2011年06月27日
【スゴ本再び】『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則』カーマイン・ガロ
スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨年、当ブログでも大ヒットとなった『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』の続編。前作がジョブズの「プレゼンスキル」に特化していたのに対し、今回はジョブズの仕事全般について、多面的に掘り下げています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
iPhone、iPadなど画期的な製品で世界を変え、アップルを世界トップクラスの企業に復活させたカリスマ、スティーブ・ジョブズ。本書では、過去30年にわたり、スティーブ・ジョブズが人生や仕事で活用してきた法則を徹底的に解き明かします。この法則を取り入れると、生き方や仕事の進め方を変革し、自分の可能性を最大限に発揮できるようになります!前作がツボだった方はもちろん、「ジョブズのやり方」を垣間見たい方ならオススメです!
「こんなとき、ジョブズならどうするか?」がわかります!
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【ポイント】
■1.情熱を傾けられる対象を探すとりあえずレストランの雑用係かなにかになり、自分がほんとうに情熱を傾けられるものを探すべきだと思う。アントレプレナーというのは大変な仕事だからね。この仕事で成功した人と成功できなかった人を分けるものの半分は、忍耐力だと思うんだ。(中略)
かなりの期間、1日18時間、休みなしで働き続けなけれぱならない。大きな情熱がなければやりとげられるはずがない。どこかであきらめるはずだ。つまり、まず、情熱を傾けて正したいと思う問題やまちがい、あるいは何かアイデアがなければならない。それなしには、最後までやりとげる忍耐力が生まれないからだ。これが戦いの半分を占めていると僕は思う。(スティーブ・ジョブズ)
■2.エバンジェリストを奮い立たせる
「マックの起動時間がスティーブは気に入らなくて……同僚のデザイナー、ラリー・ケニヨンにこう言ったんです。『このマシンをいったい何人の人が買うかわかっているのか? 何百万人だぞ? 起動時間を5秒短くできたらどうなる? 毎日、5秒かける百万もの違いになる。50人分の人生に相当する時間だ。5秒の短縮で50人分の命が救えるようなものなんだ』と。こう言われたら効きますよ。そして、起動時間を短くすることに成功したんです」(マッキントッシュのデザインチームにいたアンディ・ハーツフェルドの話)
■3.創造力とは関連づける力
コンピューターのデザインは工業デザイナーのジェリー・マノックが担当したが、その彼に指示していたのは、エレクトロニクスショップではなくメイシーズにインスピレーションを求めたスティーブ・ジョブズだった。リーアンダー・ケイニーは、『スティーブ・ジョブズの流儀』(ランダムハウス講談社)にこう書いている。
「メイシーズのキッチン用品売り場で、クイジナートのフードプロセッサーを見たとき、ひらめいた。これこそアップルIIに必要なものだ――丸みを帯びた角、控えめな色、わずかにざらつく表面を持つモールド成形のプラスチックケースだ」
スティーブ・ジョブズの流儀
■4.『イノベーターのDNA』:疑問力
効果的な問いとするには、「なぜか」「なぜ違うのか」「仮に」という形でいろいろと考えてみるのがよい。『イノべーターのDNA』によると、マネージャーの多くは現状を大きく変えるのではなく、少しだけよくしようとする。「どのように」という問いでは、そういう小さな改善に向かってしまう可能性が高い。大きな変化につながるのは、「なぜ」と「仮に」なのだ。
スティーブ・ジョブズが効果的な問いを発しなければiPadは生まれなかったかもしれない。「iPhone用に優れた電子ブックリーダーをつくるにはどうしたらいいか」という問いを開発チームに投げていたら、新しいデバイスをつくろうという話にはならなかっただろう。
しかし彼は、
「ノートプックとスマートフォンにはさまれたカテゴリーのデバイスがないのはなぜだ? そういうものをつくったとしたらどうなるか?」
という問いを発した。
Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2010年 04月号 [雑誌]
■5.自分たちが欲しいものを把握する
大衆文化がどうこうという話じゃないし、人々をだますという話でもない。欲しくないものを欲しいと思わせるという話でもない。僕らは、まず、自分が欲しいものは何なのかを把握する。そして、同じものを多くの人も欲しがるかどうか、きちんと考えることがアップルは得意なのだと僕は思う。僕らはそのプロなんだ。だから、次にブレークするのは何だと思う?って社外の人に尋ねたりしない。へンリー・フォードも同じことを言ったらしいよ。「何が欲しいかと顧客に尋ねていたら、『足が速い馬』と言われたはずだ」ってね。(スティーブ・ジョブズ)
■6.シンプルだからこそ個性的になる
「製品をいじりすぎないということです。いじりすぎれば複雑になり、それはつまり、終わりを意味します。何をどうすればいいのか、誰にでもはっきりわかるような話ではありません。なにせ、いろいろ取り除くことがポイントだったのですから。おもしろいのは、そのシンプルさから、やりすぎというくらいのシンプルさから、そのシンプルさの表現から、とても個性的な製品が生まれるという点です。個性的であることを目的としたわけではありません。個性的なだけのものなら簡単につくれますからね。シンプルを追求して追求した結果、個性が生まれる。そういうことなのだとわかったとき、おもしろいなと思いました」(ジョナサン・アイブ)
