2012年02月04日
【必読!】『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕
10年後に食える仕事、食えない仕事
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「MyNewsJapan」のオーナー社長兼編集長である、渡邉正裕さんの最新刊。前作、『35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書』は、当ブログでも大人気でしたが、本書はそれに匹敵する「スゴ本」でした!
*120205追記:「MyNewsJapan」でも本書の紹介記事がアップされました!(渡邉さん、ご紹介感謝です)
『10年後に食える仕事、食えない仕事』単行本発売:MyNewsJapan
アマゾンの内容紹介から一部引用。
グローバル化やIT化の進展によって、日本人の職の72%が急速に価値を失いつつある。世界経済の悪化が、その変化のスピードをさらに早めるだろう。
失業は増え、給料の下落は止まらない。本書は、この困難な時代に立ち向かうために書かれた「仕事・職の航海図」だ。あらゆる仕事・職を4つに分類、日本から消えゆく職業、逆に最後まで残る仕事などを豊富なカラー図版やチャートを使って分析しながら、では私たちはどのように対処すべきかを明快に論じる。
職の本で定評のある著者が放つ衝撃の一冊。就活中の学生も、現状に不安を感じているビジネスパースンも、定年後の再就職先に悩んでいる世代も必読です。
思わず付箋も貼りまくり!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.「日本人メリット」を意識せよある特定の職業においてのみ、生え抜きの日本人というだけで、仕事上で絶対的な優位に立てるメリットが生じる。このような、「日本で生まれ育った日本人でないと身につけづらい特殊性」を、本書では「日本人メリット」と呼ぶ。(中略)
今後、グローバル化が進めば進むほど、この日本人メリット」の価値が再認識されるようになるのは確実だ。なぜなら、日本人メリットを活かせない仕事では、世界70億人のなかでの激烈な競争になっていくが、日本人メリットが活かせる仕事ならば、マックス1億人と、いきなり70倍も競争率が下がるからだ。日本人メリットを活かせる職に就くことで、ハングリー精神旺盛な新興国の人たちとの不毛な消耗戦、血みどろの戦いを避けられるのである。
■2.大連に集積するコールセンター
10年前なら、日本国内の都市、せめて税制優遇措置のある沖縄県内のコールセンターに勤め、初任給15万円くらいは貰えていたはずの日本人の給料が、一瞬にして、問答無用で3分の1に切り下がった。これが「重力の世界」の怖さである。そして、一度下がった水準が戻ることはない。相場が上がりそうになったら、べトナム、カンボジアと、安いほうに移転していくだけである。
■3.会計士の仕事もボーダーレスに
今後、会計士や財務・経理担当者の仕事内容も、国際財務報告基準書(IFRS)など会計基準のグローバル化にともない、共通化してゆく。10年後までを考えると、日本人メリットは減る一方であろう。会社の会計実態を世界中の投資家向けに説明するのに、日本語である必要はない。日本独自の方式でやられたら、大企業が海外から資金調達をする際の障害になるだけだ。
■4.輸出競争力がある日本の「チームワーク力」
「中国では、独立した1人ひとりのオヤジは技術を持っているんだけど、組織文化として、根付かない。『中国人は、個対個はライオンだが、群れるとネズミになる』とよく言われます。アシストできない国民性なのでサッカーも強くならない。個人が目の前のカネにしか興味がないから、刃物の要素技術など基礎技術が、組織として蓄積されていかないんです」(ウノコーポレーション・字野俊雄社長)
■5.弁護士は日本人メリットの権化
弁護士も、日本の裁判所の裁判官が日本人のみである以上、日本語の微妙なニュアンスを操れる日本人でなければ、知らず知らずのうちに心証を害して不利だ。証拠主義とは名ばかりで、実際の判決は、裁判官の「心証」、つまり言動から受ける印象で決まることは多く、反省しているとみなされれば罪は軽くなり、よって反省の意を示す言葉が重要となるなど、恣意的で曖昧な運用が日本の司法の実態である。
■6.国境を越えにくい建築、不動産
不動産関係の職業(建築士や不動産鑑定士)も、日本人メリットが残る分野である。「情報」や「金融」が一瞬で国境を越えるのとは対照的に、「土地・建物」と
