2011年10月04日
【163のヒント】『エクセレントな仕事人になれ!』トム・ピーターズ
エクセレントな仕事人になれ! 「抜群力」を発揮する自分づくりのためのヒント163
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、人気経営コンサルタント・トム・ピーターズの久々の新刊。本書は「もう2度と本は書かない」と言っていた彼が、「ブログをそのまま本にすれば、何の作業もいらないし」と契約書にサインしたものの、"結局2009年の夏をほとんど潰して、編集に編集を重ねた"という力作です。
アマゾンの内容紹介から。
『エクセレント・カンパニー』『経営破壊』『ブランド人になれ!』――分厚いですが、どこからでもサクサク読めるアドバイス集です!
刺激的かつ独創に満ちた提言でビジネス界をあっと言わせてきたトム・ピーターズ。
本書であの“ピーターズ”が帰ってきた!
今日のビジネス環境で人々が直面している課題や悩みを明らかにし、
それらを克服して一流のプロになるにはどうすればいいのか?
41のキーワード、163のアドバイスで充実したビジネス人生を送ろう。
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.「小さな」ことが「大きな」違いを生む401k(確定拠出型年金)のような金融商品の購入を検討している人がネット通販のウェブサイトにアクセスした場合、手続き画面で「加入する」がデフォルトの場合、つまり利用者が何も選択しなくても加入できるようになっている場合の加入率は86%。一方、利用者が画面上で「加入する」を選択しなくてはならない場合の加入率は45%だ。老後の人生を左右する401kのような商品を買う場合でも、手続き画面の「小さな」違いが2倍近い大きな差を生むのだ。
■2.「失敗」を称賛せよ!
オーストラリアの実業家フィル・ダニエルズは、自身の成功の秘訣をこう表現している。
「優れた失敗に報奨を与え、
凡庸な成功には罰を与える」
このフレーズは私の「お気に入りべスト5」に入る名文句だ。その背後にある経営哲学は実に奥が深い。もし多くの人々がこのアドバイスどおり、優れた失敗に「報奨」を、凡庸な成功に「罰」を与えれば、とてつもなく大きな影響をもたらしただろう。
■3.差別化のためには、短い言葉で表現する
「差別化」のカギは何か。マーケティングの神様として知られるセス・ゴーディンの言葉が重要なヒントを与えてくれる。「自分の地位を8語以内で説明できなければ、その地位はあなたのものではない」
私はこのアドバイスを「マーケティングのヒント」ではなく、最も奥深い真理として受け取った。そこで私は2回のセミナーで、「ハッとする視点」を考えだし、それを8語以内で表現するという課題に取り組んでみた。
あなたも私が出す「シンプルな」質問に挑戦してみてほしい。あなたにとって「差別化」のカギとなる特徴は何か? それを説得力のある簡潔な言葉(最大でも15語以内)で表現できるか?
■4.意図的に人脈を強化せよ
アメリカのへンリー・ポールソン前財務長官はゴールドマンサックスのCEO時代、注目すべき習慣を自分に義務付けていた。フォーチュン誌のコラムニストとのインタビューで、ポールソンは「年明けの最初の1週間に、60人のCEOに新年の挨拶の電話をかけた」と語った。
私も1970年代半ば、短期間だけホワイトハウスで仕事をしたときに同じようなことをした。大晦日に7〜8時間、電話をかけまくったのだ。(中略)
形だけの誠意を見せろと言っているのではない。「心がこもっていなければ、何を言っても印象に残らない」という見方には、私も全面的に賛成だ。それでも私は、あえてこれと同じような習慣を身につけることを強く推奨する。それも年末年始ではなく、今すぐに始めるのだ。
1年12ヵ月、「意図的な人脈強化」のことを考え続けよう。
■5.「正の強化」を活用せよ
私がMBAを取得した1970年代初め、「組織行動論」の教授が興味深い実験の話をしてくれた。鉢形の教室に学生がいて、底の部分に教壇があって教師がいたとする。学生は実験の担当者から、例えば教師が教壇の右に動いたら、はっきりとうなずくように指示されていた。一方、教師が教壇の中央にいたり左に動いた場合は、うなずかないように言われていた。すると教師は、短時間で教壇の右に移動するようになり、そのままそこに留まるようになった。状況をまったく知らされていないにもかかわらず、である。
これが意図的な「正の強化」の効果だ。
ここでスキナーの理論をごくごく簡単に説明しよう。大小さまざまな「正の強化」は、おおむね前向きな行動を引き出す。つまり、ちょっとした機会に「ありがとう」や「グッジョブ!」と声をかけるだけで、相手からプラスの効果が期待できるのだ。
■6.「○○だったらよかったのに」リストを捨て、「今すぐやる」リストを書こう
あなたが今27歳だろうが、37歳だろうが47歳だろうが、57歳だろうが、同じことだ。
私もキツい出張のときなどはつい、「はやく家に帰れたらいいな」と思ったりする。しかし、頑張ってこう考え直す。この数日間、私が生きる場所は家ではなく、ここだ。この場所で生きる今をいいかげんに過ごしてはならない。
あなたも「はやく○○が終わればいいのに」と考えるのはやめて、今からの15分間を特別な15分間にする方法を考えよう。さあ、これからの15分、あなたはどうする?
