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2011年12月07日

【勝負師対談】『人生で本当に大切なこと』王 貞治,岡田武史


人生で本当に大切なこと 壁にぶつかっている君たちへ (幻冬舎新書)
人生で本当に大切なこと 壁にぶつかっている君たちへ (幻冬舎新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「日本を率いて世界に挑戦」したことのある勝負師二人の対談本。

お馴染み、「世界の王」こと王貞治さんと、2回もサッカーW杯で日本代表の監督を務めた岡田武史さんが、若い世代の方に向けて熱く語ります。

アマゾンの内容紹介から。
最初から何もかもがうまくいく人なんていない。失敗したり挫折したり、時に不安で眠れなくなったり…。野球とサッカーで日本を代表する二人は、そんなときをいかに乗り越えてきたのか。「成長のためには怒りや悔しさを抑えるな」「人生は『3歩進んで2歩下がる』の繰り返し」「選択に迷ったら難しいほうを選べ」「小さいことに手を抜くと運が逃げる」「欠点には目をつぶり長所を伸ばせ」等々、プレッシャーに打ち克ち、結果を残してきた裏には、共通する信念があった。実は順風満帆に進んできたわけではない二人が、人生の「試練」の意味を問う。
私は思いっきり若くないんですけど、得る点は多々ありました!


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【ポイント】

■1.「王式不安解消法」
 もちろん、不安で眠れないときもありました。そういうときは、頭の中にある不安がモヤモヤした塊になっている様子をイメージして、それが頭からゆっくり足のほうへ移動し、最後は足のつま先から身体の外にスルリと出て行くのを想像するんです。あるいは、不安とか心配を心の中で打ち消すだけじゃなく、実際に「フッ」という声を出して、吹き消すようにしていました。
 こういう方法は、荒川コーチに連れて行ってもらった合気道の道場の先生が教えてくれたのですが、なかなか効果があります(笑)。


■2.負けたら思い切り悔しがる
 僕自身、失敗したときの悔しさほど強烈に残っています。まわりの人は記録に残るホームランや劇的な場面を褒めてくれるんですが、本人としてはそういうのはあまり憶えていないんです。逆にいうと、うまくいったことやよいときのことしか憶えていない人は、あまり伸びません。


■3.壁が大きいほどチャンスになる
岡田 最初のワールドカップ(フランス大会)のときはそこまで考える余裕がありませんでしたが、昨年の南アフリカ大会では、チームの調子が下がってバッシングが激しくなってきたとき、「この壁を乗り越えたら、チームはすごくうまくいくんじゃないかな」という感覚がありました。
 だからといって平然としていたわけじゃなくて、やっばり苦しいし悩んでいるんだけど、前回はのたうち回るだけで精一杯だったのが、今回はあるときから「ひょっとしたら、ひょっとするぞ」という感覚が強烈にありました。


■4.いちばんやりたいことを夢中になってやる
 いまの若い人たちはよく、「何が自分にいちばん向いているのかわからないから、夢も描けない」といいます。
 でも、向いているかどうかは、実際にやってみないとわからないものです。そのときそのとき、興味のあることをやればいいんですよ。若いときは興味の対象もどんどん変わります。もっと気楽に考えて、そのとき、いちばんやりたいことを夢中になってやればいいんです。


■5.想像するだけでなく、実際に体験してみる
 僕はいつも「壁に頭をぶつけたら痛いだろうな」ではなくて、「実際にぶつけてみろ」といっています。実際にぶつけて初めて、「これくらい痛いんだ」というのがわかるからです。
 もちろん、頭が割れて血が出るほどぶつけてはいけませんが、コンというくらいはやってみる。想像だけで「痛いからよそう」と考えるんじゃなくて、「この程度だったら大丈夫だな」と知ることが大事です。


■6.「運」は誰にでも平等に訪れる
岡田 「運」は誰にでも平等に来るんです。だから、常に運をつかむように準備している人が「運」のいい人なんです。あるいは、「運」をつかもうと必死になっていると、誰かがちゃんと見ていて、最後にご褒美がもらえる気がします。
 ところが、運が来ているのに、気づかないことがある。「運」が悪いというのそういうことです。自分が準備していなかっただけなのに、「運がない」と嘆いたり、「お前はいいなー」と他人をうらやましがったりする。そんな人をいままでたくさん見てきました。


■7.目標は本気で信じてチャレンジする
岡田 何かを成し遂げようとするとき、大事なのは目標です。目標がはっきりしていないとブレてしまいますし、まわりも何をしたいのかわからないから誤解したりします。(中略)

