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2011年04月28日

【知的生産術】『アイデアを形にして伝える技術』原尻淳一


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アイデアを形にして伝える技術 (講談社現代新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ハックシリーズでもお馴染みの原尻淳一さん「知的生産術」に関するご本。

ウェブ上でも評判が良さそうだったので、買ってみたところ、なるほどかなり濃い目のコンテンツでした。

アマゾンの内容紹介から。
"効率的インプット"から"相手に確実に伝わるアウトプット"へ。そこからまた"新たなインプット"へ…。アイデアが溢れ出る仕組みはこうすれば必ずできる。ベストセラー著者にして凄腕マーケティング・プランナーがノウハウ全公開。新しい"仕事の教科書"。
まさに、"原尻流『知的生産の技術』"とも言える力作。

思わず付箋も貼りまくりです!

アイデアを形にする技術










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【ポイント】

■1.メモは赤と黒のペンを使い分ける
 インタビュー中は、なるべく会話に集中しますが、これは大事だと思われるキーワードは確実にメモで押さえます。(中略)

わたしはインタビューの際は、赤と黒のペンを用意し、黒はファクト(相手が話した内容)で赤は仮説(自分の考え)と、色分けしています。後になって、メモを見たときに大変わかりやすいからです。


■2.本から必要情報を効率よく見つける技術
(1)「目次読書」段階:どこに必要情報があるか、見当をつける。
(2)「フラグを立てる」段階:見当をつけた章を飛ばし読みし、重要記述がありそうな箇所にポスト・イットでフラグを立てる。
(3)「熟読」段階:フラグを立てた箇所に戻って、じっくりと読みなおし、自分の意見や仮説やアイデアを本に書き込んでいく。

(詳細は本書を)


■3.ドラッカーのテープを使った執筆術
 注目したいのは、自分の考えをまず声に出してテープに録音するという点です。
 話す行為は自身の思考がまとまっていないとできませんから、自分の考えが熟したら、いきなり文章を書くのではなく、口述するわけです。つまり思考の断片をあらかじめ口述で出力し、それを文章化して、さらにリライトをかけるという効率的な方法を採っています。


■4.Microsoft wordを活用したレポート作成法
 まず、章のアイデアを8つ、箇条書きで書いていきます。 
 その後、各章のタイトルアイデアの間に行を挿入し、tabキーを押して一段下げ、そこから節の情報を8つ入れ込みます。同じように各節のタイトルアイデアの間に行を挿入し、tabキーで一段下げ、文章キーワードを入れていく。
 すると、目次構造に文章内容が入った、まさにレポートの全体像が浮かび上がってきます。この作業は、ワードを<アウトライン表示>にして、ツリー構造を意識しながら書き進めると、さらに書きやすくなります。


■5.べンチマーク本から応用可能なルールを抽出する

知的生産の技術 (岩波新書)
知的生産の技術 (岩波新書)
●専門的な話を一般読者向けに展開するときには、アナロジーを活用するとわかりやすくなる
●むずかしい漢字表配をしない

身体感覚を取り戻す―腰・ハラ文化の再生 (NHKブックス)
身体感覚を取り戻す―腰・ハラ文化の再生 (NHKブックス)
●あらゆる角度からひとつの事象を見つめ、メッセージの理解を多角的に読者に提供することで、メッセージを強調する

胎児の世界―人類の生命記憶 (中公新書 (691))
胎児の世界―人類の生命記憶 (中公新書 (691))
●文章にリズムを与える


■6.自分ブランドになるためには、自己表現力を鍛える
 自分ブランドとは、自己の表現活動を通じて、他者が認めた自身の価値の総体です。いくら専門知識を持っていたとしても、何らかの形で表現をし、認められなければその人の価値は形成されません。ですから、自分がブランドになるためには、若いうちから自己表現力を徹底して鍛えるべきです。


■7.プレゼンのスライドは「トップラインで紙芝居をつくる」
スライドづくりに関しては、広告代理店に入社当時、マーケティングプランナーの先輩に教えてもらった、とっておきのコツがあります。
 それは「トップラインで紙芝居をつくる」こと。トップラインとは、スライドの内容がまとまっている一文のことです。この一文を読み連ねて、筋が通るようにあらかじめストーリーを構想し、簡単な紙芝居をつくってから、データやチヤートを入れ込むのです。すると、データに振り回されることがなくなります。


