのような形にまとめるのかといったことを言います。
 そして、この2つを両方ともできるのが創造性の高い人です。
 創造的な価値を生み出すためには、ただどこまでも拡散するのではなく、また最初から収束させすぎるのでもなく、思いっきり拡散させたあとは、それをしっかりと収束させる、この振幅を繰り返すことが大切です。


■6.自分の強みは事実ベースで理解しておく
安定した自尊感情を持つためには、自分の強みを事実べースで理解しておく必要があります。「自分は実際にこんな能力を発揮して、高い成果を生み出したという事実がある。このことには自信を持ってもよいはずだ」というように、しっかりとした根拠がある事実べースの自信であれば、人と比較する必要はありません。
「とにかく自分は偉い」と思っているだけだと、自分の中に根拠や事実がないので、人との比較に走りがちです。
 くれぐれも、自尊と傲慢を履き違えないようにしてください。


■7.明確な成果イメージが目標の達成意欲を高める
「目標を立てろ」と言われると、多くの人は「何をやるか」を考える傾向があります。「改善提案を10件出す」「担当顧客を毎週一回は必ず訪問する」などです。(中略)

 目標とは、このように「何をやるか」を考えるべきものではありません。
 成果イメージを明確に設定することが重要なのです。つまり、
毎週必ず顧客を訪問することで、最終的に、その顧客とどのような関係を構築したいのか?
改善提案を10件出すことで、何をどれくらい効率アップさせたいのか?
などです。


【感想】

◆冒頭で触れたように、タイトルから想像したものとまったく違う内容で、正直面くらいました。

いわゆる「嬉しい誤算」ではあるものの、帯に大前先生の顔がなかったら、多分手にはとらなかったハズ。

そもそも、このタイトルから「働き方」や「仕事術」がメインの本であることが、どうしてわかりましょうか?

しかも、アマゾンの内容紹介も冒頭の通りで「簡潔なことこの上ない」という有様。

一応、書影の画像に目を凝らすと、太字のタイトルの間にサブタイトル(?)で「君は何のために働くのか? どう働くかで人生は決まる!」ってありますが……って見えねーYO!


◆「嬉しい誤算」なゆえに、やはり付箋を貼りまくったものの、今回はできるだけ各章から選ぶようにしました。

というのも、各章のテーマが多岐に渡っているから。

詳しくは下記目次を見て頂くとして、コンサルティング会社にいらしただけあって、ロジカルシンキング的なお話がある一方で、第9章ではまるごと「ストレスの対処法」のような「心の問題」について述べてらっしゃると言う具合。

この辺は、京大の教育学部教育心理学科出身というバックボーンゆえかもしれません。

それでも全部で10章あるので、泣く泣く割愛した章はあるのですが……。


◆逆に、1つの章からは1つのポイントしか選んでないため、興味深い(って上でありましたねw)内容でありながら、ご紹介できなかった部分も沢山ありました。

例えば第4章は「論理的思考」がテーマなのですが、そこで触れられていたのが「形式的操作の重要性」のお話。

簡単にご紹介しますと、まず思考力は「直感的思考」と「操作的思考」に分かれる、と。

前者は「テレビで言ってたから」のように、「感覚器を通じて入ってきた情報をそのまま使っているもの」であり、後者は「頭の中で操作する」ことにより「情報をよりよい形に変えて活用するもの」。

仕事では当然、後者を用いなければなりません。


◆そしてこの「操作的思考」は、さらに第1段階目の「具体的操作」と第2段階目の「形式的操作」に分かれます。

「具体的操作」は論理軸の数が1つであるのに対し、「形式的操作」は論理軸が複数あり(「顧客のニーズ」と「自社の利益」等)、論理軸の間で葛藤があるため、完璧な答えは出せません。

しかし、これからのビジネスで必要になるのは、この「形式的操作」である、とのこと。

なんでも、ビジネスを行う上では、「少なくとも7つの理論軸を同時に回す必要がある」そうなので、気になる方は、ぜひ本書でご確認下さい。


◆本書はタイトルに「20代」とはありますが、ここまで見てきたように、その内容は決して20代だけのものではありません。

もちろんポイントの2番目のように「若いうちに」達成しておくべきものもあるので、早く読んでおくのに越したことはないのですがw

実は今まで、大前先生のところの教授さんの本で、「大前印」を信じて買って、「(´・ω・`)ショボーン」となったこともありましたが、本書は「当たり」。

お値段も手頃ですし、一度手にとってご覧頂きたい1冊です。


全てのビジネスパーソンに捧ぐ!

20代で大切にしておきたいこと
20代で大切にしておきたいこと
第1章 20代で活躍するために大切にしておきたいこと―知識ではなく知恵が大切

第2章 まだ若いからこそ、大切にしておきたいこと―責任が軽いうちにやりたいことをやってしまう

第3章 いわゆる「常識」にとらわれないために大切にしておきたいこと―「常識」にとらわれてはいけない

第4章 一歩抜け出す発想をするために大切にしておきたいこと―単純な論理的思考からの脱却

第5章 仕事に興味を感じるために大切にしておきたいこと―のめり込む力を高める

第6章 創造性豊かな仕事をする人になるために大切にしておきたいこと―同調するのではなく創造する力を

第7章 リーダーになるために大切にしておきたいこと―異質の人とのシナジーが成果を高めるカギ

第8章 不条理さの中でも生き抜くために大切にしておきたいこと―「はったり」でごまかせる時代は終わった

第9章 ストレス社会を生き抜くために大切にしておきたいこと―いつまでも落ち込んでいてはもったいない

第10章 新しい働き方をするために大切にしておきたいこと―求められているのは変化と進化を使いこなす力


【関連記事】

【反常識?】『仕事をしたつもり』海老原嗣生(2011年09月25日)

【貴方は大丈夫?】『残念な人の仕事の中身 〜世界中の調査からわかった「組織で評価されない人」の共通点』ロバート・W・ゴールドファーブ(2011年08月23日)

【オススメ】『20代の「働き方」』落合文四郎(2011年07月27日)

【仕事論】「若者のための仕事論」丹羽宇一郎(2010年05月14日)

【スゴ本】『20代で人生の年収は9割決まる』土井英司(2010年12月21日)


【編集後記】

◆「コンサルタント」繋がりで、こちらは、元産業再生機構の冨山和彦さんの新刊。

IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書)
IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書)

結構ガチな内容のようなので、私に理解できるのか不安ですがw


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