2012年02月07日
【スゴ本】『20歳の自分に受けさせたい文章講義』古賀史健
20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、かなり実戦的な文章術のご本。著者の古賀史健さんは、本書が単著デビューとはいえ、ライターとして既に80冊の書籍を手がけている「プロの物書き」さんです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
どうすれば自分の気持ちや考えを「文章だけ」で伝えることができるのか? この授業のスタート地点はそこにある。そう、僕らは「話せるのに書けない!」のだ。人に口で伝えることはできても、それを頭の中で文章に変換しようとすると、とたんに固まってしまう。メールの一通すら、うまく書けない。「話すこと」と「書くこと」はまったく別の行為なのだ。決して「同じ日本語じゃないか」などと思ってはいけない。この授業では、現役のライターである僕が、現場で15年かけて蓄積した「話し言葉から書き言葉へ」のノウハウと哲学を、余すところなく伝えていく。
テクニカルな記述が多く、私自身ブロガーの一人として、非常に参考になりました!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.文章の視覚的なリズムを改善する視覚的なリズムを損なうもの、それは圧迫感である。スカスカではいけないが、文字を詰め込みすぎてもいけない。
そこで句読点によって「文字間=縦」の圧迫感を解消し、改行では「行間=横」の圧迫感を解消する。そして漢字とひらがなのバランスを整えることで「字面そのもの」が持つ圧迫感を解消するのだ。
この3つを意識的に使いこなせば、視覚的なリズムはずいぷんよくなるはずである。
■2.断定する箇所の前後を論理で固める
どんな正論であろうと、どんな暴論であろうと、強く断定してしまえば条件反射としての反発は当然出てくる。そして、もしも文章のなかに論理の破綻した箇所があったら、読者はその一点を総攻撃してくる。
だから断定を使った文章では、いつも以上に論理の正確性が求められる。特に断定した箇所の前後2〜3行には細心の注意を払おう。
■3.論理展開のマトリョーシカ人形
論理的な文章のマトリョーシカは、次の3層になっている。
(1)大マトリョーシカ 主張……その文章を通じて訴えたい主張
(2)中マトリョーシカ 理由……主張を訴える理由
(3)小マトリョーシカ 事実……理由を補強する客観的事実
いちばん大きな「主張」の人形を開けると、なかにはちゃんと「理由」が入っている。そして「理由」の人形を開けると、そこには小さな「事実」が入っている。
つまり、中身のスカスカな主張ではなく、フタを開けるとしっかりとした理由があり、理由を支える事実がある。この3層構造が守られているのが、論理的文章なのだ。
■4.文章を図にして考える
対象となるキーワードを書き出し、マルや四角で囲んで、矢印でつなげていく。(中略)
たとえば、「映画」→「絵コンテ」→「なぜか?」→「頭のなかを可視化してイメージを共有」→「文章でもやるべき」→「なぜか?」→「構成を眼で考える」→「しかも、頭の"ぐるぐる"を可視化できる」というように、キーワードを矢印でつないでいく。ポイントは、随所に「なぜか?」を入れていくことだ。
こうすると、読者が疑問に思う部分も理解しやすくなるし、自分でもうまく整理できていなかった解が見えてくるはずである。
■5.「10年前の自分」に話しかける
あなたはいま、ある情報を手に入れている。知識かもしれないし経験かもしれない。ともかく有益な情報だ。
そして有益な情報とは、往々にして「もしこれを10年前に知っていたら!!」と思わせるものである。10年前に知っていたら、自分の人生は変わったかもしれない。(中略)
もし、そんな思いがあるとしたら「10年前の自分」の椅子に座ればいい。「10年前の自分」に語りかけるようにして書けばいいのだ。
■6.冒頭に「真逆の一般論」をもってくる
「起"転"承結」の構成においてもっとも大切なのは、「"転"にどんな仮説や疑問を持ってくるか?」ではない。ポイントは。"転"ではなく"起"だ。「冒頭にどんな一般論を持ってくるか?」こそが、もっとも大切なのである。(中略)
あなたが「プロ野球は最高に面白い!」と主張したいのなら、冒頭は「プロ野球人気の凋落が叫ばれて久しい」と、真逆の一般論で始めなければならない。
真逆の前提があってこそ、あなたの主張が"転"として機能する。大胆な仮説や疑問を投げかけたように思わせ、読者の興味を引きつけることができるのだ。
(詳細は本書を)
■7.自分の文章に客観的に向き合う施策
たとえば僕の場合、普段はMac用の「iText Pro」というテキストエディタで原稿を書いている。フォントはゴシック系の「ヒラギノ角ゴシック」。どんなに長い文章でも(たとえばこの講義の原稿も)画面上では横書きで書く。(中略)
