2011年07月13日
【著者・編集者志望の人必読?】『見城徹 編集者魂の戦士―別冊課外授業ようこそ先輩』

見城徹 編集者魂の戦士―別冊課外授業ようこそ先輩
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の『憂鬱でなければ、仕事じゃない』で、初めて著作を拝読させて頂いた見城徹さんの、かなり昔の本。元々は、NHKの番組『課外授業ようこそ先輩』に見城さんが登場された際の模様を、書籍化したものだそう。
…って、この番組の次の回(2011/7/16)が津田大介さんで、思わず吹きましたがw
番組(&この本)の中で、見城さんは小学校6年生の生徒に作文を書かせ、それを元に班ごとに「編集」を行わせます。
その作業を通じて明らかにされる、見城さんの「編集者」そして「著者」についての考えとは?

【ポイント】
■1.内面の叫びとしての「表現」百匹の羊、全員の平和と安全と維持を考えるのが、政治や経済、法律とか道徳の仕事。しかしその群れから滑り落ちる一匹の羊の内面のために表現はある
■2.人の心に伝わる文章の3つのコツ
まず大事なのは、自分らしいということ。その人らしいということ。ほかの人が真似できないものがあればいいい。それがいちばん大事なの。
2番目は、文章がいきいきとしていること。その風景とか情景が目に浮かぶ。光とか匂いとか音とか熱というものが感じられる。風が感じられる。体でもって、その文章を受け止められる。ちよっと難しいことかもしれないけれども、とにかくいきいきと書いてあればいい。変に説明していないほうがいいと思う。
3つ目、文章に発見がある。これは、「あっ! こんな感動があったんだ」とか、「こんな悲しさがあったんだ」とか、「こんな言い方があったんだ」という、何か新しい発見があるということ。
■3.ものを書くことによって救われる
やっぱり自分に劣等感がなかったり、苦しいことがまったくなかったら、ものを書く必要はない。ものを書くというのは、どこかで、「ものを書かなければ救われない」と思っているから。ものを書くことによって救われたと思ったときに、きっといいものができているんだと思うんですよ。
■4.変わっていることはいいことである
文章をちゃんと書ける子って、やっぱりどこか変わっているんですよ。変わっているというのはいいことなんですよ。
編集者というのは、変わった人にしか興味がないんですよ。ふつうにしていても、どこかではみ出しちゃうものがある。こぽれ落ちちゃうものがあるから、人は表現するんでね。絵を描いたり音楽をつくったり文章を書いたりする。表現することによって、どこかで自分が満たされる、救われるということがあるのです。
文章をちゃんと書ける子、または書きたいと思っている子というのは、そういう意味で、みんなどこかで変なんですよ。
■5.ボツが溜まってプラスになることもある
ぽくらはプロというか仕事でやっていると、実際にはボツ原稿というのはあるんですよ。何度持ってきても「ボツ」「ボツ」「ボツ」というのはあるわけですよ。ボツになった原稿が溜まることはあるんです。でも、あるときそれがポーンと化けるということもある。だから、ボツというのはマイナスをいっぱい溜めて、マイナス×マイナス=プラスになる。ゲームで言えば、悪いカードばかり集めていると、大きな得点になるというのがあるんだけれども、そんな感じのときもある。
■6.作家と一緒になって作品を作る
夜中までいろいろやって、他人の世界に入っていって、その人にいつ何をどう言うかというのを常に考えている。その相手を抱擁しなきゃいけないときは、もうほんとにお母さんみたいに抱擁できなければいけない。それから相手が怒るに決まっていることをわざと言ってみたりしなければならない。それはもう、七転八倒、脂汗だらだらという毎日ですから。でも、その人の作品を編集することによって、自分のその人への思いや、その人から受け取った感動をみんなに知らせることができる。その快感は何ものも勝てないね。
■7.「売れる本」と「いい本」の違い
「売れる本」と「いい本」は、違うときがあると思います。ぽくは、売れる本はいい本だと思います。どんなものでも人の心に染み込むから、たくさん売れるんだ。「こんなもの、いい本じゃないんじゃないか」と世の知識人とか常識人が思ったとしても、それは聞違いで、その人たちは新しい価値観に対して無自覚なだけなんです。
だから、売れる本はぼくはいい本だと思う。でも、逆にいい本が売れるとは限らない。この本は自分としてはいい本だと思って出しても、売れないことはたくさんあります。ぽくは、「売れる本はいい本だけども、いい本が売れるとは限らない」、そう思います。でも、いい本だと思って、それが売れるのがいちばんいい。
【感想】
◆上記ポイントでは挙げてませんが、本書では実際の子どもたちの作品と、それに対する見城さんの批評や子供たちとのやりとりも掲載されており、これがなかなかにアツい!元々の作品を引用しないと分かりにくいので、ボリューム的に割愛せざるを得なかったのですが、当初のオリジナルと、編集会議を経て、最終的にどうなったかの最終形が両方収録されていて、比較してみると確かにブラッシュアップされていることが見て取れます。
もちろん、小学校6年生の作文ですから、私たちが個別に文章表現等を取り入れるわけではないものの、見城さんの「何をどうすべきか」のアドバイスは、そのまま参考になりそう。
「遠慮してないか?」「間違っていてもいいんだよ」「文章に正解なんかない」「文章が嘘ばっかりなんだろ?」「小手先でやっちゃダメ」etc...。
現場でこれだけグサグサ言われたら、私だったら「涙目必至」ですが。
◆さて、今でこそ名編集者として知られる見城さんも、高校時代は「作家」を目指されていたのだそう。
しかし、作家特有の「その人にしか書けない強い世界」が自分にないことに気づき、編集の道へ。
そしてその編集スタイルは、本書内や他の著作でも述べられているように、自らの「負の感情」に根差しています。
それから、劣等感とか独占欲とか猜疑心とか、いろんな意味での負の感情、暗黒の心理というのがぼくはすごく強かったから、そういうことに敏感なんですよ。だから、人のそういうこともよくわかるタイプなんです。そこにグサッと言葉を刺していくわけですよ。そうすると向こうも反応するじゃないですか。それがすごく面白くなったのね。見城さんが手がけられたヒット作を考えると、きっとこうした丁々発止のやりとりがあったのだな、と。
◆また見城さんは、編集者の条件として「相手に感動できること。そしてそれを独り占めしないで、他人に分け与えたいという情熱を持つこと」と言われています。
今の私にとってそんな対象が存在するとしたら、女優の酒井若菜さんかなー、と。
酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba
申し訳ないことに、女優としての演技はほとんど拝見したことはないのですが、この方のブログは
はてブ1000超えのこんな記事もありますが、個人的にはこのエントリが好きですw
優しさについて考えるとき|酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba
◆私自身が目指すものは、著者でも編集者でもありませんが、本書で見城さんが言われてらっしゃることは、「表現者」として考えさせられる点が多々ありました。
ですから、これが著者や編集者を志望されている方なら、モロに突き刺さってくるのではないでしょうか。
200ページちょっとの本ではありますが、その熱量はかなりのものかと。
マーケットプレイスにお手軽価格で揃っている間に、一読をオススメします。
明日の著者&編集者に捧ぐ!

見城徹 編集者魂の戦士―別冊課外授業ようこそ先輩
1 編集って何だ?
2 最初の原稿
3 「本気でものを言う」さらなる編集会議
4 編集作品の発表
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【編集後記】
◆暑さ対策として購入したこの下着が、なかなか快調です。
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いずれブログでもご紹介してみようかと。

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