2011年10月28日
【格言】『ユダヤの格言 ~知られざる教典「タルムード」の教え~』竹中充生(著),市川 裕(監修)
ユダヤの格言 ~知られざる教典「タルムード」の教え~ (マイナビ新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ユダヤの教典である「タルムード」の教えをコンパクトにまとめた1冊。今まで何冊か「ユダヤ人」とタイトルに入った本をご紹介してきましたが、「タルムード」自体の言葉を扱った本は、当ブログとしては今回が初めてです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書では、東京大学でユダヤ教を研究している市川裕教授を監修者にむかえ、この教典に記された、奥深き人生訓を「格言」という形で紡ぎだしました。著者の竹中さんがお若いこともあってか、かなり読みやすくこなれてます。
不安が多く、厳しい現代を楽しく歩む知恵が、この格言にはあふれています。
ぜひ、みなさんも、ユダヤ人が人生の指針にしてきた「タルムード」の教えに触れてみてください。
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.あなたの仲間が怒っている最中になだめてはならない。喪に服しているときに慰めてはならない。
その人は、怒る理由があるから、怒っているわけです。第三者が無責任になだめるのではなく、また火を注ぐのでもなく、黙って見守ることも大切なのではないでしょうか。
同じことは、悲しみに暮れている人にも言えるでしょう。一度に消化できないほどの悲しみが訪れたときには、現実を受け入れるための時間が必要です。悲しみに浸ることで、気持ちを整理でき、少しずつ前を向けるようになるのです。
■2.祈っても答えがなかったら、もう一度祈るべきである。
何ごとも一度や二度の失敗で諦めず、最後まで願いを持つことが大切です。最悪なのは、はじめから「やっても無駄」と放棄してしまうことです。とにかく、やらなければ何もはじまりません。
■3.水差しが開けたままになっていた場合、たとえ9人が飲んで死ななかったとしても、10人目の人は飲んではならない。
水差しのフタが取り外されているということは、何者かに毒を入れられている可能性が疑われます。右の句は、いつもと様子が違うときは、特別に注意を払わなければいけないことを教えると同時に、憶測で行動することの危険性を強調しています。
毒が入った水差しで、10人目だけが死んでしまうことなどあるのでしょうか。タルムードの賢者は、『毒液が底に沈んでいた場合にあり得る』と答えています。
■4.人は歩まんと欲する道に案内される。
タルムードには『人が自らを穢そうとすればはけ口が与えられるし、身を清めようと思えば助けの手が差し出される』と書かれています。つまり、すべては自分次第ということです。
本当に勉強しようという固い意志を持っている人は、はじめからテレビをつけません。勉強をサボリたいと欲しているから、面白い番組に目がいくのです。
■5.「私は3日間眠らない」と言って誓いをする人は鞭打たれる。
敬虔な人が宗教的な誓いを立てる場合でも、できない約束をすると鞭打たれることになります。いくら真摯な気持ちがあっても、人間が3日も眠らずに祈りを捧げるのは、どう考えても無理があるからです。
仕事や勉強でも、やる気がある人ほど、自分に高いハードルを課し、無理な目標を立てようとします。しかし、できない約束は、最初からしないことです。誰かと約束をしたわけではなくても、自ら立てた目標を守れないと、挫折感という悪い印象が生じるからです。目標を守れない自分を、ダメな奴と感じてしまい、やる気を失うことになるのです。
■6.敵が倒れてもよろこんではならない。
彼がつまずいても心を躍らせるな。
相手のミスを喜ぶということは、相手が失敗したり、不幸になったりするのを願うという側面を否定できません。つまり自分の実力ではなく、運否天賦に頼ってしまうということ。
ライバルと切磋琢磨して、正々堂々と競争を勝ち抜くほうが、よい成果を得られることは言うまでもないでしょう。競争することでモチベーションやスキルがアップし、好結果に直結するのです。
■7.男とその父親とその師が監禁された場合、男がその師に優先し、その師はその父親に優先する。
なお、その母はこれらの人々すべてに優先する。
男と、彼の父親と、彼の師が誘拐された場合、もっとも早く解放されるべき人は誰でしょうか。自分のルーツとなる父親か、それとも知恵に優れた師か……と考えがちですが、タルムードでは一番若い男が解放されるべきだと教えています。なぜなら、解放された後に、父親や師をを救い出すための身代金を工面するべく、奔走しなければならないからです。
非常事態に陥ったときは、心情や道義的なことよりも、合理性を大切にしなければなりません。順番を間違えたせいで、共倒れに終わっては意味がないからです。
いっぽうで、『その母はここれらの人々のすべてに優先する』と言われているように、臨機応変な対応も必要になります。長時間の監禁に耐えられない人は、早く解放するべきだということでしょう。
【感想】
◆本書をざーっと読んでみてまず思ったのが、「いかにもユダヤ」(?)というものもあれば、意外なものもある、ということ。ユダヤ人というと、私にとっては「頭脳明晰」というイメージがあり、それは例えば上記ポイントの7番目のように、「心情や道義よりも合理性を重視」するところにも現れているのではないか、と。
最後の「その母」の部分だけ、ちょっと微妙ですがw
それ言うんだったら、「その師」だって長時間の監禁に耐えられないような?
ただ、いずれにせよ、中国の教えだったら、絶対こういう順番にはならないハズですよね?
