2011年06月05日
【外資で働く?】『外資で結果を出せる人 出せない人』山元賢治
外資で結果を出せる人 出せない人
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、外資系企業の実態やそこでの働き方を描いた1冊。本書の「はじめに」には、「想定読者」として「就職先・転職先として外資系企業に興味のある人」「就職活動中の人、学生の人」等々が挙げられており、そういった方々には見逃せない内容と言えます。
アマゾンの内容紹介から。
外資系企業の最新動向や働き方の実態、生き残る人と脱落する人の特徴、世界標準のビジネスを身につけることで広がるチャンスを、日本オラクルやアップルジャパンのトップとして活躍、外資を知り尽くす著者が伝授。私自身、それなりに外資の本を読んできたツモリでしたが、新たな発見がありました!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.意思決定は瞬時に行うどんなにすばらしい戦略や意思決定もタイミングを逃してはただの愚策に終わってしまいます。YES/NO判断だけでも困難なケースが多いですが、一般的には方法論がいくつもあり、その中からの選択や組み合わせという意思決定も要求されます。私が「Make Decision」という言葉を教わったニューヨークのマネジャーとの会話には続きがあり、それは「in a second」という言葉でした。つまり、「1秒で意思決定しろ」ということです。
■2.日本の歴史を学び紹介できるようにする
アメリカ人は、頭脳明晰な人ほど歴史の話には弱いです。200年を少し超えるぐらいの歴史しか、アメリカ合衆国にはありません。例えば、京都は彼ら/彼女らから見て憧れの土地なのです。京都で大切な会議をセットしてオフタイムや食事の際に日本の歴史を紹介すれば、彼らの心をつかみ、かつ交渉でも心理的にプラスにはたらくこと間違いなしです。
ただ、せっかく大切な会議の場所を京都にセットしても、肝心の日本人のビジネスパーソンの中に、日本の歴史をしっかりと説明できる人がほとんどいないのが残念です。(中略)
日本の大学生は、あり余る時間を活用して、せめて日本の歴史だけでもしっかりと勉強しておいたらどうでしょうか。後々必ず役に立つと思います。
■3.平等ではなく公平
10人に対して前年5000万円あったボーナスの原資が1000万円に減ったとします。日本企業では10人にほぼ等しく100万円ずつ払うでしようが、外資の場合は優秀な人材2人に500万円払ってあとはゼロにすると思います。それで8人が辞めたとしても2人が残るほうを選ぶでしょう。それが平等ではなく公平ということだと思います。
■4.翌日メールが返ってこないのは黄色信号
外資系企業のリーダーともなると、1日にメールが100本くるのは当たり前という感じです。ほとんどの場合、それに即日対応する必要があります。(中略)
また、通常、欧米人から1日で返事が来ないというのは、すでに黄色信号であると部下には教えてきました。彼らの処理能力はものすごいですから、返事が1日で来ないというのは、何か判断できないことが発生しているのです。その際は、即電話する必要があります。何かの誤解があったとしたら、即日解決しておくべきです。
■5.会議中には必ず意見を言う
欧米の会議では意見を言わない出席者に対しては、以下のどちらかだと理解されます。1番目は、本当に意見がないか、アイデアがないか、とにかく会議に出席するのに適任ではない人だという理解です。要するに能力のない人だと思われます。2番目は、控えめだが会議で話されている内容に完全に賛成で、大いに満足しているのだと理解されます。したがって、会議が終わってから突然反対だとか、質問があるとか言い出すことは許されません。日本人に多いパターンとして、会議の直後に議長やファシリテーターに詰め寄って、反対だとか言い出す光景を見かけますが、これは明らかに奇妙な違反行為です。
■6.週末・週明けの時差には要注意
皆さんも同様だと思いますが、1週間の仕事をきれいに片付けておきたいのはどの国の人でも同じで、金曜日の午後には結構重要な情報が飛び交います。その週に結論を出せずに、延ばし延ばしにしていた案件にも対応したりもするでしょう。それぐらい重要な金曜日の仕事に関して、欧米からメールなどで情報が飛んでくるのは、日本では週末になるのです。
したがって、特に日本の土曜日に欧米からの情報をチェックすることは外資系企業に勤める人間にとって重要な仕事の一部になるはすです。
