2011年08月23日
【貴方は大丈夫?】『残念な人の仕事の中身 〜世界中の調査からわかった「組織で評価されない人」の共通点』ロバート・W・ゴールドファーブ

残念な人の仕事の中身 ~世界中の調査からわかった「組織で評価されない人」の共通点
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、自分では気がつかない「働き方の問題点」について言及した1冊。本書によると、一生懸命頑張っているのに何故か評価されない人には、「12の共通点」があるのだそう。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書を読めば、「よかれと思って必死に頑張っている」ことこそが、じつは「低評価」の原因になっていることが多々あるということがわかるだろう。「著者が30年追いかけてきたテーマ」の集大成をご覧アレ。
これまでの「成果」一辺倒の発想を覆すまったく新しい仕事論である。

【ポイント】
★本書は各項目ごとに具体例を用いて解説するため、下記でも一部登場人物の名称が出てきております。■1.仕事が出来ても評価されない本当の理由
あなたはある目的を達成するために雇われ、きちんと仕事をこなすことを期待されています。しかし上司は、あなたの振る舞いが組織に与える悪影響を恐れます。上司は、あなたが何も問題を起こすことなく、課せられた目標を達成するか、またはそれ以上の結果を出すことを望んでいるのです。(中略)
しかしそれ以上に、上司は、あなたが人と仕事をする中で、まわりの人たちに湧き起こす感情を重視しているのです。
■2.どうでもいい話をだらだらしない
分析好きな人たちは、成功と失敗を分けるのは、情報の詳しさであると信じています。そんな彼らは、細かい情報が重要視されないとわかると憤りを覚えるのです。(中略)
戦略的思考をする人たちは、細かいところまで考えなくてはいけないことはわかっています。彼らが我慢できないのは、データそのものではなく、その数字のプレゼンの仕方なのです。緻密なデータを報告する際には、お笑い芸人のように、どこで相手の興味が薄れるのかを察知する感性が必要です。相手の興味をひきつけながら細かい数字を提示することは、不可能ではありません。
■3.皮肉はユーモアとは違う
何か物事を正すとき、ストレートに言うのを避け、かわりにユーモアを使って暗にメッセージを伝えようとするマネジャーがいますが、ユーモアの使い方が間違っているために、しばしば相手を傷つけてしまいます。
「なるほど。ウォートン・スクールじゃ、君のそんなアィデアにMBAを与えたわけだ。たいしたもんだ」――このような言い方は、たとえ笑いながらであっても、言われたほうには頬を平手打ちされたような気持ちが残ります。
■4.数字ですべてを割り切ろうとしない
エンジニア、会計士、保険数理士など数字に向き合う仕事に就いている人は、多様な個性をまとめるのが苦手な傾向にあります。数字だけが確かさを持つ世界に浸かっているせいで、彼らは人の世界では1十1がつねに2になるとは限らないこと、そして人の組み合わせを間違うと結果がゼロにもなりかねないということが理解できないのです。
もしアーネストが、多くの異なる人たちをまとめたいと願うならば、まずは部下たちの信用を勝ち取らなければなりません。部下たちは、アーネストが彼ら自身より数字に興味があるということをすぐに感じ取ります。彼らは、彼が本当に部下たちを理解しようとしない限り、彼の分析力は認めても、本腰を入れて協力することはないでしょう。
■5.感情的にならない
芸術家に特有の激しい気性は多少仕方ないとしても、組織に雇われている以上は、同僚や顧客、そして経営者の価値観を尊重することが求められます。(中略)
自分の提案が受け入れられなくても、激高するのではなく、相手を尊重しながらその違いを受け止める術を身につける必要があります。
よく、少し頭にくるといきなり爆発する上司がいますが、そんな姿を見た部下は、何をするにも上司の感情にふれるこことを恐れて、何もしなくなります。もし反対意見があっても、それはためらいがちにしか表に出てきません。
■6.小さな部分では譲歩する
たとえ自分が正しいと思っても、小さな点では一歩譲りましょう。私はこれまで、小さな問題に対するエゴのぶつかり合いで、プロジェクトがストップしてしまうのを何度も見てきました。感情的な議論になりそうになったら、一度立ち止まって「この問題は、プロジェクトを前進させるためなら一歩譲れるだろうか?」と自問してみることです。
とくに男性は、このような場面で一歩譲るのは「沽券にかかわる」としてよしとしない人が多いようです。ただ、本当に自信があり、一歩譲ることでより大きな目的を達成できるのなら、喜んでそうすべきです。
■7.古いやり方に固執しない
上司は、ローリーはそれほど歳を取っているわけではないのに、彼女の言動が彼女を古ロくさく思わせていると言っています。これはとても大切なポイントです。MBAを取ったばかりの若手社員にとっては、書類をフアックスで送りっけようとしてくる人など、自分一をパカにしているようにしか思えないのです。
