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2011年08月01日

【知的生産】『どうすれば「最高の仕事」ができるか』榊原英資


どうすれば「最高の仕事」ができるか
どうすれば「最高の仕事」ができるか


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、かつて財務官時代には「ミスター円」と呼ばれた榊原英資さんの新作。

タイトルからは「仕事術」のようですが、実際には「知的生産術」と言った方が適切な内容です。

アマゾンの内容紹介から。
思考力、記憶力、集中力を高め知的生産性を上げる。頭を鍛える方法から、考える力をつけるための読書術、そして情報収集法、時間管理術、人脈の築き方など実践的な仕事のヒントまで―知的生産の達人が明かす、365日を好転させる仕事術・生き方論。
特に本の読み方が、個人的には参考になりました!


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【ポイント】

■1.間違ったらためらわず修正する
Aという選択をしながらも、間違ったと気づいたら、すぐにBという行動に切り換える――。これは、いわゆる"君子豹変"です。
 じつは、"君子豹変"することは、頭を鍛え、知的生産性を向上させるための重要なポイントです。なぜなら、これによって、より知識の吸収が活性化されるからです。
 自分は正しいと思い込んだり、知ったかぶりをしたりしたまま突き進んでしまうと、思考活動も知的生産活動も止まってしまいます。


■2.何度も繰り返し憶える
 私は執筆時、パソコンを使わずに原稿用紙を使うことを心がけています。すると、「あれっ、この字、どう書いたっけな?」ということがあります。そのときは、後回しにせず、必ず、すぐに、辞書を引き、調べるようにしています。英単語のスぺルとか、あるいは何かの専門用語とか、何でも同じです。
 忘れていたら、「その場で」「すぐに」確認する。
 何度も繰り返し憶えることによって頭の中に定着させる。
 この「暗記する習慣」「反復する仕組み」をつくることが重要です。


■3.「無理な計画」を立てない
 普段から読書の習慣のない人が「2日で1冊の本を読もう」とか、書く習慣のない人が「毎日ブログを書こう」と決めても、結局は途中で挫折してしまって、ゼロの状態に戻ってしまうでしょう。
 だとしたら、「週に1冊くらい」とか、「3日ごとにアップする」とか、最初はハードルを下げて続けていけばいいのです。慣れて作業がルーティン化していけば、そのうちハードルを上げることだって苦でなくなります。


■4.本は「読むもの」ではなく「見るもの」
私の場合、事務所にも自宅にも非常にたくさんの本がありますが、すべてのぺージをめくった本などは、ほとんどありません。3ぺージか4ページ程度しか読んでいない本もかなり多いのではないでしょうか。(中略)

 その本で得た情報は、たった2、3ぺージ分だけでも、それが自分にとって有用であれば、何よリソースがはっきりしている情報であり、そして、頭の中に知識として蓄積されれば、それらが組み合わさって仕事に必要な創造力の糧となるのです。
 それを考えれば、決して高い投資ではないと思います。むしろ精読に時間をかけているほうが、時間効率が悪くて「もったいない」のではないでしようか。


■5.本は「まえがき」「あとがき」「目次」を見るだけでよい
 私もその3つだけ見ておけばいいと考えているわけです。それでエッセンスだけをつかみ、あとは気が向いたときや、何か詳しく知りたいことが出てきたときに目次を必要箇所だけを読みます。だいたい、どんな本でも、精読したとしたところで、頭の中に入る情報など限られているのです。
 流れの中で読んで得た知識より、「ここが知りたい」という部分をピンポイントで読んだほうが、記憶を呼び覚ます「とっかかり」も多くできて、ビジネスにおけるあらゆる場面で知識を引き出しやすくなると思います。
 どんな速読術よりも、この読み方は効率的なのではないでしょうか。


■6.わからないことは、その場で答えを出す
「本を能動的に使う」ということに関して重要なポイントがあります。
「わからないことは徹底的に調べる」ということです。
 読書を中断してでも、その場で必ず答えを出すことです。

