2011年07月01日
【"かなめ"になる】『「新しい働き方」ができる人の時代』セス・ゴーディン(著)神田昌典(監訳)
「新しい働き方」ができる人の時代
【本の概要】
◆今日ご紹介するのも、昨日に続いて未読本記事で取り上げた1冊。『「紫の牛」を売れ! 』や『マーケティングは「嘘」を語れ!』で知られる米マーケティング界の重鎮、セス・ゴーディンの最新作で、しかも監訳がお馴染み神田昌典さんという強力な組み合わせです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
個人が「交換可能なその他大勢の一人」ではなく、「絶対必要不可欠な存在=才能を100%活かす表現者」となって、これからの世の中を生き抜くためには何が必要か。革新的な仕事のやり方を奨励し伸びている企業の例を豊富に交え、「働き方」についてのパラダイムシフトを起こす一冊。某大手書店のカリスマ店員さんも「これを読まずして10年代は生き抜けない」と断言されてますよ!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.必要不可欠な存在になる自分の価値を知り、活躍し、まわりからも大いに認められる――厳しい時代だからこそ、自分を大きく成長させるチャンスのとき。
このチャンスを活かすには、社会のありようが根本的に変わったことを理解し、自分が今現在、どんな地位・職責にいようとも、「あなたが絶対に必要不可欠だ」といわれるような人材にならなけれぱなりません。
そう、そのためにまずできることは、単純に聞こえるかもしれませんが「変わろう」と思うこと。
そもそも10年前ならこんな本は書けなかったでしょう。当時はまだ、社会が型にはまった人間を必要としていて、それで十分な報酬と待遇が与えられていたからです。
■2.「第3の階級」の出現
かつて、経済学者のカール・マルクスは「人々は有産階級と無産階級の2つに分裂した」と指摘しました。(中略)
200年以上もの間、社会にはこのようなはっきりとした区別があり、誰もがどちらかのグループに属していました。マルクスの指摘は当たっていたのです。
ところが、現在では事情が違ってきました。無産階級の人たちも生産手段をもつようになったのです。
人々はインターネットを使って自分で組織をつくれるようになりました。(中略)
ここに3つ目の階級ともいえる「かなめになる人」が現われたのです。
■3.組織のかなめが起こす「レバレッジ効果」
仕事で生み出しているものの価値が大きいほど、その価値を生み出すのに実際に費やされる時間は減ります。
私はこれを「組織のかなめのレバレッジ効果」と呼んでいます。(中略)
日々の仕事の中で、どうしてもあなたがやらないといけない仕事なら、たとえ平凡なことであってもやり方を改善できるところがないか考えてみましょう。どんな仕事でも必ず変えられる部分があるものです。
■4.アーティストを目指す
ただ料理をするだけの料理人は、アーティストとは呼べません。レシピどおりにつくっておいしい料理ができたとしても、腕のいい料理人というだけです。一方、料理を創作する人はアーティストです。新しい調理法やメニューを考え、人を驚かせたり喜ばせたりする行為が、表現するということなのです。(中略)
表現には、もう1つ条件があります。「無償で価値を与える」ということです。商売のためだけにやっていると、人に感動を与えることは難しくなります。
■5.アーティストになる2つの条件
アーティストになる条件の1つは、「人に心を開く」ことです。
たとえそうすることが特に求められていない仕事であっても、人と豊かに触れ合っていけば、その人の人生を変えていくことだってできるのです。(中略)
さらに、もう1つの条件は、「与えること」です。
人に与える行為には、何かの見返りを期待する場合とそうでない場合があります。
私は前者には興味がありません。何かをあげて貸しをつくるというのはあざとい発想ですし、そのような方法でのし上がっていくつもりなら考えを改めたほうがいいでしょう。
一方、見返りを期待せずに与える行為のほうは、素晴らしい可能性があり、その行為を通じてアーティストになることができるのです。
■6.あえて悪いアイデアを出す
「いいアイデアが浮かばない」という人に、私はいつもこういうことにしています。
「では、悪いアイデアは浮かびますか」
するとほとんどの人が「浮かばない」と答えます。
悪いアイデアでも気にせずにどんどん思い浮かべられるようになると、いいアイデアを思いつくのは驚くほど簡単になります。逆にいえば、まずいアイデアやリスクのあるアイデアを避け続ける人には、どんな発想術の本も役には立たないのです。
■7.「独自の能力」がない場合
自分が独自の能力だと思っているものが相手から見て「特殊」でないなら、それは「独自の能力」ではないのです。では、その場合どうするか。
(1)組織のかなめになれるような別の能力を身につける
(2)独自の能力だと思っているものを徹底的に磨く
ここまではっきりいわれたのは、はじめてかもしれませんが、いずれにせよ、このどちらかを今、選ばなければなりません。
【感想】
◆本書を読み終えてまず思ったのが、監訳者が神田さんというのは、神田さんのファンの方なら、非常に腑に落ちたのではないか、ということ。「インターネットの普及によって、誰もがチャンス得る」的なお話を、神田さんはかなり前から言われており、私も以前参加したこのセミナーで拝聴しております。
