2011年10月12日
【基礎人間力?】『あなたが就職試験に受からない理由』が社会人にとっても役に立つ件

あなたが就職試験に受からない理由(祥伝社新書御254)
【本の概要】
◆出版業界の方ならご存知であろう、長野県を拠点とする書店チェーン・「平安堂」代表取締役会長の平野 稔さんのご本、『あなたが就職試験に受からない理由』。私は小学校低学年の頃、毎年夏休みに母の実家の飯田市にある平安堂に入り浸っていたこともあり、懐かしくて買ってしまいました。
さて、この本、タイトルからして「就活生向け」ですが、これが意外と私たち社会人にも当てはまる内容が含まれていたので、特にその部分についてご紹介したいな、と。
「会社で出世したい方」なら要チェックです!

【ポイント】
■1.「素直さ」は、もはや能力である会社で多くの上司、同僚から可愛がられ、部下からも愛される人間に共通する性質、それは「素直さ」だろう。
「素直は性格・性質と思われているが、そうではない。それは能力だ」
と言った経営者がいた。他人の言うことを素直に聞ける、指摘されたことを素直に正す、他者の美点を認めたら素直に真似る。これは単なる性格・性質でなく、仕事人生をスムーズに歩んでゆくために不可欠な能力だというのである。
■2.頼みごとと頼まれごとをこなす
よくある頼みごと、たとえば選挙での支持要請、サプリメントなどの購入のお願い、コンサートの誘客など少々気の重い頼みごとを引き受けて、こちらの期待以上に易々と人数を集めてくれる人がいる。
どうしてそんなに簡単に頼まれごとを済ませられるのか。その秘密は、他人の知らないところで常にその分を上回る多くの人々からの頼まれごとを引き受け、嫌な顔をみせずこなしてきているからだ。つまり、人生での頼みごと頼まれごとの分量はほぼ等量なのだ。
■3.日頃からコミュニケーション能力を磨いておく
たとえば宅配便が届く。「ご苦労さまです。いつもありがとう」と声をかける。
バスを降りる時「一日中よく降りましたね。おやすみなさい」と挨拶してみる。
電車で大荷物を持った人が前に立ったら、「荷物だけでもどうぞ」とわずかな隙問を作ってあげる……。こんなちよっとした言動があなたの性格を変えてゆく。
■4.感動体験を他人に話せるようにする
ホスピタリティーは、企業が声高に広告して提供するそれとは違う。相手が感謝の気持ちで受け止めてくれた時に生じる付加価値だ。(中略)
ホスピタリティーに溢れている人間は感受性が高い。素敵なことや感動の体験を多く持っている。自分が感動するから他人に同じように温かく接するすべを知っているのだ。
だから面接で感動したことのひとつも話せないようでは、接客業、サービス業、あるいは営業職は難しい。
自分の心のひだを増やし、感動の記憶を積み重ねよう。
■5.無償の行為を自然に行う
エレべーターを次の人のために一階に戻しておく。
操作盤の前に立ったら、全員が降りるまでドアを押さえ自分は最後に降りる。
スイングドアは、後ろから来る人に跳ね返らないように後ろを確認して手を放す。
狭い歩道では向こうから来た人のためにさりげなく車道に降り、道を譲る。(中略)
いずれも誰と特定できない誰かのために添える気遣いだが、優れた企業ほど、これらのスキルを持つ社員と社風を大切にする。
■6.間違ってもよいから自分の考えを持つ
もしあなたが普段から社会のできごとに関心が薄く、流行に無批判に流されたり、自分の信条やアイデンティティーを大切に思ったりすることのない性格なら、それが社会を悪くする一因であるという認識を持ってほしい。
大学卒という高学歴者であるあなたたちは、何らかの意見を求められた時に「わからない」「どうでもいい」「考えても仕方がない」という情けない言い方はすべきではない。
■7.食事の場ではマナーに注意する
ビジネスでは接待の場も、会食しながらの打ち合わせも多い。マナーが悪ければ、上司から二度とそういう席に同席させてもらえない。親切に「君の食べ方は汚い」とは教えてはくれない。大事な場から黙ってはずされてゆくだけだ。