■7.同業他社間の転職には注意する
外資系企業では中途採用が多いです。いわゆる即戦力を期待するのですが、それでもあからさまに同業他社から転職してくる「業界ジゴロ」には注意する必要があるでしょう。(中略)
おそらく、お客様リストやお客様候補への戦略などにおいても重複するはずです。お客様や取引先企業から見ても奇妙ですし、ましてやお世話になった前職に対しても失札な行為だと感じます。よほどのすばらしい能力があり、それに対して報酬でも積まれて引き抜かれたのであれば例外だとは感じますが、それでも前職に対する恩義を考えると躊躇すべきケースだと思います。
【感想】
◆今回抜き出したのは、「個人の働き方」が中心だったため、上記のポイントは本書の第4〜8章がほとんどでした。それに先立つ第1〜3章では、外資系企業の実情や、特に最近の情勢等が描かれており、実はこちらにも付箋自体は結構貼っております。
かつては、アジアで確固たるポジションを誇っていた我が国も、長引く不況で購買力も落ち、その割に高い人件費や税金は依然と変わらず。
そこで最近では、アジア地区の統括本部がシンガポールや中国にでき、報告先が本国ではなく、そちらとなるケースも多いのだそう。
◆そして、外資系企業における「ここがヘンだよ日本人」についても注意が多々。
既知の内容については出来る限り割愛しましたが、それでもやはり「会議での発言の少なさ」は日本人の典型的な問題のようです。
また、「会議で寝てしまう」のも日本人の特徴。
基本的に外資系の場合、「大事ではない会議はない」ので、気を付けたいところです。
この辺、本書では「会議は目的ではなく、重要なことを決定する手段」とバッサリ。
◆面白かったのが、来日する外国人のパターンで、大きく分類して2つに分けられるとのこと。
1つ目は、本国でもエリートの若手で、数年で本国へ戻る際に日本での業績が査定の対象になるため、真剣に仕事に取り組むのだそう。
もう1つがシニアな年齢層の人で、本社のポジションでは「あがり」でありながら、日本では丁寧にもてなされるため、日本が好きになるのだとか。
ただ、そんなシニアな人でも、ITスキルやドキュメントを作成していくスピードは、日本の30代並みと聞いてビックリ!
外国人を「ただ英語が上手いだけ」と侮ってはいかんな、と。
◆本書は、章分けは細かいものの、よくある「ハック系ビジネス書」のように、ポイントがまとまっていたり、太字で強調されたりはしていません。
その分、速読で処理するのではなく、ある程度じっくり読み込むタイプの作りとなっています。
また、ミクロレベルである個人の問題だけでなく、マクロレベルである「本国にとっての日本法人」についても考える機会が持てたのは収穫でした。
外資系企業で働かれることをお考えの方なら、一読の価値アリです。
私達が知るべき「外資の現実」がここに!
外資で結果を出せる人 出せない人
第1章「世界で働きたいから外資」は大間違い?
第2章 日本市場での儲け方のモデル
第3章 外資系の会社の仕組み
第4章 外資系企業の仕事の進め方
第5章 外資系企業での人事評価
第6章 外資系企業での人材育成
第7章 海外本社・アジア地区統括本部とのやりとり
第8章 外資系企業の会議
第9章 外国人のボスに仕えるということ
第10章 外資系企業に勤める動機と向き・不向き
第11章 転職ヘッドハンティング、起業、そして退職後
【関連記事】
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【編集後記】
◆ちょっと前に出た本ですけど、こんなのも。外資系企業で成功する人、失敗する人 (PHP新書)
今日ご紹介した本に比べると、外資について結構手厳しいこと書かれているみたいですが。
ご声援ありがとうございました!
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この記事へのコメント
学ぶこと、多そうですね!!
Posted by マグロ船 齊藤 正明 at 2011年06月05日 21:31
>齊藤正明さん
ぜひぜひ、この本読んで学んで下さいマセ。
お互い、基本的に外資で働くことはなさそうですが(汗)。
ぜひぜひ、この本読んで学んで下さいマセ。
お互い、基本的に外資で働くことはなさそうですが(汗)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年06月06日 04:30
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