『バブル再来』(ダイヤモンド社)刊行記念 神田昌典講演会 「ビジネスパーソンのための未来予測法入門 ハリー・S・デント著『バブル再来』をどう読むか?」に行ってきました!(2006年07月02日)
2006年ですから、ちょうど5年前ですか。
しかも神田さんの場合、本書で言う「アーチスト」ではなくて、本当のアート方面にも進出していたのは、周知なところ。
当時と今とで、考えやビジョンは違っているかもしれませんが、いずれにせよ、「売れそうなんで監訳します」というのとはワケが違います。
◆もっとも神田さんご自身の著作では、こういった個人のキャリアをテーマにしたものはなく、内容的に近いのは、例えばこちらかな、と。
トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈1〉ブランド人になれ! (トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦 (1))
多くの方が愛読書として挙げてますし、10年以上前の本なのに中古で値崩れしてないのがスゴイです。
もうちょっと新しいところでは、これも。
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
参考記事:「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)(2006年05月25日)
内容的にも古くないですし、むしろデフレが続く日本の状況を考えると、今こそ読むべきなんじゃないか、と。
◆ただ本書の場合、上記の本に比べると「個」ではなく、他人との「つながり」にフォーカスしているのが特長だと思います。
この辺は、インターネットがかつての「検索全盛」の時代から、TwitterやFacebook等のSNS的な方面に向かっているのと関係があるのかもしれません。
本書の最終ページにもこういう一節があります。
現在成功している企業は例外なく、人間をかなめにした事業展開をしています。人と関わり、与え、つながっていく人が本当に必要とされているのです。私自身は、FacebookもTwitterも片手間ですし、このブログもコメントにレスを返す程度なので、反省することしきり……。
◆なお、本書は具体的な戦術論を細かく述べているワケではなく、もっと上のレイヤーである、生き方、働き方について述べた本です。
テーマとしては目新しくないのですが、脳の仕組み的に「やろうとしても、何でそういう生き方ができないのか」について掘り下げているところがミソなのかも(詳細は本書を)。
そして「現状を変えたくない人」や「変えたいけど変えられないとあきらめている人」が、この本を「今さら〜」と評するのではないでしょうか……って今見たら、それっぽいレビューがいつのまにww(ホントかどうかは知りませんが)
現状を否定することをためらわない方へ!
「新しい働き方」ができる人の時代
監訳者のことば この「新事実」を知り、「変わる努力」をできた人だけが勝ち残れる! 神田昌典
1 これが大きな成果を約束する「働き方」の新常識!
2 誰でも「100倍の価値を生み出す人」になれるチャンスがある!
3 人の心に「感動を呼ぶ」仕事が最大の評価を得る
4 “夢を形にできる人”は頭をこう使う!
5 「何かを与えられる人」だけが生き残る時代
6 「頭ひとつ抜ける人」へ今こそ成長するときが来た!
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【編集後記】
◆何やらスゲー本を見つけますた!!理系男子のための恋愛の科学
在庫が異様に少ないので、記事書いて下手にアクセス集まったらすぐにあぼーんな予感。
ご声援ありがとうございました!
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この記事へのコメント
会社で「あなたが絶対に必要不可欠だ」と言われたいものです。
でも、それがよく分からなくて、はや数年間もがいてるんですけどねwww。
でも、それがよく分からなくて、はや数年間もがいてるんですけどねwww。
Posted by デッドリー at 2011年07月03日 10:44
>デッドリーさん
レス遅れてスイマセン(汗)!!
必要不可欠になるには、ルーティンワークだけだとキツいかもしれませんね〜。
ただ、私自身、会社員時代は担当レベルで係長職みたいなことやってて、自分なりにはよくやってたツモリでしたが、結局別の係長持って来れば済むだけの話だったというw
レス遅れてスイマセン(汗)!!
必要不可欠になるには、ルーティンワークだけだとキツいかもしれませんね〜。
ただ、私自身、会社員時代は担当レベルで係長職みたいなことやってて、自分なりにはよくやってたツモリでしたが、結局別の係長持って来れば済むだけの話だったというw
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年07月05日 05:17
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