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2011年05月29日

【決め台詞】『コンサルタントの「ひと言」力』野口吉昭


コンサルタントの「ひと言」力 (PHPビジネス新書 178)
コンサルタントの「ひと言」力 (PHPビジネス新書 178)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、一連の「コンサルタントの〜力」シリーズ(?)で知られる、野口吉昭さんの新刊。

今回は『「ひと言」力』ということで、「場を変え、人を変える」力を持つ「ひと言」をタイプごとに集められています。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
ビジネスシーンで「発言する」とき、忘れてはいけないことがあります。
それは、「仕事をしている人は、そもそもみんな忙しい」「全ての人があなたの話を聞きたいわけではない」という現実。
そこで求められるのは、「ひと言」で本質を伝えて、納得してもらい、行動してもらうスキルです。
うまくハマれば、効果は絶大な予感。


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【ポイント】

■1.「いいじゃないですか、山が見えれば(壁がわかれば)」
 プロジェクトの最初に、クライアントとチームを組んで問題の分析をしてもらうことがある。発表の際には、「私たちはいま、大きく3つの問題に直面しています。1つ目の問題は……」というように、抱えている問題についてロジカルに説明がなされる。(中略)

 実際に私だって、「こりゃ大変だ」と思うこともある。でも、まずはこんなひと言で返すようにしている。
「いいじゃないですか。山の高さが見えているんだから、壁の厚さがわかっているんだから。解決策は見つかりますよ」


■2.「わかっていないところがわかっていないのでは?」
答えがまったく整理されていなかったり、いうことが毎回変わるような人は、「何が問題なのかすらわからない」という状態に陥っていることも多いものだ。(中略)

 こんな時は、一度ゼロリセットして何が真因で、何が真因でないかを、1つひとつ検証していく必要がある。そのためにはまず、「何もわかっていないこと」を自覚してもらい、思考停止を解除してもらうのだ。


■3.「簡単な変革なんかありませんよ」
 そもそも最初から「難しいですね」「無理ですね」といったことをいう人は、否定モードに入っている。そうした人に対して真正面から攻めても、相手は守りを固めているからなかなか突き崩せない。
 また、そういった人は往々にして、できない理由を次々とあげくいく。だから私はその人の話を一通り聞いてから、
「ええ、簡単な変革などありませんから」
というのだ。


■4.「まずは、決めることを決めてください」
 私も仕事柄、いろいろな会社のいろいろな会議に出てきたが、確かに会議が開かれても、発表者がプレゼンテーションをするだけで、誰もまともな質問や意見をいわないということは多い。(中略)

 なぜこんな会議になるのかといえば、誰も責任をとりたくないからである。決めることで自分に責任が押し付けられるのがいやなのだ。(中略)

会議の冒頭で「ちょっといいですか?」と発言を求め、
「決める内容はさておき、今日の会議では絶対に結論を出す、先送りにしないということだけは決めましょう」
 と念押しするわけだ。


■5.「なかでもどこが、一番違うと思いますか?」
 相手がとにかく「断固反対!」という姿勢を崩さない時、あるいは反対の理由をこれでもかというほど並べ立ててきた時、私は、
「では、その中でも何が、一番違うと思いますか?」
 というような聞き方をする。(中略)

そうやって、論点を1つに絞ったうえで、一度話を振り出しに戻してしまうのだ。(中略)

当然、それに対してさらに反論してくる。だが、そうすることで論点が明確になり、相手をその議論に参加させることができる。こうなれば、とりあえずは最初のかたくなな反対の態度からは、一歩前進したことになる。


■6.「まず、全体像から説明してもらっていいですか?」
 世の中には、話がわかりやすい人と話がわかりにくい人がいる。なかでも話がわかりにくい人の最大の特徴は、「いくら聞いても、その話の全体像がなかなか見えてこないこと」だろう。(中略)

 もし、いまから話そうとしている人にそういった傾向があると知っているなら、私だったら先に釘を刺してしまう。
「まず、全体像から説明してもらっていいですか?」と。


■7.「戦略とは捨てることです」
 目的・目標を設定し、具体的な戦略、事業計画、行動計画に落とし込んでいく時に起きがちなのが、戦略や事業計画、行動計画の中に、あれもこれもとさまざまな事項を詰め込みすぎになることだ。(中略)

