2011年06月15日
【35の言葉】『憂鬱でなければ、仕事じゃない』見城 徹, 藤田 晋
憂鬱でなければ、仕事じゃない
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、幻冬舎の見城徹さんと、サイバーエージェントの藤田晋さんによる自己啓発書。いつものように(?)某カリスマ店員さんが推奨されているのを見て、リアル書店でゲットしました。
てっきりお二人の対談なのかと思いきや、そうではなく、見城さんの手書きのフレーズに続いて、見城さん、藤田さんお二人の主張が、見開き2ページでそれぞれ展開されるという構成。
徹頭徹尾「熱い」見城さんと、一見クールなものの中身は「熱い」藤田さんという組み合わせだけあって、インパクトも十分でした。
帯にある「ビジネスマンの聖書(バイブル)」というフレーズも納得の1冊です!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.自己顕示と自己嫌悪は「双子の兄弟」出版の世界にいると、自分を表現したい欲求を持っている人間に触れる機会が多い。その人が、ただの薄っぺらの野心家か、それとも何かを創り出す人かを見分けるのは、たやすい。
その人に自己嫌悪があるか、どうか。この視点を持てぱ、すぐに判別できる。ただの野心家は、自分をひけらかすことに何より喜びを感じ、それに終始する。そこに他者の視点はない。
一方、創造者は、自分を表現したい欲求が他者にどう映るかを常に考える。そのため、自己肯定と自己否定を、たえず行き来している。その葛藤が何かを生み出すのだ。(見城徹)
■2.努力は自分、評価は他人
「努力」という言葉を、僕なりに定義し直すと、それは圧倒的なものになって、初めて「努力」と言える。一般的に言う「努力」など、その名に値しない。人が足元にもおよばないほど行った凄まじい努力が、僕の言う「努力」である。(見城徹)
何事でも、「結果ではなく、プロセスを評価してほしい」という人がよくいるけれど、僕はこれを聞くたび、ただならぬ違和感をおぼえます。
僕は経営者なので、結果が出なくても、本気で仕事に取り組んだ社員には、次のチャンスを与えるようにしています。しかし、プロセスを評価してほしいと本人が考えているとしたら、一体どこに焦点を合わせて仕事をしているのか心配になります。そういう人が結果を出したのを、僕は見たことがありません。(藤田晋)
■3.「極端」こそわが命
ネットでは既存のものよりも際立って優れているか、まだ誰も提供していないものでなければ存在意義がありません。僕は"最高"か"最速"しか生き残れないと思っています。この考えは、他のビジネスにも通じるのではないでしょうか。(藤田晋)
■4.基本と血を吐くような格闘をしなければならない
僕は部下を見ていてよく思う。基礎と格闘している奴は、その時は時間がかかっても、いつか必ず結果を出す。基礎と格闘せず、早道を行こうとする奴は、たいてい失敗する。表面だけで、根本がないからだ。
突き抜けたことをしたいなら、基礎を徹底的に学ぶことだ。
基本を越えるには、格闘しながら基本を極めるしかない。(見城徹)
■5.憂鬱でなければ、仕事じゃない
僕は、朝起きると、必ず手帳を開く。自分が今、抱えている仕事を確認するためだ。そして、憂鬱なことが三つ以上ないと、かえって不安になる。
ふつう人は、憂鬱なこと、つまり辛いことや苦しいことを避ける。だからこそ、あえてそちらへ向かえば、結果はついてくるのだ。
楽な仕事など、大した成果は得られない。憂鬱こそが、黄金を生む。(見城徹)
■6.初対面のために礼儀はある
たかが名刺一枚と言い給うことなかれ。名刺交換は初対面同士の最初の儀式。名刺一枚を渡すその瞬間に、その人の、人となりがわかるものなのだ。どんなに腰を低くして渡しても、そこに心が入っていなければ、すぐに見破られる。僕は初対面の相手に名刺を渡す時、何より心を込める。繰り返すが、初対面だからこそ礼儀は重要なのだ。
一枚の名刺を笑う者は、大きな仕事に泣く。(見城徹)