そして行き詰まってくると、原稿をマイクロソフトの「Word」にコピー&ぺーストする。さらにフォントを明朝系(たとえばMS明朝)に変えて文字を縦書きに変更する。「ワープロソフトの変更」「フォントをゴシック系から明朝系へ変更」「横書きを縦書きに変更」と、見た目を完全に変えてしまうのだ。
こうすると、視覚的にまったく別角度から眺められるようになり、自分の文章に対してかなり新鮮かつ客観的に向き合うことができるようになる。
【感想】
◆いつも通り(?)7つほどポイントを挙げてみましたが、1つひとつが「大ネタ」なので、結構お腹いっぱい。しかも泣く泣く割愛した箇所も多かったので、読後も充実感がありました。
なお、上記で挙げた部分も、出来る限り引用量を抑えた関係上、若干分かりにくい点もあるので、いくつか補足を。
まず、冒頭の「視覚的なリズム」の句読点についてですが、古賀さんは「1行の間に必ず句読点をひとつは入れる」というルールを設けているのだとか。
それでも入らない場合には「カッコを入れて対応する」とのこと。
……今カッコ書きを使ってみましたが、確かに句読点と同じような効果があるカモw
◆一方、2番目の「断定」は、私が苦手とするところ。
事実を述べる分にはいいのですが、自分の考えなり主張を断定するには、まだ抵抗感があります。
実際、当ブログではほとんど断定をしたことがないハズ。
ただし古賀さん曰く「言葉に含まれる微妙な"逃げ"や"保険"には、みんな敏感に察知」し、「一旦『逃げている』とか『ごまかしているな』と思われたら」、「あなたの言葉に説得力を感じる人は、ほぼ皆無になるだろう」とのこと。
それゆえ断定をすべきなのですが、その場合には上記のように「断定した箇所の前後2〜3行には細心の注意を払う」べし、と。
これは機会があれば、留意してみたいところです(若干後ろ向きw)。
◆ポイントの最後のお話については、私自身わざわざブログの文章を縦書きしたことはありませんが、かつて『月刊宝島』に季刊連載をしていた頃、原稿用紙タイプのエディターを使っていたことが。
VerticalEditor - ダウンロード
最初の元原稿は、Windowsの「メモ帳」で横書きで打ち、それをこのエディターに入れると、縦書きでかなり違った印象になります。
私の場合、雑誌の最終原稿が縦書きなので、そのイメージに近づけるためにこのエディターを使ったのですが、推敲に使うのも良いかもしれません。
ビジネス文書も、こうして視点を変えてチェックすれば、おかしな点やミスに気がつきそうですし。
◆ちなみに今回、付箋を貼りながらも割愛した箇所から、いくつか抜粋してみます。
●リズムのカギは接続詞にある
●ローリング・ストーンズに学ぶ文章術
●"面倒くさい細部"を描く
●「大きなウソ」は許されるが、「小さなウソ」は許されない
●伝わる文章は"オレンジジュース"
なかなか面白そうでしょう(ネタバレ自重w)?
文章を書く方すべてに捧ぐ!
20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)
はじめに 「話せるのに書けない!」のはなぜか
ガイダンス その気持ちを翻訳しよう
第1講 文章は「リズム」で決まる
第2講 構成は「眼」で考える
第3講 読者の「椅子」に座る
第4講 原稿に「ハサミ」を入れる
おわりに
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【編集後記】
◆古賀さんが「文章を図にする」際に使っているのが、ロディアの大小2つのメモ帳です。ブロックロディア No.13【方眼】 cf13200
ブロックロディア No.16 【方眼】(148×210mm) cf16200
私もロディアを試してみたことが以前ありましたが、貧乏性なので、どうしても大胆に使えなかったというw
ご声援ありがとうございました!
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こんばんは、タッキーです。
「一旦『逃げている』とか『ごまかしているな』と思われたら」、「あなたの言葉に説得力を感じる人は、ほぼ皆無になるだろう」
この部分がとてもグサッときました。
「一旦『逃げている』とか『ごまかしているな』と思われたら」、「あなたの言葉に説得力を感じる人は、ほぼ皆無になるだろう」
この部分がとてもグサッときました。
Posted by タッキー@自己啓発&感動大好き at 2012年02月07日 23:12
>タッキーさん
いやもう、私なんて逃げまくりですからねー(汗)。
ホント冷や汗ものですよ。
逆に、小飼 弾さんとかは、断定しまくりですよね。
あんな風にバッサバッサ「弾言」したいものです(遠い目)。
いやもう、私なんて逃げまくりですからねー(汗)。
ホント冷や汗ものですよ。
逆に、小飼 弾さんとかは、断定しまくりですよね。
あんな風にバッサバッサ「弾言」したいものです(遠い目)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2012年02月08日 05:51
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