2011年09月09日
【スゴ本】『いますぐ書け、の文章法』堀井憲一郎
いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書 920)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、コラムニストの堀井憲一郎さんによる「プロの文章術」の本。「お金がもらえる文章」がどのようなもので、どのように書くべきかが、分かりやすく書かれています。
またそのことは同時に、ブログ等で人気を得るためにも有用であることは明らか。
私自身、ブロガーであるからかもしれませんが、鬼のように付箋を貼ってしまいました。
多くの人に読まれる文章を書きたい方なら必読です!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.何ものにも優先して読者のことを一番に考えているか「自分の主張を曲げてでも、読者に楽しんでもらおうとしてますか」というのが一番のポイントでしょう。それを曲げたら、文章を書く意味がないだろう、とおもってる人が多そうだから。そこがわかりやすい壁になる。
ちゃんと言うなら「自分の言いたいことを、いったん曲げてでも」となる。
アマチュアの人は、まず、自分の書いたものが大事で、それが守られる前提で、そのあとに読んだ人のことを考えている。読み手は二の次になっている。大事なのは、自分が書く内容だ、と考えるのがアマチュアの特徴です。
■2.悪口を書くのは難しい
多くの悪口は、共感してもらうためか、軽く笑ってもらうためか、もしくは自分の鋭さを見せつけたいために書かれるけれど、はたしてその悪口をそのまま当の本人に目の前で読まれても大丈夫か、というのがポイントだ。つまりAKB48の板野友美の悪口を書いたとして、それを板野友美の楽屋に招かれて、目の前で板野友美に座ってゆっくり読まれても大丈夫か、ということだ。ちよっとリアルに想像すればわかるだろうけど、そういう文章にはかなり高度な芸当が必要です。
■3.「熱」と「冷静さ」を併せ持つ
まず、熱を持って、プライベートな心持ちから発して、どんどん内側のものを出して書くとこから始まる。でも、いったん書き終わったあとに、冷静になった自分によってチェックを入れ、わかりやすいように直して、仕上げていったほうがいいのだ。
文章にかぎらず文化的なクリエイティブの才能というものがあるとすると、それはこの「熱と冷静さ」を一人できちんと持ってるかどうかだとおもう。
極端に言えば、ふたつの別の人格を持っていて、それをうまくコントロールできる人だけを才能ある人と呼んでいるのだ。
■4.書くかぎりは断定せよ
書くかぎりは、断定する。もちろん根拠を示して断定する。
言い切らないといけない。そこが人にきちんと届く文章を書くポイントなのだ。
「断定するのは読む人のため、断定しないのは自己弁護のため」だからだ。(中略)
言い切れないなら、書くな。
これは、私が自分に課しているポイントである。
■5.一人称は文章の冒頭に持ってこない
冒頭の一文の最初の一言が「私は」もしくは「僕は」であることは、できる限り避ける。「私は」から始まった文章は、その私のことをよく知ってくれている人が読んでくれるのなら大丈夫だろうけれど、公開される性質の文章であるかぎり、私のことを知らない人が読むほうが多いわけで、そのとき「私が」で始めると、「私って言い出してるけど、誰?」とおもわれてしまう。ちょっとした疑念がはさまるだけで、人はもう読んでくれなくなる可能性が高まる。
■6.時間軸に沿って書かない
文章を書くときに大事なのは「読み手の立場になって書くこと」です。
あなたが、自分の旅のことを書こうとするとき「準備から描写して、起こった順」に書いていきたいとおもってませんか。おもってますよね。だって、人間の脳は、そうするようにできているから。でも、それは「読者の都合をまったく無視した書き方」です。そこには読み手の視点がない。書き手の都合しかない。
旅の手記を、旅立ちから書かずに、おもしろい部分から書けるようになること。それが「読み手の立場に立って書くこと」なのです。
■7.辞書はインプットの時に使い、アウトプットでは使わない
駆け出しのとき、ラブホテルの雑誌を作ってる編集現場で、いちど、原稿を書いている最中に、何となく国語辞典を引いていたことがある。そのとき、前に座っていた先輩のライターに鼻で笑われた。「辞書を引くんだ。ふーん。ずいぷん高尚なものを書いてるんだね」と言われた。(中略)
