スポンサーリンク

       

2011年08月17日

【オススメ】『この世でいちばん大事な「カネ」の話』西原理恵子


この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)
この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、お馴染み漫画家の西原理恵子さんのヒット作の文庫版。

と言っても、元々本書の単行本が出たのは2008年。

その後出版元である理論社の倒産に伴い、別の版元から新装版が2011年5月に、そして翌6月に出版されたのが本書になります。

ところで、タイトルにある『「カネ」の話』というフレーズを見て、何となくスルーした方がいらっしゃるかもしれませんが、私もまさにそうでした。

しかし、今回の文庫版の解説を、勝間和代さんがおやりになってるということで、拝読してみたところ、単なる「カネ」だけの話に留まらず、得る点が多々ある「スゴ本」であることが判明。

今さらですが、プッシュさせて頂こうかと思います!


人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!





【ポイント】

■1.最下位には最下位の戦い方がある
 そもそも、わたしの目標は「トップになること」じゃないし、そんなものハナからなれるわけがない。じゃあ、これだけは譲れない、いちばん大切な目標は何か。
「この東京で、絵を描いて食ぺていくこと」
 だとしたら肝心なのは、トップと自分の順位をくらぺて卑屈になることじゃない。最下位なわたしの絵でも、使ってくれるところを探さなくっちゃ。最下位の人間には、最下位の戦い方がある!


■2.自分なりの工夫で差別化を図る
 わたしは、来た仕事を言われた通りにやるだけじゃなくって、自分なりの工夫をすることにした。サーピス精神を発揮することで「ほかの人とは、ちょっとひと味ちがうんですよ」ってところを見せて、自分の個性をアピールしてみたというわけ。
 たとえばエロ本に載る小話につける、小さなカットを描くことになったとき。
 わたしは、その小話をじっくりと読んで、頼まれてもいないツッコミを山ほど、入れて描いた。それで、小話につく「ただの挿絵」のはずが、ほとんどツッコミの字ばっかりになって、絵のほうがむしろ、「ただのオマケ」みたいになっちゃった。
 やりすぎだって叱られるかと思ったら、その小話を書いたライターの人が、ものすごく喜んでくれたんだよ。


■3.才能は人から教えられるもの
 何でも仕事をはじめたら、「どうしてもこれじゃなきゃ」って粘るだけじゃなくて、人がみつけてくれた自分の「良さ」を信じて、その波に乗ってみたらいい。
 わたしの場合も、人から「あれ描いて」「これ描いて」って注文されて、断らずにやっているうちに「このあいだのアレ、おもしろかったよ」「こういうのをまたやりましょう」って、ウケるほうに、食べていけるほうに、仕事が寄っていった。そうなると、、ひとつの仕事が次の仕事を呼んで、仕事の道ができていく。
 だから、わたしは思うのよ。
「才能」って、人から教えられるもんだって。


■4.身銭を切ってこそ笑ってもらえる
 仕事のはずなのに、なぜ、わざわざ自分のお金を賭けたのか?
 それはね、自分でちゃんと痛い思いをしながら描かなかったら、お客さんにも笑ってもらえないから。「負けたけど、出版社の経費で落とせるので、わたしは痛くもかゆくもありません」っていうんじゃ、読んでくれているほうはおもしろくも何ともないでしょ。笑ってもらうためには「こんな悲惨な目にあいました」というほうが、オイシイ。
「痛いはダイヤモンド」。それはわたしに限らず、お笑いにかかわる仕事をしている人間の「お約束」だと思う。


■5.大人になる前に自分なりの金銭感覚をつくる
 子どものころに身についた習慣というのは、子どものころにつくられちやった「自分の性格」みたいなもので、一度しみついたら、なかなか抜けるもんじゃない。
 そんな習慣が身にしみこんじゃった大人になる前に、今が自分なりの金銭感覚をつくるチャンスなんだと思って、お金とのつきあい方を見直してみてほしい。
「ちょっとそれっておかしいかも」「これっていいのかな?」「どうなんだろう?」、日ごろの生活習慣をよくよく見直すことで、自分なりのしっかりとした金銭感覚をつくっていってほしい。
 それがゆくゆくは、キミ自身を、危険な「カネ」の落とし穴から、きっと、守ってくれる。


■6.逃げちゃってもかまわない!
 競争社会から落ちこぼれたっていい。日本を出ちゃっても、ぜんぜん、かまわない。いまいるところがあまりにも苦しいのであれば、そこから逃げちゃえ!
「いくらがんばっても、どうにもならない」ってことを知ることは、とても大事なことだと思う。あまりにも疲れてしまっているのなら、ちゃんと休む。
 心と体を休めて、ちゃんとものが考えられるようになってから「じゃあ、これからどうしたらいいんたろう」って自分とじっくり向き合えばいい。
 自分の中の「ダメなところ」を、そんなに恥じることはないんだよ。肝心なのは、ダメになったら、そこからどう切り返すかなんだから。どうやったら、そこで「自分なりの次の一手」を打てるかなんだからさ。