【感想】
◆本書の表紙の裏側に、作家の勝谷誠彦さんの推薦文があって、その中に「ここに書かれているのは社会人としてごく当たり前のことばかりだ。昔なら親戚の怖いおじさんが言ってくれたことだ」とあり、深く納得。「社会人として当たり前のこと」ができている人が企業に採用される、という考えから、「就職試験に受かるためにはこうあるべき」という論点が展開されているのですが、実際の就職試験の短い時間でそれらを具体的にチェックしているのかは分かりません。
そういう意味では、就職指南本としては微妙なんですけれど、逆に社会人が「出世」するためには、これらはすべて見られていると思ってよいかと。
なにせ就職時とは、一緒に過ごす時間が違います。
ゆえに、上記ポイントで挙げた点は、「全ての社会人が留意すべき点」と言っても過言ではありません。
◆個人的には、初っ端の『「素直さ」は能力である』というお話が、深く刺さりました。
よく勉強本では、『試験に受かる人は「素直」である』と主張されているのですが、「素直さ」を「性格・性質」と考えてしまうと、自分が素直でないことが「しょうがないこと」に思えてしまいます。
実際、自分も税理士試験の受験生時代には、素直でないことを「受かりにくいのかもしれないけど、しょうがない」とあきらめて、特に直そうとはしませんでした。
それがいざ「能力」と定義されてしまうと、「受かりたいなら直さねばいけないな」と感じてしまうのが面白いところ。
現実的に直せるかどうかはさておき、「能力ならば身に付けたい」、と受験生の方なら思うのではないでしょうか。
◆ちなみに今回引用したのは、本書の第2章の『「基礎人間力」養成講座』からがほとんどで、その前後の章は、就活生にとって有意義なコンテンツになっています。
特に第3章は「企業目線で見たレッドカード実例集」ということで、NG事例が満載。
「面接時に自らが発する音」や、企業からの電話に対する「家族の対応」、さらには「履歴書の写真」等々、意外に見落としがちな点があるかもしれません。
「どこかで誰かに見られている」という話も、面接等が終わって会社を出てから、少なくとも電車に乗るまでは注意すべきでしょうね。
◆私自身、就活本は多く読んでいないのですが、類書に比べると、今回プッシュした第2章にあるような「精神論」(?)が強調されている分、おそらく本書は異質なのだと思います。
その第2章の冒頭の『「基礎人間力」とは何か?』という部分から。
結局のところ、ものをいうのは、エントリーシートの書き方とか、面接の答え方などのテクニックなどではなく、むしろ、何も言葉を交わさなくても採用担当者の心に響く「ヒューマンスキル」ということになる。とは言え、就活生にしてみれば「目に見えるテクニック」に惹かれるのはしょうがないかな、と。
その肝心の「ヒューマンスキル」も、就活生には、何でこんなことが大事なのか、と思われるかも知れません。
ただ、これこそがまさに、出世する人が持ち合わせているものですし、企業だって「出世する人材」が欲しいのは当然のこと。
就活生も社会人も、ぜひ身に付けたいものです。
社会人がタイトルでスルーするのはちょっともったいないです!

あなたが就職試験に受からない理由(祥伝社新書御254)
第1章 就活における「選択」と「戦略」
第2章 「基礎人間力」養成講座
第3章 企業目線で見たレッドカード実例集
付章 保護者のみなさんへ
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【編集後記】
◆タイトルでワロタ本w
百万回 断られる力
アマゾンの内容紹介に「これからビジネスで成果を出したい人、婚活で成功したい人に捧げる1冊です」ってあるんですが、どっちなんだYO!

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