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2011年07月22日

【24のメソッド】『ハーバード流 企画実現力』ジョン・P・コッター,ローン・A・ホワイトヘッド


ハーバード流 企画実現力
ハーバード流 企画実現力


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、自分の企画を妨害者から潰されずに実現させるためのメソッド集。

本書では妨害者による「24もの攻撃方法」それぞれについて対処法を伝授し、人々からの支持を集める術を提示しています。

出版社のサイトから一部引用。
素晴らしい企画がある。自分にも、組織にも、大きな効果をもたらすことができるアイデアだ。熱烈な支持が得られると期待してプレゼンテーションを行う。ところが、混乱を引き起こす質問や的外れなコメント、言葉の攻撃を浴びる。何が原因かもわからないうちに、あなたのアイデアはつぶされてしまう。
優れたアイデアを守り、有効な成果を上げるために必要な支持を得るにはどうすればよいか?
プレゼンテーションともディベートとも違うこのメソッドは、きっと役に立つハズ!


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【ポイント】

■1.優れたアイデアを葬り去る4つの基本戦略

●不安をあおる
 この攻撃は、人の心に不安を生み出すことを目的にしている。不安が生まれると、提案を注意深く検討することが、不可能ではないまでもきわめて難しくなるからだ。

●遅延による消滅を狙う
 致命的な遅延を引き起こすだけで、優れた提案をつぶすほどの威力を発揮する質問や懸念が存在する。プランに関する話し合いやコミュニケーションを遅らせるので、重大な締め切り日や時間までに十分な支持が得られなくなる。

●混乱に陥れる
 アイデアをつぶす質問や懸念のなかには、無関係の事実や複雑な論理、多くの代替案を示して会話を混乱させ、積極的な支持を築くために必要な、明確で知的な対話ができなくなるように仕向ける攻撃がある。

●嘲り(および誹謗中傷)
 言葉による攻撃のなかには、アイデアを標的にするのではなく、そのアイテアに関係する人たちを標的にするものもある。提案者が愚かに見えるように仕向けるのだ。


■2.優れたアイデアを守る、通説とは一見相反する五つの原則(抜粋)
1.攻撃を仕かけてくる人を除外せず、彼らに攻撃をさせることによって、聴衆の注意を引きつける。

3.何をおいても敬意を持って接する姿勢を示して、聴衆の心をつかむ。

4.聴衆をつねに観察する。あなたが必要なのは少数の攻撃者を納得させ共感させることではない。聴衆の大多数に理性で納得してもらい、感情で共感してもらうことだ。
(詳細は本書を)


■3.具体的な24の攻撃とその対応(抜粋)

●4.「わたしたちが失敗したと言っているも同然だ」

攻撃
 これが問題だと言うのなら、わたしたちがこれまでお粗末な仕事しかしてこなかったと言っているようなものだ。わたしたちを侮辱している!

対応
 それは違う。あなたがたは、必要なツール(システム、メソッド、法律など)もない状態で、本当に々素晴らしい々仕事をしていると言っているのだ。
 この種の攻撃に対して効果のある対応は、「どちらか一方が正しい」を「どちらも正しい」へと転換させることだ。彼らは実際に有能だし、あなたの提案も必要とされている。そう前提を掲げてもまったく矛盾はない。活動や組織を十分に機能させるためには、個人的な能力以上のものが必要とされる。能力をできるかぎり発揮してもらうために、さらに多くのことが必要になる。その「さらに」の部分が、少なくともその一部が、あなたのアイデアや提案にあたるのだ。

●12.「ほかに誰もやったことがない!」

攻撃
 そんなに素晴らしいアイデアなら、どうしてこれまで誰も試してないのか?

対応
 何もかもが本当に初めてづくしの状況なのだ。だからこそ、わたしたちは特別な機会を与えられている。
 これにふさわしい対応は簡単だ。「どんなアイデアでも、最初に用いられたときがあったはずだ。それはあたりまえのことだ。だから初めて実施するのがわたしたちだって、何もおかしくはない」

●16.「かつて試したことがあるが、うまくいかなかった」

攻撃
 以前試したが、うまくいかなかった。

対応
 それは過去の話だ。状況は必然的に変化するものだ(それに、わたしたちの提案はその内容とまったく同じものではないかもしれない)。
 準備の一環として、過去の似たような企画を調べておいても損はない。そうすれば、この攻撃に遭ったときに、過去や現在の状況、過去のプランに現在のプランの要素がどのように含まれているか、その共通性がわかる。ただし、現在のプランが優れているなら、過去のプランとは異なること、状況は変化していること、あるいはその両方であることも指摘する必要がある。


