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2011年06月06日

【文章術】『文は一行目から書かなくていい』藤原智美


文は一行目から書かなくていい - 検索、コピペ時代の文章術
文は一行目から書かなくていい - 検索、コピペ時代の文章術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、芥川賞作家である藤原智美さん(一応言っておくと男性ですw)の文章作法のご本。

先日の記事の編集後記で取り上げた直後に、土井英司さんのメルマガにガッツリ先を越されてsmooth涙目の巻。

アマゾンの内容紹介から。
電子メディア隆盛のいま、何をテーマに、どのように書くか。ノンフィクション作家でもある著者が、プロとして身につけたテクニック。そのすべてを伝えます。
私自身にとっても、「耳イタイ」指摘がいくつもありました!


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【ポイント】

■1.文章力を鍛えるには集中して向かい合う
 1日1万歩歩くと健康によいといわれていますが、何度かにわけて歩き1万歩を達成するのと、しっかリ80分間歩き続けて1万歩を達成するのでは、どちらが熱量を消費するか。正解は後者です。
 文章にもこれと似たところがあって、文章だけに向き合う時間を集中して過ごしたほうが、ちょこちょこと書くより、ずっと文章力が鍛えられます。しかもその時間は、何かに追い立てられている緊張状態のほうがいい。


■2.他人と違う切り口を探る
多くの人が一定の方向を向いている現象があれば、違う切り口を探る絶好のチャンスです。あえて大勢の人とは違う切り口で考えることを自分に課せばいいのです。
 ひねくれものといわれてもいい。
 常日頃からみんなと違う方向に視線を向けることでユニークな視線が磨かれ、それが文章に豊かな発想をもたらしてくれるでしょう。


■3.書いてから構成を考える
 たとえばジグソーパズルを組み立てるとき、あらかじめ完成図は示されていても、それぞれのピースがどこに入るかはすぐにつかめません。それでも、色や絵柄で場所の見当がつくピースがある。それらから、まずは手をつけるでしょう。
 文章も同じです。完成図を考えるより先にやるべきなのは、頭のなかの言葉のピースを目に見える形にすること、つまり思考の断片の文章化です。


■4.逆接以外の接続詞を外す
 自分の書いた文章を読み直すと、どうも冗長で締まりがない。そう感じたときは接続詞を切り落としてくたさい。接続詞の「そして」「また」「だから」を省いただけで、文章がシャープになることがあります。
 構成のしっかりした、よく練られた文章には接続詞は少ないものです。


■5.同じ語尾を続けない
私の場合、3回同じ語尾が続いたら、うち1回は語尾を変えられないかを考えてみることにしています。
 別の語尾を思いつかないときには、主部と述部をひっくり返すという簡単なやり方もあります。
 たとえば「気をつけよう」「注意したい」以外のいい方が思いつかないときは、「さらに注意したいのは」の形で述部を文頭にもってきて、主部と述部を入れかえるのです。そうすると必然的に述部は「Cである」となって変化がつきます。


■6.日記で文章がうまくなるための2つのルール
まず単語の羅列ではなく、文章で日記を書くことです。当たり前たと思われるかもしれませんが、手帳に「『扉』・編集者A・打ち合わせ・午後2時」と並べるたけでは、文章力の向上にはなりません。
 もう1つは、感情が動いたことについて書くということです。自分の気持ちが動いた事柄やエピソードを記しておけば、それらを後で作品にいかすこともできます。


■7.無駄を切り捨ててはいけない
直接利用できそうなアイデア探しや役立つ情報集めに汲々としていては、けっきょくダメなのです。「これは無駄」「あれは役立たない」と切り捨てていては、実は表現の幅や深みを失うことになります。
 見聞きすること、読むことにストイックになったり、無駄を省こうとしてはいけない。どこにどんなヒントが隠されているか、わかりません。一見、直接役に立ちそうにないことにも宝が隠れているかもしれないのです。


【感想】

◆冒頭で「耳イタイ」と申し上げたのは、例えばポイントの4番目の接続詞の件。

「だから」はそうでもないですが、「そして」「また」は当ブログでは使いまくりであります。

今回はポイントにあげてないものの、私がよく使う「ちなみに」も基本的にはNGなようで、藤原さんいわく『「余談だが」「ちなみに」「閑話休題」などのフレーズで始まる段落があれば、丸ごと削っても大丈夫』とのこと。

というのも、これらの言葉で始まる部分は、「サイドストーリー」に過ぎないから。

確かに、本筋に直接関係していたら「ちなみに」とは言わないですよね。


◆他にも、引用部分が長くなるので割愛した中に、「漢字で書くか、ひらがなで書くか」の考え方もあって、これも参考になりました。

藤原さんは、まず、ひらがな中心で書き、そこから「読みやすくする」ために少しずつ漢字に直すのだそう。

よく使う「今」という言葉も、「今東京から」「今起きた」のように直後に漢字が続くことが多く、読みやすくするため「いま」とされているとか。

読みやすくするために、漢字を「ひらく」ことは知っていましたが、これは目からウロコ

私はあまり気にかけていなかったので、今後は意識してみたいな、と。


◆ただ、この手の細かいテクニカルな部分よりも、本書のキモとなるのは、「何を」「どう書くか」という文章術の本質的なお話。

そもそも藤原さんは、小説家として芥川賞を受賞されているのですが、新卒時には『週刊大衆』のライターとして「物書き」の世界に飛びこまれており、「取材して記事を書く」、ノンフィクションの分野もお詳しいお方です。