 ただ目標設定そのものは、実はそんなに大きな問題ではありません。いちばん重要なことは、その目標を本気で信じられるかどうかです。「ちよっと難しいけど、とりあえず目標にしておこう」という気持ちでは絶対にだめです。「必ず達成する」と心の底から信じきることが重要なんです。
 ところが、みんな目標をつくった時点で満足しちゃう。日本人ってそういう人が多いんです。たとえば、元旦にその年の目標をノートに書いたら、あとはそのまま。目標を立てることが目的になっていて、どうやって達成するかなんて忘れてしまうんです。


【感想】

◆冒頭で書いたようにお二人とも日本代表を率いて、世界の舞台で戦った経験があるだけに、お話にも説得力がありました。

一見穏やかそうに見えますが、実は二人とも情熱的。

記憶にないのですが、王さんは現役時代、大事な試合で凡退等すると、バットを思い切りグラウンドに投げつけたりしたのだそう。

岡田さんも、監督時代の記者会見では、ずいぶん記者とケンカしたとのこと。

本気でやっている分、悔しがったり怒ったりされたのだと思います。


◆特に岡田さんの場合、2度のワールドカップの直前で、いずれも全国的にバッシングまでされているわけでして。

最初のフランス大会では、三浦カズ選手を直前で外したことで、先日の南ア大会では、親善試合等の成績不振で、物凄い非難を浴びてらっしゃいます。

自らの信念に基づいた結果とはいえ、並みの精神力では耐えられなかったのではないでしょうか?

ただ、岡田さんご自身は、ポイントの3番目に挙げたように、苦しんでいる最中から「ひょっとしたら」という希望を抱いていたよう。

結果的にベスト4には及ばなかったものの、見事グループリーグを突破されたのですから、まさに「ひょっとした」と言えるかと。


◆ちなみに私個人としては、岡田さんを最初に意識したのは、あの「ドーハの悲劇」のスタジオ解説をされていて、敗戦後、言葉に詰まっていた方(画面だと見にくいですが、涙がこぼれていた記憶が)、というものなんですが……。



よく、イラクに最後のゴールを決められるシーンはテレビでも見かけますが、この動画の部分を見たのは、私自身久しぶりです。

こういう過去があった上で、日本代表を率いた、というのがミソだと思われ。


◆また、一番最後の目標設定の話では、「ドキッ」とされた方も多いのでは?

先日の、南アワールドカップの時に岡田さんが掲げた「ベスト4に入る」という目標は、信じてない方がほとんどだったと思いますが、当の岡田さんはもちろん、チームやスタッフの皆が、本気で目指していたそうです。

そして、皆にそう思わせるように、岡田さんが何をされていたのか(詳しくは本書にて)。

それにしても、岡田さんのイメージ力の豊かさ(だって、ワールドカップの決勝まで、全試合イメージしてるんですよ!?)には脱帽しましたし、そのイメージの世界で目標を達成している自分を感じてこそ、目標が達成できるのだな、と。

……来年の正月に「目標だけ立ててそのまま」にしないようにしなくては。


◆二人とも情熱家ですし、勝負師、さらに負けず嫌いと、「似たもの同士」である分、対談本としては成功していると思います。

それを見越してセッティングしたのかと思いきや、元々お親しかったそうで、成績不振で横浜Fマリノスの監督を辞任(2006年)した際には、王さんから労いの花が贈られたのだとか(あとがきより)。

そういう「熱い」お二人の言葉を、若者だけに独占させておくのはもったいないでしょう。

ルビが多めだったり、字がちょっと大きめなのが気にならなければ、一読の価値アリです。


日本を背負って立つ覚悟を持つために!

人生で本当に大切なこと 壁にぶつかっている君たちへ (幻冬舎新書)
人生で本当に大切なこと 壁にぶつかっている君たちへ (幻冬舎新書)
第1話 僕たちもこれまで、たくさんの「不安」や「悔しさ」を味わってきた
第2話 どんなに順調そうに見えても右肩上がりの人生なんてない
第3話 何を選んでいいかわからないときは、いちばん難しいものを選べ!
第4話 あれこれ悩むより、とにかく行動せよ!
第5話 夢中になると、すごいエネルギーがわいてくる
第6話 人生で成功するカギは「出会い」
第7話 「運」のいい人、「運」の悪い人って本当にいると思う?
第8話 「あそこが悪い」「ここを直せ」という大人は信用するな!
第9話 「身体」は一生裏切らない
第10話 人のせいには絶対しない
第11話 プロの世界とはどういうものか、教えてあげよう
第12話 どんな小さなことでもいい、若いうちからリーダーシップを学んでほしい


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【サッカー】「察知力」中村俊輔(2008年06月09日)


【編集後記】

◆岡田さんと言えば、この本も気になっていたのでした。

勝負哲学
勝負哲学

こちらも「勝負師」である羽生善治さんとの対談です。


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