2012年01月11日
【脳を整える?】『脳が冴える勉強法―覚醒を高め、思考を整える』築山 節
脳が冴える勉強法―覚醒を高め、思考を整える (NHK出版新書 369)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、『脳が冴える15の習慣』でお馴染み、築山 節先生の勉強本。築山先生のご本はそれなりに読んでいる私としては、「やっと勉強本業界にいらっしゃったか!」と即、食い付いてしまいましたw
アマゾンの内容紹介から。
脳に即した「本当に効果的な勉強法」とは―?人生には何度か、勉強をしなければならない時期がある。その時期を健全に、効率よく乗り越えるにはどうすればいいか。意欲や集中力の高め方、ノート術・読書術、応用力の高め方、子どもの脳の育て方など。ベストセラー『脳が冴える15の習慣』の著者が、名種試験や語学の習得はもちろん、人生に役立つ勉強法を分かりやすく解説。
「脳」絡みの勉強本と言えば、先日、池谷裕二先生のご本をご紹介したばかりですが、違った意味でこの本も参考になりました。
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.運動で脳は冴える人間の脳は機械ではなく生体の一部ですから、体をよく動かすことによって、働きを高めていることが大事です。ところが、勉強は基本的に、椅子に座って、止まってするものですよね。そうすると、勉強する時間が長くなるほど、止まっている時間が長くなる。止まっている時間が長くなるほど、脳の働きは落ちてくる、という悪循環に陥ることがあり得てしまうんです。だから、勉強をするときには、運動とセットで考える方が良いですよ。勉強がよくできる人たちは、自然とそういう習慣を持っているものだと思います。
■2.「作業興奮」は簡単な作業で
自分ではあまり自覚していないかもしれませんが、机の上にある不要なものを1つ捨てる。簡単に解決できた。これも脳にとっては成功体験であり、感情の「快」です。また1つ捨てる。簡単に解決できた。次は本を棚にしまう。また解決できた。そういう風に、手を動かして作業をし、小さな成功体験を得る。それを繰り返すことにより、小さな「快」がいくつも連続的に得られていく。それが報酬系の一部である側坐核を刺激し、軽い興奮状態を起こさせるのです。
■3.脳の使い方を変えながら勉強する
書く勉強をして疲れた後には、計算が主となる勉強をする、計算をする勉強をして疲れた後には、音読をする、という風に、脳の使い方を変えながら勉強することも、脳がリフレッシュされている状態を長く保つためには有効です。
それに加えて、勉強時間が終わったら、まったく違うことをして、脳を休める。意識的に情報を入力したり、考えたりすることをやめ、脳に情報の自動整理を進めさせる。
その活動と休息の繰り返し、緊張と弛緩のメリハリが大事だと考えてください。
■4.やる気が起きないときは「明日の自分をアシストする」
私が、どうしてもやる気が起こらないときによくするのは、明日の自分をアシストするようなことです。
「今の自分には、仕事や勉強を大きく捗らせることはできない。しかし、明日やる気になっているかもしれない自分を少し手助けすることはできる」。そう考えて、資料の整理だけはしておいたり、問題が10個あるうちの1個だけは解決しておいたりする。
要するに、やる気がなくてもできることで、負担が物理的に少しでも減ることをするのです。
■5.深夜に勉強すると、脳がより疲れやすい
結論を申し上げれば、私は「深夜に勉強するのは効率が良くない」と考えています。
最大の理由は、深夜に勉強すると、脳がより疲れやすいからです。
たとえば、一般的な社会人や学生の生活時間帯(つまり、早朝から夜10時くらいまでの間)に合計4時間勉強するのと、深夜に4時間勉強するのとでは、どちらが疲れやすいか。同じ時間睡眠を取ったとしても、おそらく後者の方が疲れやすいと思います。疲れやすいというよりも、疲労が蓄積されやすい。
(詳細は本書を)
■6.記憶の強化には「出力」が大事
出力することには、2つの副次的効果があります。
1つは、それが必然的に「再入力」になることです。たとえば、ノートに書けば、目から再入力されますし、声に出してしゃべれば、耳から再入力されます。両方すれば、最初の入力と合わせて3度入力したことになる。入力はただの入力でしかありませんが、出力は常に「出力+再入力」なのです。
その反復と、視覚系・聴覚系・運動系の連携で、記憶も強化されやすくなります。
■7.弱点の克服に時間を費やし過ぎない
弱点ばかり勉強しようとしていると、「簡単にはできない」ことが多くなるので、意欲が起こりにくく、脳の覚醒度が落ちやすくなります。そうすると、勉強の効率も落ちてくる。
得意な問題をたくさん解きながら、苦手なことも少しする、という方が、弱点の克服のためにも、かえって効率的だったりするのです。
【感想】
◆大昔、初めて本田直之さんとお会いした時に、本田さんから薦められたのが、築山先生の『脳が冴える15の習慣』でした。その時点ではまだ話題にはなっておらず、私も一応「読んだ記憶」はあったものの、実はそれほど印象的でもなかったというw
ところがその後、この本は大ヒット(50万部超)!