 こういう状況に陥っている組織に対しては、私は、
「戦略とよ舎てることです」
という言葉を伝えることにしている。


【感想】

◆本書で紹介されている「ひと言」は、下記目次にもあるように『目的を確認する』『相手に覚悟を促す』『相手の考えを整理させる』『自分の「ぶれない軸」とする』というように、目的別にまとめられています。

また、それぞれ「どんな場面で」「どんな効果を生み出すか」についても、小見出しのすぐ後に併記。

なるほど本書は、『「ひと言」力』というより、「フレーズ集」「ガイドブック」的な印象が強いです。

実際、上記で挙げたポイントだけでなく、本書に収録されているのは、いかにもコンサルタントの方が言われそうなフレーズばかり。

会議の席で、サラっと言えたなら、きっと仕事ができそうに思われることウケアイです。←違うw


◆とはいえ、本書の本当の目的は、こうしたフレーズを使うことだけではないはず。

むしろ、こういうフレーズを使わなければならない状況や態度、考え方を、いかに打開するところにもあるかと。

私自身、必ずしも話が分かりやすい方ではないので、「全体像から説明する」というのは意識しておきたいと思います。

他にも今回割愛した中にあった「考えても無駄なことは、考える必要なんかありません」というのも、紙に書いて貼っておきたいところ。


◆ところで、一番最後に挙げた「戦略とは捨てることです」というのに関連して、ちょうど良いエントリーが話題になっていましたね。

ジョブズ氏が言う「つまらないものは捨てろ」の意味  :日本経済新聞 ジョブズ氏が言う「つまらないものは捨てろ」の意味  :日本経済新聞

ここにあるジョブズの「私は、自分がやってきたことと同じぐらい、やらなかったことに誇りを持っている。イノベーションというのは、1000の可能性に『ノー』ということだ」という発言は、まさに「捨てること」の重要性をうたっているかと。

そして、そのことに関連する、とても良い本がこちら。

シンプリシティの法則
シンプリシティの法則

かなり前に、セミナーで土井英司さんに薦められて買ったものの、諸事情によりご紹介し損ねておりました。

100ページしかない薄い本(まさにシンプリシティ?)なのですが、かなり「深い」ので、興味のある方はご一読を。


◆さて、本書の「はじめに」において、著者の野口さんは、紹介されている「ひと言」を使うには、「タイミング・ニュアンスが大事」と言われています。

確かに、そのフレーズの裏にはキチンとした意図があるわけで、それを理解しないで使っても、効果がないばかりか、逆襲(?)を食らう可能性もあり。

そういう意味では、まずは本書を読んで理解を深め、自分自身に語りかけてみるのも良いかもしれません。

さっそくひと言。

「強みがないなら、作るしかありません」


コンサルタントの「決め台詞」でスキルアップを!

コンサルタントの「ひと言」力 (PHPビジネス新書 178)
コンサルタントの「ひと言」力 (PHPビジネス新書 178)
第1章 コンサルタントは、「ひと言」ですべてを決める
第2章 目的を確認する「ひと言」
第3章 相手に覚悟を促す「ひと言」
第4章 相手の考えを整理させる「ひと言」
第5章 自分の「ぶれない軸」とするための「ひと言」


【関連記事】

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【社長の切り札】『「社長力」養成講座』小宮一慶(2009年03月18日)


【編集後記】

◆芥川賞受賞のノンフィクション作家でもある藤原智美さんの文章術の本が発売されました。

文は一行目から書かなくていい - 検索、コピペ時代の文章術
文は一行目から書かなくていい - 検索、コピペ時代の文章術

これはちょっと読んでみたいところです。

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この記事へのコメント
               
4・5・6は使えたら使いたいですねえ・・・。

社会人5年目なのですが、未だにひととの交渉は苦手です・・・。
Posted by デッドリー at 2011年05月29日 10:39
               
珠玉の言葉ですね!
Posted by 齊藤 正明 at 2011年05月29日 16:12
               
>デッドリーさん

社会人5年目でしたかー。
まだまだお若い。
私がそのくらいの年の時は、ビジネス書なんて読んでませんでしたもんw
今回挙げたフレーズは、若手が使って一歩間違うと「生意気」と言われかねないので、ご注意を。

>齊藤正明さん

齊藤さんのお言葉も負けてないと思いますよ〜!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年05月30日 05:00