2011年06月26日
【オススメ】『伝わる!文章力が身につく本』小笠原信之
伝わる!文章力が身につく本
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ビジネスパーソンなら押さえておきたい「文章術」に関する秀逸な1冊。結構前に土井英司さんのメルマガで知ったものの、いきなりアマゾンで在庫切れになっていたので、入手するのに時間がかかってしまいました。
アマゾンの内容紹介から。
今スグ使えるちょっとした80のコツ。企画書、報告書、宣伝・PR文、レポート、小論文、作文、メール、ブログが明快に書けるようになる。いやもう、「ちょっとしたコツ」というより、「知らないとマズいルール」だと思います!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■読点の打ち方・基本ルール14(抜粋)●文の主題・主語となる語が長いとき、その後に
●接続詞・逆接の助詞の後に
●原因・理由・条件などを表す節の後に
●強調するとき、強調語句の後に
●格助詞を省略したとき、その後に
(詳細は本書を)
■2.漢字とひらがなを使い分ける
漢字とひらがなを、ただなんとなく感覚的に使い分けていませんか。たいていはそれでかまわないのですが、必ずひらがなにするべき場合があります。改善例の「ところ」「とき」「こと」といった形式名詞、「おき」といった補助用言がそれです。(中略)
漢字とかなの違いは、「時」で説明するとわかりやすいでしょう。「朝ごはんの時」「5歳の時」「戦争が終わった時」はいずれも「時間」「時期」に関わるので、漢字です。時間と関係なければ、「とき」にします。
■3.「れる」「られる」はなるべく使わない
受け身形は、客観性を装うのに使われます。新聞や週刊誌でよく見られる「〜と考えられる」「〜と見られる」は、きまって主語が抜け落ちています。誰が考え、誰が見ているのでしょう。
受け身形は主語を出したくないときに、その「弱点」をうまく隠してくれます。その分、無責任な文になりがちです。受け身形は必要なとき以外、使わないようにすべきです。
■4.敬体(です・ます)の文は単調になりやすい
日本語の文体には敬体(です・ます)と常体(だ・である)があります。手紙など、相手に話しかける文章には敬体を用い、実用文は常体を多く用いています。(中略)
でも、"文に変化をつける"という観点からは、常体のほうがずっと有利です。原文の述語末を拾うと、「ます」「まして」「ます」「ます」とすべて「ます」を使っています。一方、改善例は「る」が二つ、それに「して」「う」です。4箇所のうち3箇所が異なります。圧倒的に常体のほらか変化に富み、敬体は単調です。(中略)
常体の長所はまだあります。文を短くできるのです。敬体は「です」「ます」をつける分、字数が多くなります。読んだ印象も常体のほうが引き締まっています。他方、敬体は単調で冗漫な感じになってしまいがちです。
■5.無駄を削る際のポイント
1.言葉・表現・内容の重複に気をつける⇒一つにまとめる
2.回りくどい表現をやめる⇒短い表現に書き換える
3.誘導の疑問文、断り文などで話を展開しない⇒ずばり核心に入る
4.余計なつなぎの言葉なども徹底して省く⇒内容の自然な展開を考える
5.書きたいことがたくさんある⇒優先順位をつけ、下位のものから削除する
■6.実用文で体言止めは避ける
体言止めは述語を省き、体言(名詞、代名詞)で文を打ち切ります。日本語文は、肯定か、否定か、疑問かが、文末にならないとわかりません。「〜である」で終われば肯定、「〜でない」なら否定、「〜か」なら疑問というように、最後の最後が決め手となります。その手前で止める体言止めは、情報面で不完全な文となります。
体言止めもうまく使えば、文にテンポや余韻が生まれます。でも、乱用すれば文の品位を落とすので、お勧めできません。
■7.「ので」は客観性が強く、「から」は主観性が強い
「ので」と「から」はどちらも原因・理由を表します。似たもの同士ですが、「ので」は客観性が強い表現、「から」は主観性が強い表現に用いられます。客観性の強い「ので」を用いたほうが、文のインパクトが強まります。
【感想】
◆本書は、そのほとんどの項目について、「原文&改善例」が付されています。上記ポイントで一部「原文」という表現が出てくるのが、まさにそれ。
本来、これらを併記した方が分かりやすいのでしょうが、いつも通り、ただでさえ引用量が多いので、泣く泣く割愛しました。
『「そうだ」「ようだ」「らしい」の使い分け』や『主語を示す「は」と「が」の使い分け』などは、自分自身全く知らなかったので、例文込みでご紹介したかったのですが。
◆『敬体は単調になりやすい』というのも、指摘されてみたら全くその通りで、常体だとごく自然に文末に変化が付けられます。
通常は、引用後半に出てくる「文を短くできる」という利点がよく強調されていますが、毎回同じ文末が続かないように意識している私からしたら、今からでも常体に変えたいくらい(マジで)。
挙句の果てに「体言止め」を多用して、「文の品位を落として」いるのですから世話ないです。
成毛眞さんや橋本大也さんあたりのブログを読むと、常体であるがゆえの、文末の変化が良く分かるかと。
◆一方、自分では感覚的にできていたのが「れる」「られる」や「せる」「させる」の使い分け。
本書では、『5段活用動詞には「れる」』『上1段・下1段活用動詞には「られる」』等々の細かいルールが掲載されていますが、「そんなの知らなくても出来たらいいじゃん」と思ったらあにはからんや。
自分はさておき、子どもや部下など、「他人を指導する」際には、ロジックが必要であり、本書にはそれが掲載されているのです。
巷にあふれる「ハウツー本」にはこの原理説明がありません。現実的対処法ばかりをいくらマスターしても、人に教える立場に立つと困ること必至です。文章作法は奥が深いのです。私は子どものころから「国語だけは得意」で、深く考えずに正解が出せたのですが、その分、中学生の家庭教師をやった際に、教えるのに苦労したことがありました。
本書のような「原理説明」をしてくれる本は、そういう点でも有り難いわけです。
◆第3章までの「細かいルール」に対して、第4章では具体的な文章の組み立てノウハウが。
この辺は、ブログのみならず、ビジネス文書や論文等の執筆にも役立ちそうです。
さらに、巻末特集には「原稿用紙を用いる場合のルール」や「言い換え表現一覧表」などなど。
およそ、文章を書く機会のある方なら、読んで損のない内容だと思います。
これは、オススメしないわけには参りません!
伝わる!文章力が身につく本
●第1章 文の土台を固めよう
主語をはっきり出す
推量は「~らしい」、断定は「~である」
主語と述語を近づける など
●第2章 内容を豊かにしよう
「~です」よりも「~だ」「~である」で伝える
過去の話に現在形を入れる
同じ言葉を繰り返さない など
●第3章 語法を意識しよう
主語を示す「は」と「が」の使い分け
「れる」「られる」を使い分ける
「せる」「させる」を使い分ける など
●第4章 組み立てのノウハウを知ろう
必要な材料を集める
実用文の基本は“結論先行”
一つの段落に一つの話 など
●巻末特集 知っておくと便利なこと
表現・表記の基本ルール
同音同訓異義語一覧
言い換え表現一覧
書き終えた後にすること
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【編集後記】
◆アマゾンランキングは最近非「ビジネス書系が」上位を占めていますが、そんな中で健闘しているのがコチラ。ユダヤ人大富豪の教え ―ふたたびアメリカへ篇
本田健さんの代表作でもある『ユダヤ人大富豪』シリーズの続編が8年ぶり登場です。
当ブログでは物語系の作品は何故か不人気なのですが、これは読んでおかないとまずいような……。
ご声援ありがとうございました!
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