本田さんご自身も、のちにテイストの似た『脳が教える! 1つの習慣』を監修される等、『脳が冴える15の習慣』で主張される「脳のコンディション作り」の考え方は、幅広い支持を集めたと言えるかと。
◆そして今般、その「脳のコンディション作り」を「勉強」という切り口で扱ったのが本書になります。
冒頭でご紹介している、池谷先生の『受験脳の作り方』が、脳科学をベースとした「戦術論」であれば、こちらは「インフラ論」。
あちらが「戦術コーチ」なら、こちらは「フィジカルコーチ」といったところ。
でも実際に、「年に1度の資格試験」を何年も受けてきた私にしてみれば、コンディションを万全にすることが、いかに大切かが身に染みて良く分かるワケでして。
実際、頭が冴えないと、本来解けるべき問題も本番で解けないのですから。
また、日頃の勉強にしても、脳を良いコンディションに保っていた方が、より効率的なことは明らかだと思います。
◆さて、本書の特長の1つが、類書だとさらっと結論だけ書かれている項目にも、キチンと理由が付されていること。
「作業興奮」という言葉と、その現象は知っていても、今まで何でそうなるのかまでは知りませんでした。
同様に、「深夜に勉強すると、なぜ脳がより疲れやすいのか」ということも、その理由までは考えたこともなく。
この辺は、築山先生らしいと言うか、「理屈を追いたい方」にはうってつけではないか、と。
◆ちなみに、今回は割愛しましたが、本書の第3章では、「ノート術・読書術」についてページを割いています。
読書術はさておき、築山流「まとめノート」のつくり方は、高校、大学で勉強されている方には参考になるハズ(ただし、社会人が資格試験を受ける場合には、「ノートなんて取らずにテキストに書きこむ」のがお約束ですがw)。
さらには、第5章では「子どもの脳」についても言及。
新書である以上、幅広い層をターゲットにしているからだとは思いますが、ガチな勉強本好きの方は、その旨ご了承ください。
もちろん、特に受ける試験もない方にとっては、本書のように応用範囲が広い「脳」の本は、読んで損はないと思います。
「脳の仕組み」を分かった上で勉強をしたい方に!
脳が冴える勉強法―覚醒を高め、思考を整える (NHK出版新書 369)
第一章 脳を目覚めさせる
第二章 脳を眠らせる
第三章 思い出しやすい記憶をつくる
第四章 脳の回路を効率化する
第五章 子どもの脳を育てる
第六章 大人の勉強はどうあるべきか
【関連記事】
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【編集後記】
◆こちらは、逆に「資格取得」の勉強本。図解・資格王が選んだ[合格保証]勉強法
画像を拡大すると読める「あと10点稼ぐ禁断の裏ワザ公開」というのが気になりますw
ご声援ありがとうございました!
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