「あとで調べよう」などと、先送りにしてはいけません。
 先送りにすると、たいていは忘れてしまいます。


■7.「書く」ための情報を集める
 重要なのは、テーマを絞って情報収集を行なうことです。アトランダムな情報でなく、体系的に意味のある情報を塊として手に入れることが大切です。
 大量の情報を流しっぱなしのままで拾っても意味がありませんが、「自分のニーズに合わせて手に入れた情報」であれば、価値のあるものになります。
 この「価値ある情報の選択作業」が大切で、こうした情報は、仮に「書く」ということが中断されたとしても、普段の仕事での思考活動や知的生産活動に大いに役立ってくると思います。


【感想】

◆著者の榊原さんは、1941年生まれですから、今年で70歳。

私も今まで知的生産術のご本を色々と読んできましたが、どちらかと言うと、ある程度年配の方であるほど「精読」を重視する傾向があったと思います。

それが榊原さんは真っ向から否定。

ただし、「好きな本や使える本は何度も手に取る」ため、「必然的に多くのページが開かれる」こととなり、「結果的には精読したのと同じような状況になる」とのこと。

うーん、でもそれって、精読とは言わないようなw

いずれにせよ、「精読に時間をかけているほうが、時間効率が悪くてもったいない」とまで言われている方は、あまりいらっしゃらなかったです。


◆しかも、流し読みをするのでもなく、「まえがき」「あとがき」「目次」の3つをチェックするだけなワケですから、もはや一般的に考えられている「読書」とは、ちょっと別のものと考えた方が良さそう。

この3つは「本を購買する際にチェックする」項目ではありましたが、それだけで本棚に戻してしまう、というのは目からウロコでした。

また榊原さんは、新聞も毎日8、9紙必ず見出しだけ「見る」ようにしているとのことなので、もはや新聞の扱いに近いかと。

確かに「本は受け身でなく、能動的に使うことが重要」とは言われてらっしゃるのですが、ここまで徹底される、というのはスゴイ……。


◆その一方で、情報を外部にストックすることには、どちらかと言うと否定的です。

ポイントでは挙げませんでしたが、俗に言う「ひらめき」のもとになるのは、あくまで「頭の中に記憶されている知識」である、とのこと。

ゆえに、本を読んでそれをデータベース化したり、ノートをとってファイル化するのではなく、頭の中に「知識」として蓄えよ、と。

この辺、デジタルツールやWebサービスを活用する、昨今の知的生産術とは一線を画しています。

ただ確かに、以前に比べると「漢字が書けなくなってきている」というのは、自分でメモを手書きで取る際に、私自身痛感しておりますが。


◆個人的には、ポイントの最後の「情報収集」のお話が腑に落ちました。

私も意識して「モテネタ」は集めているのですが、本にせよ雑誌にせよWeb上にせよ、他の情報よりもアンテナは高くなっていますし、ブログとしてアウトプットすることにより、情報自体も整理されると感じています。

本を書く気はないのものの、このネタはいつか何らかの形で再生産できるよう、本も事務所に集中させていますし。

……本業にはまったく活用しようがないんですけどねw

(ノ∀`)アチャー


◆本書における、榊原さんのスタイルは、なかなか馴染みにくいものかもしれません。

もっとも本書によると、榊原さんは「自分と意見が違う人を、できるだけ大切にしようとしてきた」のだそう。

確かに自分とは違う意見を「拒否」するのではなく、いったん「受容」することができれば、人としての器も大きくなりそうな。

本書もそのきっかけとなれば幸いです。


「教え」を破って、思わず最初から最後まで通読しちゃいましたよ!

どうすれば「最高の仕事」ができるか
どうすれば「最高の仕事」ができるか
はじめに――どんな仕事にも通じる「知的生産」のヒント
1章 知的生産性を上げる、この方法
2章 できる人は「走りながら考える」
3章 本を大量に"見る"――私の方法
4章 「情報整理」なんてしなくていい!
5章 「自分の時間」をもっと増やす知恵
6章 「書く力」が、あなたの仕事を変える
7章 榊原式「知的生活」をつくるヒント


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【知的生産】『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』齋藤 孝(2009年09月02日)


【編集後記】

本書の中で、榊原さんが「名著」と断言されている1冊。

情報の歴史―象形文字から人工知能まで (Books in form (Special))
情報の歴史―象形文字から人工知能まで (Books in form (Special))

中古のお値段に、思わずガックリしました……。


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