■7.カネという視点から見る「やりたいこと」とは何か?
「自分がやりたいことがわからない」という人は、やみくもに手探りをするよりも、このふたつの「あいだ」に自分の落としどころを探してみたらどうだろう。
「カネとストレス」、「カネとやりがい」の真ん中に、自分にとっての「バランス」がいいところを、探す。
 それでも、もし「仕事」や「働くこと」に対するイメージがぼんやりするようならば、「人に喜ばれる」という視点で考えるといいんじゃないかな。自分がした仕事で人に喜んでもらえると、疲れなんてふっとんじゃうからね。


【感想】

◆最初、何で本書の解説を勝間さんがやるのか腑に落ちなかったのですが、よくよく考えたら、この本で対談されていたんでした。

勝間和代の日本を変えよう Lifehacking Japan
勝間和代の日本を変えよう Lifehacking Japan

参考記事:【提言】勝間和代の日本を変えよう Lifehacking Japan(2008年09月27日)

この本の中で、勝間さんに対して「次は嫁をもらえ」という名アドバイス(?)をされていた西原さんw

そしてまさに本書の第1章は、この『勝間和代の日本を変えよう』で取り扱っていた「貧困」がテーマです。

勝間さんは、幼少時の西原さんの育った「貧しい」環境に驚かれていましたが、確かに西原さんとほぼ同年代の私でも、ここまでの環境はちょっと経験がなく。

リアルすぎる描写に、正直私もたじろぎましたが、当ブログ的には「実践」できる(すべき)内容とは違うので割愛しました(詳細は本書を)。


◆一方第2章では、美大を目指すための予備校で課題を提出して「最下位」だった西原さんが、「いかにのし上がるか」の実録が。

私が西原さんの作品に接した頃には、すでに『恨ミシュラン』で売れてらっしゃったのですが、まさかこんなご苦労があったとは知りませんでした。

しかもポイントの2番目で挙げたように、現在の西原さんの作風である「やたら多いツッコミ」も、他者との差別化を目指してこの頃からすでに始められていた、というのがスゴイです。

実はこんな「人を喜ばせるサービス精神」が、ギャンブルでの「自腹」にもつながっており、10年で5000万円ほどスッたとのこと(第3章より)。

……私のように「献本をお断りして自腹で本を買ってる」のとは「自腹」の次元が違います(当たり前)。


◆続く第4章では「自己啓発」的なお話が展開されており、ポイントの7番目辺りは、まさに「ブランディング」。

さらに第5章では、「グラミン銀行」にまで言及されています。

こうして読んでいくと、本書では「社会問題」「マーケティング」「コミュニケーション」「ブランディング」「経営」等々、「おカネ」を軸に、様々なテーマについて論じられていることがお分かり頂けるかと。

冒頭でも申しあげたように「おカネ」の話、というだけでスルーしていたことを深く後悔した次第です。


◆本書は、私にとって初の「マンガ以外の西原作品」でしたが、多くの方が高く評価されていたのも納得。

語りかけるような文体ですし、ウチの子どもたちにも、可能な限り早く読ませてやりたいです。

なお、解説を読んで、勝間さんのご家族に関して、初めて知ったこともありました。

勝間さんが「おカネ」について深く考えてらっしゃるのは、職業柄(?)なのかと思ってましたが、意外なバックボーンがあったとは。

おカネについては、固執し過ぎるのでも、敬遠するのでもなく、正しく接したいと思うワタクシ。


未読の方にはハゲシクお薦めです!

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)
この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)
第1章 どん底で息をし、どん底で眠っていた。「カネ」がないって、つまりはそういうことだった。
第2章 自分で「カネ」を稼ぐということは、自由を手に入れるということだった。
第3章 ギャンブル、為替、そして借金。「カネ」を失うことで見えてくるもの。
第4章 自分探しの迷路は、「カネ」という視点を持てば、ぶっちぎれる。
第5章 外に出て行くこと。「カネ」の向こう側へ行こうとすること。
谷川俊太郎さんからの四つの質問への西原理恵子さんのこたえ


【関連記事】

【人気ブロガーがデビュー】『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』ちきりん(2011年01月20日)

【相互依存】『人生を10倍自由にするインターディペンデントな生き方実践ガイド』勝間和代(2010年12月10日)

【ストレスフリー】「ゆるい生き方〜ストレスフリーな人生を手に入れる60の習慣〜」本田直之(2010年05月23日)

【ヤバ本?】「ヘッテルとフエーテル 本当に残酷なマネー版グリム童話」その他お金関係の本(2009年11月28日)

【提言】勝間和代の日本を変えよう Lifehacking Japan(2008年09月27日)

【新條まゆ先生!】「バカでも描けるまんが教室 」は侮りがたいです!(2008年06月11日)



【編集後記】

◆最近の西原さんのお仕事では、コレが一番笑えるかな、と。

西原理恵子の人生画力対決 2 (コミックス単行本)
西原理恵子の人生画力対決 2 (コミックス単行本)

一度、この「対決」を、会場でナマで体験してみたいものですw


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「自己啓発・気づき」へ

この記事のカテゴリー:「マーケティング」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。