今日、職場において年輩者はみな、時代遅れの言動を取るたびに、自分の仕事がリスクにさらされるということを理解しておかねばなりません。あなたがもし、いっも過去の話題を持ち出したり、古い世代の有名人をほめめたり、新しいアィデアに否定的だったり、時代遅れのゃり方をやめることを拒絶したりしているとしたら、それは自身の立場を危うくしていることになります。
【感想】
◆アマゾンの内容紹介にもありますが、まずは気になる「12の共通点」を列挙。01.一貫性の欠如
02.役割の無理解
03.ジコチュー
04.傲慢
05.頑固
06.理論至上主義
07.偏見
08.変化への抵抗
09.仲良しクラブ
10.まかせない
11.問題の誇張
12.無用なユーモア
前提として、皆、仕事はキチンとやっている(少なくとも本人はそう思っている)ものの、上司から見ると、色々と「問題」があるわけです。
本書では、各項目ごとに、まずは「本人の言い分」を紹介。
ただ、ここだけ読んでも、その多くが「どこが問題なのかわからない」のがミソ。
それに続く「上司の言い分」で何が問題なのかが分かるのですが、一部を除いて「本人はその問題点に全く気がついていない」のです。
◆本書では、各共通点ごとに、「ポイント」としてまとめた後に、具体的な処方箋を列挙。
例えばポイントの4番目の「数字ですべてを割り切ろうとする人」への処方箋はこんな感じです(小見出しのみ抜粋)。
1.データを盲信しない
2.「感情」という要素を考慮する
3.直感に耳をすませる
4.直感の裏づけを行う
5.進むべき方向を示す
6.エゴで指示を出さない
7.合意をとりつける
8.ちょっとした声かけをする
9.敬意を勝ち取る (詳細は本書を)
もうこれら各処方箋だけで、「ライフハック」として1つの記事にできそうな気がw
該当する人にとっては、かなりありがたいのではないでしょうか?
◆そう言えば、私の会社員時代にも、優れた処理能力を持ちながら、「12の共通点」に当てはまっていた後輩クンがいました。
それほど年が違わなかった私には、彼の言い分も良く分かったのですが、おそらく上司から見た場合、上記の共通点の「ジコチュー」「傲慢」「頑固」辺りが当てはまっていた気が。
しかも、会議においても「根回し」や「譲歩」を潔いとしない考えだったため、彼の周りにはトラブルが続出。
最終的には、望まぬ異動を不服として転職してしまったのですが、彼は最後まで「自分は間違っていない」と思っていたはずです。
◆今考えても、確かに彼の「言ってること」は間違っていませんでした。
ただ、ポイントの1番目にあるように「まわりの人たちに湧き起こす感情」を考えた場合、その行動には「問題があった」ワケで、それこそがまさに本書で論じているお話そのものです。
もっとも私自身も、かたくなに(?)iPhoneを取り入れない等、ある意味「古いやり方に固執している」部分もあるので、ヒトのことは言えません。
それ以前に、例えば「数字で割り切ろうとする人」にとっては、その人以外の「物事を数字で考えられない人」の方が問題だと思っている可能性は高いです。
結局、「自分のやり方」の是非はいったん置いておいて、それが「組織の中でどう思われているか」を客観的に見つめてみるべきなのかな、と。
◆本書は、各項目に当てはまる人にとっては、ズバリ役立つものですし、もし当てはまらないとしても、部下や同僚で該当者がいれば、それとなく勧めてみて頂きたく。
今まで「出世本」と言われる本も何冊か読んできましたが、こういう「NG集」的な本は意外となかった気がします。
ただし、「自分も周りもこんな人ではない」という方にとっては無用の長物(ry
問題は、「自分が本当に当てはまらないのか否か」が分からない可能性があることなんですが……。
「思うような評価がされていない!」と思ったら必読の1冊。

残念な人の仕事の中身 ~世界中の調査からわかった「組織で評価されない人」の共通点
はじめに 能力が高くてもうまくいかない。なぜか?
第1章 「なぜ採用されたか」知っていますか?:自分が見えないという問題
第2章 「話がだらだらしてる」と言われませんか?:マイペースという問題
第3章 「こっちはちゃんとやってるのに」と言っていませんか?:協力できないという問題
第4章 「いくらやっても評価されない」と思っていませんか?:自信過剰という問題
第5章 「それなりの仕事で乗り切ろう」としていませんか?:変化を嫌うという問題
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【編集後記】
◆今年もこんな季節になりました。
ほぼ日手帳公式ガイドブック2012 どの日も、どの日も、大切な日。
と言うか、一昨年やその前は9月発売だったのに、昨年から8月になったみたいですねw

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