2011年06月12日
【ユニクロ流】『柳井正の希望を持とう』
柳井正の希望を持とう (朝日新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の未読本記事でも取り上げた、ユニクロの柳井 正さんの新刊。朝日新聞土曜版「be」に連載されたコラムをベースにしているだけあって、中身が濃い割にはとても読みやすい印象を受けました。
アマゾンの内容紹介から。
ユニクロのカリスマ経営者が、元気のない日本のビジネスマンに向けて語る仕事論。人生は自分が主役だという信念を持ち、自分に期待すれば、どんなときでも希望を持つことはできる。自分に期待して、自分が人より少しでも得意な部分を探し、一生懸命に磨くことで必ず活路は開ける。業種、業界を問わず、すべてのビジネスマンに役立つ仕事に取り組む姿勢、ヒントが満載!学生さんから経営者まで、幅広い層に受け入れられそうな1冊です!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.危機感と不安の違い多くの人は危機感と不安を同一視している。だが、両者は性質の違うものだ。不安とは、漠然としたもので、正体を突き止めることさえできれば、たいていの人はほっとひと安心する。(中略)
一方、「危機感を持つ」とは、自分の状態や成績を客観的に評価しながら、慢心しないよう、努力を続けることだ。不安とは性質が違う。不安は持たなくともいいけれど、危機感は常に感じていなくてはならない。
■2.『プロフェッショナルマネジャー』で感銘を受けた言葉
『プロフェッショナルマネジャー』のなかで、もっとも感銘を受けたのは次の言葉だ。
「本を読む時は、初めから終わりへと読む。ビジネスの経営はそれとは逆だ。終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ」(中略)
ジェニーン氏は「現実の延長線上をゴールにしてはいけない」と強調する。最終的な目標を明示して、その実現のための方法を規定し、組織全体で実行していくことが「ほんとうの経営」だと言っている。
■3.レイ・クロック氏に学んだ商売の神髄
クロック氏は飲食業界の人ではありません。それなのにマクドナルドの可能性を見抜いて、事業を立ち上げた。べンチャー経営者の鑑のような人であり、彼の自伝のなかから私は商売の真髄ともいうべき言葉を見つけることができた。
「Be daring(勇気を持って)、Be first(誰よりも先に)、Be different(人と違ったことをする)」
私はこの文句を手帳に書きつけ、何度も読み返したものだ。
■4.ユニクロはファストファッションではない
ファストファッションと呼んでいいのはZARA、H&M、フォーエバー21の各社でしょう。彼らが売っているものは、流行という情報です。流行する服をいかに早く作るか、いかに早く消費者のもとへ届けるかを計画し、そのためのシステムを整備している。彼らは商品の種類(品番)を増やし、毎シーズン、新しい商品を出して売り切っていく。売り切ったら、そこでおしまいというビジネスです。
対して、ユニクロは彼らよりもずっと品番を絞っている。ファストファッション各社に較べると、おそらく10分の1以下だと思う。
■5.ヒット商品のふたつの共通点
言えることはふたつ。これまでにはなかったもの、また、あったとしても、性質、価格が高くて一般の人の手には届かなかったものがヒットに結びつく。フリース、ヒートテックは元々は似たような性質のものが登山用品店にはあった。しかし、高価だったし、デザイン的な要素はなかった。当社が生まれ変わらせて、爆発的なヒット商品となったものだ。(中略)
もうひとつは売る側が信じて売っている商品だ。
「これを買ってください。これは絶対にいいものです」
そう断言できる商品は売れる。逆に「これはどうかな」と少しでもためらいを感じて開発した商品の売れ行きは鈍い。
■6.仕事に向き不向きはない
仕事について若い人はよく「向いている」「向いていない」という。けれど、たいていの場合、それは錯覚だ。十分な経験もせずに「この仕事には向くけれど、あれはダメ」と思い込むことがおかしい。
私だって、商売を始めた頃は性格は内向的だし友だちも少ないから、商売には向いていないと思ったこともあった。でも、やってみれば意外にできた。半年や1年やっていれば、展望は開けてくる。まして10年やれば必ずものになる。
