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2011年09月26日

【実践的】『文章は「書く前」に8割決まる』上阪 徹


文章は「書く前」に8割決まる
文章は「書く前」に8割決まる


【本の概要】

◆今日お送りするのは、当ブログでも『書いて生きていく プロ文章論』をご紹介したことのある、上阪 徹さんの新刊。

『プロ文章論』が文字通り「プロ向け」であったのに対し、本書は私たち「ビジネスパーソン向け」仕様となっています。

アマゾンの内容紹介から。
文章がうまいと言われる人たちが、ひそかに心がけていることとは?「文章のプロ」が伝授する実践文章論58のルール。
なるほど、私自身気を付けたいTIPSが多々ありました!


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【ポイント】

■1.良質の週刊誌を文章のお手本にする
最初に目指したのは、朝日新聞出版が出している週刊誌「AERA」の記事でした。(中略)

「AERA」に限らず、「週刊現代」や「週刊文春」などの週刊誌もそうなのですが、大衆を相手にしつつ、クオリティも重視した雑誌ですから、文章のわかりやすさとしては相当なレべルにあります。ずばり私が、文章のお手本としてお薦めするのは、こうした週刊誌です。


■2.簡単には読んでもらえない、と認識する
これはブログでもメールマガジンでも雑誌の記事でもそうですが、読み手には読まなければいけない義務などないのです。別に読まなくても困らないのです。面白いことを書けばきっと読んでくれる、などというのは、単なる書き手の思い上がりです。そんな「読み手」にどうしたら読んでもらえるのか。それを考えなければいけない、ということです。
 逆に、どうしても読まなければいけない文章だったとしたらどうか。上司に、取引先に、同僚に読んでもらわなければいけないものだったとしたらどうか。それが読みにくいものであれば、読み手には大変な苦痛を与えてしまう、ということです。


■3.冒頭の文章を印象的なものにする
読み手にちゃんとぺージに目を留めてもらい、文章をじっくり読ませるにはどうすればいいのか、あれこれ必死で考えたのでした。
 私が到達したのは、「キャッチコピー(見出し)」からつながる「ボディコピー(本文)」に徹底的にこだわることでした。冒頭の文章を印象的なものにして、一気に読ませる流れを作る。気がついたら全部読んでいた。そういう一気通貫の文章を作る。これは今も心がけていることです。


■4.熱意を持って「依頼」する
どうしても「お願い」「依頼」を引き受けてほしい、という気持ち。そして、この「お願い」「依頼」の相手は、あなたでなければならない、という理由です。それを熱く語って(書いて)いく。
「お願い」「依頼」は、スマートな文章である必要はないと思います。むしろ荒削りでもいいので、思いが伝わるものにする。そして、自分にしか書けない、ほかでは書かれそうもない依頼への思いを考え、連ねていくのです。


■5.「お詫び」は、感情を込め過ぎずに淡々と書く
 まずは真摯に謝ることです。そうすることで、反省の意を示す。その上で、何が起きていたのかを正確に語っていく。状況報告をするのです。
 何が起きていたか、いきなり冒頭から始めてしまうと、それは極めて言い訳的なニュアンスを含んでしまいます。(中略)

 そしてもうひとつ、「状況報告」では事実だけを書く、ということが重要です。そこに書き手の判断を加えない。そうすることによって、状況報告が客観的なものになっていくからです。


■6.「相場観」なしに書かない
たとえば、企画書を作るとき、依頼書を書くとき、提案書を作るとき……。読み手やテーマをめぐる周辺状況について頭を巡らせてみる。「相場観」を強く意識してみる。
 そうすると、先に書いた5W1Hが、はっきりしたものになっていくことに気づけると思います。強調する部分はどこなのか。それがわかってくる。冒頭に、読み手が共感できるような出だしを置けたり、「へーえ、そうなんだ」というインパクトのある言葉を持ってくることができたりします。提案でも、依頼でも、そこには何かしら理由があるはずなのです。「相場観」があれば、それがよりクリアになっていきます。