そのときはすぐにはわからなかったけれど、あとで気づいた。「原稿書いてるときに、こいつ、辞書、引いてるよ、何を無理に気取ろうとしてるんだ。馬鹿じゃないのか」という意味だったのだ。(中略)
意味を調べるのはインプットのとき。アウトプットのときに辞書を使うな。辞書で確かめたくなった言葉は、その時点で捨てよ。それが、現場の教えです。
【感想】
◆冒頭の画像からもお分かりのように、本書には「ピンときた」部分が多く、今回は本当に割愛しまくり。そもそもいつもの感覚だと、1章で貼った付箋だけで1記事仕上げてしまうところでした(ダメじゃん)。
何とか6章まではカバーしたものの、それ以降は丸ごとカット。
9章でちょっと気になるお話があったので、それだけ触れさせてもらうと、どうも編集者が探している書き手とは「表面に自分が出てきていないのに面白い文章を書く人」らしいです。
「自己表現」とか「自分ブランディング」とは真逆の世界。
そしてそれは、「読者のことだけを考える」ことであり、本書に一貫して流れるテーマでもあります。
◆同じように割愛したポイントで「漢字を減らす」「すぐに改行する」なんてのは類書でも見かけるお話なのですが、単に「読者が読みやすい」というだけではなくて、もうちょっと踏み込んだ理由がありました。
堀井さん曰く、「雑誌を書く現場では『内容以前の見た目の問題』が大事で、それによって人の食い付きが違う」ということ。
おそらく、ちゃんとした文章を書きたい、と考えている人には、この視点がまったく欠落しているとおもう。ちゃんとした文章を書く前に確認することがある、という話です。確かに自分自身、リアル書店で単行本を手に取って、あまりに漢字だらけでビッシリ詰まった本だと、そのままそっと棚に戻しています。
もっとも逆に、ひらがなだらけのスカスカの本も戻してますがw
◆一方、反省しまくりだったのが「断定せよ」というお話。
当ブログでは「〜と思います」「〜ではないでしょうか」あたりは、かなり使ってしまっています。
これはひとえに、へたに断言して読者さんから「それは違う」と突っ込まれるのが怖いから。
それに比べると、小飼さんはブレてません。
断言(というか「弾言」)しまくりですし、それがゆえに読者に「届く」んですね。
◆本書は、堀井さんが数年前から行っている「ライター講座」の内容が元となっているそう。
ただし、対象はライター志望者だけでなく「うまく文章が書けなくて困っている人すべて」です。
うまく文章が書けないとおもったとき、「金を取れる文章を書く方法」を用いると、かなり有効のようなのだ。「疑問形のタイトルをつけるな」「プロとアマの違いは『どの言葉を使わないか』」「結果を予想せずに調査をしたら死ぬ」などなど、他にもご紹介したかった点がたくさん!
ちなみにこの本、橋本大也さんが好きそうなので、先んじてみましたw
文章書くすべての人にオススメ!
いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書 920)
1章 プロとアマチュアの決定的な差
2章 文章は人を変えるために書け
3章 客観的に書かれた文章は使えない
4章 直感のみが文章をおもしろくする
5章 文章は言い切らないといけない
6章 文章で自己表現はできない
7章 事前に考えたことしか書かれてない文章は失敗である
8章 文書を書くのは頭ではなく肉体の作業だ
9章 踊りながら書け
終章 内なる他者の形成のために
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【編集後記】
◆堀井さんの著作を漁っていたら、どうもこの本が一番高評価のようです。東京ディズニーリゾート便利帖
絶対並んではいけないトイレは。人気レストランが空く時間帯は。ファストパスを使いこなすには。バカ混みの日の回りかた。幼児が喜ぶすごく楽しい回りかた。先払いのレジで失敗しない方法。エレクトリカルパレードを2回見る方法。昼のパレードを最高の場所で見る。花火を至近距離で楽しむ裏技など、空前絶後の大調査。いますぐ使える、前人未踏、抱腹絶倒の超ガイドブック。どうやらただのガイドブックではない模様。
来月行く予定があるので、アマゾンアタックしました!
ご声援ありがとうございました!
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