■7.成功は若い頃から準備してきた人だけが勝ち取ることができる
私は単なる零細企業の社長だった。しかし、準備だけはしていた。ひょっとしたら、将来は1兆円の売上がある会社を率いることができるかもしれないと思い、そのために勉強してきた。
チャンスはそういう人のところに来るのだと思う。何の準備もせずに、毎日、ただただ会社と家を往復しているだけの人にはチャンスはやってこない。
【感想】
◆上記ポイントの2,3では、『プロフェッショナルマネジャー』と、『成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝』をそれぞれ紹介しています。柳井さんは、この2冊からかなり影響を受けられているようですが、本書の第4章には、それ以外で「ビジネスマンに推薦したい本」が8冊挙げられていますので、ご参照のこと。
基本的には「ネタバレ自重」なので、3冊ほど。
プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
一倉定の経営心得
IBMを世界的企業にしたワトソンJr.の言葉 (Eijipress business classics)
どれも、結構「王道ど真ん中」ですが、これからの時代、こういった硬派の本が支持されていくような気がします。
◆ちなみに、今でこそフリースの防寒着は、手軽に入手できるものですけれど、大昔(っていつだよw)は全く違いました。
私は当時から登山には疎かったので、登山用品としてのフリースの価格帯は知らなかったものの、雑誌『ポパイ』を見て買いに行ったNICOLE CLUBのフリースのブルゾンは、確か2万3000円くらいした記憶が。
「無骨な(登山用品の)デザインではなく、洗練されたデザイン」で、かつ「防寒という機能も備え持つフリース」なのですから、そのくらいの値段は当然だと思って買ったのですけど、今同じものがユニクロにあったとしても、5000円はしないハズ。
それはヒットしても当然です罠。
◆ただし、上記ポイントにもあるように、ユニクロとしては「ファストファッション」の範疇に含められるのは不本意(?)のよう。
確かに「定番」中心のユニクロは、最新の流行を追うZARAやH&Mとは違います。
何故ユニクロがそのようなスタイルで運営しているか、については本書にてご確認を。
さらに、他のメーカーの分析等については、この本が詳しかったです。
ファストファッション戦争
参考記事:そろそろユニクロ以外のファストファッションについてもひと言言っておくか(2009年12月28日)
◆冒頭で申しあげたように、本書は読みやすい割には、かなり付箋を貼りまくりました。
私は残念ながら朝日新聞をとっていないので、連載時の内容は知らないのですが、それぞれの回で、最低でも1か所は付箋が貼りたくなるようなお話をしているでしょうから、それもさもありなん。
内容も、自己啓発的から、経営論、マーケティング、マネジメント等と多岐に渡り、さらに第5章では年齢別の層に向けてメッセージを発せられています。
これはもう、ベストセラー狙いに来ているのかも……。
全てのビジネスパーソンに捧ぐ!
柳井正の希望を持とう (朝日新書)
第1章 自己変革を急げ
第2章 経済敗戦からの出発
第3章 私の修行時代
第4章 基礎的仕事力の身につけ方
第5章 自己変革の処方箋
第6章 希望をもとう
危機に際してのリーダーの役割――あとがきに代えて
【関連記事】
【ユニクロ銀座店リニューアル記念?】「柳井正の見方・考え方」に学んだ4つのポイント(2009年10月08日)そろそろユニクロ以外のファストファッションについてもひと言言っておくか(2009年12月28日)
【藤田田流】「今だからこそ学びたい『藤田 田』の5つの思考法」(2009年08月17日)
【セブンの凄さ】「なぜ、セブンでバイトをすると3カ月で経営学を語れるのか?」勝見 明(2009年06月05日)
【社長の切り札】『「社長力」養成講座』小宮一慶(2009年03月18日)
【オススメ!】「外食の天才が教える発想の魔術」フィル・ロマーノ(2008年03月20日)
【編集後記】
こちらはZARAについて言及した1冊。世界中を虜にする企業~ZARAのマーケティング&ブランド戦略~
装丁はかなり好きなんですけどねw
ご声援ありがとうございました!
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