【感想】
◆本書を最初にリアル書店で見た時に「分厚っ!」と思ったワタクシ。確かにページ数は400を超え、ソフトカバーなのに結構なボリュームです。
ただし、冒頭で触れたように、元々がブログで発表済みのコンテンツをまとめたものであるため、各項目が独立しており、パッと目に付いたところから読むことも可能。
しかも、1つ1つにキチンと「コア」となるものが含まれているので、基本的に捨てページがありません。
◆ただし、1冊を通じて訴えたいことがある、というワケではないので、まとまり、という点ではトム・ピーターズの他の著作に劣るかも(逆に当ブログのように「使える部分」「響く部分」を抜粋するようなブログの書き方だと、むしろ書きやすかったりするのですが)。
もっとも、本書の中身がまったくバラバラかというとそうでもなく、原題が"The Little Big Thing"とあるように、「大きな意味を持つ小さなこと」に関する事例が、数多く紹介紹介されています。
ポイントの最初の「401k」がまさにそうですし、4番目の「電話」や、5番目の「正の強化」も同様。
多くの人が見過ごしがちな「小さなこと」が、ビジネスの上で大きな結果を引き起こすことが良く分かります。
◆ところで、本書の特長の1つが、紹介されていたり推奨されている書籍等の豊富なこと。
私が気になったのは、この辺でした。
生き残るためのあやまり方―ビジネスや人生の失敗を成功に導く、最良の5ステップ
Ray / レイ [DVD]
ファンキービジネス
この中では『ファンキービジネス』にアマゾンアタック済み(余談ですが、アマゾンの内容紹介を当時社員だった土井英司さんが書いてらっしゃいます)。
また、2004年にトムがブログで最初に書いたのは、オバマ大統領(当時は無名の州議会議員)のこのスピーチの素晴らしさについてだったとのこと。
◆個人的には、本書で何度も強調される「今すぐ!」というフレーズの「熱さ」にヤラれました。
「いつか」や「後で」ではない「今すぐ」。
ポイントの6番目にもあるように、「今から」なんですよ、これが。
私のような「読むだけでなかなか実践できない」者には耳イタイ1冊。
163ものアドバイスがあれば、エクセレントになれるのも夢ではないはず!
エクセレントな仕事人になれ! 「抜群力」を発揮する自分づくりのためのヒント163
小さなこと
エクセレント=デキる
危機
チャンス
回復力
自分
他者
コネクション=つながり
アティテュード=取り組む態度
パフォーマンス〔ほか〕
【関連記事】
★『トム・ピーターズのマニフェスト (4) トレンド魂。』(2006年01月26日)【52のルール】「伝説のビジネス誌編集長が選んだ 飛躍のルール52」アラン・M・ウェバー(2010年03月02日)
【起業&仕事術】「小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則」(2010年02月26日)
【脱常識】「33人の否常識」セス・ゴーディン他(2008年02月07日)
「成功遺伝子―この行動が8つのDNAを目覚めさせる」トーマス・L・ハリソン (著)(2006年05月12日)
【編集後記】
◆いよいよジョブズ本のド本命が登場!スティーブ・ジョブズ I
スティーブ・ジョブズ II
発売は11月21日と、まだ先ですが、すでにアマゾンではランク入りしております。
これは読まねば!
ご声援ありがとうございました!
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トム・ピーターズの本を読むのは何年振りでしょうか?
『エクセレントな仕事人になれ!「抜群力」を発揮する自分づくりのためのヒント』を読んで、、、【manachika】at 2011年11月10日 23:59
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