2011年06月14日
【スゴ本】『奇跡の仕事術―自分の仕事をマネジメントする』カール・P・ワージー

奇跡の仕事術―自分の仕事をマネジメントする
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、15年以上(!)前の「仕事術」の本。シゴタノ!の大橋さんが、下記エントリにて、ご自身の「仕事のバイブル」とまで言われているので購入してみました。
いやー、それにしても大橋さんは、仕事をする前の学生の時点で、こういった本がお好きだったというのがなんともw
シゴタノ! — 自分にとっての仕事のバイブルを持つ
さっそく読んでみたところ、内容的にも納得できる部分が多く、付箋貼りまくり。
アマゾンマーケットプレイスで、手頃なお値段でゲットできるとあっては、オススメしないわけには参りませぬ!

【ポイント】
■1.プロアクティブ(事前対処的)であるということ荒海の船乗りはプロアクティブでなければならない。プロアクテイビティ(事前に対処すること)とは、何かをを起こすための責任を個人的に受け入れる、ということであり、プロアクティブでいるということは、自分の努力から結果を生み出すために前進することである。(中略)
プロアクティブでいるということは、自分の仕事に対する認識を変えるということであって、仕事の量が減るわけではない。仕事に対する認識を変えずに今までの仕事の習慣を変えても効果はない。プロアクティビティとは私たちの秘密兵器である。「なぜできないか」ではなく「どのようにするか」というのが、プロアクティブな姿勢を表す。
■2.優先順位システムの例外〜"JUST DO IT"ワーク(すぐに終わる仕事)
「机上では1つの仕事を集中して行う」というルールには1つの例外がある。この例外が"JUST DO IT"ワークと呼ばれるタイプの仕事である。この"JUST DO IT"ワークには2つの必要条件がある。
(1)60秒以内で終わる仕事
(2)あまり集中力を必要としない仕事
■3.開始日の重要性
先生や上司が一度も与えてくれなかった日付というのが「開始日」である。「開始日」が一番重要な日付にも関わらず、仕事が与えられる時、そのことについてはほとんど話し合われなかった。優先順位システム用シートを記入する時は、特に「開始日」に気をつけて欲しい。忘れてはいけないのが、期日ギリギリになってからでは遅い、ということだ。成功のためには、いつ、その仕事を始めるか、が重要になってくる。もし、設定した開始日に仕事を始めたら、再び仕事の完了が遅れるということはなくなる。そして、常に、それぞれの仕事の開始日順に優先順位をつけることはとても重要であり、ここで特筆すべきことであろう。
■4.ファイルは情報を取り出し易いように設定されるべき
ファイルの目的とは、情報を「瞬時」に検索することである。最も重要なのは、ファイルシステムから情報をたやすく取り出すことであり、ファイルシステムの中に情報をしまうためではないということだ。今までの孝え方を変え、ファイルシステムの本当の目的を理解して欲しい。ファイルを情報源として捉えるのであれば、ファイルシステムを今までとは違う考え方で構築しなければならない。ファイルシステムは、単に情報をしまい易くするためのものではなく、情報を取り出し易いように設定されるべきである。
■5.ファイル検索プロトコルは顧客に焦点を当てる
顧客はあなたの会社のことを、それまでの「プロセス」で考えている。そのプロセスとは、彼らに与えた印象であり、顧客の印象に残るのは、彼らとあなたの会社との関係である。(中略)
顧客が電話をかけてくる時、彼らが分かっているのは、顧客番号や請求書番号などではなく、買った商品や営業マンのことだ。顧客が考える過程に基づいて、商品、営業マン、注文日、顧客の名字でファイルを設定して欲しい。また顧客は、他のことはほとんど憶えていなくても、自分の名字だけは分かっているはずだ!
■6.名刺ファイリングは「年」をキーにする
この2例はどちらとも「年」が最初のプロトコルになっていることに気づいただろうか?「年」が1番目の分類になる。次の理由から、最初に名刺を「年」によって分類することの重要性が分かる。
(1)大抵、名刺交換したおおよその時期を覚えている
(2)「年」による分類は「自動的な」パージ(一掃)システムを作り上げる
