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2012年01月18日

【サッカーファン注目!】『観察眼』遠藤保仁,今野泰幸


観察眼 (角川oneテーマ21 A 149)
観察眼 (角川oneテーマ21 A 149)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、サッカー日本代表でお馴染みの遠藤保仁選手今野泰幸選手の肉声が記された1冊。

丁度一昨日アナウンスがあって、申し合わせたかのように二人はチームメイトになったワケなのですが。

DF今野泰幸選手 FC東京より完全移籍加入のお知らせ:ニュースリリース | ガンバ大阪オフィシャルサイト

アマゾンの内容紹介から。
ボランチの遠藤と最終ラインの今野。2人はどのようにチームを見ているのだろうか。勝っている時、負けている時の在り方は? 90分の試合だけでなく、シーズンを通してチームを見つめる、その視点を明らかにする。

来月から再開されるアジア最終予選を前に、サッカーファンなら読んでおきたい1冊かと。


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【ポイント】

■日本代表で求められるセンターバックとは?

◆現在、日本代表のセンターバックを務める今野選手。

センターバックとしては、「身長が足りないのでは?」と言われながらも、ザッケローニ監督からは重用されているのはご存知の通り。

それに関して今野選手ははこのように述べています。
 ザッケローニ監督は、DFがガンガン上がるのは、あまり好きじゃないように感じます。ただ、ビルドアップとかボール回しには「センターバックが積極的に関わるように」と言われます。サイドチェンジしたら、なるべく早く縦に入れろとか。本当はセンターバックから縦パス1本でFWに繋がって、そのままゴールというのが理想ですけれど、なかなか上手くいきませんよね。
 でも、今のチームは後ろから繋いでいくという意志統一はできています。
「後ろから繋ぐ」というのは見ていても分かるのですが、それならば繋げて高さもある闘莉王選手を何故使わないのか、という声もあったんですよね。

でも、「DFがガンガン上がるのは、あまり好きじゃない」というのがホントなら、それもしょうがないのかもしれません。


■今野選手の語る遠藤選手の凄さ

◆遠藤選手が、現在の代表において「代えのきかない選手」の一人なのですが、その遠藤選手についての今野選手の評価を。
 後ろからボランチのヤットさんのプレーを見ていると、感心することばかりです。自分もやっていたからこそ分かるっていうのもあるんですが、本当にヤットさんはすごい。
 例えば、試合中にこちらのセンターバックがサイドに引き出されることがよくあります。その時、素早くセンタリングを上げられると、ぺナルティボックス内の守備の人数が足りなくてピンチになるんです。そんな時、ヤットさんは、センターバックのポジションにすっと入ってくれているんですね。すごく当たり前に思えることかもしれないけれど、そういう気遣いのあるポジショニングとかカバーって意外とできる人が少ないんです。
さすがセンターバックらしいご意見w

さらに攻撃面でもこのように。
 攻撃面でも、すごく簡単にプレーしているように見えるけれど、そのすべてがメッセージ付きの優しいパスというか、受け手が次のプレーをしやすいようなパスを出してくれる。バックパスもただ後ろに下げるんじやなく、「次はここにパス出せよ」っていうメッセージが込められているんです。当然、受ける方は楽ですよね。
ちなみに、このバックパスについては、遠藤選手が力説してますので、後でご紹介します。


■本田圭佑選手の存在感

◆日本代表で、遠藤選手に負け時劣らず存在感のあるのが、本田圭佑選手。

タイプが違う本田選手については、今野選手はこのように評しています。
 圭佑の場合、「どんな状況でも俺に寄こせば、なんとかしてやるから」って雰囲気が身体から発せられています。試合によっては相手に押し込まれて苦しい時間が続くことがありますが、そこに圭佑がいれば、「しっかり繋げ、俺に出せ」というメッセージがこちらに届く。南アフリカワールドカップは、そうして結果を出したからね。そういうチームに自信というか安心感を与えてくれる存在感のある選手は、なかなかいない。
確かに、南ア大会や、その後のアジアカップでも、本田選手の活躍ぶりは頼もしかったですが、それは選手にとっても同じだったようです。


