2011年08月30日
【私にもできる!?】『一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣』高野 登

リッツ・カールトン 一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本記事」で取り上げたコミュニケーション本。著者の高野 登さんは、リッツ・カールトンでのご経歴が良く知られていますが、本書で提案されている「言葉がけ」の習慣は、リッツに限らず、私たち一般ビジネスパーソンにもできるものです。
アマゾンの内容紹介から。
相手の本当の望みを知るお声がけ、会話を弾ませる糸口のつかみ方、信頼を生む言葉遣い、仕事のプロになるための考え方。まさに「接客・営業を担当するビジネスパーソンはもちろん、コミュニケーション力を高めたいすべての方に、必ず役に立つ」1冊です。

【ポイント】
■1.「挨拶+ひと言」でつながりを生み出す「こんにちは」に対しては、お客様は「こんにちは」と返すことができます。
でも、「いらっしゃいませ」と言われても、お客様には返す挨拶がありません。(中略)
では、どんな挨拶ならお客様とのコミュニケーションが生まれるのでしょうか。それは、ひと言を添えることを心がける、ということです。
「こんにちは。今日は寒いですね」
「いらっしやいませ、○○様。今日はお友達とご一緒ですか」(中略)
その時心に浮かんだ言葉を、ひと言添えてみましょう。それだけで、挨拶に想いがこもります。そのひと手間かけたひと言が、お客様との次のコミュニケーションにつながっていくのです。
■2.相手の「こだわり」を見つけてほめる
たとえば、和食レストランのオープンカウンター。板前さんたちが見事な手さばきで料理を創っていきます。ここで「見事な包丁さばきですね!」と声をかけても、そっけなく「あぁ、どうも」と返されるのがおちでしょう。(中略)
ではどうするか。
「実に見事な包丁ですね。使いこなす腕もすごいですが、切れ味が伝わってくるようです。さぞや名のある方の作品なのでしょう」と道具に目線を持っていくのも一案です。
腕のよい職人は、自分の道具を大切にしています。吟味して道具を選び、日々手入れをしています。プロとしてこだわりを持って大切にしている道具をほめられたら、つい、その道具について話をしたくなるのではないでしょうか?
■3.期待感を高めるひと言で、相手の気持ちを盛り上げる
ちょっとしたひと言で、場の雰囲気が明るくなったり、楽しい気分になったりすることがあります。お客様と良好なコミュニケーションを取るためには、そんなひと言を惜しまないことです。(中略)
たとえば商品を販売するのであれば、「今度の新製品ですが、発表会での評判がものすごくいいんですよ」、イべントやセミナーを開催する方であれば、「今回はスぺシャル企画を用意していますので、楽しみにしていてくださいね」など。
どんな業種であっても、その後のお客様の会話は、期待で膨らんだものになるでしょう。
■4.手紙とメールは相手によって使い分ける
アフターフォローは、手紙かメールかという議論があります。この使い分けは自分の都合ではなく「お客様が欲しているのは何か。どんなぺースで生活をされているのか」を最優先に考える必要があるでしょう。
私も手紙は好きなほうですし、手書きの文章からは書き手の心が伝わってくるものです。手紙の持つあたたかさや伝えるカは十分に理解しています。
しかし、油断をすると手紙にはまた、一種の押しつけ感のようなものが醸し出されることがあるのも事実です。逆に言えば、それだけよい手紙を書くというのは難しいと言えるのかもしれません。また、忙しく働く仕事のプロは、スピード重視の観点からメールを好む傾向があります。それらを踏まえてはじめて、相手の心に残るコミュニケーションが生まれるのです。
■5.気持ちよくルールを守ってもらう言葉がけ
では、日本のホテルで、禁煙席でタバコを吸っている人を見かけた時はどうしたらよいでしょうか。うっかりしたのか確信犯なのかはわかりませんが、煙管で美味しそうに吸っている年配の方を見かけることがあります。
日本では、そんな時でもストレートに「ここは禁煙です」と伝えるのではなく、何らかの配慮をすることが大事です。
「すみません。ここは禁煙席なのです。おタバコが吸える席をご用意させていただいていますので、すぐにご案内いたします」と伝え、ご案内をしながら、「この頃は、愛煙家の方には住みにくい時代になりましたね」とひと言、囁いてみてはいかがでしょうか。
■6.軽い話題を振って不穏な空気を変えるプロの技
