2011年05月20日
【伝説!?】『プロフェッショナルセールスマン ― 「伝説の営業」と呼ばれた男の壮絶顧客志向』神谷竜太
プロフェッショナルセールスマン ― 「伝説の営業」と呼ばれた男の壮絶顧客志向
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、当ブログ的には珍しい「セールス」に関する1冊。とは言え、土井さんのメルマガで、只ならぬ気配を感じ、リアル書店までチェックしに行くことに。
プルデンシャル生命で「週平均5件、11年で3080件」の契約を成立させたという、伝説のセールスマンである、故・甲州賢氏の足跡を辿る本なのですが、パラパラっと見ただけで「確かにスゴイわ、これ」と即、捕獲。
もちろん、セールスの本ではあるものの、あらためて、仕事に対する姿勢について学ぶところが大きかったです。
人はここまで真摯になれるものなのか!?
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.新規開拓の際に取ったアプローチまともにアプローチをしても門前払いされるだけだと踏んだ甲州は、一計を講じた。インターフォン越しにいつも通りの簡単な自己紹介をしたあと、こう言ったのだ。
「商店街で美味しそうなコロッケが売っていたので、買って参りました!」(中略)
数日後のことである。甲州は再び、理事長宅の扉の前に立っていた。前回と同じ手を使うわけにはいかない。甲州は財布から小銭を取り出し、インターフォンに向かって言った。
「50円玉がお宅の前に落ちていたので、お届けに参りました!」
■2.あらゆる事態を想定して準備する
しばしの沈黙がながれる。「やっぱり、うちにはこのプランは違う」と、考え抜いた上で夫人が言う。すると甲州は営業カバンに手を入れ、別のプレゼンシートを取り出す。
「そんなこともあろうかと思いまして、じつはもう一案だけ、プランをつくって参ったんです」
そう言ってテーブルの上に置かれたプレゼンシートは、たったいままで夫人の話していた要望が、すべて解決される設計になっている。じつは甲州は、当日にどんな展開になっても対応できるよう、16種類のシートをいつも用意していたのだ。
■3.顧客の口から損得を超えた言葉が出るか
生命保険に入っていただいたあとに「なぜ、ご契約していただけましたか」とご質問をして、「お得だったから」という言葉がお客さまから返ってきたら、もう負けだよ。「甲州さんだったから」とか「安心してお任せできるから」という言葉が出たならば合格。それが、いい商談ができたかどうかを判断するバロメーターのひとつなんだ」
■4.全身全霊で顧客と接する
実際に、ある社長はこう語った。
「10を聞いて1を知るセールスマンなら山ほどいるんだけど、甲州さんは1を聞いて10の提案を自然にしてくれる。内容をよく見ると、なるほど、あの食事のときにこちらがチラッと言ったことを頭に入れておいてくれたんだな、私のことをいろいろ考えてくれてるんだなって感じられる。だから、生命保険の仕事をお願いしたり、知り合いを紹介したりと、甲州さんを応援したくなるんだよね」
■5.根性ではなく仮説検証
「目標設定の10パーセント程度のアップですと、気合いとか根性で達成できるんです。でもそれでは再現性がない。再現する可能性が低いです。いつまでも気合いだけですから、長続きは望めません。
でも、ビジネスの方向性をきちんと自分なりに定義して、仮説検証して出した結果というのは、再現性が高いです。それがちやんと自信として蓄積されていくわけですし。(後略)」
■6.目標を常に高く持つ
T部長は言った。
「なあ、甲州。人間には限界がある。でもそれは、意外と高い所にあるんだよ」
それからリクルートを退職するまでの約7年間、29回の四半期目標をすべて甲州が達成し続けられたのは、この言葉を座右の銘として、いつも高い所だけを見据えていたからだ。
■7.転んでもタダでは起きない根性
甲州は頑固一徹に我が道を行くように見られているが、じつはこうやって柔軟に自分を変えることができる人間なのだ。かねてからそう見ていたKは、支社に立ち寄った甲州に、ニヤニヤしながら話しかけた。
「甲州さあ、お前、ゴルフは下手やけど、クラブにめっちゃ詳しいらしいな。どうせお前のことやから、とことん猛勉強したウンチクなんかを語って、お客さんたちを喜ばしてるんやろ?」