■7.前例のないものを創る
多くの人は、すでに売れたものを研究して、自分も売れるものを作ろうとする。しかし、そんなことでは、大したヒットは生まれない。ヒットの条件はただ一つ、どれだけ「極端」があるか。僕が手掛けた本で、ヒットしたものに共通するのは、内容にも売り方にも、これまでになかった極端さがあるということである。僕が、会議で出された企画を却下する時のセリフは、たいてい決まっている。
「こんな本、これまでにいっぱいあるよ」(見城徹)
【感想】
◆引用するとボリュームが大変なことになるので割愛しましたが、見城さんの「著者落とし」のテクニックをご存じない方にとっては、本書で展開されるいくつかのエピソードは、仰天ものかもしれません。例えば、石原慎太郎氏との初対面の際、全文暗記した『太陽の季節』と『処刑の部屋』を暗誦して「わかった、もういい。お前とは仕事をするよ」と苦笑される。
角川書店時代、五木寛之氏と仕事がしたくて、作品が出るたびに感想の手紙を送り続け、17通目で奥さんからの代筆の返事をもらい、25通目で本人と会ってもらう。
他者が真似しようにも、真似できないですし、それ以前に考えつかないものばかり。
そんな見城さんのやり方こそ、「努力」であり、また「極端」とも言えるのだと思いますし、会社立ち上げ時には「週110時間働いた」藤田さんとも、その辺は通じている感じがします。
◆また、見城さんは相手を尊重し、相手との関係において細部までこだわられるよう。
口約束であってもしっかり守り、かつ、相手が守るかどうかも見ていらっしゃいます。
その点については藤田さんも同じで、ちょっとした「礼」を欠くだけで、ビジネス上の大きな損失につながりかねない、というお二人のエピソードは、ドキっとされる方も多いのでは?
名刺に関してはそれほど厳しくない藤田さんも、見城さんのように「とても厳しい」方々との名刺交換の際にはとても緊張するのだそう。
私も本書にある「名刺の渡し方」で思い当たるフシがあり、キモが冷えました。
◆なお、本書を読んで初めて知ったのですが、幻冬舎の宣伝部員は、見城さんただお一人なのだとか。
見城さんご自身が、広告代理店と交渉し、メディアを決め、コピーも手掛けられる、とのこと。
曰く「それは僕が、本を売るセンスに誰よりも自信があるからだ」。
よく、幻冬舎さんは日経新聞の日曜版にデカデカと広告を出されていましたが、あれも全部見城さんの手によるものだったとは。
以前、新聞広告にこのブログのフレーズを使って頂いたことがあった自分としては、感無量です(ちと大げさ)。
仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか (幻冬舎新書)
参考記事:【レバレッジ筋トレ術】「仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか」山本ケイイチ(2008年05月31日)
◆本書はページ数的にも文字数的にも、それほど多くはないのですが、そこに込められた「熱量」はかなりのもの。
まさに冒頭でご紹介したツイートの通りでした。
ただ同じ「熱さ」でも、お二人の年の差(23歳差)ゆえか、微妙に異なっているのが、いいエッセンスになっている感じ。
……お二人の丁度真ん中あたりの年齢である私は、上下から突き上げ食らった気分ですがw
読めば「やる気」が引き出されることウケアイです!
憂鬱でなければ、仕事じゃない
第1章 人としての基本
第2章 自分を鍛える
第3章 人心を掴む
第4章 人を動かす
第5章 勝ちに行く
第6章 成功への動機付け
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【編集後記】
◆見城さんの著作の中から。見城徹 編集者魂の戦士―別冊課外授業ようこそ先輩
これがもっとも現場に近そうなので、アマゾンアタックしました。
ご声援ありがとうございました!
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