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2011年05月25日

【霞が関流?】『官僚に学ぶ仕事術 〜最小のインプットで最良のアウトプットを実現する霞が関流テクニック〜』久保田 崇


官僚に学ぶ仕事術 ~最小のインプットで最良のアウトプットを実現する霞が関流テクニック~ (マイコミ新書)
官僚に学ぶ仕事術 ~最小のインプットで最良のアウトプットを実現する霞が関流テクニック~ (マイコミ新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現役中央官僚が仕事術について語った1冊。

著者の久保田さんは、京都大学卒業後、国家公務員採用I種試験に合格し、2001年内閣府入り。

その後2005年にはケンブリッジ大学でMBAを取得された、といういわゆる「エリート官僚」です。

本書は、そんな久保田さんの日常生活から仕事のやり方、さらには人脈術、読書術、英語術等々まで語られており、なかなか興味深い作り。

知的生産系の本がお好きな方なら見逃せないハズ!?


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【ポイント】

■1.ToDoリストの処理順番

●『「他人との共同作業」vs「自己完結作業」の軸』と『「頭を使って考える仕事」vs「頭をあまり使わない仕事」の軸』の2軸4象限に分ける

●午前中は「他人との共同作業」かつ「頭を使って考える仕事」を優先

●午後は「他人との共同作業」かつ「頭をあまり使わない仕事」を行う

●最後に「自己完結作業」かつ「頭を使って考える仕事」を行う


■2.大量の仕事を出来る限り速く処理する
 これまで、官僚の主な仕事を紹介してきましたが、現代の仕事(特にホワイトカラーの)の多くに求められるのは、質より量、特にスピードではないでしょうか。少なくとも、私の官僚の10年間の経験で言えば、仕事の質は失敗なく処理することであり、それ以外の成果物の質については、一定のレべルを満たしてさえいれば、それほど問題になりませんでした。むしろ、大量の仕事を時間内に処理すること、それもできる限り「速く」処理することが求められていました。遅ければ終電を逃してでも、また睡眠時間を削ってでも処理しなければならなかったため、仕事を速く処理することは、(自分の健康を守るためにも)至上命題だったのです。


■3.専門家と議論するためには読書は必須
常に知識を頭に詰め込む必要があるため、官僚の多くは読書家が多いです。特に、この傾向は、実際に外部の専門家などと直接会って議論することが多い課長以上の幹部に顕著となります。私が尊敬する官僚の先輩の多くは、例外なく読書家でした。事前知識や経験の有無に関わりなく、その分野の担当者となったからには、その分野の書籍や専門書を読破し、知識の集積を一気に図ります。その上で、外部の専門家から問題点や対応策をヒアリングするのです。このように、知識が勝負の官僚は、常にインプットが求められるのです。


■4.BOSSマネジメント
私が上司と付き合う上で気をつけていることは、上司をひとりの人間として、よく観察し、分析しておくことです。
 このように心がけることで、仕事のスピードが全然違ってきます。自分の上司(課長)、上司の上司たる大ボス(局長、政策統括官)の性格や好みの話題、経歴などは可能な限り頭に入れています。局長(政策統括官)の決裁案件でも、その幹部の性格を知っていれば、資料の作り方や、相談の話の持っていき方を事前に整えておくことができます。これによって、通常は2度3度のトライが必要な案件でも、1発クリアすることができるのです。


■5.重要度を伝えるFAX活用法
FAXのメリットは、以下の通りです。

1、本人が忙しくても同じ部署の方が本人の机に置いてくれる(高確率で本人に届く)
2、必ず紙の状態で渡されるので、プリントアウトする手間が省ける
3、メールと違って、埋没する可能性が少ない(物理的に、目立つ)

 私は急ぎで、かつ重要案件については、メールで送ることができるものについても、FAXを活用します。このアナログ感が、重要度を伝えてくれます。


■6.仕事の本で使えるフォトリーディング
自分の興味関心のツボにはまるような本は、パラパラめくった後の活性化の段階で一字一句読んでしまい、ついつい普通の読み方になってしまいます。逆に言えば、興味がないけれども読まざるを得ない本については、仕事のように淡々とフォトリーデイングの技術を当てはめることになるので、「難解な本、まともに読む気にならない本ほど速読効果が高い」と言えます。