一般的には、初めてのお客様同士の口論は、トラブルにまで発展しにくいものです。つまリトラブルが起きるとすれば、その場を使い慣れているお客様の可能性が高いのです。つい自宅のリビングルームのような感覚になるからかもしれません。
もし口論が始まったら、まずはそれを見守ります。必ず、口論が一瞬停止する瞬間があります。その時、ふと思い出したような口調で軽いひと言を挟んでみるのです。
「そういえば、○○さん、最近海外へは行かれましたか?」
「先月アメリカにご出張でしたよね。変わったこと、ありました?」
お客様がしていた会話とまったく関係のない話題であれば、どんなものでもいいと思います。少し説明を要する質問をひとつ投げかけることで、場の空気感を変えていくのです。これは高度な救済策と言えます。
【感想】
◆今回は引用部分が長かったのでこの辺で。私が今まで拝読(含む立ち読み)した「リッツ・カールトン本」(以下「リッツ本」)は、「それ、リッツだからできるんじゃん」というネタが多かった印象がありましたが、本書はちょっと別。
冒頭でも触れたように、私たちにもできそうな「言葉がけ」が多々ありました。
とはいえ、やはり「リッツだーw」というお話もあって、たとえば「和食のレストランから日本そばをお持ちしましょうか?」なんてのは、なかなかできないもの。
もっともこの部分で本書が述べたいのは、「フリーダムな接客をせよ」ということではなくて、「お客様の立場に立って、俯瞰的にものを見ることを習慣にする」ということなのですが(詳細は本書を)。
◆一方、すぐに取り入れられそうなのが、ポイントの最初の「挨拶+ひと言」。
これは、私自身体験した記憶があるので、既に実践している小売店もあると思います。
そう言えば、以前どこかの記事に書きましたが、都内の某スタバでは、オーダーに関する会話以外に、いちいちお客さんにひと言(かなりフレンドリーに)かけていました。
「放っといてくれ」と思う人もいるかもしれませんが、こちらの顔も見ないでオーダーを処理するお店に比べたら、どんだけ人間味が溢れていることか。
◆ちょっと面白かったのが、高野さん個人の体験として、マウイのリッツ・カールトンにいらっしゃった際に、旅行社から「企画している『釣りプログラム』で絶対に大漁にして欲しい」という依頼を受けたお話。
どういう手段を使ったかは本書でご確認頂くとして、そういう依頼に勝算もない状態で、即、受けてしまうところが流石です。
ちなみに、解決策自体はリッツ・カールトンには直接関係なかったですが、「NO」と言わない姿勢はリッツだからのような。
と言うか、そもそも旅行社も、標準的なホテルだったらこんな無理難題はお願いしないハズ。
言葉がけとは違いますが、お客様の希望を叶えようとする姿勢は見習いたいところです。
◆なお、ポイントの最後に挙げたのはあくまで「プロの技」であり、トラブル発生中に口を挟むことはかえって「関係ないだろ!」と火に油を注ぐことにもなりかねません。
それでも「何とかしなくてはいけない」場合に備えて、以前ご紹介したこの本を再度プッシュw

瞬間説得―その気にさせる究極の方法
参考記事:【超説得】『瞬間説得―その気にさせる究極の方法』ケヴィン・ダットン(2011年06月30日)
もちろん、そういう場面がないのに越したことはないのですが。
効果的な「言葉がけ」を身に付けたい方に!

リッツ・カールトン 一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣
1章 仕事のプロとしての「基本」は挨拶から―たった一度のチャンスである「挨拶」は最高のものを届ける
2章 心の距離を近づける言葉―相手の心に寄り添ったひと言が絆を深める
3章 喜んでいただく言葉―相手が本当に求めていることを考えた時にマジックは生まれる!
4章 心を動かす言葉―制約を外して考えれば、常識を超えたおもてなしが生まれる
5章 言いづらい言葉をかける時―相手に気持ちよく動いてもらうために
6章 信頼を築くための言葉―ちょっとしたことの積み重ねで信頼は生まれる
7章 仕事を楽しむための言葉―プロが大切にする仕事の立ち位置
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【編集後記】
◆強力な「おっさんホイホイ」発見w
『総天然色ウルトラQ』DVD-BOX I
「欲しい!」んですけど、観る暇が無さそう……。

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