「国民」は、国境を越えにくいビッグ2で、建築士(1級、2級、木造、構造、設備)の仕事は、このビッグ2の間を行き来する仕事だから、海外からの障壁が著しく高くなるわけだ。(中略)
建築士業務の一連のプロセスで、インドや中国にオフショアできるのは、ITの下請け部分のみ、つまりCADを使った単純な図面設計作業くらいで、これは(1)「重力の世界」である。
■7.サービス精神も輸出競争力がある
インド・中国には、日本人にとっては空気のように当然のことであるサービスという概念がない。幼児保育など、インド人や中国人には、心情的に怖くて預けられないだろう。理容師、美容師といったサービス業も、輸出競争力がある。我々は、強みを活かすことを、もっと真剣に考えねばならない。抜け目ない外資のゴールドマン・サックスに温泉旅館を買収されまくっている場合ではない。
【感想】
◆本書を読み進めてゆく上で、最初に理解しておかねばならないのが、「はじめに」で紹介されている「グローバル化時代の職業マップ」。これは縦軸にスキルタイプ(知識集約的か技能集約的か)、横軸に日本人メリット(の大小)をとったもので、その4象限は以下の通りになります。
(1)重力の世界
・グローバルの最低給与水準に収斂される(2)無国籍ジャングル
・平均賃金が日本の20分の1のインド人、中国人との勝負
・世界70億人と仁義なき戦い(3)ジャパンプレミアム
・"超成果主義"の世界
・勝ち残れば青天井
・日本人ならではのサービスマインド、職人気質、チームワーカースピリット(4)グローカル
・日本人の強みを活かしつつ、高付加価値スキルで勝負130319追記:なにやらモロにこのマップが掲載されているところがあるんですがw
・日本市場向けの高度専門職
ねたたま : ★グローバル化時代の職業マップと代表的職業 - ライブドアブログ
◆ここで注目すべきが「日本人メリット」であり、今よく言われている「グローバル化」の話だと、その辺が加味されず、上記のマップの左側半分だけで終わっている気が。
つまり、「インド・中国にとって代わられる仕事」は消えゆく運命にあるから、英語を勉強して世界で戦おう、もしくは世界に通用するビジネスを生み出そう、という「まず世界ありき」の印象を受けます(って私だけ?)。
本書では、「日本人メリット」とは無関係に「世界を目指す」象限を上記のように「無国籍ジャングル」と命名。
丁度、「MyNewsJapan」でその部分について本書の内容が一部公開されていますので、そちらもご覧ください。
10年後に食える仕事-4 「無国籍ジャングル」で戦うということ:MyNewsJapan
おっと、続きは「MyNewsJapan」の会員になるか、本書を読んでご確認をw
◆その「日本人メリット」を活かす象限のうち、士業が含まれるのが「グローカル」。
上記ポイントにもあるように、弁護士や建築士、不動産鑑定士は10年後も「食える」とのこと。
ところが同じ士業でも公認会計士の未来は明るくなく、現在規制で守られている「監査業務」ですら、将来的には危ういようです。
また、同じく「日本人メリット」を活かす「ジャパンプレミアム」の「チームワーク力」や「サービス力」は、むしろ海外に輸出できるクオリティをも持つのだとか(これまた詳細は本書にて)。
◆本書の第4章では、「私たちの現在、または将来的に目指す職業がどのエリアなのか」をチャートにて判定。
さらに、それを踏まえた上で、第5章で「10年後の生き残りかた」を指南してくれています。
具体的には、「エンジニア系」「セールス系」「バックオフィス系」それぞれにポジショニングマップを完備。
さすが、あらゆる業界のビジネスパーソンから情報を収集している渡邉さんだからこそ、ここまでまとめ上げられた「スゴ本」だと思います。
すべてのビジネスパーソン必読!
10年後に食える仕事、食えない仕事
はじめに─正しい航海図を持とう
1章:いま、何が起きつつあるのか
2章:「日本人メリット」で食える仕事の条件
3章:各エリアの職業とその特徴
4章:判定チャート─10年後、あなたの仕事はどうなるのか?
5章:10年後の生き残りかた
6章:10年後の「日本人の雇用」
おわりに─「頼れるのは自分だけ」の社会で
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【編集後記】
◆あくまで「無国籍ジャングル」を目指す方へ180日でグローバル人材になる方法
『自分をグローバル化する仕事術』の天野雅晴さんの最新刊です!
ご声援ありがとうございました!
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