2011年08月11日
【5つのタイプ】『「困った人」の説得術』出口知史,伊東 明
「困った人」の説得術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リアル書店で捕獲した、社内の「困ったちゃん」に対する処方箋。当ブログでは「ハズれ本なし」の伊東 明さんが関与された作品であることと、冨山和彦さんの「抵抗勢力の急所、掌握の技術がすべて書いてある」という帯のフレーズを見て、購入を決定しました。
アマゾンの内容紹介から。
他人の仕事には手を貸さない、何でも批判してアイデアを潰す、既得権を守るために話し合いに応じない――仕事にブレーキをかける職場の「難敵」を強力な味方にかえる5つのコミュニケーション・スキル!本書では、その「困ったちゃん」を「評論家」「職人」「思考停止」「現実逃避」「近視眼」の5つに分類し、具体的な対応法について述べられています。
日常業務や会議等でこれらのタイプに悩まされている方なら必読かと。
いつも応援ありがとうございます!
【5つのタイプ】
◆今回は、5つの「困ったちゃん」の解説をば。■1.評論家クレーマー
どこの組織にも定番のようにいるのが、「評論家社内クレーマー」(以下、評論家クレーマー)だ。頭の回転が妙に速いのと、いろいろな情報をよく知っている一方で、すべてを他人事として捉えた態度で振る舞う。絶対に自分では行動を起こさない。そして、それだけにとどまらず、他者への攻撃性が高い。行動を起こさずに、過剰に相手を責め立て、まるで「突っ込み」クレームをすることそれ自体が目標のようになっている節すら感じられる。(中略)
つい、「じゃあ、あなたはどうすればいいと思うんですか!」なんて言ってしまうと、「いや、私は意見を求められて今日この場にいるのであって、対応策を考えるのはそれが本業である、皆さんじゃないですか」「私は自分の目の前の業務に忙しいから、これ以上は構っていられません」と切り返されてしまう。何も間違っていないが、同席した人には、なんだか釈然としないものが残る。
■2.職人クレーマー
この(部門横断でテーマに取り組む)ときに登場する専門家が、生まれつき好奇心が強かったり、あるいは、自分の置かれたミッションや役割、長所と短所などを正確に理解していて、相手の話を聞く姿勢ができていれば問題は起こらない。しかし、やる気やバイタリティーがあるがゆえに自分の抱える問題を解決することに夢中で、相手の理解や感情などを置き去りにして話を進めようとするタイプの場合、確実に問題が起こる。プロジェクトを進めるにあたり、意見が異なる相手がいると攻撃的になり、クレームをつけ始め、「職人社内クレーマー」(以下、職人クレーマー)へと様変わりしてしまうのだ。(中略)
単なる抵抗勢力であれば、皆で一斉に排除すればよい話である。しかし困ったことに、そういった人たちは本来の仕事には熱心に取り組んでいて、結果も出している。根はいたって真面目な人なのだ。
■3.思考停止クレーマー
いわゆる「頭の固い人」というのは、どこにでもいるものである。決して人柄が悪いわけではなく、1杯飲んでいるときの話も普通に面白く、笑顔を絶やさなかったりもする。(中略)
しかしながら、こうしたタイプはひとたび意見の分かれる論点について話が及ぶと、一歩も譲らない。あるいは、決まりきった手続きや暗黙のルールを変えることができない。他人から見たらどう考えても結論が間違っているのに、決してそれを認めようとしない。
すなわち、「誰が何を言っても譲らない、譲れない人」である。声を荒らげてクレームをつけてくるタイプもいれば、「無言の抗議」のように、反論どころか一切何もしゃべらなくなってしまうような無言のクレーマーになるタイプもいる。そんな人たちが身の周りにいなしだろうか?
