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2011年09月22日

【スゴ本!】『武器としての決断思考』瀧本哲史


武器としての決断思考 (星海社新書)
武器としての決断思考 (星海社新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の未読本記事の時点でも話題となっていた1冊。

著者の瀧本哲史さんは、NPO法人全日本ディベート連盟の代表理事であり、本書もディベートをベースとした「意思決定」について論じてらっしゃいます。

アマゾンの内容紹介から。
東大×京大×マッキンゼー式・決断の技術! 教室から生徒があふれる京大の人気授業「瀧本哲史の意思決定論」を1冊に凝縮。これからの日本を支えていく若い世代に必要な「武器としての教養」シリーズ第1弾。
本書を読むと、ディベートスキルを身につけたくなることウケアイです!


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【ポイント】

■1.交換不可能な人材を目指す
 先日、へッドハンターとして活躍している知人が、以下のように話していました。
「いまの時代、英文会計ができる人材はいくらでもいる。そのなかでへッドハントの対象となるのは、たとえば海外支社がうまくいっていなくて、本社がもうこれ以上お金を出せないといったときに、支社のバランスシートなどをもとに地元の銀行にかけあって、お金の借り入れまでできるような人材だ」
 これが、知識・判断・行動のすべてをセットでこなすことのできる、交換不可能な人材の姿です。


■2.先送りは「決断しないという決断」
 ただ流されるだけの人生。大事なことはいつも先送りする人生。
 それでもそこそこ幸せに生きていくことができたこれまでの時代でしたら、そういった「他人の意思決定に拠る人生」を選択するのも悪くはありませんでした。
 でも、カオスの時代を生きるみなさんには、そういった生き方はしてほしくない。いや、絶対にしてはならないのです。
 先送りというのは一見、決断を先送りしただけのように捉えがちですが、実のところは、「決断しないという大きな決断」をしたことに他なりません。


■3.説得するときは、相手が何を重視しているかを理解する
 たとえば車の例でいうと、「傷があると恥ずかしいですよね」と言ったところで、そんなのを気にするのは日本人だけで、海外の人は傷があっても、汚れていても、たいして気にしません。
 そういうときは、「恥ずかしい」という重要性ではなく、「錆が広がる」という重要性に切り替える必要があります。「傷があると錆が広がって、修理にすごいお金がかかりますよ」と言うことで、はじめて相手も「それは困る」となるわけです。


■4.マスメデイア・ネットの情報を鵜呑みにしないで「逆をとる」
 マスメディアの問題点としては、新聞の記事が典型ですが、情報源が同じということが多々あります。記者クラブでの発表をそのまま載せていることがほとんどなわけで、その情報自体が間違っていたり、作為的(政府の情報操作など)であった場合、資料としては利用価値が低くなります。
 復習になりますが、こういったときはどうすればよかったですか?
 そうですね、「裏をとる」のではなく「逆をとる」。
 あえて、マスメディアの報道とは逆の意見を集めてみてください(その新聞記事と逆のことを言っている本を探すなど)。


■5.すべての人は「ポジショントーク」
 たとえば、持ち家を買うべきか否かを迷っているときに、すでに持ち家を購入した人から話を聞けば、だいたい「賃貸より持ち家のほうがいい」と言うに決まっていますよね。
 本音では、実際に持ち家を買ったあと、いろいろと後悔していることもあるのかもしれないのに、それを言ったら自分を否定してしまうことになるので、自分が信じたいこと、他人に信じさせたいことばかりを言うことになるのです。


■6.インタビューは「ナメられたもん勝ち」
 はっきり言って、相手を油断させたほうが本音は引き出しやすいのです。
 あまりに的確な質問をしたり、論理的に反論したりすると、相手は警戒してしまい、ポジショントークしかしてくれなくなります。
「自分はバカだし素人なんで何も知らない。ぜひ教えてほしい」といったスタンスでのぞむと、「なんだ、君はそんなことも知らないのか。仕方ないな、本当のことを教えてあげよう」と相手の警戒心は和らぎます。
 バカをよそおって、知らないフリをして、話全体を自分の知りたい方向性に持っていくのが、優秀なディべーターの条件になります。


