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2011年11月25日

【スゴ本】『勝てば官軍―成功の法則』藤田 田


勝てば官軍―成功の法則
勝てば官軍―成功の法則


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、日本マクドナルド創業者、藤田 田さんの最後の著作。

以前、本田直之さんに薦められて購入したものの、積読状態になっていました。

今般、やっと手をつけたところ、さすが本田さんがプッシュされるだけあって、中身は非常に濃厚。

1996年の本なのですが、今読んでもほとんど色あせていないのがスゴイです。


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【ポイント】

■1.デフレ経済が長期化すると予測した理由
 世間一般に売上げが落ち、利益も落ちた時期である。上場企業ではない日本マクドナルドの業績は驚異的だといっても、決して夜郎自大の自画自賛ではあるまい。
 躍進の理由は単純明快、一言でいえば、日本経済の動向の予測である。バブル崩壊後5年、政府も経済アナリストたちも、そろそろデフレ経済は終わリインフレ経済になると期待しているが、わたしはデフレ経済は長期化すると予測したのである。
 その予測の根拠は2つ。1つは「少子化」=人口減少であり、もう1つは「減反政策」である。


■2.「口に入れるモノを扱う商売」は、さしたる商才を必要としない
 口に入ったものは必ず消化され、排出される。1個100円のアイスクリームも、1枚1万円のステーキも、数時間後には排世物となる。つまり、口に入れられた商品は刻々と消費され、何時間か後にはつぎの商品が必要になってくる。
 売られた商品がその日のうちに消費され、排出されていく。こんな商品はほかにはない。土曜日も日曜日も、1日の休みもなく稼いでくれるのは銀行頂金の利息と「口に入れる商品」だけだ。だから確実に儲かる。太古の昔から「口に入れるモノを扱う商売」は、かならず金が入って儲かる商売なのである。


■3.自分の置かれている状態や条件を分析する
 わたしのところには、しばしば「金が欲しい。金を儲ける方法を教えてくれ」という人が現れる。そういうとき、わたしは「いつまでにいくら欲しいのか」と質間する。ところが、たいていの人は、その質問に答えられない。儲けたいという気持ちはあっても、自分のおかれている状態や条件を分析していないからだ。
 しかし、そういうことでは金は儲からないのである。わたしも、「3年以内に自分は1000万円欲しい。元金はいくらある、どうすればいいか」といってくれれば、それを集約し整理して、こうすれば儲かると教えてあげられるが、ただ漠然と「金が欲しい」というだけでは、なにも教えられないのである。


■4.甲府の成績が良い理由は「幕府の天領」だったから
 マクドナルドの売上げが甲府でとてもいい成績なので、その理由をいろいろな人に訊ねてみたことがある。「甲府は盆地だから」とか「東京から100キロはなれていて、東京に買い物に未ないからだ」とか、いろんな答えがかえってきたが、わたしにはいまひとつ納得できない。調べてみた。甲府が幕府の天領だったからだという答えが出た。(中略)

 天領というのは直轄領地だから、江戸から送ってきた金で代官が統治していた。親方日の丸である。だから天領の住民には勤倹貯蓄といったふうはなくて、ある金を全部使ってしまう。その最たるものが将軍のお膝元である江戸だ。だから江戸っ子は「宵越しの金を持たねえ」とタンカを切りえたのだ。
 江戸や甲府だけではない。マクドナルドがいい成績をあげている新潟、福島、大阪、長崎はみな幕府の天領だった。


■5.ビジネスに満塁ホームランはない
 わたしの信条の1つに「ビジネスに満塁ホームランはない」という言葉がある。
「満塁ホームラン」は野球の言葉であって、ビジネスの言葉ではない。ビジネスはあくまでも一歩前進また一歩前進、尺取り虫のように一歩一歩重ねていって成功にいたるものであって、ビジネスに成功するには「時間×努力」が巨大なエネルギーとなることを自覚しなければならない。
 ところが多くの人は、巨大なエネルギーをほしいと思っていながら、それが「時間×努力」であることを知らないまま、一振りで満塁ホームランを狙うから失敗してしまうのだ。