■7.スティーブ・ジョブズ流でアィデアを売り込む7つのガイドライン
1.「うっそー!」な瞬間をつくる
2.3点ルールを守る
3.ステージを共有する
4.ヒーローと敵役を導入する
5.ビジュアルに考える
6.ツイッターに書けそうなへッドラインをつくる
7.製品を売るな。夢を売れ。
(詳細は本書を)
【感想】
◆前作同様、恐ろしく付箋は貼りまくったのですが、分量的にこの辺が限界かと。そして、割愛した中で多かったのが、アップルではなく他社の例。
本書は単に、アップルやジョブズの秘密を描き出すだけでなく、「アップル流」とも言うべき、他社の様々な事例も豊富に収録しているのが特徴です。
ただ、他社の部分を引用すると前後関係を含めて、多めに抜き出す必要があるため、上記ではバッサリとカットさせて頂きましたが(スイマセン)。
◆例えば、「究極のアイスクリーム体験」をビジョンとする、「コールド・ストーン・クリーマリー」。
コンピューターおたくらしい制服でコンピューターの修理をする「ギーク・スクワッド」(ベストバイが買収)。
靴と衣料のオンライン・ショップ、「ザッポス・ドット・コム」。
ユニークなショッピング体験を提供する「アブト・エレクトロニクス」等々。
なるほど、それぞれ特徴的でアップルに通じる部分があり、アップル程の巨大な会社にはなれなくとも、「ユニーク」であることは可能なんだな、と思った次第です。
◆とはいえ、もちろん本書の中核をなすのは、スティーブ・ジョブズ並びにアップルのスタイル。
下記目次にもあるように、「キャリア」「ビジョン」「考え方」「顧客」「デザイン」「体験」「ストーリー」の各「法則」に対して、それぞれ2章を費やし、こと「ビジネスに活かす」という点では、類書を凌駕する出来栄えになっています。
前作は「プレゼンスキル」というテクニック面に特化していましたが、本書はより大きな視点から、ブランドや経営面まで分析。
ジョブズのエキセントリックな面にはあまり触れずに、ジョブズやアップルの「ストロングポイント」にフォーカスしている分、自分自身の考え方や働き方、経営に携わる方なら経営方針等に活かすことが可能だと思います。
各章のおしまいに「iLessons」と題して、章ごとのまとめがあるのも有り難いな、と。
◆本書は400ページ弱あり、前作とほぼ同じボリュームですが、前作同様、読み始めたら止まらない面白さでした。
某カリスマ書店員さんが激賞していたのも納得。
ただし、アップル信者とは言えない私としては、もっとジョブズのダークな部分もぶっちゃけて欲しい気がしないでもなく(オイコラw)。
その分、ジョブズ好き・アップル好きなら、ノータイムで「買い」でしょうね。
私自身、本書を読んでアップルに「宗派変え」してもいいかな、と思ったのは秘密ですw
スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則
はじめに 世界は多くのジョブズ――スティーブ・ジョブズを必要としている
第1章 ジョブズならどうするだろうか?
法則1:大好きなことをする(キャリア)
第2章 自分の心に従う
第3章 キャリアをシンク・ディファレント
法則2:宇宙に衝撃を与える(ビジョン)
第4章 エバンジェリストを奮い立たせる
第5章 ビジョンをシンク・ディファレント
法則3:頭に活を入れる(考え方)
第6章 新しい体験を探し出す
第7章 考え方をシンク・ディファレント
法則4:製品を売るな。夢を売れ。(顧客)
第8章 その異常こそ天賦の才の表れ
第9章 顧客をシンク・ディファレント
法則5:1000ものことにノーと言う(デザイン)
第10章 洗練を突きつめると簡潔になる
第11章 デザインをシンク・ディファレント
法則6:めちゃくちゃすごい体験をつくる(体験)
第12章 我々は、みなさんの成長をお手伝いするためにいるのです
第13章 ブランド体験をシンク・ディファレント
法則7:メッセージの名人になる(ストーリー)
第14章 企業社会最高の語り部
第15章 ストーリーをシンク・ディファレント
最後にもうひとつ……まぬけに足を引っぱられるな
【関連記事】
【スゴ本】『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』カーマイン・ガロ(2010年07月11日)【若き日のジョブズ】『ジョブズはなぜ、「石ころ」から成功者になれたのか?』桑原晃弥(2010年09月28日)
【名言】「スティーブ・ジョブズ名語録」桑原晃弥(2010年08月05日)
【Apple】「スティーブ・ジョブズ神の交渉力」竹内一正(2008年05月28日)
【ユーザー・エクスペリエンス】「おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由」中島 聡(2008年03月15日)
【編集後記】
◆一応未読の方のために、前作もご紹介(紹介記事は、上記の関連記事にあります)。スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
まだの方は、この機会にぜひ!
ご声援ありがとうございました!
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