2011年09月07日
【脱英語?】『日本人の9割に英語はいらない』成毛 眞
日本人の9割に英語はいらない
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、お馴染み、成毛 眞さんの「反・英語勉強本」(?)。すでに小飼 弾さんのこの記事で、ご存知の方も多いことかと。
404 Blog Not Found:書評に代えて - 日本人の9割に英語はいらない
実は、以前成毛さんのセミナーに出席した際、「英語本」の執筆をされていることを明かされてらっしゃったのですが、まさか「英語いらない本」だったとはw
/( ^o^ )\ なんてこったい
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.英語だけを勉強するのは、意味も分からずにお経を覚えるのと変わりはない一見、無意味で単調な作業を、いかに黙々と続けられるか。英単語や英文を暗記するのも、仕事でルーティンワークをこなすのも、根本的には同じである。求められるのはいかに効率よく、早く暗記をこなすか、作業をこなすかという能力になる。何かを生み出すクリエイティブな作業ではないのである。
■2.語学に関しては"泥縄"でいい
泥縄とは、泥棒を捕まえてから縄をなう、つまりことが起こってから慌てて対策を立てるという意味である。
海外支店の勤務が決まったなら、海外に行ってから慌てればいいし、もし外国人の上司が配属されることになったのだとしても、上司が来てから慌てればいい。何も起きていない段階で、「グローバル化の流れに置いていかれる!」と焦る必要はないのである。
■3.自信がないなら通訳を雇えばいい
マリナーズのイチロー選手はアメリカに渡って10年ぐらいになるが、インタビューでは通訳をつけ、英語で質問されても必ず日本語で返している。本当はチームメイトと英語で談笑するぐらい日常会話は上達し、発音も流暢なようだが、微妙なニュアンスを伝えきれないので通訳を雇っているのである。
イチローは言葉の表現にかなりこだわるタイプで、「今日はいいヒットが出たね」と話しかけたら、「出たんじゃなくて、出したんです」と即座に答えるという。普通の選手なら「そうですね」とにこやかに答える場面である。日本語でも妥協しないのだから、英語で自分の伝えたいことを正確に伝えられるとは思っていないのだろう。
■4.英語の社内公用語化の意義
幹部社員はともかく、一般社員にまで社内で英語を使わせることに、何の意味があるのだろう。おそらく、海外赴任を経験しないまま会社人生を終える社員が大半である。なぜそんな社員まで社内で英語を使わなければならないのか、まるで拷問のような企画である。年に1回しか乗らないのに、マイカーを買うのと同じぐらいムダな行為である。
■5.英語学習に取られる時間がもったいない?
20代・30代は仕事で覚えなければならないことが山ほどあるのに、英語の勉強に時間を取られたら、肝心の仕事に集中できない。仕事の段取り、社内や社外の調整、自社の商品やサービスに関する情報、市場の動向、販売やPRの戦略やテクニック、企画の作成など、この時期に身につけられなかったら、生涯仕事ができないビジネスマンのまま終わってしまう。ビジネスマンとして、基礎体力をつけなければならない時期に英語にかじりついている暇はないのである。
■6.欧米における教養とは?
欧米で知識人として認められるには、シェイクスピアと聖書を読んでいるのは基本である。エリートが集うパーティになると、ハムレットのセリフが普通に会話に出てきたりする。「当然知っているもの」という前提で話が進むのである。歴史や戦史も好むし、芸術についても造詣は深い。エリートは幅広い教養を身につけているのが普通なのである。
■7.英会話はマンツーマンでないと身につかない
たとえば、5人のグループレッスンなら、自分が話す時間は個人レッスンの5分の1になる。個人レッスンなら、自分が話す時間以外は先生の英語が聞けるが、グループレッスンでは他の生徒の下手な英語を聞いている時間が圧倒的に長くなる。それでもレッスン料は個人レッスンの5分の1にはならない。(中略)
だから、少しでも早く英会話を身につけたいのなら、個人レッスンに限る。グループレッスンとくらべるとレッスン料は高いかもしれないが、個人レッスンでないのなら習っても無駄である。
【感想】
◆成毛さんはご存知のように、かつて日本のマイクロソフト株式会社の社長として、アメリカ本国と仕事をされてきた方ですし、小飼さんは小飼さんで、英語がすこぶるお達者。こういう方々に「日本人の9割に英語はいらない」と言われても、東大生に「東大入っても意味がない」と言われるのと同じで(多分)、「ホントにそうかいな?」と思われる方が多いと思います(ちなみに本書で言ってる「9割」は、よくある「9割がなんたら〜」という数字ではなく、成毛さんがきちんと試算したもの)。
そんな「英語神話」をひとつずつ崩しているのが本書であり、個々の論点については目次をご参照のこと。
誤解されずに何かを否定するには、綿密な表現が必要であるにもかかわらず、上記のように部分的に抜き出すと、反論が来そうでちょっと怖いのですが。
◆本書は、第1章で「英語の必要性」について、そして第2章で話題の「英語の社内公用語化」について言及。
とはいえ、楽天やユニクロでは、英語について「課されたハードル」をクリアしないといけないワケで、そこの社員さんにとっては「社員の10割が英語が必要」になってきます。