■6.団塊の世代とジュニアを狙え
 同じものをたくさん買う率が高いのはべビーブーム世代である団塊の世代だ。少子社会のいまターゲットにすべきは、団塊の世代であり、その子どもたちだ。
 彼らが多く住んでいる地域をマクドナルドの来客層と重ねて調べてみると、東京でいえば国道16号線の沿線という答えが出た。従来は七環や八環の周辺だったが、いかんせん土地もマンションも高い。そこへいくと16号線の沿線では一戸建てを手に入れることができるからだ。


■7.金儲けのための広告の2つの方法
 1つは「イメージ」をつくる広告であり、もう1つは「モノ」を売る広告である。強力にモノを売る広告とイメージをつくる広告、これはまったく違う種類の広告である。
 わたしは、その比率はイメージが四分でモノを売ることが六分だし思っているし、マクドナルドの宣伝はみなその比率で行なっている。
 だから、広告は、何人かの人がいれば、そのなかのもっとも幼稚な人にわかるようにしなければならないのだ。生意気なこと、えらそうなことをいってお説教し啓蒙して、それがいくらインテリにほめられても会社にはなんの意味もない。かえって、そんなむずかしいことをいう会社は、と敬遠されるのがオチなのだ。


【感想】

◆今回も、付箋貼りまくりゆえ、割愛しまくり。

たとえば、商売の秘訣について、藤田さんはこう言われています。
「現実に金を持っている人を相手にして、ちょっとしたお金持ちがかならず欲しがって、しかも現実に手の届くものを売ること」
そして、同じ流行であっても、大衆の中から起こってくるものより、金持ちの間から広まってくる流行のほうが、圧倒的に息が長い、と。

金持ちの間で流行ったものが、大衆に広まるまでだいたい2年ほどかかるので、金持ちの間である商品を流行させれば、2年はその商品で商売が可能。

さすが、かつて藤田商店でブランド品を売りさばいただけのことはあります。


◆また、法律の「例外・抜け穴」とも言うべき「ループホール」を狙え、と。

これはのちに、橘玲さんが「黄金の羽根」と呼んだものでもあります。

「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計 (講談社プラスアルファ文庫)
「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計 (講談社プラスアルファ文庫)

実際に、マクドナルドがそういった法の穴を突いた、という話は聞きませんが、分かりやすいところでは「第3のビール」なるものは、酒税の「穴」を突いたものですよね。

これを踏まえて酒税法が改正されたように、政府はループホールを突く人が多くなると、法を修正していくわけです。

この「ループホール」の件もそうなのですが、藤田さんは、ことビジネスにおいては「性善説」ではなく「性悪説」を主張。

それこそまさに、本書のタイトルでもある「勝てば官軍」そのものです。


◆それにしても、藤田さんの洞察力には驚かされること多々。

上記ポイントの4番目の「幕府の天領」の件や、6番目の「国道16号線」の件は、支店展開等で参考になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

さらに本が出た1996年の時点で、既にシネコン展開を計画しているのにもビックリ。

ついでに言うと、ソフトバンクの孫さんが、16歳のときに藤田さんに会いに押しかけてきたお話も収録されています。

要はそれくらいネタがぎっしり詰まっているということ。


◆もちろん、時代情勢が違いますから、今読んでも使えない部分もないわけではありません。

ただ、執筆の時点で未来を予測していて、その多くが予測の通りになっていることの方が驚きだったりします。

もし今、藤田さんがご存命だったら、瀕死の日本において、どのような手を打たれるのか知りたいワタクシ。

また、政策的なお話は、当ブログ的にあまりニーズがないので、丸ごとカットしてしまったのですが、「規制緩和なき日本に明日はない」というタイトルの第4章は、政治に直接携わらない私たちもしっかり読んで、投票の際に参考にすべきかと。

いずれにせよ、孫正義さんが憧れた(?)だけのことはある名経営者であることは間違いないです。


まさに、「今こそ読みたい1冊」!

勝てば官軍―成功の法則
勝てば官軍―成功の法則
第1章 価格破壊は歴史の必然である
第2章 デン・フジタの成功の法則
第3章 ビジネス成功の法則
第4章 規制緩和なき日本に明日はない
第5章 ビジネスチャンスは無限にある


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【起業&仕事術】「小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則」(2010年02月26日)


【編集後記】

◆こちらは、本家マクドナルドのお話。

成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者 (PRESIDENT BOOKS)
成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者 (PRESIDENT BOOKS)

この本も評価が高いですね。


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