2011年09月25日
【反常識?】『仕事をしたつもり』海老原嗣生
仕事をしたつもり (星海社新書)
【本の概要】
◆今日、ご紹介するのは、マンガ『エンゼルバンク』に登場する「カリスマ転職代理人・海老沢康生」のモデルでもある、海老原嗣生さんの最新刊。星海社新書の第一弾として、先日の瀧本哲史さんの本と一緒に、現在リアル書店でも激プッシュ中であります。
なお、タイトルにある「仕事をしたつもり」とは、以下のような状態を言うそう。
・けっこう一生懸命、仕事をしている思わず「ドキッ」とした方は、要チェックです!
・まわりもそれを認めていて、非難する人はいない
・本人はその行為にまったく疑問を持っていない
・しかし、成果はほとんど出ない
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.プレゼン資料は1枚だけ作って、あとは出来合いでもOK市況データや販売売上データ、顧客アンケート、製品パンフレット、ホームぺージのコピーなど、もともと用意してある「ありものの資料」は、そのまま何十枚持っていってもかまいません。
そして、相手が疑問をぷつけてきたら、それを最高のきっかけとして、その疑問に答えるかたちで、手持ちの資料のなかから最適なぺージを探し出して答える。(中略)
つまり、キーポイントを簡潔に述べ、相手の興味関心を喚起し、相手からつぎつぎと疑問を引き出していく、というスタイルです。そして、彼らの疑問に答える資料のみを適宜示していく――。
このかたちだと、ものすごく生きた商談・プレゼンテーションとなるはずです。
■2.1枚型プレゼン資料の作り方
「1枚にしろ!」と聞くと、その1枚のなかに起承転結を作り、編集加工を施し、顧客の疑問も払拭できるように注釈だらけ、といった資料(しかも小さい文字でびっしり埋まっている)を作る人がいますが、そういうことではありません。(中略)
そうではなく、本当に安易に、「自分が言いたいこと、相手が知りたいと思うだろうこと=結論」を1枚に、べ夕打ち(改行なし)でいいから短くまとめる。見出しをつけたり、文字のフォントを選んだり、大きさを変えたりするような、余分な編集加工はまったく必要ありません。
■3.専門家とも討論できる「ケンカ読法」(抜粋)
・納得がいかないところがあればページを折る
・イチャモンを余白におもいっきり書く
・イチャモンに対して、著者の立場にたって説明や反論をする
・納得いかないところは核となる言葉のみに丸をする
・疑問点が解決したらその答えを書くか、答えのあるページをメモする
(詳細は本書を)
■4.形だけの「ハコモノ志向」を打ち破る方法
(1)数字を疑う
まず、ノルマや目標といった「目安となる数字」が出てきたら、疑ってかかることです。
形だけの仕事を促進する影の主役が「数字」だという話をしましたが、「本当にその数字は妥当なのか?」「その数字の裏にあるそもそもの理由はなんなのか?」と考えることから逃げてはいけません。
そして、いちばん大切なのが、
(2)本当にそれだけをやっていたら成果が上がるのか?
と、ちゃんと立ち止まって考えることです。
■5.「目的→成果→手段」の流れで考える
整理すると、最終的な「目的」(売り上げ、契約、商品化など)という流れを考えることが大事なのです。
→それにつながる中間的な「成果」
→その成果を得るための「手段」
その行動をとることによって得られる中間成果は、あなたが求める最終目的につながっているのか、否か?
本末転倒な状況に陥らないためには、この部分をよく考えてほしいのです。
■6.疑うという行為の精度を高めていく
たとえば、「年収200万円未満をワーキングプアって言うけれど、俺、学生時代にバイトしてたとき、200万円も稼いでいなかったよな」とか、「母ちやんはスーパーのレジをやってるけど、たしか時給は850円だったから、年収200万円も行きゃしない」とか。
こういった自分の持つ知識・経験と、目の前のデータ・話を結びつけて、臭いを嗅いでみる。そこでプンプン臭いが立ち込めてきたら、「調べる」に進む。
やみくもになんでもかんでもではなく、こうやって精度を高めていけばいいのです。
■7.もっとも効率的なメール送信の時間はいつか?
実はこれ、午前11時〜11時30分だと言われています。私も実際、その時間帯にメールを送るようにしています。
営業マンなら外出先からお昼前に戻りますし、お偉いさんも朝の会議はお昼前には終わります。そうして昼食に出かける前に席に着く。
その瞬間にメールをチェックする人は多い。
一方で、朝のメールは量が多いが、その後は会議に出たり外出したりする人が多いため、午前11時を過ぎるとメールの着信数はガクンと減る。
つまり、この時間帯のメールは読まれる可能性が高く、しかも敵は少ないから、効果的なこと請け合いです。
【感想】
◆下記目次にもあるように、本書はほぼ全章を通して、さまざまな「仕事をしたつもり」の事例について言及しています。その根底にあるのは、「先例」だったり、「業界の常識」だったり、はたまた「右へ倣え」だったり。
「疑う」とか「考える」といった「ひと手間」をかけてないことが原因なのですが、要は「思考停止」しているということかと。
この辺りは、冒頭で海老原さんがモデルとして登場する『エンゼルバンク』に通ずる部分でもあります。
◆初っ端に俎上に挙げられたのが「量の神話」。
典型的なのがプレゼン資料であり、海老原さんは上記ポイントにもあるように、「1枚型プレゼン」を推奨されています。
同様に、本の速読についても疑問をなげかけられており、代わりに提案されているのが、上記ポイントの3番目の「ケンカ読法」。
「丸とイチャモン・解決部だけで、書評なども面白いように書ける」とのことですので、書評をなさっている方は、試されてみても良いかと。
◆ただし、読書はともかくとして、仕事のやり方で「先例」や「常識」に逆らうことは、かならずしも実践できるとは限りません。
社内での軋轢もさることながら、取引先やお客様の理解も必要だったりします。
おまけに、合理的に考えて仕事を改善した結果、正社員だったものが、パートやアルバイトになるケースも想定されると言う……。
本書の最終章では、こうした「理想」と「現実」の折り合いの付け方を指南しています(詳細は本書を)。
必ずしも爽快な解決法ではないのですが、経営者でもない限り、これが「実践可能な現実策」なんでしょうね。
◆結局、上記のように、なぜ折り合いをつけないといけないかというと、ある意味、皆が「思考停止」しているから。
逆に、皆がそこから脱却できれば、「つもり」ではなく「本当に仕事をしている」ようにできるハズです。
一度には無理でしょうけど、本書の考え方が広まれば、現状の「思考停止」から変化が起こりうるかと。
本書の存在意義は、その辺にあるのだと思います。
常識を疑えるようになるために!
仕事をしたつもり (星海社新書)
第1章 何十枚も資料を作って、それで仕事をしたつもり?
第2章 流行のビジネスモデルを学んで、それで仕事をしたつもり?
第3章 みんなで一緒に考えて、それで仕事をしたつもり?
第4章 業界トップの真似をして、それで仕事をしたつもり?
第5章 「お客様は神様です」とへりくだって、それで仕事をしたつもり?
第6章 新しいことにチャレンジしないで、それで仕事をしたつもり?
終章 「仕事をしたつもり」からの抜け出し方
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【編集後記】
◆今日の気になる本。どんな本でも大量に読める「速読」の本
上記で否定されたにも関わらず、やはり「速読本」はチェックしてしまう自分……。
ご声援ありがとうございました!
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