2011年05月12日
【スゴ本】『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる』宇野隆史
トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる~居酒屋の神様が教える繁盛店の作り方~
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、結構なスゴ本。タイトルがちょっと微妙だったので、書店で見かけたもののスルーしていたのですが、土井さんがメルマガで「凄本」と激賞しており、たまらず購入。
実際、私も読んでみたところ、恐ろしい数の付箋を貼ることになってしまいました。
外食関係者のみならず、全てのビジネスパーソンの「仕事のヒント」になる1冊です!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.前向きにイメージする力を持つ例えば、飲食店をやっていて店がオープンする前に雨が降ったら、「雨が降っちゃって、お客さん減らないといいなあ」なんて考える人が多いんじゃないかな。
でもそこで、「今日も満席になるぞ。さあ、お客さんにどんなサービスをしよう」って考えられる人は絶対に強いよね。なぜかって? そんな人は、土砂降りだったら、100円ショップで可愛いタオルを仕入れてきて、お客さんに体を拭いてもらえるようにしよう、なんてサービスを思い付くからだ。
■2.どんな店でも学ぶところはある
視察で大事なのは、自分が入ろうと思った店なら、どんな店でも何かしら学ぶところがあることを肝に銘じておくことだよね。お客さんがよく入っている店を見に行ったとき、「大したことないですね」って言うヤツがいる。でも、これじゃあ、視察に行く意味は全くない。
店が流行っているからには、必ず何かしら理由があるはずだ。それを見付けられるようじゃなきゃ、繁盛店の経営者にはなれないよ。
■3.一番楽しい店を目指す
東京の池袋とか新宿とか、大繁華街に店を出したいという子によく言うんだ。「そんなところで、一番おいしい店をやろうと思っても無理でしょ」って。「だけど、一番楽しい店をやるのはできるんじゃないの?」ってね。街で一番楽しい店だったら、お客さんは絶対来るでしよ。それが、オレたちが目指したい店だ。
■4.利益よりも人間関係を大事にする
例えば独立後、店が軌道に乗ってきて、現状よりいい条件を提示してきたビール会社があると「もう乗り換えてもいいですかね」と相談してくる子もいる。でも、オレは最初に付き合った会社は変えないことにしている。立ち上げの大変な時期を一緒に歩んでくれたのに、経営が安定したから乗り換えるというのは、筋が違うと思うからだ。少しばかり安い商品を買うより、長い間築いてきた人間関係の方が、ずっと大事な財産だと思う。
■5.お客さんのことを知りたいと思う気持ちは欠かせない
例えば母親なら、自分の作った料理を子供が食べなかったら、当然、「どうして?」と思うよね。お客さんのことを思う気持ちは、それと同じぐらい自然に出てこないといけない。だから、テーブルに残った料理を見て、「どうして?」と思わないなら、食べ物屋はやめた方がいい。
■6.売るための言葉を意識する
「例えば、前日の売り上げが良かったら、「昨日はサンマ、60本出ちゃいました!」なんて書いてもいいわけじゃない。まかないで店の料理を出したら、アルパイトの子が「おいしい」って言ったとする。そうしたら、「今日、まかないで食べてみたら最高でした!」なんて一言入れる。シンプルだけど、日々のこういう言葉こそがライブ感があって、お客さんの目を引くもんなんだ。
■7.まずはお客さんの名前を覚えること
お客さんは名前で呼ばれたら、絶対うれしいもんだ。特に世の中の景気が良くないときなんかは、仕事で苦労しているから、お客さんは飲食店に温かさを求める。自分のことを覚えてくれて、楽しい気分にさせてくれる店だからこそ、懐がちょっと寂しくても行きたいと思ってくれる。
■8.シロウトならではの売り方を考える
スパークリングワインのコルクは音を立てないで抜くのが正式らしいけど、こっちは居酒屋なんだからそんなの関係なくて、お客さんが楽しい方がいい。だからサービスをするときに、お客さんに「ポンって抜きますか? シュウって(静かに)抜きますか?」って聞くようにした。すると、ほとんどのお客さんは「ポンがいい!」って言うんだよね。それで、店のあちこちで、毎日ポン、ポンって音が鳴り響いて、お祭りみたいに盛り上がるんだ。