読んでないのですが(スイマセン)、この作品などは「テーマの勝利」のような。

暴走老人! (文春文庫)
暴走老人! (文春文庫)

本書では、ブログの記事や料理のレシピといった、身の回りの表現媒体での書き方も指南されており、単に「うまい文章」に留まらないスキルが身に付くと思います。


◆一方、最終章である第6章では、文章を書く上での「考えること」にフォーカス。

章としてのボリュームは少ないものの、見逃せないお話がいくつもありました。

例えば「直接的なハウツーばかりを他人の言葉のなかに求めても、それで完璧に書けるようになるとか、すばらしい文章が生まれるということは、まずありません」と、ノウハウコレクターをバッサリ。

そして巻末に控えるのは、藤原さんの考える『「伝わる」文章を書くことの秘訣』!?(ネタバレ自重)


「ワンランク上の文章」を目指す方なら必読!

文は一行目から書かなくていい - 検索、コピペ時代の文章術
文は一行目から書かなくていい - 検索、コピペ時代の文章術
第1章 あなたは9歳の作文力を忘れている
第2章 プロ作家の文章テクニック
第3章 名文の条件とは何か
第4章 日常生活で文章力を磨く
第5章 検索、コピペ時代の文章術
第6章 書くために「考える」ということ


【関連記事】

【文章術】『100ページの文章術 -わかりやすい文章の書き方のすべてがここに』酒井聡樹(2011年03月24日)

厳選! 「『人を動かす文章術』」の超簡単な活用法8個(2011年01月05日)

【文章心得】『書いて生きていく プロ文章論』に学ぶ7つの心得(2010年12月05日)

【知的生産】『小宮式 知的アウトプット術』に学ぶ「書く力」を高める7つのポイント(2010年11月04日)

【文章術!】「文章のみがき方」辰濃和男(2008年02月13日)


【編集後記】

◆こちらの本は、「要約術」の指南本のよう。

うまく書きたいあなたのための文章のそうじ術
うまく書きたいあなたのための文章のそうじ術

表紙にある「企画書、レポート、小論文……最短距離の表現が求められる時代に、徹底して削る技術」というフレーズが気になります。


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この記事へのコメント
               
老婆心ながら、言わせてください。
文章術に関わる本を愛読しているようですが、管理人さんが書く文章はすごく読みづらいです。

例えば、一つ一つの文章が長すぎます。
だらだらと長い文章は、読む気力をなくします。
センテンスを短くして、簡潔に述べてみてはどうでしょうか。

次に話し言葉を多用しているせいで、文章に具体性がなく曖昧です。
「のような」「みたいな」と曖昧な言い方はやめて、「だ・である」と断言すべきです。
それと語尾が途切れている文が多いのも、気になります。


最後です。
ブログで文章を書くうえで大事な、ホワイトスペースを意識してないことです。

例えば、引用文と引用文、文と文の「幅」が近すぎます。
このせいで視覚的にどれとどれの文が関連しているのか、すごく分かりにくいです。
改行を効果的に使って、関連している文とそうじゃない文を区別すべきです。



管理人さんは、文章術の本を多く書評しています。
しかし、ご自身が書く文に反映していないのが、もったいないなと思いました。
それで衝動的にコメントしてしまったのです。

このブログをいつも愛読しています!これからも頑張ってください!

一ファンからの駄文でしたm(__)m







Posted by nanasi at 2011年10月06日 00:35
               
>nanasiさん

コメントありがとうございます。
先ほどレスを投稿したら、文字数オーバーで全部消えてしまった(涙)ので、今回は簡潔に。
というか、今回も一気にやったら文字数オーバーではねられました。
……下書きしといてよかったw


1.文章が長い件

承知しております。
一番の理由は「語尾の数をできるだけ少なくするため」です(理由は後述)。


2.断言しない件

ブログのようなインタラクティブな媒体では、断言することによる反論を避けるべく、意図的に曖昧にしています。
私は下手なことを断言してブログが荒れるよりは、曖昧と言われる方を望んでますので。


3.語尾が途切れている件

上記1とも関連するのですが、「です」「です」と同じ語尾を避けるためです。
「だ」「である」調ですと、もうちょっとバリエーションがあるのですが、「です」「ます」調の場合、こうでもしないと同じ語尾が続いてしまうので。
確認していただければお分かりになると思いますが、このブログの本文は「です」が2回続くこともないはずです(コメント欄を除く)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年10月06日 11:15
               
>nanasiさん

上記レスの続きです。

4.幅が近すぎる件

改行的なものではなくて、デザイン的なものでしょうか?
もしそうならば、私の知識では直せないのですが、ピッチ幅等で修正できるのであれば、ちょっと調べてみます。
大昔に、文字が小さくて読みにくい、という指摘があった際に、外部に委託して文字の大きさを拡大してもらったことがありました。
その際に、上下幅が狭くなっている可能性が高いです。

引用部分のスペースについては、以前はもうちょっと幅をとっていた(というか1行改行していた)のですが、こちらの方が良い、ということでしょうか?
http://smoothfoxxx.livedoor.biz/archives/51683246.html


色々とアドバイスありがとうございました。
直せる部分は直していきたいと思います。
ただ、上記で申し上げましたように、こちらで意図して行っている部分については、メリット・デメリットを検討した上でのことですので、ご要望の通りにはいかないかもしれません。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年10月06日 11:16