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2012年01月29日

【サッカー】『走り続ける才能たち - 彼らと僕のサッカー人生』安藤隆人


走り続ける才能たち - 彼らと僕のサッカー人生
走り続ける才能たち - 彼らと僕のサッカー人生


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現サッカー日本代表の選手たちの若き日の奮闘記。

まだ「ダイヤの原石」だった彼らを、高校選手権や国体時代から追いかけていた著者だからこそ知り得た「知られざる肉声」が満載でした。

アマゾンの内容紹介から。
どのようにして世界に羽ばたいたのか?活躍し続ける彼らの言葉がここにある。本田圭佑、香川真司、岡崎慎司、細貝萌、槙野智章、内田篤人…。選手たちの“あの時”と“今”。ユース年代を追い続ける著者渾身の書き下ろし。

今やザックジャパンの中核を占めるようになった彼らを、もっと知りたいなら必見です!


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【内容】

■北京世代の3人

◆本書の第1章で主に取り上げられているのが、本田圭佑、岡崎慎司、細貝萌の3人の選手。

当時、銀行員でありながら、サッカージャーナリストを夢見て、高校サッカーを取材してた安藤さんが、常に気になっていたのがこの3人でした。

まずは今と変わらない、ふてぶてしい(?)本田選手。
「俺がもっとチャンスを作らないといけなかった。もっと俺が周りを動かせるようにならないと勝てないし、そこは自覚している」
これは高校選手権の地区予選準決勝で勝利した後の発言なんですが、この時まだ1年ですよ。(´Д` )

本書での発言も9割方こんな感じw

ただ、ごくまれに、こんなことも言ってます。
「俺って凄くポジティブな性格だけど、裏を返せば、実は凄く不安な性格なんです。不安だから努力しようと思う。簡単に言えば強がっているんですよ」
こういう発言も、安藤さん相手だからなのかも。

奇遇にも彼の希望していたビッグクラブへの移籍がほぼ(?)決まった模様。

本田 ラツィオに移籍が決定!早くも会長と会食 (スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース


◆一方ザキオカさん(岡崎選手)は、やはり1年から選手権には出場していたものの、謙虚でした。

プロを目指しつつも、ケガをして思うようなプレーができない時の彼からは、こんな弱音も。
「正直『俺ってこんなもんだったのか』って思っています。昨年まではボールを奪われたとしても、それは年上の人だった。でも、今は同学年か年下。もう言いわけできない状況になっているのにゴールも奪えないし、自分のプレーができていない。もう大学に進学したほうがいいんじゃないかって……」
そんな彼を必死に励ます安藤さん。

高校選手権で活躍したとはいえ、まだJリーガーでもない彼らの相談に乗っていた安藤さんは、あることを考えるようになります。
まだまだプロフェッショナルではない自分が、彼らがプロフェッショナルになるための決断を手伝い、時にアドバイスをした。彼らがプロになるのであれば、その責任として自分もプロになる必要があるのではないか。日に日にそう考えるようになった。プロへの決断を後押ししておいて、自分はアマチュアとして生きるのはアンフェアじゃないのか。自問自答の中で導き出した答えが、銀行を辞めて上京することだった。
実は本書は、安藤さんの成長記でもあったのですね。

「"好き"を仕事にする」ことをお考えの方なら、そういう視点で読むのもまた良いかと。


◆そんな安藤さんの古くからの活動を懐かしむ、細貝選手の言葉。
「こちらこそ。僕も感謝していますよ。基本的に高校生の時ってメディアの人というか、そもそも記者の人が現場に来ないじゃないですか。スボーツ新聞も基本的に来ない。プロになったら、毎日どこかの新聞社の人やライターの人がいるけど、当時は全くいない状態だった。そんな中でライターの人と会ったのも初めてだったし、こんなにサッカーを好きな人と話す機会はなかったから、凄く頑張らないといけないなって自分の中で、大きなモチべーションになりましたね。他の選手がたくさんいる中で、自分を見に来てくれたりしたから、『もっと俺は頑張らないといけないな』って思っていましたよ」
これは最終章で、海外で活躍する「かつての高校生」たちを取材した際のもの。

そう、細貝選手も1年の頃から安藤さんに取材されていたので、つきあいは10年にも渡るとか。

こうした「長い付き合いだからこそ聞ける本音」も、本書の魅力の1つです。

細貝クン、初アシストおめ!

細貝ドイツ移籍後初アシスト/ブンデス - ブンデスニュース : nikkansports.com


■調子乗り世代とともに

◆北京世代の3人は、安藤さんが高校選手権を中心に、個人について追ったものであり、ユース日本代表として取材をしたのは、その下の俗に言う「調子乗り世代」になります。

本書の第2章は、この「U20サッカー日本代表 2007年カナダ大会」のメンバーの活動記録。

中心となったのが、柏木陽介選手、槙野智章選手、安田理大選手の「お調子者トリオ」(?)です。

特に有名なのが、2007年カナダ大会での一連のパフォーマンスかと。




◆ちなみに内田篤人選手は、ほぼ全員が参加するこのパフォーマンスには加わっていません。
「実は初戦はあんなパフォーマンスをするなんて知らなかったから(笑)。そもそも恥ずかしい……。もしあの後失点してしまったら嫌じゃないですか。俺は点を取って喜んだ後にすぐに失点した嫌な思い出があるから」
今のウッチーと変わらないスタンスですな。

おっと、こんな記事もあったゾw

「なれるものなら篤人のカノジョ(ハートマーク)」 JUNON3月号の内田篤人特集も凄まじい破壊力!!! - SOCCER UNDERGROUND 小ネタ BLOG