【感想】
◆冒頭の画像でもお分かりのように、今回は付箋を貼りまくったため、どれを選ぶかでかなり悩みました。そもそも著者の宇野さんは、「居酒屋の神様」と呼ばれ、独立させることを前提で若者を雇い、実際に100人以上の経営者を輩出しているわけですから、その蓄積されたノウハウはとんでもない量なのだと思います。
それなのに、アマゾンで見る限り、この本が処女作のよう。
それは本の中身も濃くなります罠。
◆そして、その経営スタイルはアイデア溢れるもの。
上記ポイント以外でも、例えば、大通りではなく、人通りの少ない場所に店を出すことを推奨されています。
曰く「どんな場所でも店に魅力があれば、お客さんは来る。お客さんを呼べないのは、立地の問題より店の力不足なんだよね」とのこと。
確かに、立地が悪いと新規客の集客面では不利ですが、それを補うだけの、リピーターやファンを作り出す魅力があれば良いわけで。
◆それを、宇野さんのかつての教え子であった岩澤 博さんは、「いかにお客さんに来てもらうかが大事なんじゃなくて、いかに帰ってもらうかが大事」と、本書の巻末で言われています。
お客さんを喜ばせ、楽しい気持ちで帰ってもらえば、また店に来たいと思ってもらえる。お客さんを呼び込むことばかり考えていたけれど、気持ちよくお客さんに帰ってもらうことこそが、僕が今、やらなきゃいけないことなんだって気が付いた。料理を作るのが上手でなくとも(衛生面等はそれ以前の大前提ですが)、工夫次第では魅力的な店を作り上げることができる。
それこそが、本書のタイトルである「トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる」の意味するところなのではないか、と。
えー、でも素で書店でタイトルだけ見たら、「テキトーにやってもお店はできるよ」みたいに私は勘違いしたんですがー。
まさに真逆!!
◆さらに、本書で述べられている発想法や工夫の仕方は、外食のみならず、お店や普通の仕事でも活かせるもの。
品書きやPOPは、キャッチコピーやセールスレターにも通じますし、新商品や新メニューの開発にも転用できそうです。
また、そういう斬新な部分もありながら、「人の名前を覚える」「人間関係を大事にする」といったテッパンネタもあり。
……これは今後、宇野さんに執筆依頼が殺到しそうなヨカン。
ビジネス書好きには、マジでオススメ!
トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる~居酒屋の神様が教える繁盛店の作り方~
1.儲からない店なんて、絶対にない
2.人通りのない場所にこそ店を作れ
3.料理ができなくても、人気メニューはできる
4.お客さんを喜ばせるのは簡単だ
5.「売ろう!」と思えば、モノはじゃんじゃん売れる
楽コーポレーションで育った経営者が見た宇野隆史という人
【関連書籍】
◆肝心の今日ご紹介した本が在庫切れっぽいので、今まで読んだ中で、それに匹敵するものを。外食の天才が教える発想の魔術
宇野さんが「居酒屋の神様」なら、この本の著者のフィル・ロマーノは、「天才コンセプト・メーカー」。
何と言っても、全国展開したレストランコンセプトが6つもあるというアイデアマンです。
この本、中古なら安く手に入るので、激オススメ!
参考記事:【オススメ!】「外食の天才が教える発想の魔術」フィル・ロマーノ(2008年03月20日)
【関連記事】
「小さな飲食店 成功のバイブル」鬼頭宏昌(2007年02月06日)【ミシュラン】「世界でいちばん小さな三つ星料理店」奥田 透(2010年07月27日)
【テク満載】「飲食店の利益を1.7倍にする50の方法」早川雅章(2009年08月11日)
【良い店とは?】「流行る店」吉野信吾(2007年09月07日)
【ザ・商人】「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する」島田紳助(2007年06月08日)
【編集後記】
◆先日の記事でご紹介して、即、品切れになったこの本の在庫が復活していました。相手を思いのままに「心理操作」できる!―常に自分が優位に立つための「応用力」
当初に比べると、さすがにお値段が高めなのですが、買い損ねた方がいらっしゃいましたら。
ご声援ありがとうございました!
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