【感想】

◆原尻さんというと「ハックシリーズ」というイメージが強いせいか、本書も読む前は「ネタの数勝負」なのかと思っておりました。

確かに、冒頭の付箋の画像でもお分かりのように、本書もチェックすべきポイントは多いのですが、ハックシリーズのような「独立した小ネタ集」ではなく、全体が「1つのテーマに沿って」います。

そしてそのテーマとは「循環するアイデアのエコシステム」

具体的には、『インプットからアウトプットへの「アイデアを形にして伝える」技術を確立すると同時に、そのアウトプットがまた新たなインプットにつながるシステム』です。


◆それに関して、原尻さんご自身のブログに分かりやすい図があったので、ご紹介。

アイデアが溢れてくる仕組み化とアウトプットまでの概念図












ちょっと小さいですが、Evernoteの象のアイコンは、お分かり頂けるかと。

本書でも最近の知的生産系の本同様、クラウドサービスは活用します。

ただし、それに先立つフィールドワークを重視している点が、類書と異なるところ。

実際、原尻さんは、本業である新人アーチストのデビュープランニングを行った際、インディーズ時代のアルバム購入データから推測されるファン層と、ライブで応援しているファン層が全く異なった、ということがあったのだそう。

現場で即、ヒアリングを行なった原尻さんは、そのデータ追加し、プランを変更したのは言うまでもありません。


◆さらに本書のもう1つの特徴は、アウトプットを重視し、アウトプットを効率よく行うためのTIPSを取り揃えていること。

例えば、「第4章 型の効用」では企画書の基本項目が明示されており、それに従って必要な情報を埋め込めば、完成品が出来上がる仕様です。

具体的には「第6章 企画書を書く」で、その基本項目に当てはめた「本書の企画書」まで掲載されているという。

あなたも自分の本の企画書が書けることウケアイ!?


◆本書は、知的生産に関する広範囲な内容を、新書と言う限られた容量で取り扱う関係上、要点を中心にコンパクトにまとめられています。

もちろんスキマ時間で断片的に読むことも可能ですが、できれば通しで一気に読んだ方が、インプット〜アウトプットの流れがより一層分かるハズ。

上記の「本書の企画書」によれば、本書のメインターゲットは「若手ビジネスマン」(サブは「大学生&大学院生」)なのだそうですが、若手に独占させるにはもったいない充実ぶり。

対象外(?)のオサーンである私も、非常に参考になりました。


「知的生産術」を扱った中でも白眉の出来だと思われ!

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アイデアを形にして伝える技術 (講談社現代新書)
第1部 インプットの技術

 第1章 「現場の情報」力

 第2章 情報を集める技術・読む技術

 第3章 データベース構築とアイデア発想

第2部 アウトプットの技術

 第4章 型の効用

 第5章 わかりやすく自分らしい文章術

 第6章 企画書を書く

 第7章 伝わるプレゼンテーション


【関連記事】

「PLANNING HACKS!」原尻淳一(2007年05月13日)

【読書ハック】「READING HACKS!」原尻淳一(2008年10月12日)

「IDEA HACKS!」原尻淳一 ・小山龍介(著)(2006年07月29日)

【20代でもおk】『40歳からの知的生産術』谷岡一郎(2011年01月27日)

【知的生産】『梅棹忠夫 語る』小山 修三(聞き手)(2010年09月22日)


【編集後記】

◆大前先生のこの本も、いよいよ本日発売。

日本復興計画 Japan;The Road to Recovery
日本復興計画 Japan;The Road to Recovery

記事にできるかはわかりませんが、私も読んでみるつもりです。


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この記事へのコメント
               
初めまして。

ブログ拝見させていただきました。

原尻流『知的生産の技術』ですか、早速読んでみたいと思います。

書評ためになりました、有難うございます。
Posted by 起業するには?起業支援の世界平和株式会社 at 2011年04月29日 22:32
               
>起業するには?起業支援の世界平和株式会社さん

初めまして、コメントありがとうございます。
この本、起業には直接関係ないかもしれませんが、いつか役に立つかもしれません。
ぜひご一読を。

今後ともよろしくお願いします!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年04月30日 06:03