■「遠藤選手大好き」な今野選手

◆今野選手は、ピッチ上だけでなく、ピッチの外でも「遠藤選手ラブ」な模様。
 ワールドカップ予選では、国内でも海外遠征でも、選手には基本的に個室が与えられます。でも自分は部屋にこもらないで、ほとんどヤットさんの部屋にいます。
この話は本書を読むまで知りませんでした。

それで部屋で何をしているのかというと、主にサッカーの話をしているのだそうですが、それだけに留まらず……。
それから、引退後のことや将来についても話をしますね。引退して「何か商売しようかなあ」とか、「ヤットさんが監督だったら自分はコーチをやります」とか。
そこまで遠藤選手に心酔していたとはww
ヤットさんはいい人だから、「もう、帰れよ」とか言わず、ずっと付き合ってくれるんです。それで眠くなったら部屋に帰ってます。
それって、変ですかね?
結構「変」だし、遠藤選手にとっては「いい迷惑」だと思われww

ちなみに第2部の対談で、遠藤選手からこの件に関しては次のような発言が。
遠藤 べトナム戦(2011年10月)が終わった後、夜中の12時半ぐらいに部屋に来たのはビックリした。普通に「反省会やりましょう」って。俺、べトナム戦に出てなかったんで、翌日は朝から練習。早く眠りたいって思っていたけど、嬉しそうに来るからね。まあいいかって、やったけど。
コンちゃん、少しは自重汁www


■相思相愛の二人の巻w

◆引き続き対談部分から。

今野選手、何やら移籍希望のような発言をしておりますw
遠藤 今ちやんは、もう代表のレギュラーのセンターバックで中心選手なんだから、もっと自信、持ってやればいい。

今野 ヤットさんに、そう言われると嬉しいですね。自分はヤットさんと一緒にプレーするのがすごく楽しい。クラブでも一緒にやりたいぐらいです。それにプロサッカー選手として、すごく勉強になります。ヤットさんの言っていることは、ほとんど全て正しいと思っているんで。
何やら「宗教」のような気がww

「ヤット教」かYO!!

でもこの発言に続いて、遠藤選手からも今野選手に対するラブコール(?)が。
遠藤 褒め殺しか(笑)。代表で、今ちやんがセンターバックに入ったのは大きいと思うよ。一般的には「背が低い」とか、「佑二(中澤・横浜F・マリノス)や闘莉王がセンターバックの典型的なタイプだ」みたいに言われるけれど、要はセンターの高さと強さを取るのか、それとも後ろからのビルドアップを取るのか、どっちを取るのかってことでしょ。それは、監督の好みの問題だけど、俺はどんな選手がセンターバックに入っても後ろから繋ぐことを要求する。そういう意味で、今のセンターバックの今ちやんも麻也(吉田・VVVフェンロ)も繋ぐ意識がすごく高いんでやりやすい。二人だと俺の頭の上をボールが通り過ぎていくことがほとんどないんでね。
この対談が行われた時は、当然まだ移籍が発表もされておらず、そもそも、元旦の天皇杯の決勝(今野選手のいたFC東京が優勝)も行われていないハズ。

でもその前の時点で、すでに二人の間では「一緒にやろう(*´д`)(´д`*)ネー」状態だったようw


■4人の代表監督下でプレーした遠藤選手

◆さすがベテランだけあって、ジーコ氏、オシム氏、岡田氏、ザッケローニ氏と4人の監督の下でプレーした遠藤選手。

それぞれの監督のチームでの、自分の役割についてこう述べています。
ジーコが監督の代表はバランス重視で、第1ボランチが攻め上がれば、第2ボランチは必ず守備をするという感じだった。オシムさんには、俺がボランチだろうが二列目だろうが、とにかく相手の嫌るプレーをして、ゴールに絡むプレーをしろと言われていた。岡田さんの4-1-2-3というシステムではアンカーがいたから、俺は守備よりもより攻撃に絡むことを重視していた。ザッケローニ監督の場合は、とにかくボールに絡んで、ゲームを動かすことを要求される。言葉にすればシンプルだけど、より細かい動きが求められている。
 ただ、どの監督の時でも俺のスタイルは変えていない。
 最近では、それが逆に良かったのかなとも思っている。
 これだけ多くの監督の下でプレーしているのに、不思議なことに試合中、歴代のどの監督からも指示らしい指示を受けたことがない。
指示をされないのは、おそらく試合中も流れが読めているからではないか、と。