■7.大学受験までの考え方を捨てる
 大学受験までの勉強というのは、先生が言っていることや教科書に書かれていることを疑わず、そのまま暗記して、テストで再現できれば勝ちというものでした。
 でも、それをずっと続けていてはダメです。
 大学以降の人生では、情報に接したら、それが本当かどうかをまず疑ってください。「本にこう書いてあるけれど、偉い人がああ言っているけれど、それは本当なのか?」と考えることを習慣にしなければなりません。
 でなければ、資本主義、消費社会の奴隷になるだけで、自分の人生を自分で切り開いていくことなどできないでしょう。


【感想】

◆今回も、鬼のように付箋を貼りまくったのですが、その数多い付箋の中から引用部分を選ぶ際、「あえて」ディベートのテクニック的なモノは除いております。

その大きな理由は、「その部分だけを引用しても分かりにくい」こと。

例えば「メリットの3条件」(1.内因性、2.重要性、3.解決性)なるものがあるのですが、「どういう意味か」を述べて、「具体例」まで付すとなると、それだけでもかなりの引用量になってしまうワケでして。

ちなみにここでの具体例は「小」は「ふとん圧縮機」から「大」は「原発」までさまざま(詳細は本書3時間目にて)。

他にも本書全体で見たら、「第二志望群からしか内定をもらえなかったAくんが就職活動を続けるべきか否か」

「サッカーの日本代表がワールドカップで活躍するには何をすべきか」

といった興味深い練習問題もありますので、皆さんには、ぜひお考え頂きたいところです。


◆さて、この3時間目で挙がった「メリット&デメリット」について、4時間目では「反論」を遂行。

これはメリットとデメリットのそれぞれについて、上記の3条件対して行なうものです。

ここでも、反論する際に意識すべき「6つのポイント」なるものがありましたが、上と同様に割愛。

ウチのように、ピンときた個別の論点のみを抜き出すスタイルのブログですと、前後関係があって初めてわかるこの辺りの一連の流れは、残念ですが、どうしてもカットせざるをえませんでした(すいません)。


◆逆に抜き出しまくりだったのが、6時間目の「情報収集術」。

ここでは証拠資料の集め方や、インタビューのテクニックについて触れているのですが、ディベートだけでなく、一般的なビジネスシーンでも活用できるネタが多々ありました。

特に「インタビューでは相手を油断させた方が良い」というのは、目からウロコ。

考えてみたら、『刑事コロンボ』もこの手口だったような?

また、今回割愛した中でも「相手が一般論を語りだしたら、例外を聞く」というのは、なるほどと腑に落ちました(詳細は本書を)。


◆本書の趣旨としては、「ディベートの考え方を自分一人での思考にも用いて、正しく決断する」、ということになるのだと思います。

確かに頭のなかで漠然と考えるのではなく、本書の指導に従って考えをまとめていけば、その時点での「最善解」には辿り着けるハズ。

そして、もし、このやり方がしっくりこない人でも、上記で抜き出した項目の中には、ピンとくる部分があるのではないかと。

いずれにせよ、新書でこの濃さというのはなかなかないですし、これがまだ処女作、というのも空恐ろしいです。


これからの日本で生き抜きたい方にオススメ!

武器としての決断思考 (星海社新書)
武器としての決断思考 (星海社新書)
「武器としての教養」を身につけろ
なぜ「学ぶ」必要があるのか?
1時間目「議論」はなんのためにあるのか?
2時間目 漠然とした問題を「具体的に」考える
3時間目 どんなときも「メリット」と「デメリット」を比較する
4時間目 反論は、「深く考える」ために必要なもの
5時間目 議論における「正しさ」とは何か
6時間目 武器としての「情報収集術」
7時間目 「決断する」ということ


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【決断】本田直之さんの「意思決定力」から学んだ6つのポイント:マインドマップ的読書感想文(2009年10月17日)


【編集後記】

本書内でも触れられているのが、本日発売となった瀧本さんのもう1冊のご本。

僕は君たちに武器を配りたい
僕は君たちに武器を配りたい

本書が良かったので、こちらも期待大です!


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