■7.話し手に100%の責任がある
プロアクティブ・コミュニケーション・モデルでは、コミュニケーションの全責任は話し手にある。コミュニケーションの内容が理解されたかどうかを確認する責任は、100%話し手にある。95%といった生温いものではない。話し手の見地からは、聞き手/受け手の方に、理解するための責任は全くない。あなたはこれを気に入らないか、同意しないだろうが、これは事実である。話し手に責任があるのだ。この責任を受け入れれば、話し手がコミュニケーションを管理できる。
【感想】
◆本書を読んで、仕事術本に書かれている多くのTIPSが、15年以上前にすでに存在していた、ということに驚きました。2番目の「すぐに終わる仕事」というのは、GTDをはじめとする類書で見かけてましたし、3番目の「開始日」の考え方も何かの本で読んだ記憶が。
割愛した中でも、机の中身をすべて3つの箱にいったん分類して、「ゴミ」の箱の中身はすべて捨てる……といったやり方は、整理術本で当たり前のように書かれていますし。
むしろ最近の仕事術本は、どうしてもITネタを取り上げざるを得ない分、5年後(3年後?)には陳腐化してしまうような。
逆に本書は、TIPSがアナログなため、これから5年経っても読むべき価値がありそうです。
◆6番目の名刺整理についても、「スキャンしてクラウドで…」といったワザが使えない分、極めてアナログ。
類書におけるアナログでの整理法では、「50音順で整理」か「●年以内に使わなかったものは捨てる」という風にどちらかの切り口だけなのに対して、本書ではその両方を取り入れています。
具体的には、年ごとに箱を用意して、それぞれの年ごとに名刺を50音順に整理。
ただし、過去の年度から必要な名刺を取り出した場合に戻すのは、「今年」の箱になります。
それによって、一定期間使われなかった名刺を箱(年)単位で一気に捨てることが可能になるワケで、これはなかなかいいアイデアではないか、と。
もっとも私の場合は、滅多に名刺を頂かないので実践しようがないのですが。←ダメじゃんw
◆なお、第5章までのガチな仕事術系の内容に対して、第6章では「創造性」がメインテーマ。
さらに第7章では「コミュニケーション」、第8章では「オフィスのデザイン」について言及がされています。
中でも今回丸ごと割愛した、第6章の「開発価値のあるアイディアを見分ける5つの質問」は、試してみる価値が十分にありそうな(詳細は本書を)。
また、第7章からはポイントの7番目を抜き出したのですが、「話し手」が責任を負うためには、「フィードバックを得れば良い」のだそう。
そのために本書では、ファクスの送信状の下部に「フィードバック・メモ」を添付することを推奨(これまた詳細は本書を)。
なるほど、ここまでやれば万全ですね。
◆これら第6〜8章までの内容も興味深いところではありますが、やはり本書の醍醐味は第5章までの仕事術の部分かと。
「机の整理」から「ファイル管理」まで、抜かりなく網羅。
定価であっても私は買いますが、冒頭で申しあげたように、現在のようにマーケットプレイスでお手頃価格で入手できるのであれば、仕事術好きにとっては間違いなく「買い」だと思います。
それにしても15年以上前にこんな本が出ていたとは。
まだまだ世の中には「隠れた名著」があるものですね、と自分の無知を棚に上げてみるテストw
在庫がなくならないうちにお早めに!

奇跡の仕事術―自分の仕事をマネジメントする
序章 未来への航海
1章 机上のセットアップとワークフロープロセス
2章 仕事の優先順位システム
3章 ペンディング・システム
4章 情報記録システム
5章 ファイルシステム
6章 創造性開発とプロアクティブ・イマジネーション
7章 効果的なコミュニケーション
8章 オフィスのデザインと環境
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【オススメ】「情報ダイエット仕事術」堀 E. 正岳(2008年12月26日)
【編集後記】
今日発売の気になる本。
憂鬱でなければ、仕事じゃない
何故かいつも他の出版社から本を出される幻冬舎の見城さんと、サイバーエージェントの藤田晋さんのタッグマッチです。
これは読んでみたい……。

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