あと、今さらですが意外だったのは、黄金世代であり、トルシエ氏率いるU-20日本代表でプレーしているのに、トルシエジャパンでは1度も代表になっていないこと。

トルシエ氏からは、やたらガミガミ怒られていたので、苦手だったらしいですがw


■バックパスの重要性

◆ところで、上記でちょっと触れたように、遠藤選手はバックパスにも「こだわり」があります。

おそらく本書の中で、一番熱がこもっているのがここ。
 バックパスは、すごく重要だと思っている。
 バックパスには「逃げる」っていうイメージがあるかもしれないけど、FCバルセロナだって相手ゴール前まで行っても、状況が悪ければバックパスをしてやり直している。FCバルセロナがバックパスしても何も言われないけど、日本代表の試合で俺たちがバックパスするとブーイングが起こる。
 正直、「なんで?」と思っている。
 もう少し、バックパスの有効性を理解してほしいと思う。
ここから2ページ近くに渡って「バックパス重要論」が展開されるのですが、詳しくは本書にてw

バックパスによって「リズムを変える」「攻撃をやり直す」というサッカーを遠藤選手が志向していることが良く分かるかとw


【感想】

◆昨年頃から、サッカー選手の本が数多く出版され、そのいくつかは、かなりのベストセラーになっています。

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣

日本男児
日本男児

ただ、それらの本に比べると、本書はかなり「サッカー寄り」。

日常生活が変わったり、感動したりはすることはまずありませんw

というか、むしろ本書の方が、「サッカー本の王道」なんだと思うのですが。


◆私の場合、代表戦を生で観戦したことがないですし、子どもが生まれてからは、Jリーグすら観に行ってません。

とはいえ、代表戦だけはかかさずテレビで観ており、そのくらいのサッカーレベルの方だと丁度よい内容ではないか、と。

二人とも「玄人好み」の選手ですし、本書の中でもゴールを決めた話よりは、その前の段階のお話がほとんど。

と言うか、まだ読んでいない内田選手の本も含め、話題作の多くがどちらかというと、ゴールから遠い「後ろめの選手」ばかりですねw

僕は自分が見たことしか信じない
僕は自分が見たことしか信じない


◆いずれにせよ、本書を読んでの一番の収穫は、今野選手が遠藤選手に陶酔しているのを知り得たこと。

おそらく今回の移籍によって、代表の試合の時期以外でも、今野選手は「密着マーク」を敢行すると思われますw

重ね重ね遠藤選手にとっては「いい迷惑」でしょうけど、それによって今野選手がより成長してくれれば、日本代表にとってはプラスになるかと。

また、ザックジャパンの内情や、「3-4-3」というシステムを二人がどう考えているかに触れられているのも、今後の代表選を見る上では参考になるハズ。


日本代表のファンなら読んでおくべき1冊でしょう!

観察眼 (角川oneテーマ21 A 149)
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【関連記事】

【サッカー】『長友佑都 100人の証言』を読みました!(2011年06月20日)

【メモ】長友佑都選手の『日本男児』を読みました(2011年05月25日)

【意外な良書!?】『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』長谷部 誠(2011年04月06日)

【ザックジャパンに告ぐ!】『恐れるな! なぜ日本はベスト16で終わったのか?』イビチャ・オシム(2010年10月11日)

【オシムの言葉】「考えよ! ――なぜ日本人はリスクを冒さないのか? 」イビチャ・オシム(2010年04月13日)


【編集後記】

◆アマゾンのランキングを見ていて気になった本。

人の心を自由に操る技術 ザ・メンタリズム(DVD付き)
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昨年出ているこちらの本も、何気に良さそう。

DaiGoメンタリズム ~誰とでも心を通わせることができる7つの法則~
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これはちょっと読んでみたいところです。


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