■4.現実逃避クレーマー
いい大人になってサラリーマン生活を普通に過ごしていると、嘘をつかれる機会はそんなにはないだろう。それでも、自分の聞き間違いなのか勘違いなのかわからないけれども、結果的に嘘をつかれていたという経験はないだろうか。悪意があるというわけでもなく、悪気がなくとも嘘をついてしまう人がいるのである。「やってみたけどダメでした」(実は何もやっていない)、「頑張ります」(と言って何もしない)と中身を伴わずにいうのがよくある例だろう。(中略)
自分にとって不都合なつらい状況を目の前にしたときにその状況から逃れるのに精一杯で、結果的に嘘をついたりもしてしまうような、何を考えているのかわからないのが、「現実逃避社内クレーマー」(以下、現実逃避クレーマー)である。
■5.近視眼クレーマー
「打算的」という言葉があるが、その言葉には「自分のことしか考えない」という皮肉っぽい意味合いが含まれている。実際にそうしたニュアンスで使っていたのが、いままでの日本人だろう。ところが、それを「合理的」という言葉に置き換えて、皮肉っぽいテイストどころかむしろ"あるべき姿勢"のように捉えて実践しているのが、「近視眼社内クレーマー」(以下、近視眼クレーマー)である。(中略)
いわゆる「助け合い」「思いやり」「困ったときはお互いさま」などの、奉仕の精神に欠けている。本人は認めないかもしれないが、心の奥底では、「自分さえよければいい」と思っているために、結果的に周囲の目にはそう映っている。だから何かお願い事をされたり、(少なくとも短期的には)一方的な協力をしなければならなかったりする場面になると、出てくるのが「なんの得になるんだ」「なぜ私が(よりによってそんな面倒なことを)?」といった主旨のセリフだ。
【感想】
◆以上、5つのタイプを簡単に(これでも)説明しましたが、本書のテーマは、実のところ、これに続く「いかに対処するか」がメインとなってきます。かといって、5つのタイプを簡潔にまとめたとしても、さらに5項目増えてしまうので、とてもじゃないですが今回の記事ではカバーしきれず(スイマセン)。
一応、下記の目次の各章の見出しが、どうするかをひと言でまとめているものなので、ご参考まで。
本書を読み終えて思うのが、この見出し、なるほどよく言い当てていますw
◆ただ、これだけではやはり不足でして、本書では各タイプごとに順を追って具体的なアドバイスを展開。
例えば最初の「評論家クレーマー」は、最初が肝心で、「クレームが始まったら最初にキチンと反論しておく」。
これが「思考停止クレーマー」だとむしろ逆で、最初に武勇伝等を聞き出して、「共感する」。
「なぜそうすべきか」等については、これらクレーマーが生まれたかの背景をも知ることが大事で、それが解説されているのが序章部分になります。
「思考停止クレーマー」は、過去の栄光にしがみつく年配の世代がメインですし、「近視眼クレーマー」は自己投資に励む若い世代が多そうな。
ちなみに、この「近視眼クレーマー」は「人脈作りが大好き」らしいですし、当ブログの読者さんがセミナー等で遭遇していたりしてw
◆さて、自分自身の会社員生活を思い起こしてみても、課長以上の世代には、確かに「思考停止クレーマー」に近い人がいたような気がします。
一方、後輩にはちょっと要領が悪い「現実逃避クレーマー」が。
また、事業部(工場等)には、ガンコな「職人クレーマー」タイプがちらほら。
とはいえ、「近視眼クレーマー」のようなタイプは、私が会社員勤めをしていた頃はいなかったと思いますし、そもそも皆、人がよかったので「評論家クレーマー」タイプも記憶にありません。
つまり、日頃から信頼を得ておいて、上の世代の扱いさえ間違わなければ大丈夫だったということ。
どうりでビジネス書等をほとんど読んでなかった私のような者でも、普通に会議を開けて、そこそこ成果を上げられたワケです。
それに比べて、今はタイプも増えて、かつ、対応が難しくなっているので、本書を必要とされる方も多いのではないでしょうか?
◆なお、著者名には出口さんと伊東さんの両方が表示されていますが、中心となっているのは、出口さんで、伊東さんは心理学の理論のアドバイスをされているそう。
私は今まで存じ上げなかったのですが、出口さんは東大の大学院を出られた後、経営コンサルやダイヤモンド社、さらにはあの産業再生機構にも所属されていたというお方です。
産業再生機構は、破たんした企業を再生させるために、大胆な企業改革(含むリストラ)を行なっており、その過程において、出口さんも、社内の様々な「抵抗勢力」と対決してきたワケですから、本書に収録された事例がかなりリアルなのも、ある意味当然かも。
読者の皆さんの周りに、上記5タイプの一人でもいて、かつ困ったことになっているなら、本書を読む価値は十分あるハズ。
困ったちゃんの対応を誤らないために!
「困った人」の説得術
はじめに
序章 なぜ「困った人」が生まれるのか
第1章 評論家クレーマーは「行動」させろ
第2章 職人クレーマーは「持ち止げろ」
第3章 思考停止クレーマーには「共感」しろ
第4章 現実逃避クレーマーは「いったん逃がせ」
第5章 近視眼クレーマーには「失敗」させろ
終章 自分が「困った人」にならないために
おわりに
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【編集後記】
◆ちょっと気になる本。図解 儲かる仕組み100 最新ビジネス編 (別冊宝島) (別冊宝島 1800 スタディー)
「企み系」のワタクシと致しましては、こういった本を読んでおきたいな、とw
ご声援ありがとうございました!
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