◆「中国と違う」という意味では、今回割愛した格言の中に「ライオンの尻尾にはなっても、キツネの頭にはなるな」というものがありました。
これはもちろん、「鶏口となるも牛後となるなかれ」の真逆の意味。
本書によれば、ユダヤの方の「ライオン〜」の意味は、
●お山の大将でいるより、優れた人がたくさんいる組織で揉まれたほうが、自分の能力を伸ばすことができる
●大きな企業でないと、実現できないことも少なくない
●ライオンのグループに入れる人は、いつでもキツネのグループに入れる
ということのようです。
確かに言われてみたら、そういう考え方もアリかも。
◆それと、これもユダヤ人の特徴なのかもしれませんが、あまり人を信じていない気がw
「3日間眠らない」と本人が誓うなら、それもアリじゃないんでしょうかねぇ?
割愛した中には「死ぬ日まで自分自身を信頼してはいけない」なんてのもあって、ポジティブシンキング涙目の巻。
そもそもポイントの3番目のように
「9人飲んで大丈夫でもダメ」
「なぜなら毒液が底に沈んでいるかもしれないから(キリッ)!」
って、用心深過ぎますよ。
これも迫害されてきた歴史ゆえのことなんでしょうか。
◆本書は見開き2ページで、1つの格言を解説する様式になっています。
読みやすい、という点ではもちろん合格。
また今回は記載しませんでしたが、各格言ごとに出典(「エズィキーンの巻 アヴォート篇3(章)―3(節)」など)が明記されているのもポイント高いです。
あとは、解説部分が妙にこなれている点をどう判断するか、かな、と。
「格言は厳粛なものであるべし」という方にはカジュアルに感じられてしまうかもしれませんが。
ユダヤの教えが手軽に読めます!
ユダヤの格言 ~知られざる教典「タルムード」の教え~ (マイナビ新書)
第1章 不安な時代を生き抜く言葉
第2章 失敗をしないための言葉
第3章 「嫌い」を「好き」にする言葉
第4章 お金で苦労しないための言葉
第5章 意志が強くなる言葉
第6章 やる気が湧いてくる言葉
第7章 人間関係を円滑にする言葉
第8章 素質や能力を伸ばす言葉
第9章 恋愛や結婚生活を丸くおさめる言葉
第10章 人を助けるときに役立つ言葉
【関連記事】
【勉強法】「ユダヤ人に学ぶ速学術」濱野成秋(2008年12月28日)「ユダヤ人が教える正しい頭脳の鍛え方」エラン カッツ (著)(2005年04月21日)
「ユダヤ人大富豪の教え」本田 健(著)(2005年02月17日)
【Amazonキャンペーン】「3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術」アマゾンキャンペーンのお知らせ(2008年06月22日)
【編集後記】
◆最近出たユダヤ系の本で気になるモノ。世界の実力者たちに秘かに伝わるユダヤの言葉 (ソフトバンク文庫)
こちらは、タルムードではなくて「ユダヤ人成功者の名言集」のようです。
ご声援ありがとうございました!
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この記事へのコメント
いつも読ませていただいています。
今回の記事を見て思い出したのですが、以前にこちらのブログで「ワルの心理術」や「ヤクザの心理術」系の本で、「お祝いは一番最後に行け、お悔やみは一番最初に行け」のような内容のものを紹介されていなかったでしょうか?
もう一度読みたいのですが、はっきりと思い出せません。もし心当たりがおありでしたら、一方的なお願いで申し訳ありませんが、教えていただけないでしょうか。
今回の記事を見て思い出したのですが、以前にこちらのブログで「ワルの心理術」や「ヤクザの心理術」系の本で、「お祝いは一番最後に行け、お悔やみは一番最初に行け」のような内容のものを紹介されていなかったでしょうか?
もう一度読みたいのですが、はっきりと思い出せません。もし心当たりがおありでしたら、一方的なお願いで申し訳ありませんが、教えていただけないでしょうか。
Posted by アメリカカマキリ at 2011年10月28日 19:55
>アメリカカマキリさん
コメントありがとうございます。
お問い合わせの「お祝いは一番最後に行け、お悔やみは一番最初に行け」というのは、私自身は初めて聞きました。
ただ、ぼーっとしながら(?)記事に書いた可能性も否定できないので、言葉を変えたりして何度かブログ内検索をしたのですが見つからず(汗)。
お力になれず申し訳ございません。
コメントありがとうございます。
お問い合わせの「お祝いは一番最後に行け、お悔やみは一番最初に行け」というのは、私自身は初めて聞きました。
ただ、ぼーっとしながら(?)記事に書いた可能性も否定できないので、言葉を変えたりして何度かブログ内検索をしたのですが見つからず(汗)。
お力になれず申し訳ございません。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年10月29日 08:32
お答えいただきありがとうございます。
判明しなかったのは残念ですが、もしどこかで見つけたらまた書きこまさせていただきます。
ありがとうございました。
判明しなかったのは残念ですが、もしどこかで見つけたらまた書きこまさせていただきます。
ありがとうございました。
Posted by アメリカカマキリ at 2011年10月30日 05:56
>アメリカカマキリさん
こちらこそ、お役にたてずスイマセン。
これにこりず、当ブログを今後ともよろしくお願い申し上げます。
こちらこそ、お役にたてずスイマセン。
これにこりず、当ブログを今後ともよろしくお願い申し上げます。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年10月31日 06:26
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