【感想】

◆冒頭では触れませんでしたが、実は本書は、第1部において、実際に「優れた企画」が葬り去られそうになる事例が、物語形式で語られております。

主人公は図書館の市民諮問委員会のメンバーで、「翌3ヵ月の間にパソコンが6台売れるごとに、パソコン等の機器を図書館に寄付する」という地元のパソコン販売店の提案を、公開討論会で承認を得るべく奮闘中。

実は最初にプレゼンテーションを行った際には、地元の有力者の動議によってその提案は棚上げされてしまったため、今回は、義理の兄弟であるハンクの協力を得ることにしました。

ハンクによると、どんなに正当性のある優れたアイデアであっても、必ず浴びせられる質問や懸念、さらには攻撃があるのだそう。

そして、その種類はなんと「24」!?

二人はそれぞれについて対応策を練り、討論会に再度臨みます。


◆討論会が始まり、質疑応答の時間になると、予想通り様々な質問(の名を借りた攻撃?)が次から次へと発生。

「今までやったことがない」「問題を誇張している」「今まで仕事をしてこなかったと言いたいのか?」「他に誰もやったことがない」「ここではうまくいかない」etc...

主人公が発言者に対し、心の中で「そんなバカな!」「黙っていてくれないか!」「いいかげん座れ!」と思っているような時でも(と言うか、読んだら誰でもそう感じるハズw)、ファシリテーター役のハンクは、その1つひとつについて、丁寧に対応していきます。

それはまさに、上記で挙げた「何をおいても敬意を持って接する姿勢を示す」ということ。

何故なら、私たちの目的は「少数の攻撃者を納得させ共感させること」ではなく、「聴衆の大多数に理性で納得してもらい、感情で共感してもらう」ことだからです。


◆それにしても、それぞれの「攻撃」直後には、場内の雰囲気が不安になったり、提案に反対になりそうになったことを考えると、1つでも対応を誤っていたら、失敗に終わりかねませんでした。

この辺の「場の雰囲気の変化」は、単なる「メソッド集」では表現しきれなかったところ。

そういう意味では、個人的にはあまり好みでない物語形式も、こと本書においては大正解でした。

第2部では「メソッド編」と題して、その第7章で24の攻撃とその処方箋が紹介されているのですが、ここだけ読んでもピンとこなかったと思います。

なお、ほぼこの24のメソッドの順番通りに、物語でも「因縁つけられる」ので、いったん読み終えてから付け合せをすると、より一層理解が深まるハズ。

また、第1部の物語とは別に、第2部にも6つほど短い事例が挿入されているので、そちらも併せてお読み頂きたく。


◆今まで私が読んできた本では、「ロジカルに反論する」「論破する」的な内容が多かったのですが、本書は妨害者との応対を通じて「聴衆を味方につける」点がキモではないか、と。

さらには、そのやりとりの過程を通じて、興味が薄れがちになる聴衆をも議題に引き込もうとしているのもスゴイです。

いずれにせよ、本書のテーマに関して全く予備知識がなく、同じ状況に置かれてしまったら、おそらく誰もがムキになって反論したり、相手を意見を否定したり、うろたえて立ち往生してしまうこと必至。

滅多に使うことはなくとも、「必要なときには、絶対的に必要なスキル」と言えると思います。


優れた企画を無駄死にさせないために!

ハーバード流 企画実現力
ハーバード流 企画実現力
はじめに

第1部 センターヴィルでの出来事
 第1章 素晴らしいプランが葬り去られるとき
 第2章 センターヴィルを救え パート1
 第3章 センターヴィルを救え パート2
 第4章 センターヴィルを救え パート3

第2部メソッド編
 第5章 優れたアイデアを葬り去る4つの基本戦略
 第6章 優れたアイデアを守る、通説とは一見相反する5つの原則
 第7章 24の攻撃と24の処方箋
 第8章 優れたアイデアを守るための、クイック・レファレンス・ガイド

付録 本書のメソッドは大変革にどのように役立つか


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【編集後記】

◆今日のお買いもの。

「権力」を握る人の法則
「権力」を握る人の法則

「企み系」が好きな私としては、マストではないか、とw


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