ただし、成毛さんによれば、それは「自分の生き方を会社に決めさせている」ことであり、転職の検討もさりげなく推奨。
実際、学生の就職希望人気ランキングでも、楽天、ユニクロ(ファーストリテイリング)ともに昨年度より順位を大幅に下げているそう。
この第2章では、企業の採用条件にTOEICのスコアを用いることについても批判しているのですが、ホントは私たち一般ビジネスパーソンではなく、企業のトップにお読み頂きたいところです。
◆さて本書がぶっ飛んでいるのは、それまで英語や英会話について論じてきたのに、半ば唐突に「英会話を習うより、本を読め!」という第5章が登場すること。
全12冊、相変わらず成毛さんの紹介文を読むと「やたら面白そう」に感じてしまいます。
知らなかった本はまだしも、書店等で見かけていて、手に取ってなかった本も、「なるほどこれは!」と惹かれてしまう……。
その英語、ネイティブはカチンときます (青春新書INTELLIGENCE)
アルバニアインターナショナル―鎖国・無神論・ネズミ講だけじゃなかった国を知るための45カ国 (共産趣味インターナショナル VOL 1)
友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学
最後の本は、当ブログでもご紹介済みですが、とうとう「今年の成毛眞ベスト3」認定された模様。
◆……と、ここまで散々英語を「否定」しておいて、最終章が「成毛流英語学習法」というのも、また成毛さんらしいと言うか。
上記ポイントでは、英会話学習での「マンツーマンレッスン」の重要性に触れておりますが、他にも「実践的な」英語学習法が収録されています。
中でも興味深かったのが「パラレル発音法」なるもの。
「parallel」という英単語を、発音記号に忠実に、ゆっくり発音するのですが、マスター後、成毛さんは「l」と「r」の発音で苦労しなくなったのだとか(詳細は本書にてご確認を)。
◆私自身、本業ではほぼ100%英語を使わないので、これからも英語を積極的に勉強することは多分ないと思います。
それでも、はてなの人気エントリー等で英語ネタの記事の人気ぶりを見ると、「やっぱ、やっといた方がいいのかなー」と人並みに焦ってみたり。
もっとも、一番いいのは独立するなり自分で会社を興して、英語を必要としないくらいの競争力を身に付ける事ではないでしょうか?
それが難しいなら、英語を保険の意味で勉強することも、必ずしも無駄ではないと思うんですけどネ。
成毛さんだからこそ言える本音の英語論です!
日本人の9割に英語はいらない
第1章 本当に英語は必要なのか
第2章 英語を社内公用語にしてはいけない
第3章 本当の「学問」をしよう
第4章 日本の英語教育は日本人をダメにする
第5章 英会話を習うより、本を読め!
第6章 それでも英語を勉強したい人へ~成毛流英語学習法
【関連記事】
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【オススメ】『実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ 』成毛 眞(2010年07月10日)
【編集後記】
◆昨日とうとう注文してしまいますたwHOMESTAR R2-D2 (ホームスター R2-D2)
願わくば、ムスコにすぐに破壊されませんように……。
ご声援ありがとうございました!
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こんにちは。
祥伝社の萩原でございます。
以前、成毛さんのセミナー参加の記事の際にもコメントを書かせていただいたと記憶しております。
この本の編集を担当させていただきました。
ご紹介、本当にありがとうございます。
貴ブログで取り上げていただけたこと、
とても嬉しく思います。
そして何よりも、本書の主張を担当編集者(つまり、私ですが)よりも的確にまとめていただき、大変にありがたく思います。
今後もよろしくお願いします。
祥伝社の萩原でございます。
以前、成毛さんのセミナー参加の記事の際にもコメントを書かせていただいたと記憶しております。
この本の編集を担当させていただきました。
ご紹介、本当にありがとうございます。
貴ブログで取り上げていただけたこと、
とても嬉しく思います。
そして何よりも、本書の主張を担当編集者(つまり、私ですが)よりも的確にまとめていただき、大変にありがたく思います。
今後もよろしくお願いします。
Posted by 萩原貞臣 at 2011年09月07日 09:34
>萩原貞臣さん
コメントありがとうございます。
ひょっとしてセミナー記事のコメントの「はぎわらさん」でしょうか?
…まさか編集者さんだったとはw
この記事も小飼さんの後ということで、ほとんどインパクトはないかもしれませんが、本自体は面白かったです!
今後とも、よろしくお願いします!
コメントありがとうございます。
ひょっとしてセミナー記事のコメントの「はぎわらさん」でしょうか?
…まさか編集者さんだったとはw
この記事も小飼さんの後ということで、ほとんどインパクトはないかもしれませんが、本自体は面白かったです!
今後とも、よろしくお願いします!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年09月08日 07:49
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