■7.具体的な「事実」や「話」をひとつでも多く盛り込む
 要するに、文章は無理にひねり出す必要はない、ということです。すでにある事実をピックアップし、それを組み替えて、伝えていけばいいのです。
 必要なのは、具体的な「事実」やエピソード」であり、書き手がひねり出した言葉ではないということなのです。
 会社の企画書でも、レボートでも、プレゼン資料でも、大事なことは、具体的な「事実」や「話」をひとつでも多く盛り込むことです。そうすることで、読み手はぐっと興味を持ってくれます。実際、優れた企画書には、具体的な「事実」「話」があるものです。


【感想】

◆思い返してみると、冒頭で触れた『書いて生きていく プロ文章論』は、私の観測範囲内でも、特に編集者さんの間で評判が高かったです。

確かにタイトルに「プロ」と入っていますし、これもある意味当然だったかも。

ただ、純粋な「職業として文章を書く人」だけでなく、私たちのようなブロガーにとっても、この『プロ文章論』は非常に参考になるものでした。

それに対して本書はむしろ、「仕事以外では」日頃あまり文章を書かない方に向けた本と言ってよいかもしれません。


◆何と言っても、本書はまず第2章で「お手本」を見つけることを推奨。

上阪さんイチオシは、「AERA」です。

なるほど、新聞ほど固くなく、かといって私が日頃読むような柔らかすぎる雑誌(「S●A!」とかw)に比べたら、はるかに高尚。

「わかりやすく伝えられる文章」という、ビジネスシーンでのニーズにはマッチしていると思います。

私の場合、雑誌は「内容に興味があるか否か」でしか判断しておりませんでしたが、こういう「お手本になる文章」という視点も必要だな、と。


◆もう1つ本書で特長的なのが、第4章を丸ごと割いている「相場観」のお話。

この「相場観」というのは、簡単に言うと「文章を書く上での周辺状況についての考察」のことです。

言い換えれば「空気を読む」ことに他なりません。

読み手を意識するのはもちろんのことですが、「自分がどう見られているか」ということも「相場観」である、というのは、私にとっても目からウロコでした。

やはり私は「自虐系」「おちゃらけ系」で突き進んで行くべきなのかw


◆なお、文章技術的なお話は、最後の第6章にて。

見出しには『「技術」は意識しない』と言いつつも、テクニカルなお話はここに集中しています。

例えば『プロ文章論』にもあったので割愛しましたが、『「また」「さらに」といった順接の接続詞をなるべく使わない』、というTIPSは、私自身、すっかり忘れておりました(ダメじゃん)。

ラス前の57番目のルールとして「推敲する際のチェックリスト」があるのは、ブロガーとしても有り難いところです。


◆当ブログでは、「文章の書き方の本」を過去何冊もご紹介して参りました。

その中でも特に本書は、「何を」「どう書くか」の双方を、「ビジネスシーン」という状況に特化して書かれている点が秀逸ではないか、と。

いわゆる「雛型」に沿って書く定型的なビジネス文書でもなく、クリックや購買を促す文章でもない、日頃ビジネスシーンで使われる文章を指導する本は意外となかったかも。

さっそく私も「行間ツール」(文章を補足するもの。詳細は本書を)の1つである「!」の使用を控えるつもりです。


真っ当な文章を書きたい人のために。

文章は「書く前」に8割決まる
文章は「書く前」に8割決まる
第1章 まずは、伝える「難しさ」をしっかり認識する
第2章 自分の「お手本」を見つける
第3章 書く「目的」、読む「相手」をはっきりさせる
第4章 的を外さない「相場感」を磨く
第5章 伝えたいことを「整理」し、「構成」を考える
第6章 文章の「技術」は意識しない


【関連記事】

【文章心得】『書いて生きていく プロ文章論』に学ぶ7つの心得(2010年12月05日)

【スゴ本】『いますぐ書け、の文章法』堀井憲一郎(2011年09月09日)

【文章術】『文は一行目から書かなくていい』藤原智美(2011年06月06日)

厳選! 「『人を動かす文章術』」の超簡単な活用法8個(2011年01月05日)

【文章術!】「文章のみがき方」辰濃和男(2008年02月13日)


【編集後記】

◆今日の気になる本。

「世界標準」の仕事術 欧米・中東・アジアの企業を見てきた人事のプロが教える
「世界標準」の仕事術 欧米・中東・アジアの企業を見てきた人事のプロが教える

特に「英語勉強法」というワケでもなさそうなので、私にも読めそうな感じです。


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