すると甲州は、嬉しそうに言った。
「あ、バレました?」
「お前の腕前じゃ、プレーで盛り上げることは、でけへんしなあ。だけど道具の話やったら、好きな社長も多いから、喜ばれるやろな」
「ハイツ」
【感想】
◆本書は、2009年に惜しくも他界された、故・甲州賢氏について、生前の氏を知る人々へのインタビューによって構成されています。JTB、リクルートと、いずれも秀でた結果を残した上で、ヘッドハンティングされ、32歳でプルデンシャル生命でフルコミッションのセールスを開始。
そしてここでも、冒頭で触れたようにトップの成績を叩き出します。
ふるっているのが、プルデンシャルへの転職の際のお話で、「受かるのは、わかっていましたから」と、面接の前にすでにリクルートへは退職届を出していたそう。
そして、実際に面接内容も、過去最高の満点に近い得点だったとか。
◆アマゾンの内容紹介にもあるように、本書には他にも「伝説」が多々。
「お客さんと会っていて、新幹線の最終便を逃し、翌朝のアポのため、大阪からタクシーで移動」
「お付き合いセールスを否定し、転職時の"甲州さんなら喜んで生命保険に入ります"というメール400件を断る」
等々、本当にユニークなエピソードには欠かせません。
その一方で、時間に極端に厳しかったり、スネ毛が見えないソックスを愛用するといった、セールスマンとしての基本的な部分もしっかり押さえているという。
なるほど、「伝説の営業」と呼ばれただけのことはあります。
◆本書は、甲州氏の顧客に話を聞くだけでなく、第5章では、顧客を引き継いだ同僚や後輩たちが、改めて氏の偉大さを知ることとなったエピソードを紹介。
「年払いの引き落としの際に、甲州さんは連絡をくれていた」と叱られ、「年にこの一遍のこの連絡は、お客さんフォロー唯一の機会なのに」と顧客から諭された後輩は、そもそも引き落としの案内をする、という発想がなかったことに気付きます。
なるほど、このようにして、甲州氏の「仕事のやり方」は、顧客を通じて、今度は後輩たちに受け継がれていくのだな、と。
また、「甲州さん以外の人と契約を続けるつもりはない」という顧客に対し、別の後輩は、かつて甲州氏がインターフォン越しに満面の笑みでセールスしていたのを真似て、その心を開く、という逸話もしびれました。
皆の心に、今でも甲州氏は生きているんですね……。
◆基本的に本書はセールスをテーマにした作品ですから、セールスに関係のある方に、一番響くと思います。
ただ、顧客に対する接し方、リスクのヘッジの仕方、仕事に対する考え方等、一般的なビジネスパーソンの方が読んでも得るところは多いと思われ。
生前、「どうしたら目標を達成できるか」と後輩に問われた甲州氏は、たった一言「念じろ」、と。
しばらくして「念じてもうまくいかないのですが」と言われ、こう答えたそうです。
「それは、まだまだ、念じかたが足りないな」
論理的に仮説検証しながらも、きっと熱い心を持った方だったのだと思います。
私たちは、まだまだできるハズ!
プロフェッショナルセールスマン ― 「伝説の営業」と呼ばれた男の壮絶顧客志向
はじめに
1.セールスのためにここまでやるか?
2.後輩たちに受け継がれた営業道
3.伝説のセールスマンはこうつくられた
4.自身も繰り返した成功への「つぶやき」
5.膨大な契約の引き継ぎが語る遺産
6.素顔の甲州賢、その原体験
7.セールスマンなら知っておきたいゴルフテクニック
あとがき
【関連記事】
【名著!】「私はどうして販売外交に成功したか」フランク・ベトガー(2008年10月26日)【営業】「セールスバイブル」ジェフリー・ギトマー(著)和田裕美(監修)(2007年10月13日)
【セールス】「無敵のエリア密着型セールス」小原健志(2007年08月10日)
顧客は追いかけるな!(2006年10月11日)
★「新規開拓必勝マニュアル」 梅宮和男 (著)(2006年03月08日)
【編集後記】
◆今日の本に関係して。「本物の営業マン」の話をしよう (PHPビジネス新書)
『働く君に贈る25の言葉』でお馴染みの、佐々木常夫さんの営業本。
こちらも評判良さそうです。
ご声援ありがとうございました!
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