◆そして実際に、上の動画の試合では、2点取った後にPKで2点返されて、延長戦に。

そこでも決着つかずに(動画にはありますが、相手のハンドくさいシーン有)、PK戦で負けちゃったんですが……。

「この敗戦を正直受け入れられない」と、思わず槙野選手に言った安藤さん。

それを受けて槙野選手も。
「できることなら、2-0の時間に戻りたい。あそこからすべてが変わってしまった。こんなこと言ったらいけないんだろうけど、やっぱりあの時間に戻りたい」
(´;ω;`)ブワッ


■遅れてきた男、香川

◆ところで上記の動画で、相手の「ハンドくさい」シーンを演出したのが、シュートを打った香川真司選手。

実は彼は、当初このチームの中心選手ではありませんでした。

それどころか、ユース日本代表がまだU18だった頃にはまだ無名の存在で、仙台カップ国際ユースサッカーでは対戦相手である「U18東北選抜」の一員だったという。

ところが試合は、その地域選抜が日本代表を圧倒する結果に。
U18日本のスタメンには槙野、吉田麻也(現・VVVフェンロー)、内田、安田、ハーフナーが出場していた。開始早々の前半6分にハーフナーが先制するまではよかったが、徐々にパスミスが目立ってきたU18日本に対し、東北選抜はピッチを広く使い、奪ったボールを速いテンポでつないで、一気にゴール前に攻め込むサッカーを展開。この中心にいたのが、背番号17番・香川真司だった。(中略)

後半に入っても東北選抜の勢いは止まらず、3ゴールを決め、終わってみれば東北選抜が5-2の大勝。
後半のシュート数が東北選抜13本に対し、U18日本は2本。タイムアップの瞬間、U18日本代表の選手たちはその場に呆然と立ち尽くし、しばらく動けなかった。
それはそうでしょうねぇ……。


◆その試合後の香川選手の談話。
「相手は有名な人ばかりだったのでやりがいがあったし、ここで僕らが勝てれば、代表に呼ばれるチャンスがあるのかなって思いました」
その後、香川選手が代表にピックアップされたのは当然のことでした。

本書の第3章では、この香川選手にフォーカス。
「俺は常に負けたくないという気持ちを持ってる。FCみやぎの時も、有名な同年代の選手はたくさんいて、負けたくなかった。カナダの時も、みんなに負けたくなかった。J2でプレーしている時も、J1でやっている選手に対して悔しい思いを持っていた。常に身近に同年代の輝いている選手がいたので、ずっと悔しい思いをしていたんです」
今やフル代表で10番を背負う男の、高校1年から現在までの躍動する姿がここにあります……。

さっそく大活躍のニュースも入っておりますがw

芸スポまとめblog : 【サッカー】ドルトムント香川真司、2ゴールを決め今季6点目! 全得点に絡む活躍、優勝を争うチームを牽引 - ライブドアブログ


【所感などなど】

◆本書を読んで、まずは、著者の安藤さんがご自身がアマチュアの頃から「プロのライター並みに」サッカーにのめり込んでいることに圧倒されました。

それも代表の試合やJリーグの試合ではなくて、ユース世代の高校サッカーですから。

しかも「プロ」になってからは、国内だけでなく海外にも遠征。

フル代表の試合で海外遠征する方は、たまにいらっしゃいますが、ユース世代でここまでやる方も普通いないのでは?

中国湖南省・長沙、インド・バンガロール、ポルトガル・モウラ……。

フル代表の試合会場と違い、ユース世代の試合は辺境(バスで3時間とか)で行われることが多く、モウラでは香川選手に「こんなところまでどうやって来たんですか?」と問われる始末ですw


◆私なんぞ、ユース世代やオリンピックで目を付けた選手がフル代表に選ばれたりすると、「昔から知ってたけど、確かに彼は当時から光っていたね〜」みたいな「ミサワ発言」をしてしまうのですが、安藤さんの場合は高校1年とかからですから。

それも、地方大会や国体のようにテレビで放映されないような試合まで見に来てくれているのですから、選手の方も本音ベースで話をしてくれるのも当然と言えます。

上記の細貝選手の言葉にも、それが現れているかと。

いや、それにしても、現在のザックジャパンの多くの選手が、安藤さんが7〜10年ベースで付き合ってきた面子というのもスゴイですよね。

逆に、途中から下剋上のように現れた長友選手については、全く触れられていないんですがw


◆完全に余談なんですが、本田選手、岡崎選手が1年時の全国高校サッカー選手権大会で、安藤さんが目を付けていた一人の選手がいました。

それはベスト4に食い込んだ桐蔭学園の背番号7の齋藤智裕選手。

……って、後の水嶋ヒロなんですけどねw

本書には当時の短髪の齋藤選手のプレー時の写真もあるので、後づけではない模様。

結構ガチにサッカーの才能もあったようですw


日本代表戦士の若き日の姿がここに!

走り続ける才能たち - 彼らと僕のサッカー人生
走り続ける才能たち - 彼らと僕のサッカー人生
●プロローグ 全国を飛び回る日々の始まり
●第一章 突破する者たちの原点
●第二章 「調子乗り世代」を追いかけて
●第三章 香川真司という男
●最終章 彼らの言葉


【関連記事】

【サッカーファン注目!】『観察眼』遠藤保仁,今野泰幸(2012年01月18日)

「野洲スタイル」山本佳司(2007年01月18日)

「オシムジャパンよ!」フィリップ・トルシエ(2007年05月17日)

「敗因と」金子達仁,戸塚 啓,木崎伸也(2007年01月05日)


【編集後記】

◆本書にも登場する本田、岡崎、香川らが活躍するアジアカップのDVD。

日本代表激闘録 AFCアジアカップ カタール2011 [DVD]
日本代表激闘録 AFCアジアカップ カタール2011 [DVD]

久しぶりにあの感動が味わいたくなりました。


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