■7.TOEIC900点突破術
 私が行ったTOEIC900点突破術をごく簡単に述べれば、(1)TOEICを実際に受けてみて、(2)自分の弱点を把握し、(3)弱点分野を中心に対策(問題集など)し、(4)再び受験する、ということに尽きます。そのサイクルは、早ければ早いほどいいです。TOE1Cは年に8回受けられますから、何回も受ければいいのです。というより、何回も受けるべきなのです。次のTOEICまでにこの問題集をつぶす、ということを目標にして、何度も(1)〜(4)のサイクルを繰り返すのです。早い人は少ないサイクルで目標点に達するでしょうし、遅い人は時間がかかるという違いだけです。最終的にはリスニング、文法、リーデイングのどれもバランスよく取れなければ高得点は望めませんが、最初のうちは苦手分野に集中した方が、スコアの上がり方は早いと思います。


【感想】

◆本書はその第1章の最初で「霞が関で最優先の仕事とは」と題して「国会答弁作成」について言及されています。

私たちがよくテレビで見かける、国会における大臣の答弁の原稿を作る作業がそれ。

とにかく時間との勝負で、かつ、期限までに必ず完成させなくてはならないため、かなりハードなよう。

著者の久保田さんも、1度体調が悪い日にほぼ徹夜で国会答弁を書き上げた翌日、国会内で倒れたことがあるのだとか。


◆そんな作業を効率的にこなすための、様々な工夫をまとめ上げたのが本書になります。

本筋である「仕事術」のみならず、「人脈術」「読書術」と下記目次にもありますが、これらは最終的には「仕事」に直結するもの。

逆に、「英語術」は上記ポイントでも挙げた「TOEICの攻略法」と、英国留学時における「コミュニケーション法」(会話)がメインであり、仕事や官僚はあまり関係ありません。

久保田さんは留学前にTOEIC900点を突破していたのですが、最も力を入れたリスニングに関しては、本書ではオススメ教材がいくつか紹介されています。

英単語・熟語ダイアローグ1800
英単語・熟語ダイアローグ1800

⇒TOEICレベルの1800語をカバー

戦略的TOEFLテストボキャブラリー 完成編
戦略的TOEFLテストボキャブラリー 完成編

⇒こちらはTOEFLで出題されるようなトピックを網羅

実際に使われていた教材のためなのか、ちょっと古いのがアレですが……。


◆後半の第5,6章では、一転して(?)仕事以外のプライベートや生活面へシフト。

この辺は、「仕事術」を期待して本書を購入された方には肩すかし気味ではあるものの、「官僚」だからこそ見えている「風景」があるのかもしれません。

何たって月の残業時間の平均が80〜90時間、多いときは150時間で、残業代も3割出ればいい方」なのだそうですから、それは「ワーク・ライフ・バランス」について考えたくもなります罠。

久保田さんが留学した英国も、日本と同じ議院内閣制なのに、官庁は18時前後で退庁するのが普通だそうですから、やはり個人だけでなく、組織としても何とかしなくてはいけないのだと思います。


◆それにしても、本書はタイトルでヤラレました。

コンサルタントやCEO、起業家や大学教授の仕事術の本は多々ありますが、タイトルに「官僚」と付けた仕事術本は今まで目にしたことがなかったような。

実際、その忙しさは半端ないですし、短期間で異動があって、すぐに専門家並みの知識を持たなくてはいけないところなど、コンサルタントに近いとも言えます。

もちろん、必ずしも久保田さんのスタイルで、全官僚が働いているのではないにせよ、「独自のワーク・ライフ・バランス」を確立されている働き方には、学ぶところが多いと思われ。


「最小のインプットで最良のアウトプット」を!

官僚に学ぶ仕事術 ~最小のインプットで最良のアウトプットを実現する霞が関流テクニック~ (マイコミ新書)
官僚に学ぶ仕事術 ~最小のインプットで最良のアウトプットを実現する霞が関流テクニック~ (マイコミ新書)
はじめに
第1章 霞が関で求められる仕事術
第2章 キャリア官僚の人脈術&コミュニケーション術
第3章 トップ1%になる官僚の読書術
第4章 世界の現場で通用する英語術
第5章 仕事を充実させる官僚のプライベートライフ
第6章 本当に豊かな人生を送るために
おわりに
参考文献


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【編集後記】

◆ブロガーとして気になる1冊。

日本語 語感の辞典
日本語 語感の辞典

私のように意識的にカタカナを使ったりする者にとっては、必携の予感。

と言うワケで、アマゾンアタック!


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